化学変化とエネルギー

ガスやエタノールなどの有機物の燃料を燃やすと、熱を得ることができますね。
有機物の燃焼以外でも、化学変化が起こるとき、熱の出入りがあります。
熱はエネルギーの一種なので、化学変化によってエネルギーを得られるわけですね。
ここでは、化学変化でエネルギーを得る方法や発電について勉強していきましょう。

化学エネルギー

燃料となるような物質は、燃焼したり、その他の化学変化を起こして熱や光を出します。
このような物質は化学エネルギーを持っているといいます。

化学エネルギー
   酸化などの化学変化を起こして他のエネルギーを出す物質が持つエネルギー

発熱反応

熱を発生する化学変化にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
ものが燃えるときには大量の熱が出ますね。いっぱんに化合は発熱反応です。例を少しあげておきます。

化学変化 化学反応式
炭素(黒鉛)の燃焼 C+O2→CO2
水素の燃焼 2H2O22H2O
鉄と硫黄の化合 Fe+S→FeS
メタンの燃焼(参考) CH4+2O2→2H2O+CO2

化学変化以外でも発熱する変化があります。

(参考)溶解熱

物質が多量の水にとけるときに出入りする熱です。(いっぱんに気体は発熱、固体は吸熱するものが多いです)

【例】固体のNaOH(水酸化ナトリウム)を水にとかすと
   NaOH 40gにつき、44.5kJ(キロジュール)の熱量が発生する

発熱反応の利用

有機物の燃焼

有機物+酸素→二酸化炭素+水+熱

天然ガスプロパンガス
の燃焼
お風呂をわかしたり、調理をするときにガスを使うご家庭が多いですね。
天然ガスやプロパンガスが燃焼するときに出る熱を利用しています。
火力発電における重油
の燃焼
重油を燃焼させてお湯をわかし、蒸気で発電機のタービンを回します。
ガソリンの燃焼 車はおもにガソリンをエンジン内で燃焼させ、その熱を利用して走ります。
恒温動物の体温の維持 食物中の有機物(養分)を体内で酸化させて発生する熱を利用します。

無機物の化学変化

鉄の酸化を利用した
化学かいろ
鉄粉と活性炭、食塩水を混ぜて実験することができます。
鉄が酸化するときに出る熱を利用します。

鉄+酸素→酸化鉄+熱

(参考)4Fe+3O2→2Fe2O3
Fe2O3は酸化第二鉄といって、中学で習うFeOは酸化第一鉄といいます。
酸化鉄はこのほかにも種類があって、化学かいろではほかの種類の鉄の化合物もできます。

生石灰と水の反応
を利用した
発熱機能付き食品
火を使わずにあたためられるお弁当や、おかん(温酒)ができるお酒が売られています。

酸化カルシウム+水→水酸化カルシウム+熱

(参考)CaO+H2O→Ca(OH)2
Ca(OH)2消石灰で、水に少しとけて強いアルカリ性を示します。
使ったあとに容器を分解するのはやめましょう。

吸熱反応

いつも発熱反応ばかりとは限りません。なかには、まわりから熱をうばう反応もあります。
いっぱんに分解は吸熱反応です。(『熱分解』は熱をあたえると分解する化学変化でしたね)

水酸化バリウムと塩化アンモニウムの反応

水酸化バリウムと塩化アンモニウムの白い粉末を混ぜ合わせると
温度が下がっていくのがわかります。

水酸化バリウム+塩化アンモニウム→塩化バリウム+アンモニア+水−熱

アンモニアが発生するので換気をよくして実験しましょう。
(参考)Ba(OH)2+2NH4Cl→BaCl2+2NH3+2H2O
水酸化バリウムの代わりに水酸化カルシウム、
塩化アンモニウムの代わりに硝酸アンモニウムを使ってもいいです。

吸熱反応の利用(参考)

溶解熱を利用した瞬間冷却パック
化学変化ではありませんが、
硝酸アンモニウムが水にとけるときに吸熱する性質を利用しています。

(参考)硝酸アンモニウム(NH4NO3)の固体+多量の水→硝酸アンモニウム水溶液−

(参考)このページ内のkJ(キロジュール)について 

J(ジュール)はエネルギーの単位で、熱エネルギーの量(熱量)の単位にはkJ(キロジュール)が使われることが多いです。
このページ内に載せた熱量の値は参考程度に体感してもらおうというものですので、値を覚える必要はまったくありません。
水の温度変化との比較は、以下のように換算しました。

1kJ=1000J     1J=約0.24cal(カロリー)  1calは1gの水の温度を1℃上げるのに必要な熱量です。

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