第164回
第164回【青空への巻】('21/3/10/〜'21/4/14)
初折表六句
1発句 青空へ芽吹く欅の大樹かな
2脇句 朝な夕なに色変わりゆく
3第三 11年絶えざる祈り春の海
4四句 哀れ東京大空襲ぞ
5五句 買い出しの夜道の頼り月明かり
6折端 鳴く虫の名を子に教えつつ
初折裏十二句
7折立 いなご捕り「ふりかけ」とせむ終戦後
8二句 麗しきかな下駄履きモンペ
9三句 朝市のあの娘に逢はんと今朝も行く
10四句 並ぶ野菜に作者の写真
11五句 知らぬ間に防犯カメラに我が笑顔
12六句 みんな知り合い田舎の暮し
13七句 ビール飲み王手飛車など月笑ふ
14八句 扇子片手に聡太を気取る
15九句 噺家の七変化見す小道具に
16十句 江戸は時そば上方うどん
17十一句 桜餅長命寺とか道明寺
18折端 膳に大鯛入学祝う
名残表十二句
19折立 遠足や騒がしき列明日香路に
20二句 心静める石舞台かな
21三句 縄文の格差なき世や火焔土器
22四句 その日暮らしの蓄財もなく
23五句 非正規といわれる我に冬の空
24六句 家庭ももてずはや木の葉髪
25七句 特例の採用試験に合格す
26八句 早く言いたい俺の給料
27九句 十両や四股名と嫁を合わせ取る
28十句 紙面を飾り両親歓喜
29十一句 伝説か千本ノック秋の月
30折端 黄葉を誇るすずかけの路
名残裏六句
31折立 銀杏散る敗けて球場あとにする
32二句 カラスも共に森へと帰る
33三句 夜が来た狸狐が団地を漁る
34四句 棲息するや永田町にも
35五句 虫来てと艶を競うか春の花
36挙句 春の銀座に花売り娘 |
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風 |
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1 今年の寒かった冬にも耐え、草木は一斉に芽吹き始めた。
2 【季節の移ろい】雨戸を開ければ、そして閉める際に大きな欅を目にするとき、
微妙な季節の移ろいを感じる。
3 不明被災者2千余人。思いは絶えない。
4 3月10日一夜で死者10万人以上の無差別大焼殺。当時の国際世論はどうだったのか。
5 【月明】街灯なんかのない時代、よく生き延びたもんだ。
6 買い出しの記憶はないが配給の台北??号というサツマイモのまずさは脳味噌にしみついいている。
7 淡路島で学校へ蝗を持って行き、昼食時に「ふりかけ」として支給してくれた。
8 【モンペ】イナゴを追いかけるモンペ姿の少女を見惚れていたものだ。
9 母を手伝う無口な娘。カアチャンと無駄話をしているが狙いは娘だ。
10 道の駅などに、一言添えた作者の名前と顔写真は上手い販売促進方法だ。
11 【防犯カメラ】笑顔でよかった。犯人には間違えられないだろう。
12 氏素性が知れている田舎に防犯カメラはいらない。
13 都会のマンションでは、表札のない所も多く隣りは誰か知らないとか。
14 【天才】聡太君は王手飛車なんか指さないよ。
15 立ってはいけない座布団一枚の空間で人物を見せるのに必須な小道具だ。
16 「時そば」は明治中期に三代目柳家小さんが上方の「時うどん」を東京へ移したもの。
17 【桜餅】長命寺は関東、道明寺は関西、桜葉は伊豆の松崎町。
18 祝いの膳には鯛。日本中変わりはない。
19 電車の中では全員が押し黙ったまま。その反動が一気に出たか。
20 【古墳】子ども心にも、石舞台古墳は響くものがあるらしい。
21 貧富の差が少なく自然と共生していた社会。現代が目指している社会ではなかろうか。
22 生産性も低く富の片寄りようもなかった。将来は、富の再分配なしに諸格差は解消しない。
23 【非正規労働者】格差社会の源はここにある。
24 就職氷河期は社会現象で個人の責任ではないと言われるが救済策は乏しい。
25 就職氷河期世代には生真面目でストイックな性質の人が多いことから、
一部の自治体や企業にて評価されつつある。
26 【男の自信】これでふられることもないぞ!
27 十両にならないと給料が出ないのが相撲の世界だ。
28 明るいニュースは何よりだ。タイガースにはきょうこそ勝ってほしい。
29 昔話で、月光の下で長嶋が鍛えられたとか、双葉山の倒すために、月明かりで稽古したとか。
30 サード長嶋、ショート本屋敷、変則の投手杉浦。立教大学野球部が耀いた時代であった。
31 神宮外苑の銀杏並木の黄葉は、落葉の絨毯と共に東京の宝だ。
32 【実況放送】延長12回、時刻は夕暮れ時、神宮の森はカラスの住処だ。
33 都会のカラスは数を減らしたが里山の獣が都会で増殖しているという。
34 国会では狸と狐の騙し合い。コロナ対策は優柔不断の朝令暮改。
35 【艶を競う】花は虫を誘って繁殖する。
36 ホステスからチューリップ小父さんとよばれた好好爺がいた。