1999年8月11日に皆既日食がヨーロッパ付近で観測された。
このとき、太陽から見て、金星も地球・月と同じ方向に存在していた。

(1) 8月11日の直前には月食が観測できた。これは、何月何日と考えられるか。
  (月の満ち欠けの周期を30日とせよ)

(2) (1)を参考にして、本日(2000年2月4日)21:00に月はどのようにみることができるか。
  およその位置を図1の(a)〜(f)より選び記号で答え、およその形を図で示せ。
  ただし、(f)の場合は形を書かずに、見えない理由を述べよ。

(3) 以下の文中の空欄に、最も適する記号または語句を入れよ。
  8月11日の位置関係で、図2中の地球が●にあったとき、金星は図中のえの位置にある。
  本日(2000年2月4日)、地球は( )の位置にあり、金星の公転周期が0.62年(地球時間)とすると
  図中の( )の位置が最も近い。よって、今月上旬金星を観測するには( )頃、( )の空を見る
  とよい。このような時間に観測される金星を( )という。

  【解答群】 @0時 A3時 B6時 C9時 D12時 E15時 F18時 G21時
   

ご質問: yukitakaさん(2005/1/24)

参考ページ…太陽・地球・月  月の見え方  金星の見え方

(1)

地球から見たとき、月と太陽がほとんど同じ大きさに見えるため、「太陽-月-地球」が一直線上に並ぶと日食が起きます。
月が太陽をかくしてしまうように見えるのですね。

地球に対してこの位置(太陽の方向)にきた月は「新月」です。日食は新月のときに起こります。

月食は月が地球のカゲに入る現象なので、「太陽-地球-月」の順で一直線上に並んだときに起こります。
この位置の月は満月のときですね。
8月11日に日食が起き、そのときの月は新月ですが、その「『直前』に月食が起きた」ということは、月食はその前の満月のときになります。
「月の満ち欠けの周期を30日とする」という記述より、新月から次の新月までは30日です。
満月から新月までは30日の半分の15日かかることになりますね。
8月11日の15日前が月食だったのです。
7月は31日まであったことを考慮して数えると、その日は7月27日となります。
8/11の10日前は8/1、その1日前(8/11の11日前)が7/31、その4日前(8/11の15日前)は「7月31日−4日=7月27日」です。

(2)

8月11日に新月だったことから、その翌年の2月4日(約半年後)にはどんな形の月に見えるのか、日数と周期から考えましょう。
2000年2月4日は、1999年8月11日の177日後です。
8/11〜9/11は31日、9/11〜10/11は30日、10/11〜11/11は31日、11/11〜12/11は30日、12/11〜1/11は31日、1/11〜2/11は31日。
8/11〜翌年2/11は合計184日→2/4は2/11の7日前なので、184(日)−7(日)=177(日)

(1)の問題文から、月の満ち欠けの周期は30日(新月〜次の新月まで30日)なので、177日目の月の形を想像しましょう。
177日÷30日=5…(余り)27日
5周期満ち欠けをくり返して、その日は27日目の月に見えるはずですね。新月まであと3日です。

  注:図は約29日周期での月の形です。

27日目の月はほとんど新月ですね。左側が少しだけ明るい、かなり細い形をしていると思われます。

21:00ごろ、どんな月がどのあたりに見えるか考えてみましょう。
まず、観測者の位置を確認します。

日没を18:00
真夜中を0:00
明け方を6:00
正午を12:00
と考えていいです。

21:00ごろは日没と真夜中の間くらいですね。

このとき、↓のように、三日月なら西へ沈むところ、上弦の月なら南西に、満月なら南東に見えます。

   

27日目の月(左側が少しだけ明るい月)なら、ほとんど新月に近く、地平線の下です。21:00には見えません(f)ね。
理由の答え方は難しいですが、「ほぼ新月だから」のほかに、
・27日目の月は21:00ごろは地平線の下にあるから
・3:00以降にしかのぼってこないから
・逆三日月形の月は明け方ごろしか見えないから
・21:00ごろ見えるのは三日月から二十日月くらいだから
などでもかまわないと思います。

(3)

1999年8月11日から2000年2月4日までは177日(ほぼ半年)でしたね。
地球は太陽のまわりを1年(365日)で1周(360度)するので、1日では
360度÷365日=約1度
進みます。177日では約177度(ほぼ180度)移動しています。
8月11日から約半年後の地球は、●の位置から180度進んだaの位置にいることになりますね。

金星が1日に何度くらい公転するか、計算してみましょう。
0.62年(0.62×365日)で360度ということより、
360(度)÷(0.62×365)(日)=約1.6(度/日)
1日に約1.6度進むので、177日では
1.6(度/日)×177(日)=約283(度)
「え」〜「い」までは240度、「え」〜「う」までは300度なので、2月4日の金星は「い」と「う」の間で「」寄りにあることがわかります。

金星は「夕方西の空」か、「明け方東の空」にしか見えません。
夕方と明け方のどちらで見えるかを考えましょう。

「a」の位置の地球から「う」の位置の金星は明け方東の空に見えます。
明け方はだいたい6時ごろだと考えていいです。解答群の中からはB6時を選びましょう。
夕方見える金星は「よいの明星」、明け方見える金星は「あけの明星」といいますね。

本日(2000年2月4日)、地球は(a)の位置にあり、金星の公転周期が0.62年(地球時間)とすると図中の()の位置が最も近い。
よって、今月上旬金星を観測するには(6時)頃、()の空を見るとよい。このような時間に観測される金星を(あけの明星)という。

この問題は私立高校の入試問題だそうで、難問です。
入試ではひとつの問題だけに時間をかけるわけにいかないので、時間がないときは天体の位置を求めるのは概算にしてしまいましょう。
地球の位置は、177日が約半年だと気付けば簡単です。1年に1周しているので、半年では「1周の半分」だけ進んでいます。
金星の位置は、「太陽のまわりを0.62年で1周(360度)する」という条件を使います。
1ヶ月に何度くらい回るか計算します。0.62年がだいたい何ヶ月になるか求めると、
0.62年=0.62×12(ヶ月)
(0.62×12)ヶ月で360度なので、1ヶ月では
360(度)÷(0.62×12)(ヶ月)
計算がラクなように、0.62は0.6としてしまって、これを計算すると、1ヶ月に約50度という結果が出ます。
半年後(6ヶ月後)なら、50(度)×6=300(度)
「え」の位置から300度まわると、「う」の位置にいることになります。

答え

(1)7月27日
(2)f ほぼ新月だから
(3)a う B 東 あけの明星

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