2力を合成して同じはたらきをする合力を使ってつり合いなどを考えてきました。力は合成だけでなく、分解もできます。
力の単位には以前の単位「g重」「kg重」を使っていますが、Nでも考え方は同じです。必要ならば
100g重=1Nとして換算してください。

力の分解

2力の合成とは逆に、1つの力は同じはたらきをする2力に分けて考えることもできます。
1つの力を決めた方向の2力に分けることを力の分解といい、分けた2力をもとの力の分力といいます。

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物体が図のように糸で固定されています。
  物体が動いていないということは、物体にはたらく力はつり合っています。実際は重力とつり合う力
  は2本の糸の張力のはずですね。一直線上にありません。糸の張力を求めてみましょう。


重力とつり合う力を想定してみます。
  2本の糸の張力の合力がこの力になるはずですね。

この力が平行四辺形の対角線になるように
  平行線を引きます。

平行四辺形の2辺がこの力の分力として
  求まりました。

実際つり合っているのは、この3力ですね。

1つの力はどの方向にも分解することができますが、ふつうは「支える糸やひも」にそって、または「運動の方向とその垂直方向」に分けて考えます。

力の分解

その力が対角線となる平行四辺形の2辺が分力となる

平行線の引き方はこちらを参考にしてください。

分力の角度と大きさ

同じ1つの力でも、分ける方向によって分力の大きさが変わります。具体的に見ていきましょう。

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同じ向きに2本のひもで引くとき
2本のひもで物体の重さを分け合うので、張力はそれぞれ重力の大きさの半分ですみます。

少し角度を広げましょう。
分力を求めると、張力は少しだけさっきより大きくなりました。

さらに広げます。
張力はそれぞれさっきより大きくなりました。

2本のひもの角度を120°にしたとき
この場合、張力はそれぞれ重力の大きさと同じになります。

もっと広げてみます。
張力は重力より大きくなり、広げすぎるとひもが張力に耐えきれず切れてしまいます。

ふたりで同じ長さのひも付きの荷物を持つときなどは、お互いにあまり離れないように持ったほうが力が少なくてすみそうですね。

【例題2】

天井のA・B点に糸を取り付け、O点に質量200gの物体をつるしたら右図のようになってつり合った。

糸OBの張力は何g重か。

質量200gの物体にはたらく重力は200g重です。この200g重とつり合う力が糸OAと糸OBの張力の合力になりますね。

重力とつり合う力(鉛直上向き200g重)を
糸の方向にそって分解してみましょう。

「重力とつり合う力」と「糸OBの張力」がつくる
三角形(うすい色つきの部分)に注目です。
この三角形は△OABと相似ですね。

この形の直角三角形では、いちばん短い辺は
斜辺の長さの半分です。
こちらを参考にしてください。

よって、糸OBの張力は200g重の半分、
200(g重)÷2=100(g重)
で、100g重となります。

作図しただけでも糸OAの張力のほうが大きいことがわかりますね。
ふたりでちがう長さのひも付きの荷物を持つときは、長いほうのひもを荷物から離れて持つほうが軽い、ということになります。

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