ラリーナビゲーションテクニック 

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 スタートライン 
 PCとCP処理の実際 
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 ナビゲーションの基礎

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                 写真は姫路工大ラリーのスタート

   1.スタートライン

[スタートラインでの処理]
   コマ図への記入、ラリー車検、ドライバーズミーティングが終わったらいよいよスタートラインに並びます。スタートラインにはゼッケンの順番に次々と車が並びますので、今何番が最後に並んでいるかを見て早めに動ける用意をしておきます。私の場合は並ぶ前にラリーコンピュータの距離スイッチを中立にして(トリップを進まなくしてから)、CP処理を行って自分のスタート時刻とスタートからのアベレージ(以下アベ)を入力します。これでファイナルタイム(遅れ進みを表示する欄)の時間がどんどん減っていきます。(スタートラインでは距離スイッチを+にする作業だけですむため)
 残り数台になったら、シートベルトを締め、スタート1分前に前のゼッケンの車がスタートしますから、オフィシャルの指示に従ってスタートラインに並びます。ここで、距離スイッチを+にします。(または、CPボタンを押してスタート時刻とアベを入力します。自分の好きな方を採用して下さい。)また、マップツインなどの補助距離測定機を使っている場合にも距離戻し(0クリアする)と補正率が1であるかの確認を忘れず行います。とにかく距離が進むように設定されていることを十分注意します。再スタート時も同様です。
 大学ラリーではここで指示書とコマ図が渡される場合がありますが、この場合はスタートしたらすぐじゃまにならない場所に停車して、内容物の確認とコマ図をチェックしてミスコースしないようにします。また、OMCP(オドメータコントロールポイント:以下OD)までにパスコン(以下PC)が無いかを調べます。無ければ安心して、ODまで進行します。

 走り出したら、全てのコマ図で距離を記録していきます。また、次のコマ図の距離が長い場合で、自車とオフィシャルの距離が大きく違っているときは、ミスコースを防ぐために暫定補正率を計算します。コマ図間距離*補正率で計算して補正したコマ図間距離(以下MAP)を算出します。暫定補正率は通りすぎたコマ図から補正率(自車の距離/オフィシャルの距離 まれにラリーコンピュータによっては逆の場合があるので注意)を電卓で計算して算出します。決してコンピュータのK(補正率)に入力はしないでください。 殆どのラリーコンピュータではOD処理を行うと前補正率*OD処理した補正率で算出されるので、ややこしくなります。また、ODまではコマ図間距離(トータル距離でなく)が記載されている場合もありますので注意して下さい。
 走り方のコツとしては、ドライバーに常に同じ走り方をしてもらうことが重要です。スタートからODまでは道路のセンターラインをキッチリ守って走り、その後ショートカットするように走ると補正率が意味をなさなくなります。また、経験上、大学ラリーで最初から最後までアベが低い場合には道路をトレースする走り方のほうが、誤差が少なくなります。通常のJAFのナイトラリーでは、ドライバーにいつもどおりの走り方をしてもらいます。


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[OMCPでの処理]

 ODに到着したら、ゆっくり正確にODのライン(道路看板等の標識が目印にされることが多い)に前輪を合わせて停車して、まずスタートからの距離を控えます。(処理を間違ったときにリカバリーする為)次にCPボタンをおして、コマ図の距離がそこが計測点ならMAPもクリアして、車を移動します。(1分以内に次の車がきますので、落ち着いて確実に処理します)次に、スタート時刻とアベを入力し、ODボタンを押してオフィシャルの距離を入力します。補正率が表示されたらこれも控えます。マップツインを使っている場合には、補正率をダイヤルにセットしてCLR Aを2回押すとBに補正された距離が表示されます。私の場合はミスコースに備えてBは常にトータル距離にしていますので、(コマ図を見逃してもトータル距離でオンコースするための距離がわかりやすい) Aはマップに使いますので、マップクリア時にこの処理を行います。(パップツインのKとRPシリーズ、JXシリーズ、GRー999のKは同じ値です。)
[コマ図の読み上げ]
 くどいようですが、ホームページでも述べたように、ナビゲータの仕事の第1は道案内です。ミスコースはラリーでは一番やってはいけないことです。特にドライバーも初心者である場合には「道なり」の規定がよくわからず勝手に曲がっていったりすること多いので要注意です。また、ナビははじめのうちはファイナルタイム(遅れ進み)よりもコマ図の方を重視してミスコースを招かないようにして下さい。遅れても死ぬことはありません。ミスコースして遅れを取り戻そうとして事故になることも少なくありません。くどい位に常にコマ図の形状とキョリを読み上げ(あと1km先で信号付き十字路右、あと500m、100m、50m、20m、ここ右という感じ)でドライバーにコマ図のキョリを伝えて下さい。コマ図では一旦停止する習慣をつけることも重要です。計測点と思われるところ停止線、ハンドルの切り始めるところ(計測点はドラミで確認する)でマップクリアとPC処理を行います。

 


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  2.PCとCP処理の実際

[PCの処理]
   難しいPCの処理は、「ナビゲーションスペシャルテクニック」を参照してください。ここではPCの基本的な処理だけを述べます。ナイトラリーの場合殆どはコマ図PCと言われるコマ図がPCになっているものです。その他は、目標物PCという写真のような道路標識や宣伝用カンバン、カーブミラーなどです。  これらはラリーコンピュータのPCボタンを押して、アベを入力するだけで処理ができます。ところがこのアベが以外と入力間違いをしやすいのです。必ず入力後にAVEの欄を開いて確認する習慣をつけましょう。また、コマ図PCの場合PCとMAPクリアは同時にできないので、慣れないうちは停止して両方を行うようにします。また、慣れてきて徐行中にクリアする場合は、MAPを10mなら10m手前の距離になった時点でクリアして、次のMAP距離を10m引くことを記入しておいて、PC処理を正確な地点で行うようにします。あくまでも止まることを基本にしましょう。止まっても10秒、ミスすると1分以上損をします。ドライバーに「3、2、1はいここ」というふうに声をかけてもらいましょう。
 PCでも図3の先1kmより50km/hというようなPCも多いので単純にそのコマ図がPCかをよく確認して下さい。もしPCボタンを押しててしまったあとであればAVEを前のAVEに戻します。そうすると何ら問題がありません。また、CPボタンを押してしまってAVEも入力してしまった場合には、ファイナルタイムと時刻をたした時間をスタートタイムに入力します。クリアする前には必ず距離を控えましょう。
 (もしミスをしてもドライバーには悟られないようにします。間違っても「アッ」とか声をあげてはいけません。ドライバーに不安を与えないように何事も無かったかのように平然としてください)
 カンバンPCでは写真のようなものは明確ですが、速度制限などでは補助標識まで指定されていることがあります。「ここから」「ここまで」「<−> 区間」などを区別しますので注意深く観察してください。  PCでは処理すると同時にドライバーに「ここから30km/h」のように速度を伝えます。また、表を作っておいてPC間距離とPCのスタートタイムはできるだけ控えるようにします。



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[ファイナルタイムの読み上げ]
 ナビの第2の重要な仕事は減点を受けずにチェックインすることです。その為には、CPが出てきそうな雰囲気になってきたら、ファイナルタイムを頻繁に読み上げるようにします。ただペースが30km/hなら30km/hでだいたいオンタイムで走れているようなときは「このまま」「これぐらいで走って」とか伝えます。
 コツとしては、遅れ進みを完全に0に保つことは難しいので、コーナーの入り口で若干加速して、ゆっくりコーナリングして出口で0になるような走り方をします。そのためドライバーが各スピードでだいたいその感覚が掴めるまで、コーナーごとにファイナルタイムを読み上げペースをつかませます。(CPはブラインドになったコーナーの出口に設置されることが多い)  また、ドライバーにファイナルタイムを見させないようにします。見ながら走ると一見良いように思えますが、走りがギクシャクしてしまうことが多いようです。上記の方法を試して下さい。
[CP処理の実際]

 初心者の場合CPが見えると反射的にブレーキを踏んだり、ファイナルタイムを見ながら入っていくので、正確にチェックインできないことが多くあります。CPが見えたら「このまま」「急げ」「止まれ」などと声をかけます。(ただし、止まってしまってもオフィシャルが笛を吹いてしまうので計時されます。それでも先行しているときは止まる位ゆっくりでちょうどです。)
 CPインするときはCPボタンの押し忘れに注意します。CPに入ったらWIND TO WINDまたは、手渡しの場合には「ゼッケン番号とチェックインタイム」を大声で怒鳴ります。次にチェックカードをもらったら記入内容をかならず確認します。受け取るときにたいがい「がんばってください」とオフォシャルが声をかけますから「ありがとうございます。」と返事しましょう。苦労してラリーをやってくれているオフィシャルに感謝の意を表します。
 学生ラリーでナビが取りに行く場合に左ドアを開放したままにすることは減点になることがあります。尚、CP付近では右ドアは開放禁止です。(危険防止の為)
 CPからスタートするときには、まずコマ図を確認します。CPスタート後は忙しいのでミスコースしやすく、ドライバーの心理として止まっていた時間の遅れを早く取り戻そうとしてとばします。ナビも早くラリーコンピュータの処理を行いたいのですが、ぐっとがまんしてまずコマ図を確認するようにします。CPインの前から次のコマ図を意識しておくことも重要です。

 申告CPという自分で正解到着時間をオフィシャルに申告するCPもありますが、これはどんどん処理して進んでいってかまいません。ただ、PC、距離、スタート時刻を記録していくことを忘れないようにして下さい。CPに到着すると30秒以内に申告しなけらばならない場合もありますので、この場合にはCP手前までで検算をすましておきます。計算は、 CPin時間+「ファイナルタイム」=正解時刻  
です。

先頭に戻る   上の写真はJMRC関東チャンピオンラリーシリーズ(C地区戦)  CAT'Sセミナイトラリー >>>ナビで2位(ドライバーは現在全日本Bクラス出場の永瀬氏)

3.アルファ補正
 アルファ補正とは、ODで補正率を正確にとっても、タイヤのすり減り(通常では考えられないほど磨耗します)、走り方、タイヤの空転などにより、距離が多く出たり少なく出たりするものを補正することです。アルファ補正の方法には下記の3つがあげられます。ただし、正確にナビの仕事ができるよになってから考慮して下さい。これを行うと一見かっこいいように思えますが、基本の仕事ができてからでないとやらない方が好結果を招きます。また、4WD車の場合あまりシビアに補正しない方が良いかもしれません。

   −−− [アルファ補正の方法]−−−

  1. コマ図補正
     コマ図ごとにオフォシャルの距離と実際の走行距離(MAPボタンを押したときにホールドされている距離)を補正するものです。ただし、コマ図の距離が100m単位のときはかえって不正確になるので行ってはいけません。計算は「コマ図の距離−自車の距離」/速度=時間をファイナルタイムに足します。すなわち距離が多く出たとき(なかなかコマ図が出てこない時)には、タイヤが空転しているわけですから、遅れているわけです。
     もし、コマ図がなかなか出てこないときには、遅れているので適当に先行気味で走ってもらいその間に素早く計算を行います。関数電卓でプログラムできる場合にはプログラムする、暗算が得意な人は、速度を秒速に換算(速度km/s/3600*1000=m/s)して暗算してもOK。私の場合は、秒速表を画板に張り付けて暗算でだいたい何秒かをドライバーに伝えてから電卓で計算しています。)距離が少なく出てきたときには先行しているのでゆっくりまたは、止まれという指示をします。

  2. PCごとの補正
     実際に一番有効な方法はこのPC間を電卓で計算してしまい、スタートタイムを入れ替えていく方法です。ナイトラリーでは殆ど電卓で計算できてしまう場合もあるので、計算でできる区間は必ずこの方法で計算します。


 あなたも金メダル目指してがんばりましょう! 左が筆者です。OCC新潟ダイナミックラリー表彰式  優勝(ドライバー)
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