一ルーニーほどして、伯母が迎えに来た。
剃髪した妹を見て、泣きながら抱きしめた。
「なんと早まったことを!」
伯母がさめざめと泣くのを見て、妹は悔いた。
「こんなことになるのなら、早くあの子と娶せるのだった! かわいそうに!」
伯母は、やはり自分を愛していたのだと思った。それがわかっただけで、もう、じゅうぶんだと思った。
「ところで、子どもは?」
伯母が訊ねた。妹は人づてに里子に出したと答えた。
「誰に預けたの?」
伯母は訊ねた。
信頼のおける人に。尼となっては、もう自分の子は育てられないから、と答えた。
「おまえひとりの子じゃないのよ。あの子の子どもでもあるのだから。どこに預けたの」
伯母は執拗だった。
伯母にとっては、かわいい孫で、大事な跡継ぎだもの、当然だわ。
こんなに心配して、愛してくれるのだから、本当のことを言ってしまおうか。
でも、もう一つだけ、隣国の王弟に従ってみよう。
「他国に預けましたの。さる高貴な方に事情をお話ししましたら、快くお引き受けくださいましたの」
伯母の顔が蒼白になった。
妹の両腕を握りしめ、激しく揺さぶった。
どこの誰だ、きちんとおっしゃい、どこそこの誰々か、それともこちらかあちらかと、訊ねる口調には殺気すら混じっていた。
なぜ、蒼くなるの?
妹は思っていた。
お礼を言って引き取りに行けばいいだけじゃないの。むしろ、他国を味方につけて、私たちの仲を正式に認めさせたらいい。
なのに……。
妹は心に決めた。
決して真実は告げまい。