「うみねこのなく頃に」
PC用同人ソフト/07th Expansion

[同人PCソフト]うみねこのなく頃に [第1話〜第4話] [同人PCソフト]うみねこのなく頃に散 Twilight of the golden witch[第5話〜第8話]<特典:ポストカード付き> [同人PCソフト]うみねこのなく頃に翼 これまでの贈り物、全部。詰め合わせ [同人PCソフト]黄金夢想曲 うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~ 特典 Amazon.co.jpオリジナル「魔女からのレターセット」、真実のペン(赤・青)2本セット付き うみねこのなく頃に散 真実と幻想の夜想曲(通常版)



■目次
お知らせ / EP1ファーストプレイメモ / EP2ファーストプレイメモ / EP3ファーストプレイメモ / EP4ファーストプレイメモ /
EP5ファーストプレイメモ / EP5考察「魔女狩りの宴」概略 / EP6ファーストプレイメモ / EP6考察「魔女狩りの宴」概略 /
EP7頒布前考察 / EP7ファーストプレイメモ / EP7考察 / EP8ファーストプレイメモ / トップページへ戻る

  


■EP6当時の「魔女狩りの宴」概略
 EP6当時の「魔女狩りの宴」概略紹介です。

【第27夜】……EP6考察・ベアトリーチェを生み出した人物と、心象風景の描写を読み解く
・「ベアトリーチェは紗音の真意と願望が形作った幻想」という仮説は正解に近いはずである。
・戦人が何者かに女性の好みを語るシーン。相手は会話の中に名が出てくる朱志香ではなく、話の内容からして朱志香の性格をよく知っている人物だ。それは紗音である可能性が極めて高い。紗音が好きだった戦人は、照れ隠しで嘘をついたものと考えられる。
・雛のベアトリーチェが口にした「お母様」という言葉は、血縁者という意味ではない。彼女を生み出した人物という意味である。雛のベアトリーチェが戦人を「お父様」と呼んでいたことも同様。彼の存在なくしてベアトリーチェは誕生しないためだ。
・紗音と戦人は相手に思いを伝えてはいなかったが、相思相愛の仲だった。
・紗音は譲治からの告白によって戦人への恋を諦めた。それが決定的になるのは譲治からのプロポーズと結婚指輪の受領である。
・結婚と指輪はEP6の核となっている。戦人とヱリカの結婚式において、指輪の交換は「拘束」と「支配」という文脈で描かれている。本来は幸せであるべき結婚式が、呪いと拘束の儀式であったことは注目に値する。物語の根底にいるマスター・紗音にとって、「譲治との結婚は二度と後戻りのできない拘束」という意味合いになってしまうからである。
・ベアトリーチェは他ならぬ戦人に碑文を解いてもらいたかったのではないか。右代宮家の当主となった戦人が、六軒島で紗音と共に毎日を過ごすことに繋がるためだ。根底にあるのは純粋な恋慕の情である。
・客室から脱出しようとした戦人は、指を魔女らしき気配に食いちぎられてしまう。――それは「左手の薬指」である。恋愛や結婚と深い繋がりを持つ指が食いちぎられるという描写は、物語の根底にいる人物が彼に特別な感情を抱いているからこそ行われるものである。指に残された歯形は、果たすことができない恋愛への執着(未練)と解釈することができる。

【第28夜】……EP6考察・客室の謎とゲストハウスからの嘉音脱出
・未知の人物やヱリカ自身、第一の晩で殺された五人が救出者である可能性は、すべて赤字で切り捨てられている。第一の晩で誤認殺人や犠牲者と嘉音の入れ替わりを疑っても、解法には結びつかない。
・ゲストハウスのいとこ部屋で血を流して倒れた嘉音は、救出者ではあり得ない。いとこ部屋は赤字で密室であることが保証されているためである。
・よって「嘉音は隣部屋にいた」と考える他はない。ヱリカが嘉音の脱出トリックに答えを示せなかったのは、「いとこ部屋にいた嘉音」に考えを限定したためである。
・隣部屋にいた秀吉、譲治、紗音、熊沢、南條のうちの誰かが「救出者・嘉音」だったことになる。EP6でその可能性を示唆された人物は紗音しかいない。彼女は「紗音」「紗代」「嘉音」という三つの名を持っていたのではないか。
・EP4で金蔵が「異なる複数の名前を持つ人物は存在しない」という復唱要求に応じられなかったのは、ここに関連づけられるのではないか。論点は仮名(二つめの名)を持つ福音の家の使用人たちではなく、紗音と嘉音にあったことになる。
・嘉音の正体が紗音だった場合、過去のゲーム盤をどう解釈すべきか。EP1〜4において戦人は何度も二人に会って言葉を交わしているため、決してちゃちな変装などではあり得ない。(探偵は主観を偽ることができず、戦人が二人を誤認し続けていたという解釈には無理がある)
・私の元に「紗音は二重人格であり、客室で異なる人格に変わったのではないか」という声が届いたのだが、それではEP6の嘉音消失を説明できても、過去のEPにおける探偵の主観を説明できない。別の解釈が必要である。
・「ゲーム盤において、紗音と嘉音が同時に存在できるルールがあった」と考える。

【第29夜】……EP6考察・嘉音の正体T――二つの人格と決闘の意義
・ゲームマスターは嘉音を一定のルールに基づいて描写している。
・仮説1――嘉音はゲーム盤上に存在しない。魔法と同じく、あたかも存在するかのように描写されていただけである。しかしこの仮説は「嘉音は客室に存在しない」という赤字こそ成立させられるが、他に辻褄が合わなくなる箇所が多すぎる。
・仮説2――嘉音はゲーム盤上に存在するが、一定の条件で消滅するというルールがある。
・EP6には「本来は一つの存在だったものが二つに分かれた」という表現、要素がいくつも登場している。割れた黄金蝶のブローチ、ゼパルとフルフル、異なる人格を持ったベアトリーチェ、一つの家具であった紗音と嘉音。過去の考察で言及したように、片翼の鷲も同様である。
・紗音の心が戦人と譲治の間で揺れ動いていたなら、彼女の魂は二つに引き裂かれていたことになる。その片割れが嘉音となった。
・嘉音が朱志香を求めていたのは、「朱志香の心が戦人に向かないようにするために生み出された駒」だったからではないか。第27夜の仮説が合っていれば、戦人から「好みのタイプは朱志香」と教えられた紗音は打ちのめされ、朱志香の心が彼に向くことを恐れたはずである。
・小柄で貧弱な嘉音の特徴は、戦人と正反対である。これは「いかに朱志香の心を戦人から遠ざけるか」という観点で眺められる。ゲーム盤において「朱志香の好みは嘉音」というルールがあるなら、正反対の特徴を持つ戦人に惹かれることはなくなるからだ。
・これらはゲームマスターである紗音の創作であり、事実(現実世界)とは異なる可能性がある。
・極論すれば、戦人に恋人がいないことや、戦人の初恋の相手が紗音だったという描写さえ、彼女の願望に基づく描写だった可能性がある。(この場合、朱志香が好みタイプという戦人の発言は真実だったことになる)
・ゲーム盤は、戦人と恋仲になるというもう一つの理想を描くために作られたものではないか。
・盤上で紗音と戦人が一度も結ばれていないのは当然。紗音は戦人への恋心をすべてベアトリーチェに託したためである。
・紗音は譲治を選び、戦人への恋心を捨て去ったのだろう。ゼパルとフルフルの試練が紗音の勝利で終わるのはそのためである。即ちあの決闘は恋の葛藤と決断――心理描写の一環と見るのが妥当である。
・メタ世界での決闘が終わった直後にいとこ部屋の嘉音が倒れたのは、紗音が戦人への想いと決別したことを象徴しているのではないか。戦人と朱志香の仲を遠ざける必要がなくなるためである。嘉音が客室の戦人を救うまで存在し続けられたのは、「彼の窮地を救うことが恋をした紗音の最後の役割だったため」ではないか。すべてが終わった時、嘉音という存在は消滅する。後に残るのは戦人への恋心を捨て去った紗音だけとなり、「客室に、嘉音は存在しない」という赤字が成立することになる。
・紗音が嘉音を名乗れたのは、彼が紗音自身から生み出された存在だったためであり、ゲーム盤においてその観念がルール化されていたためではないか。

【第30夜】……EP6考察・嘉音の正体U――鏡映しの二人
・「………まさか、……あの短気な姉さんが、……撃たないなんてね…。」「私も意外だった。……あの慎重な嘉音くんが、……振り向きざまなんてね。」恋の試練において、紗音と嘉音が普段と正反対の特徴を口にしていたことには意味がある。
・不満を包み隠さず口にする嘉音の性格は、常に控えめで本音を表に出さない紗音と正反対だ。「嘉音は紗音の心から生み出された存在」という仮説を重ねれば、嘉音の悪態は抑圧された紗音の本心と言える。
・嘉音は代弁者だっただけでなく、紗音の不満を受け止める最大の理解者であり、六軒島における救いだった。
・それと全く同じ構図がEP4に登場している。架空世界に多数の友達を生み出していた真里亞である。彼女は満たされない現実から逃れ、自分と愛すべき母の存在を守るために、幸福な魔法世界を構築していた。
・紗音と真里亞は、不満を表に出さず、誰も傷つけることなく毎日を過ごしていた点が共通している。
・真里亞にとっての救いだったさくたろうのように、嘉音は紗音の「優しい魔法」で生み出された存在だったのではないか。それは六年間の勤務に耐えながら、戦人との約束が果たされる日を待ち続けるための手段だったのかもしれない。
・以上により、「嘉音は朱志香の心が戦人に向かないようにするために生み出された駒」という第29夜の解釈とは別に、「彼の本質は紗音が六軒島で心穏やかに過ごすための魔法だった」という解釈が可能となる。
・「僕は、姉さんがここを辞めることがあった時。自分も辞めると決めていました」という嘉音の言葉は、「紗音がいなければ存在できない=表裏一体の存在」という事実を暗示したものである。
・嘉音と朱志香の恋愛は、「戦人の恋愛が上手くいかなければいい」という棘のある紗音の願望を、誰も傷つけることなく叶える手段である。紗音は譲治と。朱志香は嘉音と。そして戦人はベアトリーチェと結ばれて、誰もが幸せになれる世界。それこそが紗音の望みだったのだろう。
・嘉音が朱志香に想いを告げられずにいたことは、密かに心を寄せた戦人に想いを告げることなく長い別れの時を過ごした紗音自身の姿ではなかったか。
・盤上において、命を失った嘉音の死体が必ず消えてしまうのは、彼が現実世界には存在しない架空の人物だからだろう。すべてのEPで探偵が彼の死体を目撃できないのは、この真相に基づいたルールだと考えられる。
・性格、願望、秘めた本心、そして「女と男」という性別の逆転。紗音と嘉音は鏡合わせになった表裏一体の人物だ。これと同じ観念を持つのが、TIPSにおいて「性別が異なる」と明記されたゼパルとフルフルである。恋の悪魔の由来と特徴は、いずれも紗音と嘉音を暗示している。

【第31夜】……EP6考察・ヱリカの断末魔と二つの仮説
・エピローグのヱリカは、駒ではなく一人の人間として戦人たちに相対している。
・両者の赤字をどう解釈すべきか。
・仮説1――彼女が受け入れようとした真実とは、「自分自身がすでに死んでいたこと」である。「概念否定の毒が全身を駆け巡る」という一文はその暗示か(偽書作家たちがヱリカの奇跡的な漂着を執筆するための「裏付け」として、現地の伝承が選ばれた。魔女伝説の成立、およびゲーム盤における仮説の構築と同じ構図である)。この仮説の問題点は、ヱリカが六軒島に漂着することなく、あるいは漂着と同時に死亡した場合、EP6のゲーム盤が成立しなくなることである。
・仮説2――盤上やメタ世界で何度も戦人たちと顔を合わせているヱリカが、「初めまして、こんにちは!」と赤字で述べることができるのは現実世界のみである。よって最後の対決はゲーム盤の外を舞台にしたやりとりと解釈できる。ここまでの考察をすべて重ねれば、嘉音は現実世界に存在する人物ではない。よって「17人だ」というのは駒の数ではなく「現実世界には十七人しかいない」という意味になる。ヱリカが赤字で十八人と宣言できたのは、それが「彼女にとっての真実」だったためか。
・最後の対決の主題は「現実世界における嘉音の存在」だったのではないか。
・ベルンカステルはヱリカという駒を盤上から取り除いた。彼女の代わりに登場する刺客は「魔術師狩りのライト」だと思われる。

■概略紹介終了
「電撃マ王」に連載した「魔女狩りの宴」概略紹介は以上です。
 実際の記事は論拠や思考の経緯などをもっと詳しく書いているのですが、ここでは概略の紹介のみにとどめます。
 なお、EP1からEP4までの記事は単行本「最終考察 うみねこのなく頃に Witch-hunting for the Episode 1-4」に再録されています。
 EP4までの連続殺人事件の推理なども同書にて。

indexへ戻る / 上部メニューに戻る