晒し者
和美は夢を見ていた。綺麗な花壇の中を恋人と歩く夢だった。恋人と話す自分はとても幸せそうだ。恋人は一本の花を摘み取りそれを和美に渡してくれた。その匂いを嗅いだ和美はうっとりする気持ちになった。
突然、それまで晴れていた空が掻き曇り、雨が降り出した。気が付くと恋人の姿は消えていた。和美はぬかるみ始めた地面に足を取られながら必死に恋人を探すが見つからない。
突然、目の前に巨大な蛇が現れ、赤い舌を覗かせて和美を狙い始めた。悲鳴を上げた和美は反対方向に向かって走り出しす。しかし、そこにも蛇が現れ和美は豪雨の中でびしょぬれになり悲鳴を上げ続けた。
はっとして目覚めた和美にミチルの薄笑いを浮かべた顔が飛び込んできた。夢だったと自覚した和美は深い溜息つくと顔を背ける。現実の過酷な運命の波に飲み込まれている和美は夢でも恐ろしい光景を目にし、愕然とした思いだった。
「夢でも見たんでしょう?先生、うなされてたよ」
ミチルは低い声で笑うと和美の毛布を引き剥がした。
「もう、夕方だよ。先生に叔父さんの酒の席の座興を務めて貰いたいのさ」
ミチルに叩きつけられた和美はよろよろと身を起こした。朝方まで工藤と一哉の嬲り者になったせいか身体の節々が痛み、頭もはっきりとしない和美だった。
「そら、両手を後ろに廻しても胸を張って」
ミチルに促された和美が胸を覆っていた両手を背後に廻すと控えていた裕司がキリキリ縄を掛けてゆく。
縄掛けされた和美が立ち上がると意地悪い笑みを浮かべたミチルは生え揃い始めた和美の恥毛を軽く叩いた。
「昨日は叔父さんと一哉を相手にここが大奮戦したんだってね。男二人を相手にするのも悪いもんじゃないでしょう。先生」
ミチルの嘲笑を受けても和美は表情一つ崩さず、唇を噛んでその場に立ち竦んでいる。彼らの言葉にはあくまでも無感動を装う和美であった。
「じゃあ、行きましょう」
和美の足首に食い込んでいた手錠を外すとミチルは白い背中を押した。
階段を上がって、リビングに導かれた和美はシャンデリアが吊り下げられていた鎖にその身を固定された。待ち構えていた洋輔が壁のスイッチを押すと鎖は引き上げられてゆく。和美の踵が浮き上がる程度まで鎖は引き絞られ停止した。
「相変わらず見事な身体だわ」
ミチルはその美しい全裸像を晒している和美に近づくと溜息を付いてから髪を梳きはじめた。
「おう、ようやっとお目覚めだな」
二階からの階段を下りてきた工藤が晒し者になっている和美を見つけてからい、その正面にどっかと腰を下ろすと卑猥な視線をその見事な全裸像に向けるのであった。
続いて一哉がTシャツを身に着けた由香里と裕美の背を押してリビングに入ってくる。由香里はミチルに伴われキッチンに赴き、裕美は工藤に預けられた。
「昨日は何回、気をやったんだい?先生」
近づいてきた一哉が顎に手を掛け尋ねても和美は弱々しく首を振るだけだ。
「判らないわ」
「そりゃ無理ないぜ。あんだけ長い時間絡みあったんだからな」
工藤が裕美の小さな乳房を揉みながら声を上げて笑っている。おそらく先程まで工藤と一哉に陵辱を受けていたのだろう、裕美はがっくりと首を垂れたまま何の反応も示さない。女にとっては地獄の別荘。和美は心の中で涙を流しながら裕美の心情を思いやった。
テーブルの上に次々と料理が運ばれ、彼らは食事を始めた。
しかし、和美は相変わらず晒し者にされたままだった。朝から何も食べていない和美は途方も無い空腹を感じている。それを見透かしたようにミチルは立ち上がると和美の口元に鳥の空揚げを突き付けた。
「食べたいでしょう?でも、駄目よ。先生は朝の対決に出てこれなかったので不戦敗よ。今日は一日食事抜きの上、この後、お仕置きを受けるのよ」
和美の顔色が一気に白くなっていくのを面白そうに眺めながらミチルは更に続ける。
「今日のお仕置きはなんだか判る?浣腸よ」
和美の顔が苦しく歪むのをミチルは見逃さなかった。
「ひ、酷いわ」
和美は再び、汚辱に塗れる自分を想像して嗚咽し始めた。言葉では表現できぬほどの屈辱感にのたうつ浣腸責めを再び彼らは自分に施そうとしている。一度、経験している和美の心は恐怖に慄いている。
「される時の先生の顔ってとても素敵なのよ。まあ、精々我慢してね」
ミチルは和美の震える乳房を押してそんな事を言うと自分の席に戻り再び、食事を始めるのであった。
浣腸遊び
空腹な和美を目前にして彼らの食事は終った。テーブルの上の物が片付けられ、次は自分がその上に載り、魂も凍るほどのおぞましい処刑が自分に施されるのだと和美は気が気ではない。一哉が鎖から解き放つと和美は感情を抑えられなくなった。
「お願い。あんなことはしないで」
一哉の胸に顔を押し付けて泣きじゃくる和美は無駄とは知りつつ哀願を繰り返す。
「そんなに辛いのかい?先生」
和美は涙の潤んだ目で一哉を見上げるとこっくりと頷いた。自分を苛酷な運命に追い込んだ彼らに哀願を繰り返すのはより一層、自分を惨めにさせることは判っていた。それでも浣腸責めの恐怖にそんな事は構っていられなかった。
「よう、ミチル。先生が泣いて頼んでるぜ。どうする?」
一哉はニヤリと笑ってミチルを見た。既に二人の間には何らかの打ち合わせがなされているようだ。
「そうね。由香里に身代わりになるなら構わないじゃない?」
ミチルは片目を瞑ってそんな事を言ってる。一哉も苦笑すると和美の震えるを掴んだ。
「由香里に頼んでみるんだな」
一哉に面と向かって言われた和美の気持ちは揺らいだ。由香里を自分の身代わりに立てろと言うのだ。しかし、それをしない限り自分に汚辱の責めが降りかかる。和美は意を決したように泣き濡れた視線を緊張の表情を見せている由香里に向けた。
「由香里さん。お願い。先生を助けて」
和美の悲痛な叫びを聞いて由香里は表情を一変させると及び腰になり、逃げる姿勢を見せた。
「先生が涙を流して頼んでるんだ。身代わりになりな」
工藤がその細い足首を掴むと由香里は悲鳴を上げた。
「嫌よ。先生がされればいいのよ。私には関係ないわ」
由香里が抗議しても最初からその予定だった一哉が許す筈もない。顔を赤くさせて抗議する由香里の頬を平手打ちにした一哉はTシャツを剥ぎ取ると細い腕を背中に捻り上げた。
「縛るんだ。おとなしくしろ」
必死に足掻き続ける由香里だったが裕司の手が掛かるとその抵抗も虚しく後ろ手縛りに仕上げられてしまう。
軽々と由香里を肩に担いだ一哉がその裸体をテーブルの上に投げ出すと裕司がその身体に縄を巻きつけ固定する。由香里はそんな折も足をばたつかせて暴れている。業を煮やしたミチルはその頬を激しく打ちつけた。
「いい加減に観念しなよ。恨むなら先生を恨むんだよ」
由香里の身悶えが小さくなった隙に洋輔と一哉がその足首に手を掛けた。
「嫌。止めてよ」
自らの両足が大きく広げられると由香里は大袈裟な悲鳴を放ち、腰をガクンガクンと激しく揺すった。しかし、男二人の力にはかなうはずもなく、由香里の二肢は扇のように広げられ、自在棒の両端にその足首は固く結び付けられる。
「よし、吊り上げるぜ」
一哉が壁際のスィッチを押すと鎖が巻き上げられ始める。
「嫌、嫌よ」
両足が吊り上げられる感覚に思わず悲鳴を放った由香里は二肢をなよなよと揺さぶったが小悪魔たちの嘲笑を買うに過ぎなかった。由香里の臀部を頂点にくの字型にその裸体が引き絞られると一哉はスイッチを押して巻上げを停止させた。
極限まで両足を開かされその排泄器官まであからさまに晒す衝撃。女としてこれ以上屈辱を感じる姿勢はないだろう。由香里は涙に咽びながら、独り言のように哀願を繰り返していた。
「ふふふ、由香里のこれって綺麗な色してるわ。さすがに先生とは違うわね」
ミチルはしたり顔でその部分を覗き込み、逃げも隠れも出来ない菊花を突付いては薄笑いを浮かべている。
「ちよっとマッサージをしてやってくれ。いきなりだと辛いからな」
一哉に言われたミチルが粘っこい油をそこに刷り込み始めると由香里は赤らんだ頬を横に伏せ、何も言わなくなった。もう逃れられる術はないと諦めたのだろうか?しっかりと目を伏せ、その異様な感触に耐えているのだ。
「そんなもの何に使うの?」
一哉が木槌を持ってきて浣腸器とともに配置するとミチルが素っ頓狂な声を上げた。しかし、一哉は笑っただけで何も答えず、着々と準備を進めている。
ボディソープを水に溶かし、バケツを配置して、由香里の浣腸責めの準備は整った。
「さあ、いよいよだぜ。覚悟するんだな」
「お願い。そんなことしないで」
一哉に宙に浮いた双臀を叩かれた由香里は涙を浮かべてた瞳を開いて再度の哀願をした。
「まだ、そんな事、言ってるのか?恨むなら先生を恨みな」
一哉は由香里の哀願を一蹴すると浣腸器に溶液をたっぷりと詰め込んだ。工藤もいよいよ目をぎらつかせて、矛先を埋め込まれるのを待つかのように収縮するその箇所を見つめるのであった。
「あっ」
それまで死んだように身動きをやめていた由香里が腰をくねらせ、小さな悲鳴を上げた。一哉がその凶悪な先端を深々と埋め込んだのだ。
「叔父さんからやりなよ。その木槌で軽く叩いてちよっとずつ送り込んでやるんだ」
一哉は自らの着想を自慢するように笑った。
工藤は木槌を手にするとにんまりとした笑みを浮かべ、一哉が手で支える浣腸器のポンプ目掛けてそれを振り下ろした。
「うっ」
由香里の呻き声とともに鈍い音がすると同時にポンプが押し込まれ、僅かに溶液が胎内に送り込まれた。
「まあ、面白そう。由香里に釘を打ち付けてるみたい」
ミチルはおかしそうに笑い、木槌を受け取ると由香里に打ち込んだ。その部分から受ける衝撃と冷たい溶液の感触に由香里は首を仰け反らし、浮き上がった腰を揺らしている。
小悪魔たちは由香里の反応を面白がり木槌をリレーしては残酷な遊びを続けている。
「よし、これで最後だ」
一哉が木槌を叩き落すと浣腸器の中身は全て由香里の体内に吸収された。
「どうだ。楽しかっただろう?」
一哉は空になった浣腸器を振り回して涙を流し続ける由香里の顔を覗き見て勝ち誇ったように笑った。由香里は注入が終ってもほっとするどころではなかった。体内に入った溶液がその効果を徐々に発揮し始めたからだ。
「まだ、物足りないわよね。もう一本、ご馳走しようかしら?」
一哉から浣腸器を受け取ったミチルは再びそれに溶液を満たし、由香里の眼前に突き付けた。それを目にした由香里は恐怖に引きつったような表情を見せた。
「止めて、もう、嫌」
居並ぶ小悪魔たちの陰湿な所業に由香里の胸は呼吸も止まりそうに昂っている。しかし、奴隷たちを虐げることに喜びを感じているミチルは浣腸器を手にして宙に浮いたままの由香里の下半身に移動した。
「留めは先生にお願いしようかしら」
片頬を歪めたミチルはがっくりと首を垂れたまま緊縛された全裸を床に落としている和美の方を見るのだった。
和美は怯えたような視線で激しく首を左右にふったが洋輔によって縄を解かれたその両手に木槌を握らされてしまう。
「さあ、これで由香里に止めを刺すんだ」
「嫌、出来ない。許して」
和美が再び激しく頭を振って拒否すると一哉が背後からその乳房をきつく握って揺さぶった。
「出来ないなら。先生にしてやるよ。由香里の代わりにテーブルの上に載るか?」
耳元で囁かれた和美は逡巡した。彼らの冷徹さを嫌というほど知っている和美はするしか自分がこの残酷な処刑から逃れられる術は無いと決意を固めた。由香里の怒りを買うより、自ら受ける浣腸責めの恐怖が優ったのだ。
「やるんだな?先生」
乳首を抓まれ、揺さぶられた和美はこっくりと頷くと由香里のあからさまに晒されている羞恥の前に立った。
「それを全部入れるまで先生の受け持ちだぜ」
浣腸器を由香里に突き立てた一哉は和美に決意を促した。
木槌を手にした和美は一歩前に進み出ると小さく口を開いた。
「由香里さん。許してね」
「嫌ぁー」
それまで頬を伏せて啜り上げていた由香里が金切り声を上げた。
「先生なんか嫌いよ。私をこんな酷い目に遭わすなんて信じられない」
それだけ言うと由香里は再び、嗚咽の声を洩らし始める。和美に裏切られた思いが胸の内に充満している由香里の偽らざる思いだった。自分を庇ってくれる筈の担任教師が自分を犠牲にしてまで地獄の責め苦から助かった事が由香里は許せなかったのだ。
「さあ、やりな」
浣腸器を支えている一哉に促されると和美は木槌を振り上げた。もう、何も考えちゃ駄目だ。裏切りの教師と呼ばれても和美はこのおぞましい責めから逃れなければならなかった。
「ああっ」
和美の振り下ろした木槌によってポンプが埋め込まれ、その衝撃が下半身を揺るがし、由香里の固く閉じられた口から呻き声が洩れた。
「許してね、由香里さん」
和美は心の中に念じると第二撃を打ち下ろす。ポンプは更に前進し、その溶液を由香里の体内に侵入させる。由香里は真っ赤になった頬を左右に揺らして込み上がってきた便意を堪えるのに必死だった。
ようやっと和美の注入は終わりを告げた。木槌を返した和美は元通り裕司に後手に縛られながら涙をハラハラと流すのだった。
「ふふふ、由香里に嫌われちゃったみたいね。先生。ご愁傷様」
ミチルに濡れた頬を突付かれた和美は口元まで込み上がってきた憤怒の言葉を飲み込んだ。不平を口にして彼らの怒りを買うことの恐ろしさを何度も思い知らされている和美は悔しさを噛み殺すことしか出来ずに目を伏せた。
一方、由香里には地獄のフィナーレが刻一刻と近づいていた。大きく首を仰け反らし、吊り上げられた二肢をゆさゆさと揺さぶっている。限界が近いことは誰の目にも明らかだった。
「ねえ、後はお願いできるかしら?」
「いいぜ。今夜は裕司と二人で由香里を慰めてやるから」
由香里の太股に手を掛けてその苦しげな蕾を見ていた一哉が片目を瞑って答えるとミチルは和美を立ち上がらせた。
「今日は私と洋輔が二人掛りで先生を楽しませてあげるわ。行きなさい」
ミチルに肩を押された和美はフラフラとした足取りで歩き始めた。ミチルの嬲り者にされる悔しさはあったが由香里の壮絶な姿を正視する自信が無かった和美にとってはむしろ安堵した思いだった。