「うみねこのなく頃に」
PC用同人ソフト/07th Expansion

[同人PCソフト]うみねこのなく頃に [第1話〜第4話] [同人PCソフト]うみねこのなく頃に散 Twilight of the golden witch[第5話〜第8話]<特典:ポストカード付き> [同人PCソフト]うみねこのなく頃に翼 これまでの贈り物、全部。詰め合わせ [同人PCソフト]黄金夢想曲 うみねこのなく頃に ~魔女と推理の輪舞曲~ 特典 Amazon.co.jpオリジナル「魔女からのレターセット」、真実のペン(赤・青)2本セット付き うみねこのなく頃に散 真実と幻想の夜想曲(通常版)



■目次
お知らせ / EP1ファーストプレイメモ / EP2ファーストプレイメモ / EP3ファーストプレイメモ / EP4ファーストプレイメモ /
EP5ファーストプレイメモ / EP5考察「魔女狩りの宴」概略 / EP6ファーストプレイメモ / EP6考察「魔女狩りの宴」概略 /
EP7頒布前考察 / EP7ファーストプレイメモ / EP7考察 / EP8ファーストプレイメモ / トップページへ戻る

  


2007/01/09
■冬コミを終えて
 はい、そういうわけでEpisode2が頒布されたわけですが。

 ベアトリーチェがドS過ぎてヤバい。ヤバすぎる。
 戦人はいい感じに蹂躙されてて美味しかったですね。
 それどころじゃないですか。そうですか。
 ドMな皆様におかれましては、最近いかがお過ごしですか(ひどい

 メルマガで触れていた裏お茶会。竜騎士さんの制作日記にあったとおり、今回のディスクから隠しではなくなってましたね。ベルンカステルやラムダデルタからのヒントが公平に読まれるのはいいことだと思います。それにしてもラムダデルタ卿の超パーぶりに
(;´∀`)!
 となったのは私だけではないはず。
 だってほら、想定外じゃん。
(以下、ひぐらしのネタバレを含むため文字色反転。範囲選択すれば読めます)
 クールでちょっと猟奇趣味な大人の女性が出てくると思うじゃん。ラムダデルタなんだから。何がどうなってあんな姿になってしまったのか。
 あ、ぬいぐるみ好きだからか?
 ……実は少女趣味だったのか?

(反転終わり)
 とりとめもなくファーストプレイメモいってみよう。
 今回、ちょっと気になるシーンが多かった。鏡とか。

■Episode2ファーストプレイメモ(1)

■プロローグ……水族館
「有限の海」。しかし二人はそれに絶望していない。泳いでいるものが海と信じているならそれは海。完成された世界と信じられるなら、狭い井戸の底であってもそれは海。ひぐらしのそれとは違う観念を持っている。六軒島で生きる紗音の価値観として描かれるが、うみねこの「閉ざされた二日間」を暗示した可能性も高いと見る。

■レストラン〜海辺
 譲治の服に「TOMITAKE FLASH」の文字。模様じゃなかったのかっ(笑)。
 曇天。これは不吉の予兆と見るべきだろう。そこに青空を見ていた二人の世界。運命はどう転がっていくのか。
「想う力には魔法が宿る」……ひぐらしと同じ要素が登場。しかし紗音は「本当の魔法があった」という。信じていたのは真里亞だけではないのか?

■鎮守の祠
 エデンにいる限り、毎日は合わせ鏡のよう。それを打ち破るために祠の鏡を叩き割る。魔女の甘言。「六軒島に閉じ込められた家具の私」福音の家によってその価値観を叩き込まれているのではないか? 合わせ鏡の呪いを打ち破るという魔術的行動。ベアトリーチェとの取り引き。

■OP Movie
 三拍子が気持ちいい。

■屋敷
 家具としての観念。嘉音もそうだが、それを変える代償は命という重いものになる。金蔵のいう「リスク」と非常に近い観念ではないだろうか。
 ……小此木食品(笑)?

■庭園
 絵羽の一家が借金を申し込むために本家へ来ている。それが許されるのは、利益を上げるための「攻めの借金」に限定される。
 譲治は場の空気を上手く和ませる術に長けている。

■屋敷
 嘉音は命じられた仕事を「汚らわしい仕事だよ。僕の魂なんて、とっくに汚れている」と吐き捨てる。その内容は何か? 紗音も詳しくは知らないようだが……。
 紗音の心に応えるかのようにベアトリーチェが現れる。キリストが説いた世界を構成する一なる元素、それは「愛」だという。いわく「千年を経ても」。魔女の寿命はベルンカステルらに類することになる。魔女は観念的な存在に違いない。作品および一連の殺人事件の根本には愛が絡む? 犯人の動機は愛なのか。確かに前作でそれを思わせる現場があった。
「そなたは今こそ人間なのだ」「その願望を叶えてやってもよい」「妾への礼を欠かさず、今日までよく尽くした」「目玉だってくり抜ける……だったか?」……ベアトリーチェの言葉は紗音の内面を鏡に映したかのようだ。紗音自身の心の声と読み解いても良い。落雷の影も紗音が見たものに過ぎない。よって魔女の実在は証明できていない。目玉というのは、紗音に視線でプレッシャーを与える夏妃。その目をえぐりたいという秘めた願望の表れ。
 ただし鏡を割れという具体的な指示はどういうことか。紗音は祠と鏡のいわれを知らなかったが、その存在は知っていた。閉鎖的な島と自分の境涯に嫌悪感があり、それを打ち破りたいという願望が「鎮守の祠を破壊する」という声に繋がったのか。
 鏡を割るとベアトリーチェの魔力が発揮できるようになるという。鏡合わせの破壊……ベアトリーチェは黄金の魔女にして、人間の心を映す「鏡の魔女」か? 封印の鏡が魔女と向き合って魔力を封じていると仮定する。そこで封印の鏡が破壊されれば、魔女の鏡が本来の対象を映し込むことだろう。鏡合わせの無限回廊は魔女の封印であり、繰り返される同じ毎日の隠喩。鎮守の祠における紗音の思考を考えればあり得る。非常に面白い。
 見合いの相手こそが譲治に最もふさわしく、紗音はすべてにおいて劣る。魔女の囁きもまた、紗音のコンプレックスの鏡合わせだ。絵羽から投げかけられた言葉が反映されている。――ここで絵羽の台詞がリフレインされているのが何よりの裏付け。
 しかし嘉音にも魔女は見えていた。これは……? 魔女の刻印、黄金の蝶。現実であることを示す……同時に魔術的なマーキングなのか。万が一ベアトリーチェが実在するならば後者の線もあり得る。

※黄金の蝶になって消えるベアトリーチェは香りによるトリックか。普段嗅いでいた特殊な香りが突然流れてくると、脳が一種の麻痺を起こすという消失トリック。当然ながら金蔵の酒、アブサンが怪しい。あの香りが立ち上ったときに白昼夢が表れるのではないか。ベアトリーチェの発言や刻印までがそうとは断言できない。魔女を演じる女性は、屋敷に実在するのではないか。そうすれば、怪奇現象の一部が香りによるトリックで説明できるということ。

■朱志香の私室
 恋人ができないと嘆く朱志香。Episode2は「恋愛感情の始まり」が重要な文脈となるだろう。

■薔薇庭園〜海辺
 魔女再び。恋の成就は本来あり得なかった可能性だという。ベアトリーチェはかけがえのないことを「自分の魔法によるもの」と主張している。その主張は錯覚なのか、事実なのか? 蝶のブローチは朱志香に譲られることになりそうだ。
 ……ベアトリーチェは実在する。超常現象は否定するが、魔女だけは信じてみよう。
 薔薇は永遠の愛の象徴だという。その庭園に囲まれた右代宮家は、なるほど、作品の鍵となるだろう「愛」に包まれていることになる。面白い。そこにあった一輪のしおれた薔薇は誰を意味するものか――死を目前にした金蔵という考えを固持したい。嵐で吹き飛ばされる花々は失われていく愛、事件とその裏側の隠喩か。
 魔女は初めて登場したとき、「紗音の恋を成就させることはできるが、見合いで結ばれた二人を引き裂く魔法は使えない」といった。仮にこの言葉が本当ならば、紗音と譲治を引き裂いたのは人間ということになる。前作における紗音の死は誰のせいか。魔女か、人か、それとも生死の錯覚トリックか?
 ベアトリーチェを知覚できるのは個人の素養による。紗音、嘉音は見ることができる。蔵臼と夏妃は魔法に最も縁遠い。金蔵も気の毒なほどに魔法の素養がない。「血」のせいであるという。ベアトリーチェを知覚できる人物は、右代宮家の血を引いていないのか。または右代宮家の血筋と魔女を知覚できる血筋とが交わった子(真里亞?)。……ならば前作で夏妃が銃口を向けたのは魔女ではない。そこには誰かがいたことになる。
 鏡の封印、ベアトリーチェに直接の関係はないらしいよ(shockだ!)。島で起きた昔の事件が元で溜まってしまった悪いものを、社が封じていた。その余波を魔女が受けていただけ。
 愛を知ることで家具は人間へと変わる。ブローチの行方は嘉音だった。ねずみ色の海を青という紗音。「愛がなければ視えない」
 魔女は本当に善意で愛を教えているのか? 復活のために生贄を増やしているだけではないのか? 甘言には棘があるものだ。
 金蔵は独学で魔術師の領域に到った人物。しかし実際はベアトリーチェの気まぐれで出会いと幸運が与えられたに過ぎない。実際に力を及ぼした魔術は、社の力を利用したベアトリーチェの束縛のみ。つまり魔女の復活を目論む金蔵の魔法は、一切が無意味。やはりそういうことか。

■薔薇庭園
 金蔵は背後のベアトリーチェに気づけない。「無駄よ、金蔵。……愛がなければ、視えない」ベアトリーチェがいっているのか。金蔵の想いは愛ではなく妄執に過ぎない?

■学校
 朱志香の恋と対照的に冷めている嘉音。
 ちょ、おい、このライヴは(笑)! ……分かった範囲で説明しよう! 朱志香の衣装は東方Project諸作の「霧雨魔理沙」。音楽はもじぴったんより「ふたりのもじぴったん」、東方永夜抄Stage6より「竹取飛翔〜Lunatic Princess」。画面に流れるコメントは「ニコニコ動画」。歌詞は「もじぴったん」「ひぐらしのなく頃に」他。抜けがあったら適宜脳内保管よろしく。……二次創作のパロディバージョンを元ネタにしている可能性もあるけど、よく分からないのでその辺も適宜よろしく。
 朱志香を通して、嘉音も外の世界を知る。紗音の価値観に近づいていく。井の中の蛙が外の世界を知る。それは幸福に違いないが、魔女にとっては甘やかな……。

■屋敷〜薔薇庭園
 朱志香と右代宮家の価値観の違い。
「憮然」は意味が変化したまま広まっている語なので、それが書き手の判断なら作中の用法を問題視する必要はないだろう。
 朱志香の言葉に惹かれながらも拒絶する嘉音。ベアトリーチェの狙いはやはり破綻する運命にある恋愛を楽しむことだった。……魔女の告白が真実であれば、だが。
 金蔵を嘲笑する目の前の魔女と、彼を憐れんでいた魔女の表情が結びつかない。どちらかが偽りだ。あるいは人間の心と同じく、複雑に入り組んだ感情なのか。
 ベアトリーチェが復活して姿を現せば、夏妃たちにも見えるのか?
 復活の予言。欲深な亡者によって呼び覚まされる→再臨→島の真の主としてすべてを支配する→黄金郷の扉が開かれる。

■屋敷
 欲の象徴に恋と黄金を持ち出した独白。どちらにも狂わない家具との三すくみ。まいた種は二つ。すでにまいておいた種が一つ。後者が気になるが、これは特にひねりなく紗音、嘉音、金蔵か。

2008/01/14
■朱志香のライヴ
 タレコミをいただきました(・ω・)b
 そこから情報を辿ってみたところ……おおう、サークル「Silver Forest」の東方アレンジ曲だったのね。歌詞も公開されています。
 ちなみにPARADOXを以前から訪問してくれてる方はご存じだと思いますが、私は東方Project大好きです。体験版があるので、シューティング初心者もぜひチャレンジを。面白さだけでなく楽曲の素晴らしさも保証します。名曲多すぎ。妖々夢のラストとかマジで泣く。
 公式サイト:上海アリス幻樂団

 閑話休題。
 ファーストプレイメモの続きをお届けします。

■Episode2ファーストプレイメモ(2)
■■■■■■1986年10月4日■■■■■■

■列車内〜ホーム
 ヒステリーを起こさなければ楼座と真里亞の関係は悪くない。真里亞は激怒する楼座を「悪い魔女に乗り移られた」という。ではベアトリーチェは真里亞にとって悪い魔女ではないということか?

■屋敷
 夏妃に「君には関係のないことだ」という蔵臼。夏妃は話しにくいのは仕事や遺産絡みだからだと分かっており、蔵臼は夏妃をねぎらっている。特におかしい関係ではない。前作で夏妃が蔵臼に絶望した会話とどこが違っているというのか? 夏妃の受け止め方次第で意味が変わるだけではないか?
「源次と南條先生は私たちの味方」――夏妃は手回しをして、金蔵と他の親族を会わせまいとしている。

■使用人控室
「今日は本当の意味で大切なお客様を迎える」という源次の発言。流れからすると親族ではなく魔女を指すのだろうか? それとも夏妃の手回しに絡む?

■空港
 譲治w
 一連のシークェンスはエピソード1を別の視点で描いたもの。
 ハロウィンでやってみたい仮装にベアトリーチェの名を挙げる真里亞。

■屋敷
 熊沢の昔話。六軒島は昔、小豆島(悪食島の訛り)と呼ばれていた。関わった人間の魂を食らう島の意。海難事故も多かった。

■会社
 留弗夫の会社の窮状。

■飛行機
 社員や戦人を路頭に迷わせるわけにはいかない。金蔵のすねをかじって遺産も狙う自分を「地獄行きだ」と嘲る留弗夫。前作の「今夜、殺されるだろうな」発言と関連は?

■金蔵の私室
 魔女の復活を賭けてルーレットを回すという金蔵。

■???
 ベアトリーチェと戦人、開戦の宣言。互いに苛み合う永遠の拷問が始まる。

■10:45……薔薇庭園
 真里亞がハロウィンのいわれを披露。魔女のサバト、収穫祭における精霊への感謝。顕界と異界の交流。楼座の逆上。

■屋敷〜楼座の部屋
 苦悩する楼座。

■薔薇庭園
 嘉音と真里亞の会話。真里亞は楼座を「その程度の器」と呼ぶ。魔女の存在を確信している。一緒に遊び、魔法の勉強をしている。六軒島の外で魔女と会っている……祠の破壊と時期は一致しているだろうか。

■客間
 遺産相続にそこまで強い執着がないのは楼座と霧江。楼座は真里亞に「いつまでもそこでそうしていなさい」といったことを気にして飛び出す。庭園で嘉音と話す真里亞にそんな様子は見られなかったが……。

■薔薇庭園
 ベアトリーチェ、衣装を変えて登場。楼座も魔女を視認できる。ジャック・オー・ランタンの菓子を、煉獄に落ちた六軒島に例えて語る魔女。真里亞と遊ぶ魔女の真意は何か? 恐らく、代償のない授与などあり得ない。
 真里亞が持っていた手紙、そして封印付きの手紙もベアトリーチェのものだった。彼女が実在するならそれも当然だろう。戦人の主張は崩れてしまうが……?

■玄関
 源次は魔女の来訪を知っており、三十年ぶりに出会う既知の仲。「あれの妻が、お前に嫉妬したことも懐かしい」誰のことか?
 霧江と魔女の出会い。……玄関ホールに飾られた肖像画が前作と違うが、これ自体に意味はないと思われる。全員が魔女を視認できるならば、復活を目前にして力が戻りつつあるのかもしれない。楼座、蔵臼との出会いが待たれる。

■金蔵の私室前
 酒の臭いに慣れている様子の源次と魔女。
 ベアトリーチェの手をドアの魔除けが焼く。これは魔女を退けるためではなく、保身のための魔除けだっのか。あるいは魔女がいうように、ルーレットの目が出るまで再会する必要がないという意味なのか。

2008/02/23
■Episode2ファーストプレイメモ(3)

■13:00……魔女の貴賓室
 魔女の姿はやはり全員に見えている。
 金蔵はベアトリーチェが利子を取り立てることをも儀式の一部とした。恋の成就に手を貸したのは、二人の破滅を楽しむため。であれば金蔵に手を貸したのも、訪れる破滅を楽しむためだろう。一族の滅亡を見たいのか。碑文の一節を口ずさむ魔女は、嘉音の死をも予言した。皆殺しの運命を確信しているようだ。
 碑文の内容は文字通り生贄の選択であり、それは魔女が気まぐれで決めて良い。それが儀式のルール。金蔵は碑文の謎について「あえて難しくした」と述べていたはずだ。この食い違いはどこに由来しているのか?
 屈服する嘉音。紗音は前作でやはり死亡していなかったのか? それとも第二の晩の生贄から外しただけで、第一の晩に選んだという裏切りか?

■客間
 昼寝する戦人。朱志香は「今回の親族会議の主賓ってだって自覚、全然ねぇなぁ?」という。なぜ戦人が主賓なのか? 6年ぶりに戻ったために遺産と絡んで主題になるためか。
「今は俺の番じゃねえ」……これは手番という意味か。今はまだ魔女の番であり、戦人は待っている立場。順番は守らなければならない。それがゲームのルールというもの。

■???
「此度は妾がそなたの手に合わせて駒を動かしたに過ぎん」前作の戦人の動きに重ねているようだ。エピソード1と2が重なり合っているのはそのためだろう。
 蝶として散った菓子を目撃した楼座。それをどう論破する? 些細なものとして切り捨てる戦人の論法を魔女は笑い飛ばす。すべてお見通しなのか。
 こう考えてみよう。「魔女は実在する。しかし事件は人為的に起こされたものである」

■客間
 見知らぬ客人について協議する大人たち。遺産問題が前提になっているが、魔女はそれを超越する存在。霧江の思考もこれでは役に立たないだろう。

■屋敷
 真里亞は毎年この島でベアトリーチェに会っていた。常時ではない。やはり島に限られる。
 ……魔女が真里亞と交流を持ったのは、やはり手駒にするという意味合いが強いのではないか? 純真な子供に魔法を教え、儀式を教え、信頼を得る。復活の儀式において非常に都合の良い手駒になるだろう。
 楼座は手紙を開封しようとして真里亞に止められる。

■18:00……子供部屋
 紗音を幸せにすると宣言する譲治。

■厨房
 家政婦は見過ぎ(笑)。
 嘉音と紗音の会話。黄金郷への扉が開かれる、という意味を昔から理解していた。揃って黄金郷へ招かれる確率は低い。13人が生贄になり、5人が生き残る。黄金郷で人間としての自分を取り戻す。確信的な嘉音の台詞。この人数の確定は何だ?

■金蔵の私室
 蔵臼の誘いを断る金蔵。南條とのチェス。「攻撃は最大の防御」を旨とするいつもの指し手とは逆で、固い防御に執着する。彼の心情を表しているのだろう。ついに本番を迎えた儀式において失敗は許されない。攻めが過ぎて隙を突かれることを恐れている。
 おお、カスパロフの名が。
 チェスのもう一つの目的は、親しい友と時間を過ごすこと。金蔵は南條に最後の別れを告げる。部屋のオートロックを解除するボタンは卓上にある。
 金蔵が部屋で守りを固めたのは、ルーレットに選ばれようともそれを弾き返して黄金郷まで生き延びるため。だから私室から出られない。……前作では「生贄に選ばれたときは部屋を出る」と述べていたはずだが……? 微妙な違い。

■貴賓室
「あなたなんて知らない」という紗音の言葉に憎悪の表情を見せる魔女。一瞬だけ悪意ある笑みを失う。存在を疑われることを嫌う魔女だが、それよりも深い部分で心を動かされたようだ。重要な箇所であると考える。魔女にはそういった過去があったのだろうか?
 永遠の輪廻、生贄を殺し続ける魔女。打ち破る条件は何か?
 抵抗は魔女を喜ばせる。存在しないものとして扱われることを魔女は嫌う。仮に全員が抵抗をやめたなら、その儀式はすでに余興ではない……。

■客間
 魔女の来訪が話題となり、中断される晩餐。誰かが招いたわけではない。

■22:00……子供部屋(ゲストハウス)
 悪魔の証明。南條は「ベアトリーチェという愛人がおり、大昔に亡くなった」と源次から聞かされている。

■屋敷
 譲治と紗代の結婚。

■屋敷
 紗音の結論。「恋を知ることは生への未練ではなく、生きる道の辿り着くべきところ」嘉音にそれを告げる。黄金郷へ行けるかどうかはもはやどちらでも良い。

■薔薇庭園
「誰かがこの儀式を打ち壊してみせるか? 誰が! どうやって!?」
 これはプロブレムではなく、対等なゲーム。魔女が負ける条件は碑文の謎を解かれること。黄金郷への扉を開くだけでなく、儀式を打ち破る鍵となっている。黄金のありかを暴いて見せろ。

■客間
 姿を現した魔女を全員が認める。

2008/03/26
■Episode2ファーストプレイメモ(4)

■■■■■■1986年10月5日■■■■■■

■6:00……金蔵の私室
 夜を生き延びた金蔵。「前回のような無様は晒さぬぞ」……儀式は以前にもあった?

■客間
「礼拝堂」というメモ。

■楼座の部屋
 源次の来訪。礼拝堂へ。

■礼拝堂
 屋敷と同時に建設された古い建物。金蔵にとって神聖な場所なのか、立ち入りは禁じられていた。
 礼拝堂の鍵は特別製で、マスターキーでは開かない。一本だけある専用の鍵がボックスから消えていた。「Happy Halloween for Maria」

■子供部屋(ゲストハウス)
 楼座が真里亞の持っていた封筒を開けると、そこに鍵があった。

■礼拝堂
 蔵臼、夏妃。留弗夫、霧江。秀吉、絵羽。6人の死体は胸から腹にかけて縦に裂かれている。ハロウィンの菓子が並んだテーブル。腹からあふれ出した菓子の山。
 死に様は手が込んでいるが、これ自体に不審な点はない。人間の手で可能なレベルだ。問題は唯一の鍵がずっと真里亞の手許にあったこと。……楼座は詳しく封筒を調べずに開封した。すでに真里亞が開封していた可能性もゼロではない。

■子供部屋(ゲストハウス)〜礼拝堂
 ……真里亞の様子からして、まだ未開封だったようだ。「それは黄金郷への招待状なのー!」確信的な声。子供たちが死体を確認する。

■???
 今回は顔を残してやったと魔女。大歓迎だ。むしろ推理が楽になる。検死のミスもどうぞ消していただきたい。

■礼拝堂
 テーブルに未開封の封筒とインゴットが3つ。

■6:43……屋敷〜貴賓室
 朱志香、嘉音、郷田が解錠を行って入室。魔女の姿はなく、手紙が一通。死んだ6人とその子供を嘲る内容。仮に楼座がここに踏み込んでいたら成立しない手紙だ。
 魔女は駒に含まれていなかったが、姿を持っているなら死亡する可能性もあるのではないか? 本当にベアトリーチェは生きているのか。

■屋敷〜朱志香の私室
 発作を起こした朱志香を解放する嘉音。

■廊下〜朱志香の私室
 ベアトリーチェに出会う嘉音。朱志香を第二の晩の生贄にするという。譲治と紗音ではなかったのか……?
 黄金の蝶の乱舞。朱志香の口や鼻からの侵入を狙うかのよう。正体を推理する初めてのヒントとなるか?
 山羊頭の従者。片翼の紋章がある。魔女のサバトか……。
 嘉音の抜いた赤い刃は何か? 人間以下の存在であることを象徴するものらしい。
「勘が戻らぬ事を、言い訳に呟いても良いぞ?」魔女は嘉音の過去を知っている?
 福音の家がますます怪しい。
 色欲のアスモデウスはこんな姿っすか。予想外だよ。ルシファーに期待せざるを得ない。
 山羊頭がポーンならばアスモデウスはより強力な駒。魔女の軍勢もチェスの隠喩なのか。
 刺された朱志香。嘉音を狙うのは憤怒のサタン。杭は被害者の「感情」に応じて選ばれる? 必ずか? 前作の犠牲者はそうではなかったように思えるが……確認が必要。仮に感情に対応するならやはり「鏡」を思わせる。
 ……この連続した金属音はヒントかもしれない。場にそぐわない、非常に奇妙な音だ。部屋中に響くキツツキのようなノック音。

■7:50(時間は二人の死より少し巻き戻る)……金蔵の私室
「6x9が42になる理由。それが人と宇宙の神秘の答え」これは? 愛というキーワードか?
 紗音に遺言状を筆記させる金蔵。魔女との出会いから語り始める。

■礼拝堂
 魔法陣に書かれた文字の意味。「主は私の枷を解かれました。私はあなたに感謝の生贄を捧げ、主の御名を呼ぶでしょう」……Happy Halloween for Mariaと併せると、「マリアが主」という意味になってしまいそうだが……? 譲治も同じ推理をする。神の名を冒涜する意図。
 礼拝堂の上方に刻まれた文字。「この扉は、奇跡が起きない限り開かれない。あなたは奇跡が起きない限り祝福されない」だからこそ開かずの礼拝堂となったのか。
「この扉」は礼拝堂の扉ではないだろう。黄金郷への扉だ。「あなた」が金蔵自身なのかは不明だが、礼拝堂の中こそ黄金郷であると見立てているように思われる。ただし黄金の隠し場所がこの中であるというストレートな可能性には疑問を抱かざるを得ない。
 金蔵が魔女との結婚を夢見て建設したという説は確かに説得力がある。
 ……エンディングが気になる。前作と同じく手紙に記された物語ならば、超常的なシーンは脚色であるとして切り捨てることが可能。魔女絡みの戦闘シーンがそうであれば、すべて人間の犯行で説明できるようになる。

■???
 真実はすべて赤字で語るという魔女。
「生死は捨て置く。6人は確かに扉から入った」
 妾はすべての犯行を魔法で行う……この台詞は赤字ではなかった。はっはっは。
「礼拝堂の鍵は一本しか存在しない」
「礼拝堂の施錠は礼拝堂の鍵以外では解錠不可能」言葉の重複があるが、意味は分かる。
「礼拝堂の扉は、施錠時にはいかなる方法での出入りも拒む」蝶番を外す古典的トリックは通じないという。
「6人は確かに“この正面扉”から入った」
 鍵を争点にする戦人。面白い。
「楼座は今朝、確かに真里亞の手提げの中から封筒を取り出し、そこから正真正銘の礼拝堂の鍵を手に入れたぞ」
「妾が真里亞に預けた封筒の中身は、確かに礼拝堂の鍵だった」
 楼座が開封するまで、封筒は真里亞の監視下に置かれていたか? →魔女は発言を拒否。
 真里亞の手提げは、楼座が封筒を取り出すまで誰も触れることができなかった? →魔女は発言を拒否。
「妾が真里亞に渡した封筒と、楼座が開封した封筒は同一のものであるぞ」
 封蝋はいくらでもやり直せるとして論破する戦人。入れ替えによる錯覚トリック。犯人を親族の誰かとは認めない戦人。ベアトリーチェがただの人間として存在するならば、彼女を犯人として決着してしまいそうだが……。
 ――やはり本作は錯覚トリックが基本となる。そこにどんなバリエーションを持ち込んだかが鍵となる。

■7:30……客間
 楼座は礼拝堂を汚された金蔵が怒り狂うと読んだが、そうではなかった。やはり礼拝堂に入ることそのものは大した禁忌ではない。
 階段を行く楼座の背中に留まる黄金の蝶。これも脚色ではないか? 犯人はベアトリーチェの存在を認識させたい人物。

■客間〜朱志香の私室
 朱志香の死体を発見。

■???
「マスターキーは使用人たちがそれぞれ持つ1本のみ」赤字の宣言。

■客間
 嘉音を疑う楼座。まっとうに考えれば、朱志香と嘉音を殺した犯人が、嘉音のマスターキーで施錠したというだけ。彼の死体はどこにあろうと同じこと。
 ……嘉音のマスターキーは朱志香が借りっぱなしだった? これだと密室が難しくなる。

■???
「隠し扉の類は一切ない。出入りはこの扉からだけだ」
「扉の施錠は朱志香の鍵が1本と、使用人たちが1本ずつ持つマスターキーのみ」
「窓は内側から施錠されている」
「嘉音はこの部屋で殺された」死体は魔法で消した、は当然白字である。
 嘉音の死体はこの部屋にある→復唱を拒否。魔法で消したためだというが……。
 最後の施錠はマスターキーによるものである→復唱を拒否。一番のポイントを消したか。
「施錠時にはいかなる方法をもってしても出入りはできぬ。部屋の外から鍵を使わずに施錠するようなからくりも通用せぬ」
 だが大佐。段ボール箱は色々もてあますぜ。それにしてもベアトリーチェはドSだけど親切な人だな。この空間においてはね。
 キーを一時的に奪って犯行に利用する説はだめなのか? 後は隙を見せる人物が誰かという話。肌身離さず持っていた、と確約できる人物ばかりではない。熊沢あたりは特に隙が多そうだ。サボっているときに鍵をどこかに置いてしまった可能性は?
 死体の消失は窓の外というシンプルな隠し方でどうか? ぶら下げてもいいし、投げ捨ててもいい。それとも複数犯なら階上から吊し上げてみるか?

■13:00……居間
 6人は毒殺と考える戦人・楼座。やはりそう来るか。
 朱志香殺しでは再び嘉音が疑われる。

■???
 証拠はおありかの? ってベアトリーチェあんた(笑)。

■厨房
 深手を負った嘉音が裏口に現れる。

■使用人室
 2人を襲ったのは楼座だと嘉音。すでに嘉音は死んでいるはず。これは誰だ?
 朗々と喋り出す嘉音。このシーンも脚色なのか。南條と熊沢が首を切られ死亡。紗音がボイラー室から持ってきた蜘蛛の巣を押し当てると、嘉音の身体は四散する。紗音に魔法的な知識があったのはベアトリーチェとの交流か?

■13:17……居間
 事情説明。楼座が熊沢と南條の死体を確認したがる。

■使用人室
 施錠していたはずの部屋から死体が消えていた。死体消失トリック?
 朱志香の服に入っていた嘉音のマスターキーは、南條が持っていた。よってこの密室は可能だというが……。

■???
使用人室本来の鍵は「使用人室の奥のキーボックスに収められているぞ。(複数あるが)そのすべてがキーボックスに収められている」
「出入りは唯一の扉と唯一の窓から以外は不可能。それらはいずれも施錠されていた。施錠時にはいかなる出入りも許さない」
「扉の解錠は使用人室の鍵とマスターキー以外では不可能」
「この部屋には、お前たち以外は存在しない。お前たちの定義とは、戦人、譲治、真里亞、楼座、源次、郷田、紗音のことを指す」
「(前略)朱志香の部屋の件、そしてこの使用人室の件の両方について、そなたが認識していた以外の人間は存在しない。誰も隠れていない」
「扉は鍵を使用せずに外から施錠する方法は存在しない」
「窓については外からはいかなる方法でも施錠する方法は存在しない」

■使用人室
 マスターキー5本が机上に揃う。……この中に偽物が含まれている可能性は? 鍵の真偽について赤字の記述は行われていない。
 楼座はマスターキーの複製を疑うが、それはベアトリーチェが赤字で否定している。

■18:00……厨房
 紗音が蜘蛛の巣を取ってきたのは、熊沢に聞いた昔話で悪霊がそれを恐れていたため。
 夏妃の霊鏡で身を守るべく、礼拝堂の死体から鍵を持ち出そうとする一行。源次は残る。
 一行を追おうとする黄金の蝶を投げナイフで仕留める源次。儀式を知っており、達観しており、華麗なナイフさばきを見せる男。彼は何者なのか?

■居間
 ベアトリーチェが敗北条件を晒しているリスクについて考える戦人。チェスは知的遊戯でありギャンブル的なリスクとは相容れない。
 楼座についての考察。彼女の暴言は過去の体験が反映されている。彼女が他の兄妹から浴びせられた言葉。年齢が離れており、立場もつらいものだった。楼座の心が言葉になって出てくる。よって真里亞の心は純粋。約束を守る。

■???
「妾は約束を守る」赤字の宣言。
 留弗夫は契約書を使ってあくどい稼ぎをしていた。魔女はそれについて「どこかで被った。だから覚えた」
 人間の心と言動、過去の体験。これら「鏡合わせ」の要素をリフレインしている。この作品のテーマに関わっているのかもしれない。
 ベアトリーチェは戦人が認めない限り儚い幻想に過ぎない。

■礼拝堂
 鍵の発見と黄金の蝶、ベアトリーチェの登場。

■夏妃の私室
 追ってくる魔女と6人の山羊頭。
 西洋の人っぽいベアトリーチェ様、たんすに小指をぶつけた経験がおありか?
 紗音の語る愛に激しい口調で異を唱える魔女。ベアトリーチェの内面には何があるのか。愛に失望した経験があるというのか。それは金蔵なのか……。

■21:00……屋敷
 屋敷を見回る源次。

■居間
 南條と熊沢の死体を発見した源次が報告に来る。

■中庭
 2人の死体を発見。杭が突き立てられている。

■夏妃の私室
 扉には赤い塗料が塗りたくられている。侵入の名残といいたいのか。施錠されていたため楼座の持つマスターキーで開ける。
 3人の死体。紗音の額を貫いていた杭が抜けていたのはなぜか? 傷口を見れば、熊沢と違って中まで深々と刺さっていた。
 楼座はマスターキーだけでなく、譲治が持っていた夏妃のキーも回収。再び密室となる。

■居間
 密室だったはずの部屋に封筒が出現。
 そういえば、楼座が預かった封筒はどこにあるんだ? 晩餐では披露されなかったはずだ。まだ持っている? そこに大切な何かが入っていた可能性は?
 仲間割れ。

■???
 夏妃の部屋もこれまでと同じ条件の完全密室。赤字の宣言。
「夏妃自身の鍵は譲治のポケットに入って、室内に閉じ込められていた」
「5本のマスターキーはすべて楼座が持っている」
「客間も同じ条件。本来の客間の鍵は使用人室に封印されている。マスターキー以
外で解錠は不可能」

■金蔵の私室
 部屋の時計によると22時(時計が合っていればだが)。
 ベアトリーチェが復活したら罪を謝りたい。しかし逃がさない、すべて自分のものにしたいという願い。罪とは魔女を封印したことか? 「逃がさない」という言葉を自分で否定する金蔵。
 ベアトリーチェは金蔵の言葉を待っていた。世界を構成する一なる元素。2人で指したチェスを再現し「愛している」と呟く金蔵。
 魔女にとっての裏切りとは、金蔵が愛情を歪ませ、魔法で束縛したことだろう。そんなことは望んでいなかった。紗音への罵詈雑言もやはり内面から出たのだろう。彼女はただ、金蔵から「愛している」と声をかけてもらえれば良かった。本来、2人は結ばれていたはずだ。その過ちがすべての発端であるならば……?
 非常に面白くなってきた。根幹が見える。かもしれない。

■23:30……食堂
 源次に誘われる戦人。

■金蔵の私室
 ベアトリーチェと30年ぶりのチェスを楽しむ金蔵。よかったね……(ほろり)。
 戦人は魔女からすべての答えを受け取り、屈服。

■2nd Game Result

■23:59……礼拝堂
 金塊を懐に入れる楼座。魔女の復活を待つ真里亞。

■金蔵の私室
 家具となった戦人。

■広間
 魔女の宴。金蔵、戦人が喰われていく。

■野外
 追われる楼座と真里亞。恐怖で泣く真里亞だが、魔女を慕う真里亞とは同一人物。

■■Purgatorio
 食人の宴。これも楼座の過去、その心を反映したものだ。
 再び宣戦布告する戦人。戦いは続く。
 まずは心を考察するに限る。家具という思想が共通する魔女と福音の家。これも重視。

■■裏ティーパーティ
 ラムダデルタ卿……思ったより何というかその……ふぁんしーなお召し物ですね……。
 ベアトリーチェの指し手には隙がある。ラムダデルタと違い、常に最善手を指しているわけではない。厄介なノイズであり、罠なのか試しているのかは分からないものの、付け入るチャンスはある。……つまりベアトリーチェは気まぐれなわけだね? 確かにそんな雰囲気はあった。
 あらゆる可能性を否定するな、魔女を否定せよ。
 にぱーって、ベルンカステル卿、久しいですねその台詞。
 ラムダデルタが評するに、ベアトリーチェは甘い。わざとチェックメイトしない。下らない駒を取る。余計な駒を置いてより一方的にする。遊びが過ぎて弱点を作り出している。
 色々な意味で超パーなラムダデルタ様。どう見ても最先端のアレです。本当にありがとうございました。
 楼座を虐げるベアトリーチェは、ただ指し手の復活を待って時間を潰しているだけ。……ベアトリーチェの言動をそのまま受け取るのはやはり危険だ。彼女にとってそれは遊びに過ぎない可能性がある。本質を見抜け。
 ……ベルンカステルとラムダデルタ、結構いいお友達みたいね……。

■■TIPS
 煉獄の七姉妹。間違いないのはドMが多いということ。ベアトリーチェとの相性は良さそうだ。
 ベアトリーチェはある種の様式美にこだわるため、目的と手段が入れ替わることがある。
 その他、人物ごとに魔法的な要素について記述されている。この世界に魔法は存在するのかどうか? 真里亞のエンチャンターとしての素養は菓子のシーンに対応か?

――――――――――――――――――――――
【プレイ後のメモ】

■鏡について
 ベアトリーチェが鏡映しの姿であるならば、この世界、六軒島も何かの鏡写しか?

 チェス盤をひっくり返してもまったく同じ手だったらどうなる。指し手がお互いに自分自身だったら? その棋譜は何を意味するものか。

 鏡の国のアリス。

 名前を鏡写しにするとどうなる?

 鏡を割った紗音は自分を変えた。魔女との戦いでも最後まで屈さなかった。これらも隠喩か。自分の悪いところを変えようとしない人物は、最後まで鏡の前に立っている。同じ事の繰り返し。そうでない人物は自分を変える。鏡を割る。つまりベアトリーチェを破壊できる。

 碑文との関連は?

■その他
 第二の晩に紗音を選ばなかったのは気まぐれな一手。

 エピローグの楼座と真里亞は、すべて楼座の願望が形になったシーンなのかもしれない。真里亞の台詞がそれを思わせる。


2008/04/26
▼「魔女狩りの宴」第1回:電撃マ王2008年2月号掲載(2007年12月27日発売)
電撃マ王」誌上に連載している考察企画「魔女狩りの宴」。その第1回分をサンプルとして公開します。
 なお、連載版とは文章が異なっています。
 実際に掲載されたのは、私が提出した原稿を編集部が全面的に書き直したものだったためです。
 ここで公開するのは、私が執筆した原稿そのままのバージョンとなります。
(2009年現在連載中の記事は、ほぼ私が書いた文章のまま掲載されるようになっています)

■推理のスタンスと方法論
 連続殺人幻想「うみねこのなく頃に」。六軒島で起こる惨劇、もう体験されただろうか。一見すると典型的な推理小説だ。犠牲者の血に染まっていく洋館、一体犯人は誰なのか?
 台風によって陸から隔絶された孤島は「クローズド・サークル」と呼ばれる舞台装置である。事件に介入する人物・手段が限られてくるため、読者も思考を集中して事件と向き合うことができる。
 しかしこの作品は公式サイトにおいて気がかりな紹介をされている。

「推理が可能であることを保証するものではありません」
「一体何人が最後まで、魔女の存在を否定して、“犯人人間説”を維持できるのか」

 ……つまり常識的な推理では解けず、「魔女の仕業である」と結論せざるを得ないような謎が待ち構えているに違いないのだ。推理小説の常識において「アンフェア」とされる要素が登場する可能性もある。全てとはいわないまでも、絶対に解けない謎が用意されていても不思議ではない。
 そうした条件下で「不可能を可能にする推理」をいくつ用意し、貫くことができるか――。主人公・右代宮戦人は、恐らくその名のとおり最後まで魔女に抵抗し、戦い続けるだろう。その意味でも彼は読者の分身である。

 では、実際にどうやって「うみねこ」と向き合えばいいのか。読者の数だけ方法論はあるだろう。以下はあくまでも私なりの取り組み方だ。
 真っ先に目が行くのは、作中に繰り返し登場した密室である。現場は明らかに他殺の様相を呈しており、しかし犯人が室内にいない。この不可能犯罪への興味は古くからあり、十九世紀初頭にフランスで起きた「ローズ・ドラクール事件」に端を発するといわれている。地上二十メートルもあるアパートの一室で起きた密室殺人(未解決)である。世の推理作家はこの実話に刺激を受け、密室を題材とした作品を次々に考案していったという。推理物の花形といっても過言ではないテーマだろう。
 しかし私は密室トリックだけに固執しない。もちろん仮説を用意する場合はあるが、よほどの理由がない限りそこを深く追求し続けることはない。理由は犯行の全体像を解き明かすのが先決だと考えているためだ。
 現在までに多くの作家が密室トリックを考案し、そのバリエーションは多岐にわたる。例えば機械的な仕組みで密室を構築するパターンだけを取り上げたとしても、数多くの仮説を延々と展開することになってしまうだろう。
 真相に近づくためには、それよりも事件全体を眺め、人物や状況の推理を行うことが重要だと考える。密室は数多く存在する謎の一つに過ぎないのだ。
「推理は可能か、不可能か」
 魔女の引き起こす不可能犯罪……それが六軒島大量殺人事件の表層である。解き明かせない謎を「魔女の仕業」として屈する者もいるだろう。しかしあらゆる登場人物を神の視点で眺めることができる我々読者には、最後までそれに抗う術が残されているのだ。
 これは魔女ベアトリーチェという幻想を打ち破るための宴である。

 

indexへ戻る / 上部メニューに戻る