【第152回】

 

〜 リュウイン篇 〜
第4部 ふたたびリュウイン(中編)
23章 忠誠 ……その14

2009.3.11

 

 上機嫌で、ヒプノイズの部屋にもどった。

「ワインは飲ませたか?」

 タラン・ヒプノイズが訊ねた。

 けんもほろろに追い返されたとは言えなかった。

「もちろんだとも!」

 胸を張ってみせた。

「姉上は、それはそれは気に入られ、またぜひ飲みたいと仰せられた。私の顔が立ったぞ」

 タラン・ヒプノイズは鼻を鳴らして笑った。

「ほかの二人にも飲ませたのか?」

「もちろんだとも! 二人とも、先を争うようにして飲み干した」

 言ってから、リズが未成年であることに気づいたが、今さら取り消すことなどできない。

「そうか。よくやった」

 タラン・ヒプノイズはニヤニヤ笑い、周りもそれに倣った。

「手柄に免じて、おまえには、あのドブスのチビをやる。年増は……」

 弟たちを見る。

「おまえたちの好きにしろ」

「一人じゃ足りませんよ」

 と、従弟のシケが言った。

「兄貴が終わったら、オレにも回せよ」

 弟のフュトが言う。

 

 

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