5月4日、さいたま市文化センター小ホールで行われた「さとかんと」第17回演奏会を聴きに行きました。
「さとかんと」とは、東京学芸大学名誉教授で声楽の佐藤幹一先生のニックネーム「さとかん」にイタリア語で歌を意味する「CANTO」を合わせたものだそうです。
この日の出演者は「さとかん」先生にご指導を受けた東京学芸大学卒業生を中心とした方々18人の皆様でした。パート別にソプラノ6名、メゾソプラノ1名、テノール6名、カウンターテノール1名、バリトン4名それにピアノ伴奏10名の内容で、出演者はそれぞれソロ演奏をしました。
私は所属する混声合唱団行田フロイデの指揮者浅井一郎先生がバリトンの歌手として出演するため、同合唱団のメンバーと聴きに伺ったという次第です。浅井先生は奥様の浅井和代さんのピアノ伴奏でワーグナーの歌劇「タンホイザー」より「死の予感のごとく夕闇が地をおおい〜夕星の歌」を朗々と歌い、会場から大きな拍手が沸きました。久しぶりに先生の美声を聴かせて頂きました。なお、浅井先生は埼玉県合唱連盟常務理事で現在は埼玉県教育局に勤務されています。
同じく県連理事で浦和第一女子高校にこの4月転任されたばかりの小松直詩先生も登場しました。ジョルダーノの歌劇「アンドレア・シェニエ」より「国を裏切る者」で素晴らしいバリトンを響かせてくれました。埼玉県関係では、ほかに小林正俊先生(テノール、県立川越高校講師)、小崎圭良子先生(ソプラノ、熊谷市立女子高校教諭)が出演され好評でした。演奏の最後は枝川一也先生(広島大学助教授)のプッチーニの歌劇「トスカ」より「星は光りぬ」でした。ブラボーと叫びたくなるようなテノールでした。
若手からベテランまで年齢的には幅広い出演者によるコンサートでしたが、本格的な演奏を数多く聴くことが出来、聴きに来て本当によかったと思いました。年一回のコンサートをこれまで17回続けてきましたが、今回で終了するそうです。終演後ステージに上った佐藤幹一先生が挨拶されました。
縁あって私と一緒に学び合ってきた人たちが、各々の場で日々最善を尽くしているひたむきな姿がわかっていただけたかと思います。若手を育てる場を作るという初期の目的は、皆さんの成長により達成されたものと考え今回をもって終了することとしました。
私はコダーイが好きで彼の言葉を度々本日出演した皆さんにも伝えてきました。それは「優れた音楽家が持つべき4つの課題は、1.訓練された耳をもつこと、 2.訓練された手を持つこと、 3.訓練された知性を持つこと、 4.訓練された心を持つこと」です。この言葉を皆さんは実践してくれました。またこの4つの課題は、人間のありようを示唆していると思います。
2番目の「手」を「声」に置き換えると合唱に通じますね。たくさん収穫のあったいい一日でした。