ショート・ショート


 1   月落烏鳴
※煌如星(皇帝のお気に入り 皇帝の命で妻を娶ったばかり) ※皇帝(如星という名前は皇帝が授けた 星の如き瞳という意味) ※英華(侯爵で陛下をお守りする忠義な軍人 密かに如星が惚れている?)
 
皇帝「新婚生活は、どうかな?」
如星「おかげを持ちまして・・・平安に過ごしております。」
皇帝「世が選んだ評判の美人は気に入ったようだな。」
如星「はい、感謝致します。」
皇帝「ほっほっほ・・・もう・・・1ヶ月か。そろそろ第二夫人を選んでやらんとな。」
如星「と、とんでもございません。私のような若輩に妻は一人で・・・」
皇帝「世は第一夫人を娶った次の日に第二夫人を娶ったぞ。13歳の時であった。」
如星「は・・・皇上は子孫繁栄の為でございますから・・・」
皇帝「今度は金持ちの娘か家柄の良い娘か・・・どちらが良いかな。」
如星「は・・・どちらも私のような軽輩には勿体無いと・・・」
皇帝「では、料理の上手い娘とか・・・そうだ、うんと年上の熟女も面白いぞ。」
如星「・・・あの・・・」
英華「恐れながら皇上に申し上げます。如星同様、私にも良き妻を・・・」
皇帝「おお、そうであったな。そなた・・・まだ独身か。」
英華「はい。」
皇帝「家柄も位も申し分無いし・・・公主を取らせよう。」
英華「公主様を?私に?ありがとうございます。」
皇帝「もう直ぐ産まれるからな。」
英華「は?」
皇帝「いや、公主達は、それぞれ既に縁組が決まっておるし・・・大丈夫、子供は毎年増えているし。」
英華「は・・・あ・・・有難き幸せにございます。」
 
如星「すいません、英華殿。」
英華「え?」
如星「私に助け舟を出してくださったんですね。それが、こんな事に・・・」
英華「公主様を賜るなんて嬉しい事だ。」
如星「でも・・・今からお生れになるとすると・・・あと10年以上も・・・」
英華「気にしない、気にしない。」
 
☆公主というのは皇女の事です。酒池肉林・・・いえ、一夫多妻の皇帝ですから子供は70人ぐらいいたかも・・・凄い!なんか有り難味が薄れるような・・・
藤田先生の漫画の中では英華は数年後に幼児の公主と婚約しますが、産まれる前ってのが面白そうだったので、そーいう事にしてみました。
タイトルに意味はありません。私が知っている漢詩?なので、なんとなく。

 2   隊服
※土方(新選組副長) ※近藤(新選組局長) ※芹澤(新選組局長) ※新見(芹澤派) ※藤堂、永倉、井上、沖田(近藤派) ※弁慶(来年の大河でマツケンこと松平健さんが演じます エンディングでは金色の着流し姿で歌って踊る・・・筈は無いですね)
 
土方「・・・という訳で隊服を作る事になった。候補は3つ、まずは近藤局長の御新造のアイディアで・・・」
藤堂「ひえっ?!近藤局長の・・・って、まさか・・・」
土方「予想通りのコレだ。上下黒一色で、背中に髑髏のマーク。」
井上「・・・や、やっぱり・・・ユニークさで勝負ですね?」
土方「2つ目は芹澤局長のアイディアで・・・これだ。」
永倉「うわあっ!!金だ!金色の着流し・・・すぱんこぉる?・・・こ、これは・・・酷い・・・」
新見「何処が酷いんだ?永倉君。この衣装は弁慶愛用の由緒正しき衣装だぞ。」
芹澤「その通り。弁慶といえば忠義者の家来の代名詞だ。」
新見「まったく、新選組の隊服に相応しいですな。」
藤堂「・・・でも重そうだし・・・」
永倉「・・・動き難そうだし・・・」
井上「・・・チョット派手すぎるような・・・」
沖田「ハッキリ言って嫌です。」
土方「そして、ジャジャーン!3つ目が俺がデザインした浅黄色にだんだら模様の羽織♪どうだ?」
藤堂「ほっ・・・あ、まあまあですね。」
永倉「なるほど。だんだら模様は忠臣蔵ですからね・・・」
沖田「いいんじゃないですか。これに決めましょうよ。」
芹澤「勝手にしろ!私は金色の着流しを着る!田舎侍みたいな羽織は真っ平御免だ!」
 
沖田「ねえねえ、永倉さん。」
永倉「うん?」
沖田「髑髏マークと金色の衣装の後で出て来たから、あの時はこの羽織がマトモに見えたけど・・・」
藤堂「・・・だよなぁ・・・こうやって着てみると、これもカナリ恥ずかしいぞ。」
井上「私も・・・この歳でこの色を着るのは・・・恥ずかしいですぅ。」
沖田「芹澤さん、案外似合ってますね。」
永倉「妙に人気を集めてるしな。」
藤堂「オバサン達にウケテますね。」
井上「あ、芹澤局長が腰を振って踊り出した。」
永倉「オバサン達がキャーキャー煩いな。」
沖田「・・・俺も金色にすれば良かった・・・かな?」
 
☆マツケンサンバの衣装は素晴らしいですね。佐藤浩市さん扮する芹澤局長なら、きっと着こなせるでしょう。

 3   義経キャスト
※北条時房(北条政子の弟) ※北条泰時(鎌倉3代執権 時房の甥) ※北条政子(源頼朝夫人 時房の姉) ※北条時政(政子や時房の父) ※北条宗時(政子の兄)
 
時房「泰時殿、発表になりましたよ。「義経」のキャストが。」
泰時「私には関係ありませんよ。」
時房「俺だって関係無いけどさ・・・でも面白そうだよ。ほら。」
泰時「えー・・・っと主役の義経はタッキーかぁ。こんなにカッコ良かったんですか?」
時房「全然・・・いや、よく覚えて無いけどさ。まあ、主役だから仕方が無いよ。あ、弁慶はマツケンだ。」
泰時「それより北条一族は?」
時房「北条一族は・・・父ちゃんが小林念侍。」
時政「ワシは、もっと貫禄があるぞ!マツケンの方が相応しい!エンディングは金色衣装で踊ってやる。」
時房「いや、大河はエンディングは無いし・・・政子ねーちゃんが財前直美だって・・・正統派美人だね。」
政子「文句ある?!」
時房「い、いえ、別に。」
政子「でも、出来れば高島礼子さんに演じて欲しかったわね。やっぱり色気がなくっちゃ。」
時房「・・・えっと、宗時にーちゃんが姫野恵二?」
泰時「誰?」
時房「ほら、この人。」
泰時「うわっ・・・この髭面で出るのかな?」
時房「・・・まさか。」
泰時「ねえねえ、次は?父上は?」
時房「・・・あ・・・無い・・・」
泰時「へっ?無い!北条一族は3人だけなの?」
時房「そうらしい・・・な。」
泰時「なぁ〜んだ。詰まんない。見るの止めようかな・・・」
時房「静御前は石原さとみチャンかぁ・・・」
泰時「興味無い。」
時房「へえ、義経の幼馴染に上戸彩ちゃん・・・」
泰時「ホ、ホント?見る、見る、見ますぅ。」
 
☆多分、義時にーちゃんは登場すると・・・期待したいです。

 4   中の丸様
※徳川家光(徳川3代将軍) ※孝子(家光の御台所 最初から上手く行かなくて中の丸へ別居) ※鷹司信平(孝子の歳の離れた異母弟) ※紀伊大納言(徳川頼宣 家康の子で家光の叔父) ※松姫(紀伊家の姫)
 
孝子「ま、お久し振りでございますこと。上様が中の丸へいらっしゃるなんて・・・雪でも降るのかしら。」
家光「・・・うっ・・・イキナリそんな・・・イヤミな言い方は・・・」
孝子「私の事など、とうの昔にお忘れになったと思いましたのに。」
家光「・・・いや、別居はしていても御台は御台。それなりに大切にしているつもり・・・なのだが・・・」
孝子「で?御用は?」
家光「お、叔父上の・・・紀伊大納言殿の姫が見初めたというのだ。信平を・・・あ、いや、信平殿を。」
孝子「見初めた?まっ!ハシタナイ!!!江戸の娘は慎みってモノがないのかしら。」
家光「いや、お、大人しい姫なんだが・・・あ、それにナカナカの美人だぞ。西国の大大名との縁談が進ん
   でいたのに・・・ほら、この前の蹴鞠の時、あの時に信平殿の貴公子振りに一目惚れを・・・」
孝子「お断り申し上げます。」
家光「そんな・・・勿体無い。それに・・・ワシも叔父上には・・・チョット遠慮が・・・」
孝子「別に勿体無くなんかありませんわ。紀伊家の威光なんて私は恐くありませんし。」
家光「しかし、信平殿の将来の為には・・・」
孝子「嫌です。上様のお従妹なんて絶対にお断り!信平には、もっと可愛い優しい姫を私が選びます。
   そうだわ。やっぱり京から迎えましょう。公家は公家同士が一番。」
家光「しかし、松姫は・・・恋患いで食が細くなって・・・このままでは命にかかわると、叔父上が泣いておら
   れるんだ。そうだ、松姫を娶ったら加増しよう。5千石に加増するぞ。」
孝子「ま、信平を召抱えて頂く時には、新参者にイキナリ2千石は多いって渋っていらっしゃったのに。」
家光「紀伊家の姫を娶るからには5千石でも少ないくらいかな?いや、しかし持参金も多いだろうし・・・」
孝子「お断り申し上げます!」
家光「うっ・・・よし!じゃ7千石。これでどうだ?」
孝子「だから・・・さっきからお断り申し上げてるでしょ!」
家光「9千石・・・いや、9999石・・・」
孝子「シツコイわね!そーいう問題じゃ無いのよ!無神経!日本一の最低男!!!」
 
信平「へぇ〜・・・頭に来たって・・・その割りに姉上はご機嫌がよろしいようで・・・」
孝子「チョットね・・・上様を怒らせてみたかったのよ。縁談の事、貴方はどう思う?」
信平「私は、姉上のよろしいように・・・」
孝子「断れば2千石のままよ。」
信平「構いません。」
孝子「娶れば・・・尻に敷かれるわよ、きっと。」
信平「一向に構いません。」
孝子「優しいのねぇ・・・上様にも、そんな優しさがあったら・・・一言・・・孝子、頼むよっておっしゃれば
   良いのに。」
信平「何だ。そんな簡単な事ですか。ははは・・・上様も姉上も、可愛いですねぇ。」
 
☆御三家の奥方&姫君方は年賀とか花見の時は江戸城を訪れていたようです。それで松姫は信平さんに一目惚れしたんですね。確か吉良上野介も上杉家の富姫に一目惚れされたんです。それはともかく、結局、信平さんは松姫と結婚して松平を名乗り、殆ど分家扱いを受ける事になります。シンデレラ・ボーイですね。孝子さんは寂しい御台所でしたが、家光の死後は結構穏やかで幸せな人生を過ごしたでしょう。

 5   三の丸様
※桂昌院(家光の側室お玉の方 八百屋の娘だったとか 孝行息子が将軍になったので贅沢三昧、我儘三昧) ※綱吉(犬公方として悪名高い将軍) ※柳沢吉保(綱吉のお気に入りで小姓から大名へ大出世) ※戸田氏豊(大叔父の氏鉄は大垣10万石の藩祖 戸田一族は家康の継母の実家で親藩) ※永光院(家光の側室お万の方 家光の寵愛が深かった上に大奥総取り締まりだったので、お玉の方も頭が上がらなかった)
 
桂昌院「上様っ!上様っ!」
  綱吉「これは、母上様。ささっ・・・こちらにお座りくださいませ。」
桂昌院「まあ、上様は天下の将軍ではございませんか。私が上座など・・・勿体無い。」
  綱吉「いえいえ、将軍といえど人の子。母上様に孝養を尽くすのは当然でございます。」
桂昌院「おお、そうか。・・・では・・・」
  戸田「あの、上様。私はこれで・・・」
桂昌院「そなたは?」
  戸田「高家の戸田氏豊でございます。」
桂昌院「おお、高家か。丁度良い。上様、私は一位が欲しい。」
  綱吉「は・・・あ・・・」
  戸田「えっ!従一位をご所望されますか?」
桂昌院「十一位では無い!一位じゃ。」
  戸田「ですから・・・従一位・・・」
  綱吉「こ、これ、戸田。あの・・・母上様、それは・・・チョット・・・」
桂昌院「孝養を尽くすのは当然と申されたではございませんか。」
  戸田「恐れながら、一位は将軍の正夫人にのみお許し頂ける位階でございます。3代将軍のご愛妾の
     1人に過ぎぬ桂昌院様に、その資格はございません。」
桂昌院「無礼な!私は将軍の生母である。嫁の御台より身分が低いのは我慢がならぬ。上様・・・」
  綱吉「戸田、何とかならんか?金なら・・・」
  戸田「無理でございます。」
桂昌院「あっ!あっ!あっ!思い出した。戸田氏豊。そなた永光院・・・元お万の方の弟であろう。自分の
     姉が1人も子を産まないせいで寂しい暮らしをして・・・私が将軍の生母として華やかに時めいて
     いるのを恨んで・・・そんなイケズを言うのじゃな?」
  戸田「桂昌院様!何というお情け無いお言葉でございましょう。この戸田氏豊は確かに永光院の弟で
     六条家の庶子でございますが、武士として身を立てる道を望んで母方の大叔父、戸田氏鉄を
     後見に将軍家にお仕えして参りました。ですから、こうして戸田姓を名乗っております。その私が
     上様のご生母様にイケズで物を申していると思われましては・・・」
  綱吉「こ、これ、もうよい。戸田・・・解った。母上様、戸田氏鉄は家康公、秀忠公、家光公、3代の将軍
     に仕えた股肱の臣でございますれば・・・」
桂昌院「ふんっ!戸田氏豊、二度とそなたには頼まぬ。柳沢、そなたなら何とかしてくれようの?」
  柳沢「はっ!必ず桂昌院様のお望み通りに致します。お任せくださいませ。」
  戸田「柳沢殿!」
  綱吉「これ、吉保。そのように安請け合いをして・・・」
桂昌院「ほっほっほ・・・流石は柳沢。」
 
☆この話は忠臣蔵事件直後の出来事です。ま、関係無いけど。柳沢は桂昌院に朝廷から従一位を贈位される事に見事成功。2万石追加で11万二千三十石になりました。凄いですねぇ。因みに当時の大垣藩主は浅野内匠頭の従兄です。これも関係無いけど・・・
桂昌院は三の丸御殿に住んでいました。

 6   入内宣旨
※平重衡(清盛の末の息子 時子の子) ※時子(清盛の正室) ※盛子(清盛の庶子 幼くして摂政家へ嫁したが若くして未亡人となる 高倉帝の養育係というか遊び相手を務めて准三后の位にある高貴な女人 継母からも白川殿と呼ばれて敬われている) ※祐子(冷泉北の方 盛子の双子の妹) ※徳子(後に高倉帝の中宮 建礼門院) ※典子(時子の末姫 後に七条〔後の坊門家〕修理太夫の正室) 
 
重衡「お邪魔致します。おや、盛子姉上。お里帰りですか。」
時子「ま・・・やっぱり?・・・ほほほ・・・」
盛子「ほら、私の申し上げた通りでございましょう?母上様。」
重衡「え?何ですか?何が可笑しいんですか、母上。」
時子「我が平家では、息子達は六波羅、姫達は、この西八条と・・・離れて暮らしていますからね、双子の
   白川殿と冷泉北の方を見分ける兄弟は居ないでしょうと申し上げたら・・・」
盛子「私は、重衡殿なら見分けるでしょうと申し上げましたの。」
重衡「当たり前です。私は女人の鑑定には自信があるんですよ。鑑定団も顔負けの目利きです。」
時子「ま・・・目利きだなんて・・・それが武士の言う事でしょうか?困った子だわ。」
重衡「同じお顔でも盛子姉上は・・・そうですね、白百合の花。祐子姉上は、芙蓉の花のようですよ。」
盛子「まあ、恥ずかしい・・・あ、ところで重衡殿、私が里帰り致しましたのは徳様の入内が決まった事を
   知らせに参りましたのよ。」
重衡「は?・・・徳子?あの・・・入内は典子でしょう?」
盛子「いいえ、徳様ですわ。」
重衡「徳子は無理ですよぉ。美人でも無いし、取り得の無いヤツで・・・大体、六つも年上でしょう?」
時子「入道様は典子の成長を待つ・・・その・・・余裕が無いので多少無理をしても徳子を・・・と・・・」
盛子「まあ・・・徳様だって・・・もう少し修行をなされば・・・何とか・・・」
時子「とにかく、徳子を入内させる事に決まりましたからね。徳子は嬉しいでしょうが典子は・・・」
盛子「そうですわね。産まれた時から、いずれは入内と・・・」
時子「ええ、そのように言い聞かせて育てて来たのに、今更・・・何と言って慰めようかしら?」
盛子「それは・・・やはり女人の扱いの達人の重衡殿にお任せしてはいかがでしょう?」
重衡「え・・・ええっ?!嫌ですよぉ。」
時子「それは良い。白川殿の申される通りだわ。重衡、頼みましたよ。」
重衡「いや・・・典子は・・・幼い姫は守備範囲外です。私は・・・」
盛子「さあ、これで安心して徳様の入内の準備が出来ますわね。母上様。」
時子「ええ、忙しくなるわね。」
重衡「母上ぇ〜・・・姉上ぇ〜・・・困りますぅ〜・・・」
 
☆時子は良妻賢母の誉れ高い女性で、清盛は度々浮気はしましたが、決まった側室等は置かなかったようです。いや、単なる恐妻家?

 7   諸行無常
※祐子(平清盛の三女 冷泉家北の方) ※盛子(清盛の次女で盛子の双子の姉 近衛家の未亡人 准三后の位にあり白川殿と称される貴婦人) ※平教経(清盛の弟の子 後に壇ノ浦で壮絶な最期を飾る) ※徳子(清盛の正室腹の姫 高倉帝に入内した)
 
祐子「きゃあっ!!」
教経「驚かせて、ごめんなさい。お話が・・・話があるんです。」
祐子「え?・・・まあ、教経殿・・・」
教経「逃げてください。」
祐子「は?・・・」
教経「私と逃げてください。西国へ・・・いや、、いっそ宋へ渡りましょう。」
祐子「え?・・・ええっ?!」
教経「貴女と結ばれる為には・・・他に道は無いでしょう?どうか・・・」
祐子「えーっと・・・」
教経「白川殿!・・・いや、盛子・・・」
祐子「ちょっと・・・抱き付かないでよ!わ、私は・・・人違いですぅ・・・」
教経「・・・へ?・・・人・・・違い?あっ・・・まさか・・・」
祐子「祐子です。もうっ・・・あー、ビックリした。」
教経「・・・あ・・・あのっ、冷泉の北の方?・・・何で御所にいらっしゃるんですか?」
祐子「ああ・・・それで間違えたのね。妹の、徳様のご機嫌伺いよ。」
教経「そうですか。あっ・・・いや、今のはチョット・・・冗談で・・・」
祐子「冗談?・・・駆け落ちを・・・」
教経「だっ・・・だから、冗談ですよぉ。嫌だなぁ・・・ははは・・・」
祐子「・・・いいわ。まあ、そーいう事にしておきましょ。」
教経「あ・・・ありがとうございます。恩に着ますよ。」
祐子「盛様はご病気で御所には、いらっしゃらないわ。」
教経「ええっ?ご病気だったんですか?盛子は・・・白川殿は何処がお悪いんです?」
祐子「・・・風邪を引かれただけよ。」
教経「そうですか。」
祐子「盛様をお訪ねして、余計な事をおっしゃらないように。」
教経「えっ・・・はい。言いませんよ。」
祐子「盛様の代りに私が駆け落ちしてあげましょうか?」
教経「なっ、突然何をおっしゃるんですか?冗談キツイですよぉ。あ、では・・・失礼致します。」
祐子「・・・ふうっ・・・本気で言ったのに・・・」
 
☆白川殿は11歳で未亡人になったので、おそらく清らかな美しい人だったと思います。平家の滅亡より前に若くしてお亡くなりになりました。冷泉の少将は清盛の姫を妻にしながら高倉帝の想い人の小督と関係したり、大変な浮気者だったようで、祐子も不幸な結婚生活を送っていたようです。しかし平家滅亡後も冷泉家は栄えたようです。

 8   新旧 大河ドラマ
※北条時房(北条政子の弟) ※北条泰時(北条政子の弟の義時の長男)
 
泰時「こんにちはぁ〜。叔父上・・・」
時房「うっ、うっ、グスン・・・」
泰時「え?何で泣いて・・・なぁ〜んだ。〔新選組〕の総集編を見てるのか。」
時房「山南さんの最後は何度でも泣けるなぁ・・・」
泰時「それより、ほらっ♪〔テレビナビ〕買って来ましたよぉ。」
時房「ああ、そう。」
泰時「ねえねえ、ほら、御台様。」
時房「・・・えーっと・・・男勝りで・・・」
泰時「うん、うん、その通り。」
時房「影で夫の成功をリード・・・」
泰時「え?・・・そーだった?」
時房「人をひきつける義経の魅力に警戒する・・・」
泰時「ええっ?・・・」
時房「ま・・・まあ、ドラマだから・・・」
泰時「そうですね。ドラマですものね。」
時房「ま、どーでもいいや。」
泰時「あ〜あ、〔テレビナビ〕でも父上の出番は無しかぁ。情けないなぁ・・・」
時房「それより〔スタジオパーク〕見ようよ。再放送だけどさ、ゲストが山本耕史さんだよ。」
泰時「叔父上・・・もう〔新選組〕は忘れたら?」
時房「ヤダ!〔新選組〕は不滅だ!早くDVDを買いたいなぁ。」
泰時「ねえっ、それよりコレ、常盤御前も平時子も色っぽいねぇ。」
時房「興味無い。」
泰時「ちぇっ!ツマンナイ!」
 
☆いよいよ始まりますね。大河ドラマ「義経」。いつか・・・いつか、きっと泰時君が主役の大河が見たいです。

 9   鎌倉の春
※北条時房(執権義時の弟 幼名五郎) ※政子(源頼朝の未亡人で義時、時房の姉) ※義時(鎌倉2代執権) ※方子〔まさこ〕(時房の長女 頼朝の妹の孫〔京の公家で一条頼氏〕との結婚が決まった)
 
時房「失礼します。尼御台様、執権様。方子を連れて参りました。」
方子「失礼致します。」
義時「ああ・・・よく来たな。おっ・・・おお・・・」
政子「いらっしゃい、方子ちゃん。まあ、暫く見ないうちに・・・綺麗になったわねぇ。」
義時「本当に。五郎の姫は、こんなに綺麗だったか?いや、驚いたな。」
時房「方子は昔から美人でしたよ。女の子は父親に似ると決まっていますからね。」
義時「ははは・・・相変わらずの親バカだな。」
政子「嫁に出すのが惜しくなったりしない?」
時房「勿論、惜しいですよ。」
義時「おっ、おいっ!今更そんな事を・・・」
時房「冗談ですよ、兄上。」
義時「そ、そうか。そうだよな。」
政子「どう?方子ちゃん。お支度の方は進んでる?」
方子「はい。義母上様が色々と・・・」
政子「まあ、継母に任せっきりは良くないわ。あの嫁は趣味が悪いしケチだし平気で継子イジメをするん
   ですからねぇ。五郎ちゃん、私が検分に参りますからね。お支度に手を抜いたら許しませんよ。」
時房「えっ・・・」
義時「大変だな・・・五郎。」
政子「義時!何か言った?」
義時「いえ・・・別に・・・」
 
☆当時、嫁入り支度って何を用意したんでしょうね。お道具よりも所領付きの方が喜ばれたかも知れません。

 10   鎌倉の初夏
※北条時房(北条政子と義時の弟 幼名五郎) ※義時(鎌倉2代執権) ※政子(源頼朝の未亡人) ※時盛(時房の長男で佐介家の祖となる)
 
義時「五郎!チョット来い!尼御台の部屋だ。」
時房「あ、はぁい。」
 
時房「何ですか?」
政子「五郎ちゃん、時盛の結婚が決まったんですって?」
時房「ああ、その事ですか。はい、それは・・・その・・・」
義時「俺に断りも無く決めるな!」
時房「あの・・・でも・・・」
政子「そうよ。五郎ちゃんらしくもない。私にまで・・・一言の相談も無いなんて。」
時房「申し訳ございません。」
義時「何処の姫だ?」
時房「名前を言っても・・・ご存知無いですよ。」
義時「御家人の姫じゃ無いのか?」
時房「昔は貧乏ながらも御家人の端くれだったそうですが・・・幼い時に父親を亡くして、いつの間にか
   土地も無くしてしまったとかで・・・今は兄が足利の郎党をして一家を支えているそうです・・・」
義時「郎党の?・・・妹?・・・却下!話にならん!」
時房「兄上っ!娘達は兄上や尼御台様の為に・・・政略結婚でも何でもさせます。でも・・・でも、息子
   は・・・一人くらいは好きな女と結婚させてやりたいんです。」
政子「ま・・・まあっ!好きな女・・・大恋愛なのね。」
時房「はい。それはもう・・・この3年間、私は反対し続けて・・・時には酷く叱ったり、外出禁止にした
   り・・・しかし、時盛の気持ちが変わらなかったので・・・」
政子「まあ・・・まあ・・・そうよね。時盛は五郎ちゃんと違って、誠実で・・・優しい子ですものね。ああっ、解
   るわぁ。反対されるほど恋って燃え上がるものなのよねぇ。私もそうだったわ。」
義時「いや、しかし・・・好きなら・・・別に側室として・・・」
政子「まっ!なんて事を言うの?義時!時盛の純愛の邪魔をするの?アンタは!馬に蹴られて死んで
   おしまい!」
義時「酷い!姉上だって、さっきまで怒っていたじゃありませんか。」
政子「さっきまではね。気が変わったわ。」
義時「うっ・・・うー・・・」
政子「五郎ちゃん、おめでとう。可愛い甥の幸せな結婚が決まって嬉しいわ。」
時房「ありがとうございます。あの、兄上・・・」
政子「いいのよ。私が許したんですもの。義時の事なんて放って置きましょ。」
 
☆大恋愛、純愛という言葉に弱い政子さんでした。現代に生きていらっしゃったら必ず「冬ソナ」に嵌ったでしょう。



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