上機嫌で、ヒプノイズの部屋にもどった。
「ワインは飲ませたか?」
タラン・ヒプノイズが訊ねた。
けんもほろろに追い返されたとは言えなかった。
「もちろんだとも!」
胸を張ってみせた。
「姉上は、それはそれは気に入られ、またぜひ飲みたいと仰せられた。私の顔が立ったぞ」
タラン・ヒプノイズは鼻を鳴らして笑った。
「ほかの二人にも飲ませたのか?」
「もちろんだとも! 二人とも、先を争うようにして飲み干した」
言ってから、リズが未成年であることに気づいたが、今さら取り消すことなどできない。
「そうか。よくやった」
タラン・ヒプノイズはニヤニヤ笑い、周りもそれに倣った。
「手柄に免じて、おまえには、あのドブスのチビをやる。年増は……」
弟たちを見る。
「おまえたちの好きにしろ」
「一人じゃ足りませんよ」
と、従弟のシケが言った。
「兄貴が終わったら、オレにも回せよ」
弟のフュトが言う。