次の実験について答えなさい。
図のように、鉄の輪に2つのコイルを巻き、一方にはスイッチS1と電池を、他方にはスイッチS2と検流計をつないだ。
次の(1)〜(5)のとき検流計に電流が流れるか。流れるときは○、流れないときは×を書け。
また、流れるときはその向きがa→検流計→b、b→検流計→aのいずれであるか答えよ。

(1)スイッチS2を閉じておいてしばらくしてスイッチS1を閉じたとき。
(2)スイッチS1を閉じておいてしばらくしてスイッチS2を閉じたとき。
(3)スイッチS1、S2ともに閉じたままになっているとき。
(4)スイッチS1、S2を閉じておいて、スイッチS1を開いたとき。
(5)スイッチS1、S2を閉じておいて、スイッチS2を開いたとき。

ご質問: keiichiroさん(2003/1/5)

(1)

「スイッチS2を閉じておいた」ということは、左側のコイルが回路をつくっているということです。
(電磁誘導が起きると、誘導電流が流れる状態にある、ということ)
スイッチS1が開いている状態では電流が流れていないので、鉄の輪には磁界が生じていません。

そこでスイッチS1を閉じると、右側のコイルは電磁石になります。

電流の向きから考えると、磁界の向きは上の図の赤い矢印のように生じると思われます。関連ページ
まず、右側のコイルがつくる磁界の向きを「右手」で確認してください。
鉄は磁界を強めるはたらきをします。磁界はそのままの向きで左側のコイル内にも生じます。関連ページ

ここで左側のコイルはこれに逆らおうとして下の図のように反対向きの磁界をつくろうとします。

こちらから見て上向きに磁力線ができるように電流を流すなら、b→検流計→aの向きですね。これが誘導電流となります。

よって、左側のコイルの中の磁界が変わったので、電流はb→検流計→aの向きに流れることになります。

(2)

スイッチS1を閉じると磁界は(1)の図の赤い矢印のように、輪の上から見て反時計回りにできました。
そのときスイッチS2を開いていても左側のコイル内には同じ向きに磁力線が通っているはずですね。
スイッチS2を開いているということは、スイッチS1を閉じたときに生じるべき誘導電流が流れる回路ができていない、ということです。
磁界の変化の瞬間だけしか電磁誘導は発生しないので、「しばらくして」スイッチS2を閉じても、誘導電流は発生しません

(3)

どちらのスイッチも閉じたまま、ということは、(1)の状況をそのままにしておいた状態ですね。
磁界の変化の瞬間だけしか電磁誘導は発生しないので、誘導電流は発生しません

(4)

(1)の状態が落ち着いたときに、急にスイッチS1を切って、磁界の発生を止めてしまったときです。
この場合、左側のコイルはそれまでの磁界を維持しようとするので、下の図のように誘導電流が発生します。

よって、左側のコイルの中の磁界が変わったので、電流はa→検流計→bの向きに流れることになります。

(5)

スイッチS1、S2を閉じておいたというのは、(1)をそのままにして落ち着いた状態です。
ここで左側の回路が開こうが閉じようが、磁界の変化の瞬間だけしか電磁誘導は発生しないので、誘導電流は発生しません

答え

(1)○、b→検流計→a
(2)×
(3)×
(4)○、a→検流計→b
(5)×

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