無機物から有機物をつくり出す生産者も、それを消費する消費者も、そのからだは有機物でできています。
どんな生物も排せつし、いずれは死にますが、死がいやふんをまた無機物にもどしてくれる生物も存在します。
ここでは、そんな自然界のお掃除屋さんについて知っていきましょう。

土中の小動物

土中の小動物のはたらき

落ち葉や枯れた植物、動物の死がいなどを食べてふんとして排出
          ↓
もとの形を残さないほど小さく細かくなる
          ↓
分解者(菌類・細菌類)が利用しやすくなる(分解者のはたらきをたすける

落ち葉を食べる(草食性)…ダンゴムシ、ミミズ、トビムシ、ヤスデなど
小動物を食べる(肉食性)…ダニ、クモ、ムカデなど

※広い意味でこれらの小動物も「分解者」としてあつかうこともあります。

土中の小動物の採集

ツルグレン装置

土中の小動物の性質を利用して採集する装置です。
金網を通らない大きさのものはピンセットで採集しておきます。

土中の小動物の性質…光と乾燥をきらう

       電球を照らす
          ↓
小動物がにげて下のビーカーに落ちる

※エタノールは小動物を傷つけずに殺すためです。

分解者

分解者…有機物を無機物に分解する生物(菌類・細菌類

菌類  アオカビ、コウジカビ、シイタケ、コウボキンなど

菌類…カビ・キノコのなかま

からだのつくり…菌糸でできている
葉緑体を持たない→光合成をしない→落ち葉・動物の死がい・ふんなどから養分を吸収
胞子でふえる

細菌類  ニュウサンキン、ナットウキン、根粒菌など、種類が非常に多い

細菌類…「〜菌」や「バクテリア」とよばれる生物

単細胞で非常に小さい
葉緑体を持たない→光合成をしない→生物の死がいなどから養分を吸収
分裂でふえる

※菌類・細菌類についてはこちらでも紹介しています。
生物界で菌類・細菌類がどこに分類されるかは、各説ありますが、中学では植物のひとつと考えておいていいです。
参考…二界説と五界説

分解者のはたらき

生物の死がい・ふんなどの有機物・水中の有機物を吸収
              ↓
呼吸によって分解して、生きるためのエネルギーを得る
              ↓
有機物は二酸化炭素・水・窒素化合物などの無機物に分解される

分解者の呼吸
 有機物 + 酸素 → エネルギー + 二酸化炭素などの無機物

分解されてできた無機物は、また生産者(緑色植物)にとり入れられて利用されます。
呼吸は細胞の内呼吸のことです。こちらで思い出してください。

分解者のはたらきを調べる実験

2種類見てみましょう。
このほかに、二酸化炭素の有無を調べるのに石灰水のかわりにBTB溶液を使ったり、デンプンのりのかわりにブドウ糖溶液を使ったり、土を焼くかわりに煮沸する実験もありますが、

土の中の分解者が生きていれば有機物を分解して二酸化炭素を発生する という結果です。

デンプンを分解するか調べる 二酸化炭素を発生するか調べる
1.デンプンを入れた寒天培地を2個
 つくり、片方に土を、もう片方には
 焼いた土を入れる。
2.2〜3日してから、ヨウ素液
 加えてみる。
1.ポリエチレンの袋に土とうすいデンプンのりを
 入れ、空気でふくらませて暖かいところに置く。
 もうひとつのポリエチレンの袋には焼いた土と
 うすいデンプンのりを入れて同じように置く。
2.1日後、袋の中の気体を石灰水の中に押し出す。


分解者が生きている
(土のまわりが青紫色ではないから)
土の中の分解者によって
デンプンが分解された

焼いた土
分解者が生きていない
(寒天すべて青紫色に変化)


分解者が生きている
(石灰水が白くにごる)
土の中の分解者が二酸化炭素を出した
  

焼いた土
分解者が生きていない
(石灰水は変化なし)

※ヨウ素液、石灰水がどんな目的で使われるのかは、こちらで確認してください。

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