• 設計事務所の利点


    日本の住宅建設で、設計事務所が関与するのは全体の10%程度しか有りません。なぜでしょうか?
    これは一般に設計事務所に対して

    • 敷居が高い
    • 設計料が高い
    • 専門的で難しい

    などのイメージによるものだと思われます。しかし、本当にそうでしょうか?これは誤解であり、大変残念に思います。

    では、設計事務所に頼んだらどのようなメリットがあるでしょうか?
    そのメリットとは、おおよそ次の6つであると言えます。

    • 1.既製品ではなく自分だけのオリジナル
    • 2.建築主の代理人
    • 3.緊張感と信頼性
    • 4.柔軟性
    • 5.トータルコストの削減
    • 6.資金の有効活用

    では、「設計事務所に頼んだらどんなメリットあるの?」と思われた方に、具体的に私共(設計事務所)に頼んだ場合のメリットを、住宅を例に施工業者(工務店)やハウスメーカーに設計施工を依頼した場合と比較しながら、説明します。住宅以外の建築物でも、ほぼ同様のことが言えます。

    1.既製品ではなく自分だけのオリジナル
    まず、家を造るとなれば、「吹き抜けがある」「広くて明るいリビング」など自分なりのイメージがあると思います。私共なら、住む人の人柄・価値観など個性を感じさせ、生活スタイルに合わせ、自分なりのこだわりを反映させた自分仕様のオリジナル住宅を造ることができます。また、木造・鉄骨造・コンクリート造など様々な構造にも対応でき、材料・デザイン等の選択も自由にできます。

    一方、ハウスメーカーでも「フリープラン」「自由設計」などと言っていますが、そのほとんどは工場生産のパッケージ商品であるために、自由になるのはせいぜい間取りだけで、あとはオプション選択となり、構造・部材・デザインなど間取り以外は自由度の低いものとなっています。
    2.建築主の代理人
    誰でも家を造るときは、不安でいっぱいだと思います。ならば、ハウスメーカーなど設計と施工を同じところに頼んだ方が、煩わしくなく、安心できると思っていませんか?しかし、実際には営業・設計・見積・現場・修繕などそれぞれ担当者がいて、話の相手が多くなってしまうため、自分の要望がきちんと伝わっているのだろうか、誰に聞けばいいのか等、逆に不安になってしまうのではないかと思います。

    一方、私共に頼まれた場合は、最初の打ち合わせから建物の完成引き渡し、アフターケアも設計者一人と話をするだけで、設計者が建築主に代わって全ての仕事をコントロールし、まとめます。
    3.緊張感と信頼性
    私共、設計事務所は独立した第三者の立場で設計・監理を行います。しかしながら、私共は前記にあるように建築主の代理人であるわけですから、建築主の利益を守ることは当然のことです。近年、手抜き工事や施工能力不足による欠陥住宅が問題になっていますが、施工業者にとってプロである設計士のチェックが入るということは、工事中において適度な緊張感を伴い、手抜き工事の防止にもつながり、結果として欠陥住宅の防止となります。

    一方、ハウスメーカーなどに設計施工を依頼した場合でもプロの設計士が工事監理者としていることになってはいますが、ほとんどの場合は確認申請書の名目上であるといっても過言でないと思います。また、実際にいたとしても、誰から報酬を貰って仕事をしているかということを考えれば、必然と雇い主(施工業者)の利益を守ることが予想されます。言い換えれば、本来の工事監理者はいないと言えるのではないでしょうか。
    4.柔軟性
    変形敷地や狭小敷地でも、経験やテクニックを駆使して、その敷地に合わせて、建築主が満足できる建物を計画することができます。また、様々な問題にも調査して相談にあたります。

    一方、ハウスメーカーでも狭小敷地に対応した商品を販売していますが、メーカーの規格品をはめ込むことは、不合理であると言えるのではないでしょうか。
    5.トータルコストの削減
    設計事務所に頼むと設計監理費が掛かるため、ハウスメーカーなどに設計施工を依頼した場合より高くなると思っていませんか?しかし、見積の正確性・透明性と競争原理で、逆に安くなることがほとんどです。具体的には、設計監理費と工事費に分けることができます。

    設計監理費
    まず設計監理費ですが、確かに表面的には、余分に掛かり高く感じますが、これは、設計図面を作成することを本業としている私共の報酬であり、正確で透明性の高い見積をするには必要不可欠なものであると思います。また、これ自身も非常に透明性の高いものであると思います。

    一方、ハウスメーカーなどの見積書には、設計監理費の項目がなかったり、あっても非常に安く見積り、いかにも「サービスです。」をうたい文句にしていますが、実際は、どのメーカーも設計の仕事をして報酬を貰っている人がいて、それを工事費に分散したり、経費に紛れ込ませたりして建築主にわかりにくくしているだけです。これは、著しく透明性の低い見積書と言えます。

    工事費
    つぎに工事費についてですが、私共が、建築主のご要望をうかがい、作成した設計図面をもとに、複数の施工業者に見積依頼し、競争させます(競争入札)。その結果、より実際に近い価格(適正価格)が出てきます。さらに、各社の見積書を詳細にチェックすることにより、見積内容の信頼性・透明性が高くなり、ごまかしができなくなります。

    一方、ハウスメーカーなどに設計施工を依頼した場合、メーカー間の競争はありますが、各メーカーで仕様などが違い、真の意味での比較競争はできません。また、見積書も「どうせプロの設計士がチェックするわけでもなく、素人が見ても分からないだろう。」と思って書いたものでは、信頼性・透明性が低いと思われます。

    以上の結果、私共に設計監理費を支払ったとしても、それ以上のコスト削減効果が期待できるのです。
    6.資金の有効活用
    私共、設計事務所は、建築主と相談の上、無駄を省いてコスト配分の優先順位を付け、単に安いだけで
    なく、適材を適所に使うことにより、コストダウンします。これは、工務店に設計施工を依頼した場合にも当てはまります。

    一方、ハウスメーカーに設計施工を依頼した場合は、仕様・仕上げがほぼ固定され、コスト配分は均等で自由度がないため、なかなかコストダウンできません。

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