解答と解説

1.

イとウ

ちょっと難しいですね。まず、導線やコイルがつくる磁界の向きを求めましょう。
磁界が強いほうから弱いほうへ力がはたらきます。

参考ページ…電流のまわりの磁界 電流が磁界から受ける力


まっすぐな導線の場合、導線を中心に同心円状の磁界ができます。
それぞれの導線で、右ねじの法則を使って磁界の向きを求めます。
AもBも、そのまわりには上から見て時計回りに磁界ができていて、AとBの間の磁界はお互いに逆向きになっています。
逆向きの磁界はお互いに弱め合うので、AB間の磁界が弱くなります。
その結果、AとBは引き合いますね。


これも右ねじの法則を使って磁界の向きを求めると、Bは上から見て反時計回り、Aは上から見て時計回りの磁界になります。
AB間の磁界の向きはお互いに同じ向きなので、その部分の磁界を強め合い、AとBは反発し合います


コイルに流す電流の向きは同じですが、AB間の部分だけに注目すると電流の向きはお互いに逆向きに流れています。
AとB隣り合った部分の導線だけ見ると「イ」の場合と同じですね。AとBは反発し合います
※コイルを電磁石と見なして右手でN極が手前側になるか向こう側になるかを調べてもいいですね。
すると、A・Bは同じ向きに並んだ磁石と見なすことができ、N極どうし、S極どうしが近いので反発し合います
コイルが左右だけでなく、こちら側・向こう側にも動いてしまうときは、重なって引き合うでしょう。


コイルに流す電流の向きは逆ですが、AB間の部分だけに注目すると電流の向きはお互いに同じ向きに流れています。
AとB隣り合った部分の導線だけ見ると「ア」の場合と同じですね。AとBは引き合います
※ コイルを電磁石と見なして右手でN極が手前側になるか向こう側になるかを調べてもいいですね。
すると、A・Bはそれぞれ逆の向きに並んだ磁石と見なすことができ、N極とS極が近いので引き合います

2.

(1)カ
(2)A点…オ B点…ク
(3)ア
(4)半回転ごとにコイルに流れる電流の向きを変えるはたらき

モーターの原理の基本的な問題です。これはできるようにしておきましょう。

参考ページ…モーターの原理

(1)
磁石のつくる磁力線は磁石のN極からS極に向かいます。
A点に限らず、磁石のN極とS極の間の空間での、磁石による磁界の向きは、図では「左→右」です。
図2では「」の向きになります。
参考ページ…磁石の磁界

(2)
A点では電流はこちらから向こうへ(キ)、
B点では向こうからこちらへ(エ)流れています。
磁界の向き(カ)と電流の向き(キとエ)から、
フレミングの左手の法則を使って、磁界から
受ける力の向きを調べると、A点では下向き()、
B点では上向き()になります。
参考ページ…電流が磁界から受ける力

(3)
A点で下向き、B点で上向きの力を受けているので、コイルはの向きに回転します。

(4)
もし、ブラシと整流子がなかったら、コイルは半回転ごとに力を受ける向きが変わり、回転することができません。
ブラシと整流子のはたらきは、コイルを回し続けるために半回転ごとにコイルに流れる電流の向きを変えることです。 

3.

(1)ウ
(2)a
(3)e

(1)・(2)は電磁誘導の基本的な問題です。
まず、問題文をよく読み、どんなときに針がどちらに振れたのかを確認します。

参考ページ…電磁誘導

(1)
問題文より、S極を近づけたときに検流計の針は右に振れたことから、コイルの上端がS極になるように誘導電流が発生したときに針は右に振れる(電流は+端子から入った)ことがわかります。
コイルの上端がS極になる例をア〜ウからさがすと、の場合があてはまります。
ウのときは、N極が離れていくことを阻止しようと、コイルの上端はS極になるように誘導電流が流れますね。

(2)
誘導電流は、回路になっていないと発生しません。
+端子につながっていた導線をはずすと、そこで回路が開いてしまうので、この場合は誘導電流が発生しないということです。
電流が流れなければ、検流計の針も振れませんね(a…針は動かない)。

(3)
棒磁石を横に動かす場合でも、磁界の変化を阻止するようにコイルに誘導電流が流れます。
はじめ、N極が近づいてくるときはそれを阻止しようと、コイルの上端をN極にするように誘導電流を流します。
コイルの上端がS極のときに針が右に振れたので、この場合は左に振れますね。
棒磁石が通り過ぎてN極が離れていこうとすると、今度はそれを引きもどそうとしてコイルの上端がS極になるように誘導電流が流れます。
針はこのとき右に振れます。
針ははじめ左に振れ、中央にもどって、今度は右に振れること(e)になります。

※発生する誘導電流の向きが途中で変わりますが、コイルの上端の近くで磁石をくるくる回すと、誘導電流を連続的に取り出すことができます。
これが交流発電機の原理です。

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