第162回
第162回【雪雲の巻】('21/12/13/〜'21//)
初折表六句
1発句 雪雲やどよみ打ち寄す日本海
2脇句 越すに越されぬ親知らず子知らず
3第三 日南は雪も降らずに冬知らず
4四句 人気はどこぞ今のハネムーン
5五句 寄り添って今か今かと寝待月
6折端 鮭に割り込む鱒の若雄
初折裏十二句
7折立 十和田湖の紅葉を愛でて地酒酌む
8二句 カメラを提げて撮影楽し
9三句 スナップに始まる文や婚五十
10四句 アルバムめくる大晦日かな
11五句 年一度家族揃ひて写真撮る
12六句 新たにポチとミーコが加わる
13七句 てんでんこ津波のあとに避難所巡る
14八句 夏なほ寒し汚染の牛舎
15九句 故郷はしばし獣に預けおく
16十句 人が住まねば森に呑まるる
17十一句 菜の花や汚染地域に咲き乱る
18折端 蝶乱れ飛び野兎が食む
名残表十二句
19折立 蕎麦を打ちたらの芽揚げて昼の膳
20二句 馳走をまえに一本頼む
21三句 ちょっと待て帰りの運転誰がする
22四句 乗つて安心自動運転
23五句 炬燵にて微睡むときの心地よさ
24六句 老人家族の猫になりたい
25七句 漱石が子規を師とする俳句かな
26八句 余り聞かない二人の恋を
27九句 恋するも仕事の内と果報者
28十句 撮影終えてみんな忘れる
29十一句 君を待つ数寄屋橋には秋の月
30折端 秋波の如し水に漂う
名残裏六句
31折立 遠富士や十国峠の芒原
32二句 船客の皆デッキへ出づる
33三句 数奇ある歴史を秘めて氷川丸
34四句 開拓者の夢船室に見る
35五句 すみれ咲き赤き靴鳴る晴れた空
36挙句 花吹雪く中銅鑼の音高し |
風
鵜雪
南圃
如水
鵜雪
風
如水
南圃
風
鵜雪
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪
風
如水
鵜雪 |
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2 【親不知】北陸最大の難所、特に冬は。
3 【南国日南】南国日南では数年に一度くらい1000メートル級の山の頂上に雪を見る程度。
4 海外ではハワイ、国内では離島を含む沖縄が人気だとか。
5 【寝待月】コロナ禍の下では、鄙びた温泉宿が良い。
6 若い鱒は鮭の産卵の瞬間に割り込み子孫を残そうとする。
7 鮭と云えば陸奥。酒は陸奥八仙、肴は姫鱒の刺身。
鮭は不漁と聞くが、観光客は戻っているのだろうか。
8 【写真撮影】秋の撮影会は背景の色が楽しい。
9 風景よりも美女を探していたのかも。
10 【古いアルバム】昔の思いだが詰まっている。
11 我家では正月に家族全員で写真を撮っていたが、いつの間にかなくなってしまった。
12 【多様な家族】今の時代は、動物も家族だ。
13 12年前突然日常生活が津波に呑まれた。太平洋側は全域がレッドゾーン避難対策は進んでいない。
14 汚染地域の立入禁止が解除されても、帰る人は殆どいない。
15 【留守番】やがて故郷へ戻る際に、居ついた獣が正常であれば安心だ。
16 かろうじて維持されている帰宅困難地区もいつまで頑張れるか疑問だ。
17 帰宅ができるか様子見に帰ると、菜の花が人里にも咲いていた。
18 【自然回帰】一見、野生の天国に見える。
19 春の山菜の苦味を楽しむのは蕎麦が一番だ。
20 昼とは云え、これで飲まずにおかりょうか! 一本で済みそうにない。
21 【酒気帯び】運転できるのは君だけだぞ!
22 酒酔い運転も高齢者の運転ミスによる事故もなくなるだろう。
23 車内で雀卓を囲むこともできるだろうか。
24 【雪やこんこ】ばあちゃんを見守りながら、
1日中炬燵で丸くなっていられるだろう。
25 子規が東大入試に励んだ時には漱石が英語を教え子規は漱石の俳句の添削をしたと聞く。
26 漱石は妻以外の女性の話は聞かない。子規は病気前はどうだったのか。
27 【恋の遍歴】経験の積み重ねが大物を生む、大女優のように。
28 賞をもらった大作映画の主役を演じた誰もが撮影後全てを忘れているという。私には信じられないが。
29 「忘却とは…」放送の冒頭に毎回朗読された。約束の日は11月24日
30 【秋波】わが青春時代にはここには本物の橋と水があった。
31 大山、阿蘇。石鎚山など中四国にも名山はあるが未知の山は句材にし難い。
32 にっぽん丸でのクルージング。横浜発着の九州方面が人気で、左舷右舷とも富士を望める。
33 【氷川丸】山下ふ頭に係留されている氷川丸の傍にたたずむと、
その輝かしくそして悲しい歴史に思いを馳せる。
34 船の歴史も数奇であるが乗り込んだ人の生涯もまた数奇であった。
35 船窓からは、赤い靴をはいた女の子の像が見える。
36 【銅鑼の音】大桟橋からハワイ航路の客船が出てゆく。