以前では力の分解を利用する問題で、よく斜面上に置かれた物体の図が出てきました。
斜面上に物体を置くと重力とは違う向きに運動をしてしまいますね。ここでは斜面上の物体にはたらく力をマスターしましょう。
なお、重力をあつかうので、力の単位には質量の値がそのまま使える「g重」「kg重」の単位を使っていきます。必要ならば100g重=1Nで換算してください。
分解の方向
斜面に物体を置くと、そのまま斜面にそって動いていってしまいそうな気がしますね。
下り坂では自転車をこがなくても勝手に進んでいってしまいます。
斜面上の物体を動かす力になっているのは、物体にはたらく重力です。斜面上の物体にはたらく重力はつねに斜面に平行な分力と斜面に垂直な分力に分解されてはたらいています。
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ここで、もし斜面上で物体が止まっていられるなら、重力の斜面に平行な分力とつり合う力が別にはたらいているときです。
そんな場合を例題で考えていきましょう。
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鉄球の斜面にそった重力の分力とおもりが鉄球を引く力(おもりの重力と同じ大きさ)
がつり合っている場合ですね。まずお約束。重力を分解しましょう。
この三角形の場合、斜面に平行な分力の大きさは
カンタンに求まります。
こちらを参考にして、重力の半分であることを確認してください。重力の分力のうち、斜面に垂直な分力は斜面からの抗力とつり合っています。
斜面に垂直な方向の運動はありません。この鉄球が転がろうとする力は200g重ですね。
これとつり合うのが糸の張力です。また、糸の張力はおもりの重力ともつり合っています。
定滑車は力の向きを変えているだけです。おもりにはたらく重力は200g重なので、
おもりの質量は200gですね。
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斜面との摩擦力が物体の落下を支えている場合です。
摩擦力は物体の運動をさまたげる向きにはたらきます。ここでもさっそく重力を分解してみましょう。
斜面をつくる三角形の各辺の比は3:4:5なので、
落ちようとする力(斜面に平行な重力の分力)は200(g重):χ(g重)=5:3
よって、χ=120(g重) 比例式の使い方はこちらで、120g重となりました。
ついでに求めると、斜面に垂直な分力は160g重です。これは斜面からの抗力とつり合います。
摩擦力はこの落ちようとする力120g重とつり合います。
斜面と物体の間の摩擦力は120g重ですね。
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