右の図のような装置で、なめらかな斜面にそって、質量が1.0kgの力学台車を、P点からQ点までゆっくりと80cm引き上げると、もとの位置より28cm高くなった。

力学台車をQ点まで引き上げたときに、
ばねばかりが示していためもりは何kg重か。

ご質問: アンドレさん(2003/2/13)

解説

問題文に「ゆっくりと引き上げる」という表現がされているときは、「台車が斜面を下ろうとする力」と
ばねばかりが台車を引く力」がつり合うように引き上げたことを意味します。

ばねばかりが示すめもりは、「ばねばかりが台車を引く力」の大きさですね。
これとつり合う(大きさが同じ)「台車が斜面を下ろうとする力」を求めればいいわけです。

斜面の問題を見たら、まず重力を「斜面に平行な方向の分力」と、「斜面に垂直な方向の分力」に分解しましょう。
この台車の質量は1.0kgなので、台車にはたらく重力は鉛直下向きに1.0kg重ですね。関連ページ

このうち、「重力の斜面に垂直な分力」は、「斜面からの垂直抗力」とつり合っています。
(もしつり合っていなければ、台車は斜面に垂直な向きにも運動します。斜面に平行な向きにしか、台車は動きませんね。)
だから、ここでは「斜面に垂直な分力」は考えないことにしましょう。

ここから先は数学っぽくなります。

線分PQ(80cmの斜面)と高さ28cmのつくる三角形と、
重力の分解でできる三角形は互いに相似です。

相似→対応する辺の長さの比は等しい

このことを使って斜面にそって下る力を求めていきましょう。
これをχkg重としておきます。

2つの三角形の対応する辺は線分PQ(80cm)に対して重力の1.0kg重、
斜面の高さ(28cm)に対しては重力の斜面に平行な分力χkg重
となりますね。

よって、80(cm):28(cm)=1.0(kg重):χ(kg重)
(80cmと28cmの比は1.0kg重とχkg重の比に等しい)

これを解くと、 χ=0.35(kg重) 比例式の解き方

比ですから、式は上のものだけに限らず、 
80(cm):1.0(kg重)=28(cm):χ(kg重)
(80cmの辺には1.0kg重の辺が対応し、28cmの辺にはχkg重の辺が対応する)
でもいいですし、「80:28」を「20:7」にしてから計算してもかまいません。

答え

0.35kg重

 

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