ブルーモザイク(その4) ブルーモザイクの雌の選び方

 ブルーモザイクの雌を選ぶときも、モザイクの雌選びのときと同様、自分の作ろうとするグッピーを思い浮かべ、それに見合った雌を選ばなくてはなりません。では、理想のブルーモザイクとはどんなグッピーでしょう。私なりに思い浮かべてみました。
 まず、ボディーですが、大きさはほどほど、渋めのブルーの光沢があり、尾筒がしっかりしていれば問題ないでしょう。背鰭はタキシードやグラスほどは期待しませんが、軽く波打つほどの大きさは欲しいものです。色は、白か淡いブルー、大き目の濃紺あるいは黒のスポットが入っても良いと思います。
 そして、尾鰭ですが、これは若干好みが分かれるところだと思います。かなり完成度の高いブルーモザイクは、大きく二つのタイプに分けられます。一つはやや濃い目の透明感のあるブルーの下地に黒あるいは濃紺のモザイク柄の入ったもの、もうひとつは、全体に白っぽいブルーの下地にモザイク柄が入り、この濃色柄の周りに白い縁取りの入ったものです。私の好みは後者の方で、白っぽい下地の青が厚みのあるままさらに青く見えるものが理想です。残念なことに、このようなブルーモザイクを私はまだ作ったことがありませんし、他で目にしたこともありません。ではこの二つのタイプにあてはまる雌を探してみましょう。
 まず最初は、クリアーな感じのやや濃い目のブルーの尾鰭のタイプですが、これは<尾の生地の色と厚み>項でお話した、透明あるいはそれに近い生地に色柄をのせたタイプのブルー系と考えてください。ノーマル体色でもブルー体色でも基本は同じです。生地が透明に近いものは、クリアーな感じのブルーになり、生地に濁りのあるものは、厚みのある明るい感じのブルーになります。雌の選び方も赤系のときと同じです。赤系の雌から透明感のある下地に、黒あるいは濃紺の柄がきれいに浮かび上がっているものを選びます。柄の大きさはブリーダーの好みですが、赤系のときと比べ、ブルーは細かいスポットになりがちなので、自分で思い描く雄よりも大きめな尾柄を持つ雌を選びましょう。写真(1)はこのタイプです。実物は写真で見るよりも透明な感じです。(2)は<モザイクの雌の選び方(その2)メリハリ>で一度紹介している同タイプの雌です。なぜ赤系から雌を選ぶかは、この前の項(その1〜その3)でお話したとおりです。このタイプは、後者よりも比較的ブリーディングが楽で、柄もきれいに入りやすく、失敗作も少なくすみます。また、このタイプのブルーモザイクはノーマル体色のときの、赤黒で重厚さのないモザイクとは見た目の印象で明らかに異なり、完成度の高いものは非常に美しく、コンテストでも上位入賞の期待が持てます。さらにこれにシルバー発色が加わると理想に近い魚になります。上の写真は1月にザ・フィッシュ湘南さんのコンテストで総合優勝をいただいたブルーモザイクで、タイプとしてはこれにあてはまります。


(1)

(2)

(3)

 次は尾に厚みがあり、やや白っぽく見えるタイプです。これは、尾の生地に濁りがあるために前者と比較して、どうしても白っぽく見えてしまうという弱点がありますが、尾鰭の重厚さから言って、私はブルーモザイクとしてはこちらの方が前者よりランクは上と 考えています。また、このタイプで完成度の高いものをつくるには、雌を選ぶ目の他に、かなりの 運が必要です。写真(3)はこのタイプの雌で実物は写真よりも青く見えます。シルバー発色を表 す尾筒上部の白い発色もあり、次代を期待させます。しかし、これを雌親として選ぶことには大きなリスクを伴います。 実はこのタイプの雄雌のペアを親として使うと、その仔はほとんど尾が黄色くなってしまうのです 。ただ、ごくたまにとても美しい仔が採れるので、リスクを冒す価値はあるかと思います。このタイ プのブルーモザイクを維持するにはある程度の経験が必要です。親を選ぶときには自分の目標 とする魚を思い浮かべながら、雄、雌の種親候補が持つ色合いや柄の微妙な違いをバランスよ く組み合わせるというテクニックが重要になってきます。これだ!と思った雌が大はずれというこ とがこのタイプではよくありますが諦めずに時間をかけてブリーディングしてゆくことが大切です。また、(3)のような雌は、ブルーモザイクに関してはリスクが大きいといえますが、同じブルーモザイク系でも、OFやコーラル系などでは非常によい働きをします。次からの項からはモザイク、ブルーモザイク系のいろいろなバリエーションについて書いていきます。

  次ページへ    前ページへ