モザイクの魅力

 グッピーを飼っている人に、グッピーの魅力は何か、と聞けば、とてもきれいで飼いやすく、簡単に子供を増やせる、等々、ごく一般的な答えが返って来るのが普通です。しかし、ブリーダーにドイツイエロー、ブルーグラスなど、それぞれの品種の魅力は何か、と聞けば、人それぞれ、違った好みやこだわりがあって、いろいろな答えが返って来ます。その中でも、モザイクともなると、かけ合わせのバリエーションや、色柄の違いなど、非常に変化に富んだ品種であるため、好みもさまざまなものになります。
   かく言う私も、モザイクにこだわりだして10年、その間には、コーラル、タキシード、コブラなど、いろいろなバリエーションもとりいれながら現在に至っています。ここでは、私なりの、モザイクの魅力について触れたいと思います。
   そもそもモザイクとは、遺伝的には、Y、X染色体上にある、モザイク遺伝子がもとになっておりますが、モザイクの雌は、Y染色体上に様々な遺伝子を持つ雄とのかけ合わせにより、モザイクコブラ、オールドファッションモザイクなど、いろいろな種類の仔を産むこともできます。このように、雌を利用することによって、さまざまなバリエーションを楽しめるのもモザイクの魅力のひとつです。しかし、私が思う一番の魅力は、モザイクはブリーダーによって色柄などが変わりやすい、個性のでる魚、つまり、ブリーダーのセンスの問われる魚だ、ということです。同じ親から採れたモザイクでも、別々のブリーダーが二代、三代と採ってゆくと、まったく違う魚になってしまうということがよくあります。また、もっと細かくいえば、自分の水槽の中で泳いでいる2,30匹のモザイクがいれば、その一匹一匹を識別できるほどの個性を持った魚だと言えます。そういう魚を相手に、自分の思い描く理想のグッピーに少しでも近づく事が一番の楽しみだと思います。


良いモザイクとは

 良いモザイクとはブリーダーにとって一番きれいだと思う魚に間違いありません。しかし、これは、個人の楽しみのなかでのことであって、一般的にはなかなか通用しません。やはり、他のブリーダー、販売店、また、グッピーコンテストでの審査員やギャラリーの評価など、他人の批評も受け入れなければならないことも多くあります。ここでは、私なりに、良いモザイクについて考えてみました。
   モザイクに限らず、グッピーの成魚は体、背鰭、尾鰭などがバランス良く大きく、太い尾筒を持って元気に泳ぎ、尾開きが良く皺がないなど、必要な条件をすべてクリアしたうえで、それぞれの品種の特徴を良く現したものが良いとされます。ここでは、品種の特徴のみを考えてゆきたいと思います。
   モザイクの特徴はやはり尾鰭の色柄の多様性にあると言えます。言葉ではなかなか言い表せませんが、赤を基調とした下地に、黒あるいは濃紺の柄が、ランダムに入ったものが基本で、これに緑、黄、白などがバランス良くちりばめられたものが良いとされます。しかし、私の経験では、あまり多色を求めると、柄のメリハリがなくなり、美しいモザイク柄にならずに失敗ということがよくありました。そこで私は、この、柄にメリハリをつけるということを第一に考えて交配しました。そのための親選びなどについては後にかきますが、その結果はなかなか良い柄のモザイクができました。これはモザイクの他のバリエーションでもいえることで、特にモザイクタキシードではより顕著に現れるようです。例外としては、オールドファッションモザイク。この品種は多色にしても、はっきりとした色柄になりやすく、比較的相性が良いと思われます。

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