図1のような手作りのモーターを作成した。エナメル線でコイルを作り、ゼムクリップの台を乾電池につないで電流を流し、下に磁石を置くとコイルが回るはずである。所が実際は、回転がすぐに止まったり、コイルの回転方向が半回転ごとに変わったりして上手く回らない。モーターが回るしくみからその原因を究明し、モーターを完成させたい。
まず、モーターを作る際、次の3点に注意した。

○コイルは回転しやすいように重心の位置やバランスを考えて巻いた。
○コイルとゼムクリップとの接続部分(図1のC)は電流が流れるようにエナメル線のエナメルを
 十分にはがした。
○大きな力が働くように十分に強力な磁石を使用した。

ただし、コイルに流れる電流の大きさは適当であるとする。
また、図2はコイルを矢印の方向から見た断面図である。@ABC@でコイルが1回転し、半回転ごとに分けて@ABをT、BC@をUとする。ただし、Aでの電流の向き×は問題用紙の表から裏、Bでの電流の向き●は問題用紙の裏から表の向きを表す。

  

(1)コイル周辺の磁界の向きはどちら向きか。上か下で答えよ。
(2)AとCで、Aの部分が磁界から受ける力の向きはそれぞれどちら向きか。右か左で答えよ。
(3)次の文章を読んで、( )に適切な語句をまた[ ]の中には文章を入れよ。

コイルが一定方向に回転するためには、磁界から受ける力の向きが回転を促す方向に働かなければならない。AとBでは電流の向きが逆向きなので働く力は(ア)向きであり、対称性からAの部分にのみ注目して考えればよい。コイルのAの部分が磁界から受ける力の向きはTとUで(イ)向きなので、コイルが半回転するごとすなわちTとUでコイルの回転方向が変わり、一方向にうまく回らない。したがって、TとUでAの部分が受ける力の向きが(ウ)向きになればよい。磁界の向きは磁石を置くと決まるので、力の向きを変えるためには(エ)の向きを変えなければならない。そのため通常のモーターには(オ)と呼ばれるものがついている。しかし、手作りモーターの場合は電流の向きを変えることは難しいので、電流の有無で(オ)の代わりをする。すなわち、TとUのどちらかの区間で電流を流さないことにより、半分の区間で受けた力の勢いで残りの半分の区間を回るようにすればよい。以上のことから、実際にコイルを一方向に回転させるためにはCの部分に[カ]という工夫をすればモーターが完成する。

ご質問: yukitakaさん(2005/1/28)

参考ページ…電流が磁界から受ける力  モーターの原理

(1)

これは問題ないですね。
コイルの下には磁石があり、N極が上を向いています。
N極から磁力線が向きに出ています。参考…磁石の磁界

(2)

磁石の磁界の向きはつねに上向きです。
受ける力の向きは、まわりの磁界の向き(磁石の向き)と電流の向きで決まります。
Aが上側にあっても下側にあっても、電流の向きが同じなので、Aの場合もCの場合も同じですね。
左手(フレミングの法則)で求めると簡単です。
↓は「磁石の磁界」と「電流がつくる磁界」の向き関係から「受ける力」を求めた場合です。

    

電流の向きが「こちらから向こう」のAではいつも力は向きに受けていますね。

(3)

↑の図より、A(×)とB(●)は電流の向きが逆向きなので、AとBが受ける力は(ア)向きになります。

  

Tの場合もUの場合も、まわりの磁界の向き(上向き)が変わらず、A部分(×)の電流の向きも同じなので、A部分はいつも同じ(イ)右向きの力を受けています。
これでは、半回転ごと(TとU)にまわる向きが逆になってしまって、うまくまわりませんね。
Aの部分が受ける力がTとUで(ウ)向きになれば、TとUでまわる向きが一定になりそうです。

まわりの磁界の向きは下に置いた磁石で向きが決まってしまいます。でも、半回転ごとに磁石をひっくり返すわけにはいきません。
受ける力は「磁界の向き」と「電流の向き」で決まるので、磁界が変えられないなら、電流(エ)の向きを変える工夫をすればいいですね。
ふつうのモーターなら、整流子(オ)がブラシと接触するようになっています。
整流子が途中で切れた構造をしているため、半回転ごとに電流を一時的に切り、電流の向きを変えることができます。

図1のような簡単なつくりでは、整流子のような構造のものをとりつけるのは難しいです。
そこで、TかUのどちらかで電流が流れなければ受けた力の惰性で1回転くらいまわりそうですね。

   

↑のようにエナメルを一部残す(カ)ようにはがせば、半回転ごとに電流を切ることができます。

答え

(1)上
(2)A右C右
(3)ア…逆  イ…同じ  ウ…逆  エ…電流
  オ…整粒子  カ…エナメルを一部残す

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