第19回関東おとうさんコーラス大会 IN ぐんま

 2008年7月26日(土)猛暑の中、少々の暑さには負けぬ男たちの集い、第19回関東おとうさんコーラス大会が群馬県藤岡市で開催された。今回は、全日本合唱連盟関東支部に所属する茨城(2)、栃木(6)、群馬(6)、埼玉(11)、千葉(1)、神奈川(1)、山梨(4)、静岡(3)から計34団体が参加した(カッコ内の数字は参加団体数)。なお、残念ながら今回は新潟からの参加はなかったものの、最も参加団体数の多い大会となった。

 おとうさんコーラス大会は今年で19回目を迎えたが、そろそろ変わり目の時期に来ているようだ。発祥の地は(今はもうない)埼玉県川口市のサッポロビール埼玉工場講堂、1990年8月だったが、翌年の2回目にはすでに東京からの参加もあり、徐々に近隣にひろがっていった。その後、参加団体の増加に伴い、平成6年の第5回からは、埼玉県連の枠を関東支部主催までひろげ、はじめて埼玉以外で開催されたのが平成8年の第7回、小出郷文化会館だった。(この拙文の最後におとうさんコーラ大会の歴史を簡単にまとめておいた。ひょっとしたら、こうしてまとめてあるのは他では見られないことではないだろうか。)
 ところで、一般に関東といえば東京をはじめとする埼玉、神奈川、千葉、群馬、茨城、栃木の1都6県つまり7地方を指すはずだが、全日本合唱連盟では、なぜか関東支部は、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、山梨、静岡の9県からなっている。関東のど真ん中と思われる東京が入っていないのは、規模がでかいから別格扱いなのかどうかとにかく独立して支部となっている。歴史的な背景があってそうなったのであろうか。このあたりの一端は「渋滞は忘れたころにやってくる」(M-48にも紹介してあるので、ご参照あれ。ちなみに、今回は、新潟と神奈川をのぞく7県から33団体が参加した。

 会場は群馬県藤岡市の「みかぼみらい館」、第一部の男声合唱はホールで、第二部懇親会は隣接する芝生がみごとな「あかぎの広場」で行なわれた。
 出演順は、おとうさんコラース大会の伝統ともなった当日くじ引き方式。幕開けは、しじゅうから合唱団(群馬)の多田武彦作曲「十一月にふる雨」でスタート。二番手は男声合唱プロジェクトYARO会(埼玉)の仲間、男声あんさんぶる「ポパイ」。今回は北欧シリーズの一環から、W.Stenhammer作曲「Sverige」とJ.Sibelius作曲「venematoka 第40章より」を演奏。ポパイは今年9月に指揮者の大岩篤郎さんの還暦記念コンサートを予定しており、対数目盛りで実力上昇中、ステージの多さもかなりなもの。ポパイの団長関根盛純さんはYARO会事務局長も務めている。
 YARO会の仲間では、ほかにIl Campanile(イルカンパニーレ)が、多田武彦作曲組曲『藁科』より「めし」と同じく組曲『追憶の窓』より「雨後」を演奏し、相変わらず安定したハーモニーを響かせていた。ドン・キホーテ男声合唱団は、山田耕筰作曲「中国地方の子守唄」を、そしてYARO会最大の規模となったメンネルA.E.C.は、木下牧子作曲「鴎」を指揮者須田信夫さんの的確な指揮のもと、まとまりのある演奏を聴かせてくれた。
 私が所属する男声合唱団コール・グランツは、多田武彦作曲『海に寄せる歌』より「鴎どり」を演奏した。今回は直前に病気入院してしまった人、町内会のお祭りで出られない人などなど欠席者が多く、ベースが2人となってしまった。これでは低音が足りない。仕方なく当日朝、会場へ向かうバスの中で急きょバリトンからベースに転向してもらった人がいる。いくらなんでも本番直前になって歌ったことのないベースをいきなり歌えといわれても…と思うが、そこはグランツのユーティリティ・プレイヤーというかボランチというか、とにかくマルチプレイヤーの森下智晴さんだけはある。午後の本番までにはなんとか歌えるようになってしまった。

  
     
男声合唱団コール・グランツ

 そんな苦労をしている人がいるかと思うと、かたやすっかり本番を忘れて自宅でくつろいでいた人もいた。その人は、方角が違うのでみんなとは行動を別にして、自家用車で直接会場へ行くことになっていたが、いつまで経っても現れないので、ケータイに連絡すると、まだ自宅にいるとのこと。今から出て来たって間に合うわけもない、ということで諦た。そんなこんなで、舞台裏は混乱していたが、それぞれパートの核になる人がいて、何とか全体としてはまとめられたのではないだろうか。演奏の出来栄えは満足できるものではないが、グランツらしい良い演奏だったとの評価をしてくれた人もいた。録音を聴いてみると、縦の線が不揃いの箇所があったり、ぴったりとハモらなかったりといろいろあるが、まあ、一歩一歩こうやって積み上げてゆくしかないでしょう。
 今回の大会では久し振りにバーバーショップハーモニーが会場に流れた。唯一神奈川から参加した洋光台メンネルコールがバーバーショップの名曲「アイリッシュ ブレッスィング」と「サウンド セレブレーション」を演奏し、やんやの喝采を受けていた。この合唱団は、今年6月にアメリカのヴォーカル・スペクトラム(2006年全米チャンピオンカルテット)を菅野哲男さんが日本へ招聘したとき、横浜でヴォーカル・スペクトラムのメンバーによる講習会を企画、開催するなどバーバーショップにも力を入れている。私と洋光台メンネルコールの副団長菅澤昭夫さんとは、講習会のご案内を頂いたとき以来のお付き合いとなっている。

         
             
洋光台メンネルコール

 第一部演奏会に続きお楽しみの第二部懇親会は、心配された雨も降らず、日ごろの行いの清らかさが証明された(?)と、時折遠くで鳴るカミナリを気にしながらも、あかぎの広場に思い思いに座り込み、まずは乾杯。飲めば歌が歌いたくなる。出てくるのはまずは男声合唱の定番。「いざ起て戦人よ」「柳河」「見上げてごらん夜の星を」「遥かな友に」「U BOJ」などなど、みなが一緒に歌えるように埼玉県合唱連盟が出版した「おとうさんコーラス愛唱曲集」から選んで、つぎつぎに歌われた。
 この曲集にない曲で近年いつも歌われるようになったのが、ベートーヴェンの『第九』から演奏番号“M”がある。これは第九の中のさわりにあたるような箇所で、混声全パートが揃って歌うところ。応援に駆けつけてくれる女声陣がいればこそ歌える曲だが、これには埼玉第九合唱団ご一行様が大いに寄与している。埼玉第九は男声陣有志がグリーナインスとして出演している。

 広場のそこかしこで、飲みかつ男声合唱を満喫する中、久し振りの再会を確認しあう光景などが展開され、合唱談義に大いに花を咲かせ、再会を約していた。来年(2009年)は千葉県での開催となるが、どのような大会になるか期待したい。



     《おとうさんコーラス大会の歴史》
□埼玉県連主催
 第1回  (10団体) サッポロビール川口工場講堂 (埼玉) 1990
 第2回  (11団体) 川越福祉センター (埼玉) 1991
 第3回  (12団体) サイサンKSビルホール (埼玉) 1992
 第4回  (14団体) サイサンKSビルホール (埼玉) 1993
■関東支部主催
 第5回  (20団体) サイサンKSビルホール (埼玉) 1994
 第6回  (23団体) 川越福祉センター (埼玉) 1995
 第7回  (27団体) 小出郷文化会館 (新潟) 1996
 第8回  (26団体) 大宮ソニックシティ小ホール&サイサンKSビルホール (埼玉) 1997
 第9回  (30団体) 日立シビックセンター (茨城) 1998
 第10回 (32団体) 所沢市民文化センター(埼玉) 1999
 第11回 (32団体) 都留市文化センター(山梨) 2000
 第12回 (31団体) 秩父ミューズパーク音楽堂 (埼玉) 2001
 第13回 (33団体) 小出郷文化会館 (新潟) 2002
 第14回 (29団体) 秩父ミューズパーク音楽堂 (埼玉) 2003
 第15回 (33団体) 浜名湖花博ガーデンパーク (静岡) 2004
 第16回 (33団体) 秩父ミューズパーク音楽堂 (埼玉) 2005
 第17回 (33団体) 白鴎大学東キャンパス白鴎ホール (栃木) 2006
 第18回 (28団体) 秩父ミューズパーク音楽堂 (埼玉) 2007
 第19回 (34団体) みかぼみらい館 (群馬) 2008
 第20回   ?    千葉県で開催予定 2009




関連情報 <音楽/合唱欄>
2005年8月     「第16回おとうさんコーラス大会M-62
2005年7月     「夏の秩父」(M-60
2004年8月
     「渋滞は忘れたころにやってくる」(M-48
2003年8月     「14回おとうさんコーラス大会 in 秩父」(M-33
2002年9月3日  「関東おとうさんコーラス発祥の地 サッポロビール埼玉工場閉鎖
音楽/合唱欄の下のほうにあります
2002年8月11日 「関東おとうさんコーラス大会 in 小出郷」
音楽/合唱欄の下のほうにあります
2002年3月
     秩父の山々に響け! 男声合唱」(M-2



M-78

加 藤 良 一 (2008年8月6日)