図1は、同じ金属の電熱線 R1、R2、R3、R4 の電圧と電流の関係を示したものである。
図2のR5は、抵抗値の不明な電熱線である。次の各問いに答えよ。

  

(1)電熱線R3の抵抗値はいくらか。
(2)電熱線R2は、長さ1.0m、断面積1.0mm2である。
 @電熱線R1はR2と同じ長さである。R1の断面積はいくらか。
 A電熱線R4はR2と同じ断面積である。R4の長さはいくらか。
(3)5個の電熱線と38Vの電池Eを図2のようにつなぎスイッチSを閉じた。
  BC間には電流は流れなくなった。
 @電熱線R5の抵抗値はいくらか。
 A電熱線R1が消費する電力はいくらか。

ヒント…(2)抵抗の大きさは長さに比例し断面積に反比例する。

ご質問: yoshitakaさん(2004/10/16)

参考ページ…直列回路と並列回路  オームの法則  電力

(1)

図1のR3のグラフで、読みとりやすい点で電圧と電流を読み、オームの法則から抵抗値を求めます。

※確かな数字が2ケタであることから答えは4.0Ωとなりますが、中学で「有効数字」を習っていない場合で問題文に指示がなければ、答えは4Ωでもかまいません。

(2)

ヒントより、「抵抗の大きさは電熱線の長さに比例し、電熱線の断面積に反比例する」ことを使います。
グラフの見方に慣れてくると、
・R1の抵抗値はR2の半分→@の手がかり
・R4の抵抗値はR2の3倍→Aの手がかり
であることが一目でわかりますが、分かりにくい場合は、まずグラフからそれぞれの抵抗値を計算してしまってもいいですね。
R1…0.5(V)÷0.5(A)=1.0(Ω)
R2…1.0(V)÷0.5(A)=2.0(Ω)
R4…3.0(V)÷0.5(A)=6.0(Ω)
@
同じ長さであれば、断面積が小さいほど抵抗は大きくなりますね。(反比例)
R1は抵抗がR2の1/2倍なので、断面積は2倍となります。よって、2.0mm2
※この場合は問題文の「1.0」mm2に合わせて、「2」ではなく、「2.0」としておいたほうが無難です。
A
同じ断面積であれば、長いほど抵抗は大きくなります。(比例)
R4は抵抗がR2の3倍なので、長さも3倍となります。よって、3.0m
※問題文の「1.0m」に合わせ、「3」ではなく「3.0」で答えたほうがいいですね。

(3)

@
電圧がかかれば、電流が流れます。BC間に電流が流れなくなったということは、BC間の電圧は0Vだということです。
AB間の電圧と、AC間の電圧が等しいとき、終点どうしを結んだBC間の電圧が0となります。
「A→B→D」の経路と「A→C→D」の経路は並列つなぎの関係なので、「A→B→D」の電圧と「A→C→D」の電圧は同じですね。
よって、BD間の電圧とCD間の電圧も等しくなります。

AのI1に@を代入すると、
6×2×I2=χ×I2  両辺をI2で割って 12=χ  よって、R5の抵抗値は12.0Ω
※中学で「有効数字」を習っていない場合で問題文に指示がなければ、答えは12Ωでもかまいません。

A
R1を流れる電流またはR1にかかる電圧がわかれば、抵抗値がわかっているので、電流か電圧を計算でき、電力が求められます。
合成抵抗の公式を利用するとラクに求めることができます。
参考ページ…電圧・電流の分け方、合成抵抗

R1(1.0Ω)に6.0Aの電流が流れるので、かかる電圧はオームの法則より、
E1=1.0(Ω)×6.0(A)=6.0(V)
6.0Vの電圧がかかり、6.0Aの電流が流れたので、消費電力は
電圧×電流=6.0(V)×6.0(A)=36.0(W)

【別解】
合成抵抗の公式を使わず求める方法です。考え方が難しいので、混乱しないように順序よく考えていきましょう。
R1を通ってきた電流はA点で枝分かれして片方は「A→R2→B→R4→D」、もう片方は「A→R3→C→R5→D」という経路を経て、D点でまた合流します。
「R2・R4の直列(抵抗値…2Ω+6Ω=)」と「R3・R5の直列(抵抗値…4Ω+12Ω=16Ω)」が並列につながれている状態ですね。
上の経路(全抵抗8Ω)を通る電流(I1)と、下の経路(全抵抗16Ω)を通る電流(I2)を比べてみましょう。
下の経路の抵抗値が2倍なので、電流にとっては、上の経路のほうが2倍通りやすいですね。
I1はI2の2倍(I1=2×I2)となります。よって、枝分かれ前にR1を通った電流はI1とI2の和(3×I2)となります。
AD間にかかる電圧は上の経路(A→B→D)でも下の経路(A→C→D)でも並列につながれているので同じです。
I2が流れる下の経路(全抵抗16Ω)にかかる電圧と、R1(抵抗1Ω・電流3×I2)にかかる電圧を考えてみます。
R1にかかる電圧…1(Ω)×3×I2(A)=3×I2(V)
16Ωにかかる電圧…16(Ω)×I2(A)=16×I2(V)
この電圧の和が電源の電圧(38V)となるので、
3×I2+16×I2=19×I2=38  よって、I2=2(A)
R1に流れるのは、I2の3倍なので、6Aだということがわかります。あとは↑のように電圧を求めて電力を計算します。

(参考)ホイートストンブリッジ

電流計などの計器の内部抵抗の影響を受けずに未知の抵抗値を精密測定するために考案された回路です。
R1〜R3の抵抗値のわかっている抵抗と、未知の抵抗R4を図のようにつなぎ、BC間に電流が流れなくなるようにR3で調整します。
高校物理の内容なので、今、無理に理解しなくてもいいですが、参考までに解説しておきます。

BC間に電流が流れない=BC間の電圧は0V
(3)の解説どおり、この場合「AB間の電圧=AC間の電圧」「BD間の電圧=CD間の電圧」という関係になります。

この計算によって、R4の抵抗値を正確に求めることができます。
よって、(3)の@も、この式を導き出せれば、
R5=R4×R3÷R2=6.0(Ω)×4.0(Ω)÷2.0(Ω)=12.0(Ω)と簡単に求めることができます。

答え

(1)4.0Ω
(2)@2.0mm2
  A3.0m
(3)@12.0Ω
  A36.0W

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