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電子式セミ/フル切替器

制御基板 電子回路によって、セミ/フル/3点バーストの切替を行うシステムを開発しました。

電子化しようとしたきっかけ

TOPの64式に東京マルイAK47のメカを移植する試みは成功しましたが、ただ移植しただけでは単発(セミオート)が出来ません。AK47にはセミ/フル切り替え機能が付いていますが、これに64式の切替レバーを連動させるのは、私の機械加工技術では難しそうでした。しかし、電子回路を用いれば、比較的容易に目的を達せそうだと判断し、検討を始めることにしました。
(私が電気工学出身という要素大)

本システムの概要

単発の制御にはマイコンを使用することにしました。1発発射したことを検知したら、トリガを戻して再度引くまで、モータを止めるようマイコンで制御します。マイコンで直接モータのオンオフはできないので、マイコンからの信号によって半導体スイッチをオンオフさせてモータを制御します(3点射にすることも可能です)。

なお、モータのオンオフは、フルオート時も含め全て半導体(MOSFET)で行い、トリガに連動するスイッチは、マイコンにオンオフ指令を与えるために使用することにします(スイッチには微弱な電流しか流れなくなるので、アークによる接点汚れや摩耗はなくなる)。

主回路の構成

主回路ツナギ従来の回路は、8.4Vバッテリに対し、スイッチ(引金についているもの)・モータ・ヒューズ(15A)が直列接続されていました。今回は、セミオート(以降単発と呼ぶ)・フルオート(以下連発と呼ぶ)の切替メカニズムを簡素化するため、電気的な方法でモード切替を行うこととします。

今回使用した用品のリストは、こちら

主スイッチ

今回選定したIRL1404

今回選定したIRL1404

主スイッチには、従来の引金スイッチの代わりに、半導体スイッチング素子を使用します。これは微弱な電気信号により、容易にオンオフできるためです。

スイッチング素子には、サイリスタやIGBT、MOSFETなどがありますが、制御や入手のしやすさ、定格の関係から、MOSFETを選定します。今回は、IR社(米国)のIRL1401を使用しました。選定詳細はこちら

環流ダイオード

富士電機ERC81-04

富士電機ERC81-04

モータは誘導性負荷であり、スイッチオフしてもしばらくの間は電流を流しつづけようとする性質があるため、電流の行き場がなくなると、サージ電圧を発生させ、スイッチの絶縁を破壊して電流を流し続けようとします。従来のトリガ連動スイッチの場合はアークが飛ぶだけで済んでいましたが、MOSFETの場合は過電圧によって素子を破壊されてしまいます。これを防ぐため、モータと逆並列にダイオードを接続し、オフ後の電流の行き場を確保します。

今回は、富士電機のERC81-04を使用しました。ダイオードの選定詳細は、こちら

過電流保護

過電流保護用の15Aヒューズは、従来どおり残しておきます(バッテリに直列接続)。マイコン暴走時やFET破壊(通常は短絡故障、つまりオンしっぱなしになる)した場合でも、事故電流を遮断することができます。

制御回路の構成

FETのゲート駆動回路(FETのオンオフ制御回路)について解説します。

制御回路では、1発発射したところでモータを止めたり(単発)、3発数えてモータを止めたり(3点射)、引金を引いている間中発射し続けたり(連発)といった制御を行います。この制御には、米国製のPICというワンチップマイコンを用います。これにより基板を大幅に小型化できるほか、論理の変更をソフトウェアの書き換えだけで実現できるためです。

制御回路図と解説は、こちら

マイコン

左がPIC12F629

PIC(左がPIC12F629)

制御用のマイコンには、米国Microchip社製のPICを使用します。外観は普通のICと変わりませんが、立派な8bitマイコンです。小型・安価、開発ソフトがメーカーから無償で提供されているなど、多くの利点があります。

今回は、PICの中でも最も小型のPIC12F629(写真左側)を使用します。内部にクロック発振回路が内蔵されているため、PIC外部に発振回路を設ける必要がありません。1個140円なり(秋月電商)。

なお、PICもコンピュータなので、制御ソフト(プログラム)を書き込まないと動作しません。制御ソフトの詳細は、こちら

制御電源

7805

三端子レギュレータ7805

バッテリ電圧は8.4Vですが、PICは5Vで動作します。そのため5Vの電源が必要になります。今回は、三端子レギュレータ7805を使用することにしました。8.4Vと5Vの差分は熱となって放出されてしまいますが、非常にコンパクトにできます(DC-DCコンバータを使ったら、こうはいかない)。

写真は、どちらも7805(東芝製TA7805)ですが、左側の小さい方を選びます。

三端子レギュレータの前後には、平滑用の電解コンデンサを入れます。背の低いものを選定しましょう。また、逆流防止のダイオードを入れます(これは1A以下定格の整流用ダイオードでよい)。

射撃開始指令

引金からの射撃開始指令は、元々電動ガンに付いているスイッチを用います。このスイッチには数mA程度の微弱な電流しか流れなくなるため、細い線に取り替えても大丈夫です。スイッチをPICの入力に接続します。

モード切替

カムスイッチ(裏側) モードの切替は、切替レバーにマイクロスイッチとカムを設け、単発位置にあるときは単発スイッチ、3点射位置にあるときは3点射スイッチ、連発位置にあるときは連発スイッチをカムが押すようにすることで、マイコンにモードを認識させます(どれも押されていない時は安全)。

ゲート抵抗

マイコン出力とFETのゲート端子の間には、ゲート電流を制限するためのゲート抵抗を挿入します。抵抗値はFETによって異なりますが、100〜220Ωといったところでしょう。

カットオフ機能

今回の最大の課題は、1発(あるいは3発)発射したことを電気的にどのように検知するかということです。従来は、セクターギヤの軸に設けられたカムがカットオフレバーを動かすことにより、引金スイッチを切り放していました。これに相当する機能を電気的に実現する必要があります。

セクターギヤの位置検知法

磁石を貼り付けたセクターギヤ 最初に考えたのが、カットオフレバーとマイクロスイッチを連動させる方法です。しかし、従来は単発の時のみ動いていたのが、今回は連発の場合でも常に動くため、サバゲ1日でBB弾3000発(人にもよるが…)を消費するとして、月に2回もゲームに参加したら、半年もしないうちにスイッチの寿命が来ます。その度にメカボックスの蓋を開けるのも嫌なので、この案は却下となりました。

そこで、非接触でセクターギアの位置を検知する方法を採ることにしました。これならノーメンテナンスにできます。今回採用した方法は、セクターギヤに薄い磁石を貼りつけ、磁気センサで検知する方法です。セクターギヤがピストンを開放する位置に来た時、磁石がセンサの真上に来るようにします。そして、磁石がセンサの真上に来た時、FETをオフします(3点射時は3回目でオフ、連発時は無視)。

磁気センサ

MRSV92B

磁気センサMRSV92B

センサにはNECのMRセンサ・MRSV92Bを使用しました(200円,千石電商)。また、磁石は、センサの感度がよいので、学校の黒板に貼り付けるような薄いマグネットシート程度の大きさ・薄さのもので十分と思いますが、今回だけは薄型の強力磁石(東急ハンズで購入)を使ってみました。

センサの外形は、普通の3本足トランジスタと同じです。センサの頂部の真上に磁石がある時だけ、センサの出力が0.4Vから4Vに変化します。

センサ信号の増幅

NJM311

NJM311

センサは一般に微弱な電流しか取り出せないため、増幅器(アンプ)が必要になります。オペアンプを用いた電圧ホロワ回路でもよいのですが、今回センサから取り出したい信号は、磁石の有無だけですので、コンパレータICを使用します。センサ出力は、磁石なしの場合でも0.4Vくらいありますので、0Vと比較するのではなく、2.5Vと比較することにします。

コンパレータには、新日本無線のNJM311Dを使用しました。これはナショナルセミコンダクタのLM311互換品で、同様の互換品としてはNEC μPC311があります。この3つのうち、手に入るもの(または安いもの)を使えばよいでしょう。

完成

制御基板何とか64式の木製銃床に納まるように小型化しました。上半分に見えるのが、マルイ純正のラージバッテリーで、大きさの比較のため写しています。

3点射の機能もあるので、MP5JやM16A2に実装するとリアルになります。私はというと、マルイから89式が出たら、即刻実装するつもりでいます。

…と思っていたら、マルイの89式は機械式の3点射機能搭載だってさ。わざわざ改造する意味はなくなって、嬉しいやら悲しいやら。

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