仕事の打ち合わせで、編集の素敵な女性とお茶を飲んだ。
春まだ浅い公園の片隅にあるコンクリートの打ち出しの無機質な建物。そこのオムレツは僕の好みなのだが。
よせばいいのにカフェオレなんか頼んでしまった。何で午後にこんなコーヒー牛乳なんか飲まにゃならんのか。いや、ちょっとおしゃれな相手に合わせたのだ。
打ち合わせも一段落終え、外を眺めている相手に思わず言ってしまった。
「ここに来るとプーランクが聞きたくなるんですよね。」う〜んジンマシン。
よせばいいのに、キザな妄想はまだまだ広がる。
「近代フランスの中では印象派よりももっとモダンな感じが、無機質な感性を表していていいんですよね」
パウル・クレーの絵でも眺めているのかオマエ!みたいな。
相手は一応感心したふりをしていたけど、僕は心の中で笑われている。しかし、やっぱり音に気だるさとかモノクロチックな味わい、それは水墨画のそれとは異なるものである。言うなれば硬質に仕上がった白黒写真のようなものである。
僕はそれを体感したくてたまらなくなる時がある。
そんな時にプーランクの曲が聞きたくなる。
そこで今夜の一曲。プーランクのフルートソナタ。たった40年程前に作曲され、初演を吹奏したジャン・ピエール・ランパルはつい最近まで存命だった。
フランスのフルーティストの話は、またの機会にしたい。今宵は若手というには若干時を過ぎたが、今やフランスのフルーティストとしては、その地位を確実なものとしているパトリック・ガロワの演奏で、僕の求めた世界を眺めることとしよう。
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