モザイク柄のメリハリ
クッキリとメリハリのあるモザイク柄というのは、その品種の特徴をきわだたせ、見る人に強い印象を与えます。右の写真はモザイクタキ シードの尾です。この写真では、ややはっきりとしないところがありますが、オレンジ色の中に黒い模様が入り、その周りを白い縁取りが囲っているのがわかります。この縁取りが、モザイク柄をひきたたせるアクセントになります。この、メリハリのある柄ならばモザイクは必ずしも多色にならなくても十分鑑賞価値があるといえるのではないでしょうか。
では、このような色柄をどのようにしたらつくれるのか、についてこれから考えてゆきたいと思いますが、色柄を考える前にまず、尾の生地の色と厚みについてよく知っておく必要があります。
尾の生地の色と厚み
グッピーはドイツイエローやネオンタキシードなどに代表される単色系の尾を持つものと、モザイク,グラス系などの多色,色柄ものにわけることができますが、ここでは、尾の生地のみを思い浮かべ、色や柄を抜いてしまいます。すると、グラス系の魚やレッドテール、ネオンタキシードなどは透明に近いものから、薄く白いものまで、ドイツイエローなどは白やクリーム色が残ると考えられます。これはドイツイエローやネオンタキシードのRRE.Aを参考にすればよくわかります。では、モザイク系ではどうでしょうか、私が考えるモザイク系の尾の生地は、ほとんど透明からドイツイエローのように白いものまで巾広くあるように思われます。この生地の色と厚みがモザイクの色柄やメリハリに大きく影響を及ぼしていると考えられます。
透明なものやそれに近い生地に色柄がのると、モザイクの場合は赤、黒などの濃色は比較的きれいに見えますが、オレンジ、黄緑、黄色など淡色になるとやはり薄さが目立ち、重厚さのない魚になってしまいます。これに対し、白やクリーム色の生地に色柄がのると赤系の色は朱色や橙色などの明るい色になり、厚みもあって、黒や濃紺の柄とのコントラストも映えるようになってきます。
次は柄のメリハリです。赤系の下地に濃色の柄が入ると一応はモザイクと呼ばれるようになります。しかしこれだけでは鑑賞価値が高いとはいえません。私の場合は、前にも述べたように、多色にこだわるよりも濃色の柄のまわりに白い縁取りをいれ、柄を浮かびあがらせる事によって重厚感を持たせるように心がけました。そもそもグッピーのモザイクという品種名のもとは、古代エジプトのモザイク画からとったもので、その手法は様々な色石やガラス、貝殻などを台座に張り合わせて紋様を浮かび上がらせるというもので、素材の間の目地の役割が素材の色を引き立てるうえで重要な役割をはたしているようです。くしくも観賞魚である国産グッピーにその名をもらい、その美しさに価値を見いだすというのも興味深いものです。次にモザイクの雌について述べます。