ショート・ショート


 11   日曜の夕刻
※徳川秀忠(徳川2代将軍) ※結城秀康(秀忠の異母兄) ※乙丸達(小姓 将軍の刀を捧げ持ったりする役の旗本の子) ※土井(将軍の側に居そうな家来) ※彦左(大久保彦左衛門?)
 
秀忠「兄上、兄上、お待ち申し上げておりました。長旅、お疲れ様でございます。」
秀康「御久し振りにございます。上様には御機嫌うるわしく・・・」
秀忠「上様などと・・・お恥ずかしゅうございます。どうぞ秀忠と呼び捨てになさって下さい。」
秀康「とっ、とんでもない!私は臣下にございますれば・・・」
秀忠「いいえ、兄上ではございませんか。ささっ、あちらに・・・上段の間へお座りくださいませ。」
秀康「いや、ご冗談を・・・」
秀忠「ははは・・・上段と冗談、面白いですな。こらっ!乙丸達、兄上が駄洒落をおっしゃったぞ。笑え!」
乙丸「へ?・・・あ、はい。ははは・・・」
秀忠「ほら、土井!その方達も笑え!」
土井「・・・う・・・」
秀康「いや、駄洒落を言ったつもりは・・・ございません。」
秀忠「あ、左様で。これ、乙丸達、笑うのを止めよ。」
乙丸「はは・・・は・・・はい。」
秀忠「ささっ、兄上、ご遠慮無くお座りくださいませ。」
秀康「いや、ご、ご、ご遠慮申し上げます。私は中段の間に・・・」
秀忠「あ、では私が下段の間に・・・」
秀康「とんでもござません。では、私は次の間へ・・・」
秀忠「では、私は廊下に・・・」
土井「上様も結城殿も、いい加減になさいませ。これ、乙丸。お二方の褥を上段の間に並べなさい。」
秀康「いや・・・それでは・・・やはり恐れ多い。乙丸殿、上様の褥は2枚に・・・」
秀忠「いいえ!乙丸、兄上には褥を3枚さしあげるのだ。」
 
彦左「遅くなり申した・・・う?・・・土井、上様達は何をなさっておいでじゃ?」
土井「何をなさって・・・って、どう見えますか?」
彦左「〔笑点ごっこ〕・・・かな?」
 
☆秀忠は真面目で堅物な人だったので、兄を差し置いて将軍になった事で心を痛めていました。常に兄に気を使っていたようです。秀康は父に疎まれ、幼い頃から豊臣に養子というか人質に行かされて、屈折した想いがあったかも知れませんが・・・いえ、案外単純な人だったのかも・・・

 12   思春期
※北条時房(北条政子の弟 幼名五郎) ※政子(時房の姉で源頼朝の御台所) ※大姫(頼朝夫妻の長女 木曽義仲の嫡男、義高と婚約していたが義高は頼朝の命令で誅された) ※金剛(政子の弟で時房の兄、義時の嫡男)
 
大姫「あ、ゴロちゃん。」
時房「大姫ちゃん。庭に出て・・・大丈夫?」
大姫「うん、今日は気分がいいの。」
時房「そう、良かった。大体、大姫ちゃんは大切にされ過ぎなんだよね。気分の良い日は外で遊んだ方
   がいいよ。」
大姫「ねえねえ、ゴロちゃん。金剛ちゃんの結婚が決まったんだって。」
時房「ああ、三浦の姫とね。」
大姫「ゴロちゃん、ショック?先を越されて。」
時房「別にぃ。俺は気にしてないよ。大姫ちゃんに先を越されても平気だと思うし。」
大姫「あら、私にはとっくに先を越されてるじゃない。だって私は義高様の妻だったんですもの。」
時房「・・・え・・・ああ、でも・・・えーっと、大姫ちゃんは実質的には結婚してなかった訳だし・・・」
大姫「何?実質的・・・って?」
時房「・・・だから・・・さ、本当の夫婦じゃなかっただろ。」
大姫「本当の・・・夫婦?」
時房「だって、本当の夫婦ってのは、あーんなコトや、こーんなコトや、そーんなコトをするんだよ。」
大姫「ええっ?あーんなコトや、こーんなコトや、そーんなコト?」
時房「えっ・・・と・・・えっ?大姫ちゃん、知らなかったの?」
大姫「・・・私と義高様は・・・夫婦じゃ無かったの・・・えっ・・・じゃ、父上と母上も・・・あーんなコトや、こー
   んなコトや、そーんなコトをしてるの?」
時房「うっ・・・ま、まあ・・・ね。・・・なんか・・・困ったな・・・」
大姫「ゴロちゃんも結婚したら、あーんなコトや、こーんなコトや、そーんなコトをするの?」
時房「うっ・・・うん。ははは・・・大姫ちゃん、話を変えようかぁ・・・」
大姫「ゴロちゃん、何で赤くなってるの?」
 
・・・2日後・・・
時房「え・・・大姫ちゃんが熱を?」
政子「そうなのよ。一昨日は元気で・・・久し振りに庭で遊んでたのにねぇ。」
時房「風邪を引かれたのかな?」
政子「それがねぇ・・・お医者様が、どうも風邪とは違うっておっしゃるの。まるで智恵熱のような症状だっ
   て・・・」
時房「・・・智恵熱・・・」
政子「あら、五郎ちゃん。アンタも熱があるの?」
時房「えっ・・・別に・・・」
政子「でも、顔が赤いわよ。」
時房「・・・」
 
☆姪に性教育をする叔父上・・・微笑ましいですねぇ・・・(そうかな?)あーんなコトや、こーんなコトや、そーんなコトは、五郎ちゃんのイメージから色々想像して・・・頂かなくても結構です。
※注 当時は時房ではなくて時連を名乗っていました。

 13   雪の御所
※安徳天皇(まだ幼い帝 福原へ遷都?して雪の御所に住む) ※高倉上皇(安徳天皇の父) ※徳子(高倉天皇の中宮で安徳天皇の生母 平清盛の姫) ※典子(徳子の妹で故七条修理太夫の北の方) ※殖子(七条修理太夫の先妻の姫で高倉上皇の寵愛の典侍 二ノ宮と四ノ宮を産む 四ノ宮は後の後鳥羽天皇)
 
安徳「・・・父上・・・」
上皇「?・・・主上・・・どうなさいました?中宮と御一緒ですか?」
安徳「ううん、朕は一人で来たの。」
上皇「ほっ・・・そうですか。」
安徳「安心した?父上は母上が御嫌いですか?」
上皇「うっ・・・いや・・・そっ、それは・・・」
安徳「あのねぇ・・・お手紙、内緒だよ。」
上皇「内緒?」
安徳「うん、典子叔母様が父上に内緒で渡してって・・・」
上皇「あ・・・七条の北の方が?・・・そうか、ありがとう。」
安徳「ねえ、誰からのお手紙?」
上皇「殖子からだ。そうか、産まれたのか。主上の弟宮が産まれたんですよ。四ノ宮が。」
安徳「朕の弟宮?見たい。」
上皇「・・・そうだねぇ・・・会いたいなぁ・・・ねえ、主上。中宮に都へ帰りたいと頼んで頂けないかな?」
安徳「え・・・っと・・・」
徳子「主上!まあっ、こんな所に!心配致しましたのよ。ああ・・・良かった。ご無事で。」
上皇「お久し振りですね、中宮。あの・・・チョットお話が・・・」
徳子「また、都が恋しいとおっしゃるんでしょ!」
上皇「だって・・・ねえ、此処には嵐山のような桜も、高尾のような紅葉も無くて・・・」
徳子「海もあるし、松もあるでしょ!」
上皇「1年中松を見ていても・・・ねえ・・・主上・・・」
徳子「都より福原の方が楽しいですわね?ね?主上。」
安徳「・・・え・・・朕は・・・うん、福原が好き。だって母上と一緒に暮らせるもの。」
徳子「まあ、嬉しい事を・・・お聞きになりましたでしょ。主上は福原が良いと仰せですわ。では・・・」
上皇「え・・・では・・・って・・・あの、主上。待って!」
安徳「バイバイ、父上。また遊びに来るね。」
徳子「さ、主上。参りましょ。」
安徳「母上、抱っこぉ。」
徳子「はいはい。大きな赤ちゃんねぇ。」
上皇「・・・うっ・・・うっ・・・グスン・・・」
 
☆福原への遷都は僅かな期間でしたが、上皇にとっては辛く長い期間だったかも・・・上皇になっても思うように院政も行えず、鬱々とした人生かなぁ・・・チョット同情します。
福原の御所は雪の御所と呼ばれていました。京の御所と違って、手狭だったでしょうね。でも綺麗な名前ですね。
典侍というのは帝の私生活の身の回りのお世話をする公の職業だと思います。女御や更衣と違って、必ずしも帝の寵愛を受けるとは限らない女性・・・当時のキャリアウーマン?

 14   華麗なる兄妹
※チェーザレ・ボルジア(毒薬使いの殺人鬼?) ※ホアン(チェーザレの弟で後に兄に殺されたという説がある) ※ルクレチア(2人の兄と三角関係だったという説がある)
 
チェーザレ「久し振りだな。元気そうで何よりだ。とにかく乾杯しよう。さあ・・・」
   ホアン「ふふふ・・・まさかアレは入っていないでしょうね。」
チェーザレ「アレ?・・・カンタレラか?ふうん、この兄を疑うのか。」
   ホアン「疑いますよ・・・あ、お気を悪くされましたか?」
チェーザレ「ふん・・・まあ、いいだろう。では私が毒見を・・・ゴクゴク・・・これでいいだろう。」
   ホアン「・・・では、私も頂きます。・・・ゴクゴク・・・」
チェーザレ「さあ、料理も遠慮無く食べてくれ。」
   ホアン「料理の方も毒見をお願い致しますよ。」
チェーザレ「え・・・い・・・いや、料理は・・・」
   ホアン「兄上?・・・まさか・・・まさか貴方は・・・」
ルクレチア「ホアンお兄様、お料理のお味はどうかしら?あら・・・ヤダ、全然召し上がっていないじゃな
       い。せっかく私が腕を振るったのにぃ。」
   ホアン「え・・・お前が作ったのか?」
ルクレチア「そうよ。」
   ホアン「・・・調理の途中で・・・チェーザレ兄上が来なかったか?」
ルクレチア「?・・・来なかったわよ。」
   ホアン「ほっ・・・そうか。喜んで頂くよ。モグモグ・・・うっ・・・ぐっ・・・」
ルクレチア「きゃあっ!!ホアンお兄様?・・・ど・・・どうしたの?」
チェーザレ「ルクレチア!今度は何を使ったんだ?」
   ホアン「げぇっー・・・こ、今度は・・・って?」
チェーザレ「先月は俺がルクレチアの料理を食べさせられて・・・3日も下痢が続いたんだ!庭の蛙を
       食べさせられたんだぞ!」
ルクレチア「蛙料理はお好きじゃない。」
チェーザレ「食用蛙を使ってくれ!」
ルクレチア「今日はチャント食用蛙を使ったわよぉ。」
   ホアン「食用蛙が・・・どーやったらコンナ味になるんだ!あ・・・兄上・・・解毒薬を・・・」
チェーザレ「カンタレラの解毒薬はあるが、ルクレチアの料理の解毒薬は無い。」
   ホアン「・・・そ・・・そんな・・・苦しい・・・死ぬぅ・・・」
チェーザレ「諦めろ。まさか死にはしないだろう・・・多分・・・きっと・・・おそらく・・・」
 
☆カンタレラはボルジア家の専売特許?の毒薬ですが、飲ませる量の調節によって?相手が死ぬまでの時間とか日数を調整出来る優れモノの毒薬らしいです。解毒薬は無かったと思います。

 15   落花
※北条時政(鎌倉初代執権) ※義時(時政の子で2代執権) ※五郎(義時の弟で後の北条時房) ※牧の方(時政の後妻) ※讃岐局(義時の最初の妻?) ※金剛丸(義時の子で後の3代執権泰時)
 
時政「五郎、出掛けるぞ。義時の邸へ一緒に行こう。」
五郎「は〜い。赤ちゃんを見に行くんだね。わ〜い、わ〜い。」
  牧「ま、五郎さんは妹や弟より甥の方が可愛くていらっしゃるのね。私が産んだ子供達の事は
   全然可愛がってくださらないのに。」
時政「牧。そういう言い方は止めなさい。五郎、気にするなよ。」
 
義時「父上・・・ああ、五郎も来たのか。」
時政「どうだ?讃岐の具合は。」
義時「・・・も・・・う・・・」
時政「・・・そう・・・か・・・」
 
時政「やあ、讃岐ちゃん。どうだね、気分は?いや、なかなか顔色も良さそうじゃないか。」
讃岐「義父上様、わざわざ・・・ありがとうございます。」
時政「・・・あー・・・その・・・どうだろう。産後の肥立ちがチョットばかり悪いようだし・・・讃岐ちゃんの実家
   はチョット遠いし、母君もいらっしゃらない事だし・・・金剛を名越の邸で預からせて貰えないかな。」
五郎「え?金剛をウチへ連れて行くの?わ〜い、嬉しいな。・・・義姉上・・・?・・・泣いて・・・」
讃岐「ごめんなさい、五郎さん。泣いたりして・・・私ったら・・・」
義時「讃岐、お前の体が健康を取り戻すまでの、ほんの僅かな間だよ。」
讃岐「・・・はい・・・義父上様、よろしくお願い致します。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」
時政「いや、讃岐ちゃん。迷惑だなんて、とんでもない。可愛い嫡孫だからね。大切に預かりますよ。」
五郎「でも、義母上がイジメそうで怖いね。」
時政「こらっ!五郎、何て事を・・・ほら、讃岐ちゃんが、また泣いたじゃないか。」
五郎「ええ?ご、五郎のせいで泣いてるの?何で?」
義時「お前は!・・・まったく、いつもいつも余計な事ばかり言いやがって・・・」
五郎「?・・・ごめんね・・・義姉上。」
讃岐「いいえ、五郎さんのせいではないのよ。金剛と・・・仲良くしてくださいね。」
五郎「うん。仲良くする。だって五郎は金剛の叔父上だもん。」
金剛「ばぶばぶ・・・」
 
☆金剛君の登場が・・・セリフが「ばぶばぶ」だけで申し訳ありません。金剛君にとっても五郎にとっても、この日が讃岐局との別れの日になりましたが、勿論赤ちゃんの金剛君の記憶には残りません。五郎ちゃんには優しくて美しかった義姉の涙だけが思い出になりました。

 16   病葉(わくらば)
※北条泰時(鎌倉3代執権) ※時房(泰時の叔父) ※時盛(時房の長男) ※朝直(時房の四男で嫡男 時盛の異母弟) ※順子(時盛の姫で時房が溺愛する孫姫)
 
 
泰時「・・・叔父上、何か?何かおっしゃいましたか?え?」
時房「・・・順子・・・に・・・」
泰時「順子・・・順子姫ですか?え・・・っと、あれ?時盛殿、順子ちゃんは?」
時盛「・・・あの・・・来ておりません。」
泰時「ええっ!叔父上がこんなにお悪いのに?」
朝直「まったくですな。父上が一番に可愛がっておいでの孫姫なのに・・・ロクにお見舞いに来られないと
   は・・・なんて情の薄い・・・」
時盛「・・・申し訳ありません。」
時房「・・・いや・・・いい・・・」
泰時「え?・・・叔父上、いいって・・・順子ちゃんに会いたいんでしょう?私がチョット行って来ますよ。」
時房「・・・順子は・・・いいんだ・・・」
泰時「すぐに連れて来ますからね。待っててください。」
 
順子「ま!執権様・・・あの・・・」
泰時「どうしたんです?順子ちゃん、お祖父様がうわ言で・・・順子ちゃんの名前を呼んでいるよ。」
順子「お祖父様が・・・恐くて・・・」
泰時「ええっ?あんなにジジ馬鹿な叔父上と・・・な、何があったんです?」
順子「・・・うわ言で・・・私、聞いてしまいましたの。」
泰時「何をです?」
順子「御所のお命を頂く・・・と・・・」
泰時「・・・え?・・・御所?・・・それは・・・」
順子「執権様・・・そうなのでしょうか?三代様?・・・いえ二代様の事でしょうか?昔、お祖父様は・・・」
泰時「順子姫!」
順子「・・・申し訳ございません。私・・・余計な事を・・・」
泰時「ええ、余計な事ですよ。詮索はお止めなさい。」
順子「はい。」
泰時「他に・・・他にも聞いた人がいますか?」
順子「いいえ。私だけでした。」
泰時「では、その事を誰かに言いましたか?」
順子「いいえ!いいえ、誰にも・・・」
泰時「・・・解りました。それでも・・・それでも・・・気持ちが落ち着いたら、お祖父様をお見舞いください。」
順子「・・・は・・・い。」
 
泰時「叔父上、順子ちゃんはお風邪ですって。たいした事は無いようですよ。きっと・・・もうすぐ・・・」
時房「いや・・・いい・・・いいんだ・・・」
泰時「・・・」
時房「私が・・・死んだら・・・喪中だからって・・・順子の・・・嫁入りを・・・延期するな・・・よ」
泰時「叔父上ったら・・・順子ちゃんの花嫁姿を見なきゃ・・・」
時房「ふ・・・ん・・・見たく・・・ない・・・」
 
☆時房君のダークな部分は結構好きです。特に某御所暗殺事件では活躍したのではないかと・・・

 17   笑い話
※北条義時(鎌倉2代執権) ※泰時(後に3代執権) ※重時(泰時の異母弟) ※時房(義時の弟 幼名は五郎) ※方子(時房の長女)
 
重時「父上、本気ですか?時房叔父上の姫を一条家に嫁がせるというのは。」
義時「ああ、勿論本気・・・だけど?なんか不満でもあるのか?」
泰時「え?・・・重時、まさかお前・・・方子姫に懸想を?」
重時「そんな訳無いでしょ!」
義時「ああ・・・じゃあ、方子姫の出自の事を言ってるのか?まあ、確かに実母は遊女だけど・・・」
泰時「そんな事・・・大丈夫ですよ。産まれて直ぐに叔父上の正室に引き取られて・・・正室腹の姫として
   育ったんだし。」
義時「そうそう。それにナカナカの美人だし聡明な姫だから・・・」
重時「そんな事を言ってるんじゃありません!叔父上に妙な野心でも生まれたら、どーするんですか?」
義時「へ?・・・野心?」
泰時「叔父上に・・・野心?・・・って?」
重時「一条殿は頼朝公の妹君の御血筋でしょう?娘婿を将軍に、自分が執権に・・・とか・・・」
義時「ぶっ・・・ぶっはっはっは・・・五郎に!そんな野心・・・ひぃー・・・可笑しい!」
泰時「わっはっはっは・・・おっ、叔父上が謀反?きゃー・・・はっはっは・・・」
重時「何が可笑しいんですか?私は真剣に心配をしているんです。」
義時「はーっはっはっは・・・わっ、笑いが・・・止まらん!」
泰時「ははは・・・ははは・・・わっ、笑い過ぎて・・・お腹が痛いぃ〜・・・」
重時「でっ、でも・・・でも・・・」
義時「ぎゃーっはっはっは・・・」
泰時「はーっはっはっは・・・」
 
☆時房君には自分が執権に・・・なんて気持ちは欠片も無かったと信じています。いや、そーいう野心があったとしても・・・面白いですが。

 18   検索
※北条泰時(後に鎌倉3代執権 2代執権義時の子) ※北条時房(政子&義時の弟 つまり泰時の叔父で初代連署)
 
泰時「叔父上っ、ねえねえっ、いーもん見せてあげる。ふふふ・・・」
時房「え?また絵草子か?グラビアは誰かなぁ・・・」
泰時「ちっ、違うよぉ。私はソンナの興味ありません。ほらっ、コレ。」
時房「何だ?・・・薄っぺらい・・・箱?・・・うわっ!開いた!光った!ええっ?」
泰時「水色の狸に貰ったんだ。」
時房「水色?・・・ああ、去年と同じヤツ?」
泰時「ええっと・・・いや、去年のとは声も違うし・・・キャラも全然違っていたような・・・」
時房「ふうん・・・どーやって遊ぶんだ?」
泰時「ほうじょうときまさ・・・ほらっ、こうしてココを押すと・・・1550件・・・これが人気のバロメーターとか
    いうモンらしい・・・」
時房「ばろめえたぁ?ふうん、政子姉ちゃんは?」
泰時「ほらっ、3960件。わあ〜・・・凄いね。どれどれ、父上は・・・あ、1060件。」
時房「はっはっは・・・少ないね。泰時も出してよ。」
泰時「えぇ・・・チョット恥ずかしいなぁ・・・でもワクワク・・・うっ・・・1030件・・・」
時房「ぶっ・・・はっはっは・・・兄上に負けてるじゃないか。はっはっは・・・」
泰時「ウルサイ!もうっ・・・ええ・・・っと、ほうじょうときふさ・・・171件・・・」
時房「・・・へ?・・・え?・・・う・・・・」
泰時「・・・ま・・・まあ・・・叔父上・・・そんなに落ち込まないで・・・」
時房「放っておいてくれ!どーせ・・・どーせ・・・俺なんかぁ〜・・・・」
泰時「い・・・いやっ、叔父上っ、きっと重時より上ですよぉ。ほら・・・あっ202件・・・」
時房「がっがぁーん!重時にも・・・負けた・・・」
泰時「い・・・いや・・・いやっ・・・朝時よりは・・・きっと・・・あ、ほらっ!朝時は58件ですって。だから・・・」
時房「朝時に勝っても嬉しくない!ふんっ!こんなモノ・・・」
泰時「ああっ!叔父上っ、壊さないでよぉ。私が貰ったんですからね。も・・・帰ります。」
時房「ふんっ!忌々しい水色狸なんか!今度会ったら捕まえて狸汁にしてやる!」
 
☆最近読んだ人物叢書の「大江広元」によると、北条時政を初代執権と呼ぶのにはチョット無理があるかも?また連署というのも広元が最初という説が書いてありました。しかし制度としての連署はヤッパリ時房君が初代かな?まあ、どっちでもいいっかぁ・・・
水色狸との最初の出会いは、そのうち書きたいです。

 19   水色狸
※北条泰時(鎌倉2代執権義時の子で後に3代執権) ※北条時房(義時の弟で泰時と歳の近い叔父) ※二階堂冬子(時房の最初の正室)
 
  時房「誕生日、おめでとう。ほら・・・これ、ぷれぜんとだ。」
  泰時「ぷれぜんと?な、なんか気味が悪いなぁ。いらないよぉ。」
  時房「何だよ!その態度は。冬子さんが持って行ってって言うからさ・・・」
  泰時「あ、冬子さんがね。ナルホド。冬子さんって良い人だね。」
  時房「えへへ。そりゃ、優しくて大人しくて可愛くってさぁ・・・でへへへ・・・」
  泰時「叔父上、言ってて恥ずかしく無い?顔が緩み過ぎだよ。」
  時房「悪かったな!ほら、これでイッパイ飲もう。」
  泰時「うん・・・何かなぁ・・・ぎゃー!!!」
  時房「ひっ!ひぇ〜?」
水色狸「コンニチハ、僕ド●えもん・・・あれ?」
  泰時「・・・おっ、叔父上・・・冬子さんって・・・変わった趣味?こ、これを・・・食べるの?」
  時房「ちっ・・・違う!小鯛だって言ってたのに。!な、何で狸?」
水色狸「違ぁ〜う。僕は狸じゃ無い」
  泰時「しゃ、喋った!狸が!」
  時房「ホ、ホントだ!喋った!狸が!」
水色狸「狸じゃ無いったらぁ!!!」
  泰時「う〜・・・ん、どー見ても狸だけど・・・でも、水色だし・・・喋るし・・・」
  時房「どー見ても小鯛じゃ無い・・・」
  泰時「た、食べてみる?」
  時房「お腹を壊すかも・・・小鯛じゃ無いから・・・」
  泰時「そーだね、それに・・・調理するのが・・・恐ろしいかも・・・」
  時房「小鯛が食べたい・・・」
  泰時「とりあえず・・・飼ってみようかなぁ・・・」
水色狸「僕はペットじゃ無い!出る所をまちがえたんだ。あのぉ、此処は何処ですか?」
  泰時「鎌倉・・・だけど・・・」
  時房「水色狸は何処から来たんだ?」
水色狸「狸じゃ無い!僕は二十ニ世紀から来たんだ。」
  泰時「二十二・・・せいき?二階堂の所領?」
  時房「だから!冬子さんはコンナ妙なモン入れてないよ!おいっ、小鯛は?冬子さんの小鯛は?」
  泰時「叔父上、そーいう問題じゃ・・・」
水色狸「古代へ行かなきゃ!のび太君が古代で緊急事態なのに。ブツブツ・・・これだから安物の機械
     は。よし、もう一度。」
  泰時「え?ええっ?!!!き、消えた?」
  時房「ひぇっ?!・・・な、何で?・・・あっ、あった!小鯛があった。良かったぁ。」
  泰時「叔父上・・・今のは・・・」
  時房「さあ、食べながらイッパイ飲もう。」
  泰時「あの・・・叔父上・・・水色狸・・・」
  時房「気にしない、気にしない。さあ、飲むぞぉ。」
  泰時「・・・え・・・でも・・・そ、そうですね。深く考えない事に・・・しよう。疲れてるのかも・・・」
 
☆古代の緊急の事態・・・小鯛の?建久の?辞退?・・・苦しい!苦し過ぎる!私には駄洒落の才能が無いのよぉ。ごめんなさい。師匠・・・

 20   幻の母
※源義経(源頼朝の弟) ※常盤(義経の母) ※一条(一条大蔵卿 常盤の現在の夫) ※能子(平清盛と常盤の間に生まれた姫) ※昌子(花山院家正室 清盛の姫で絵がお上手なお方だったそうです)
 
義経「・・・はっ・・・母上ぇ〜・・・御久し振りで御座います・・・」
常盤「まあっ・・・大きくなって。父上に似て美男とは言い難いお顔ですが・・・」
義経「うっ・・・母上こそ。もっと美しいお方だと憶えておりましたのに・・・」
常盤「美しい?そぉ〜んな訳無いでしょ。美しかったら白拍子になっていたわよぉ。」
義経「そうでした。母上は雑仕女でしたね。」
常盤「そうよぉ。貧乏な家の娘は美人なら白拍子、不細工なら雑仕女って相場が決まってるのよぉ。」
義経「それで・・・よく父上のお眼に止まりましたね。」
常盤「まあ、あの頃は若かったし・・・ちょっとしたハズミでね・・・ふふふ・・・」
義経「よく・・・清盛様とも・・・あの・・・」
常盤「酔っていらっしゃったのよぉ。」
義経「そうなんですか?あの・・・一条様とは仲がよろしいようで・・・」
一条「はあ、これも成り行きというか・・・諦めの境地でござるよ。はっはっは・・・」
常盤「この世はケセラセラ・・・ですもの。ほっほっほ・・・」
義経「そうだ。妹の能子は何処ですか?」
一条「あの姫は・・・能円殿にお預けしていたんですけれども、今は花山院家に引き取られています。」
常盤「清盛様のご長女の花山家北の方様が異母妹を憐れんで引き取ってくださったのに・・・まさか・・
    花山院の殿と能子がデキちゃうなんて・・・お気の毒だこと。」
義経「ええっ?デ、デキッ・・・母上?そんなアッケラカンと・・・」
常盤「ホントにケセラセラだわぁ・・・ほっほっほ・・・」
義経「・・・な・・・なんか・・・違う・・・」
常盤「え?何が?・・・」
 
義経が誰よりも美しいと思っていた母のイメージが脆くも崩れ去った日の出来事です。
大河では能子さんは清盛夫人の弟の時忠さんに引き取られましたが、能円さんも時子さんに信頼されていた異父兄?だし名前からしても能円の養女だったのかな・・・って感じです。花山院の側室になったのは壇ノ浦の後だという説もありますが都落ちの前に、とっくに適齢期だったと思いますし、そーいうお話にしてみました。



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