対決の朝

 「おきなよ。先生」

 和美は和也に蹴飛ばされて地下室で目を覚まさした。昨日、海に遊びに行った彼らは帰宅し後、和美と裕美を引きずり出し、その肉体を弄んだのだ。

 昨夜、遅くになって地下室に戻された和美は朝になっても疲労感が完全に抜け切ってはいない状態だった。

 「いつまで寝てるんだい。今日から趣向を変えた遊びをするんだ。とっとと起きな」

 「工藤君。まだ、疲れてるの。午前中は休ませて欲しいわ」

 和美が哀れっぽい表情を浮かべるとミチルはにんまりと笑って腰を落とし、和美の強張ったままの頬を突付いた。

 「先生。昨日、約束したでしょう?今日から奴隷たちの戦いが始まるのよ。我儘は許さないわ」

 昨夜、ミチルが提案した奴隷同士の戦いの結果によって順位をつける遊びをさっそく彼らは実行しようとしている。和美の心は重く暗くなるばかりだ。

 和美が毛布を投げ捨て、その美しい全裸像をその場に晒すと、ミチルは手錠を嵌めた。

 「さあ、行きなさい」

 ミチルに背を突かれた和美は裕美ともに一回への階段を上がり始めた。 

 リビングを抜けて庭に出された和美は由香里と洋輔と裕司が控えているプールサイドに導かれた。一哉は由香里を二人の隣に位置させるとその前に立った。

 「今日は奴隷たちの水泳大会だ。このプールを往復する。最下位になった奴隷には今日一日食事は抜きだ。いいか?」

 「待って」

 由香里が不満の声を上げた。食事の仕度を手伝ったり、一緒に海に行ったりしててっきり自分は奴隷としての立場を脱却したと思っていた由香里は和美たちと同列に扱われることを信じられない様子だった。

 「私は先生と違うわ。こんな目に遭うのは嫌」

 激しい声を上げた由香里の頬を一哉は遠慮なく引っ叩いた。

 「お前も奴隷なんだ。ただ、先生と違うところは嫌になったらいつでも俺たちから離れることが出来るだけなんだ」

 由香里は打たれた頬を抑えて涙が溢れそうになるのを必死に堪えていた。しかし、一哉はそんな由香里の態度が気に食わない様子で大きな声を張り上げる。

 「お前だけTシャツを着てたら不公平だ。さっさと脱げ」

 由香里がTシャツを脱ぐと三人の女が全裸でプールサイドに並んだことになる。ミチルと洋輔は顔を見合わせあって苦笑した。

 「待ってよ」

 一哉が三人をスタート位置に就かせようとするのをミチルが制止した。

 「先生は泳ぎは得意の筈よ。去年の水泳大会で模範演技を見せてくれたもの」

 ミチルは鮮やかなクロールで学校のプールを泳ぎぬいた和美の姿を覚えていた。

 「ハンディを付けないと他の二人には勝目は無いわ」

 「どんなハンディを付けるんだ」

 一哉の言葉にミチルは含み笑いを浮かべて和美に近づいた。

 「先生には後手錠で泳いでいただくわ」

 ミチルは手錠を外すと和美に後ろに手を廻すように促した。

 和美が素直に後ろに手を廻すとミチルは手錠を嵌め、今度は由香里の前に立った。

 「あなたには革紐の水着を付けさせてあげる。足を開きなさい」

 由香里は泣きそうな表情を見せて腰を引いた。そんなものをつけさせられてとても泳ぎ切る自信は由香里には無かったのだ。

 「止めて。負けちゃう」

 哀願など一切無視してミチルは由香里の細い腰に革紐を廻すときつく縛り上げ、前に垂らした紐を由香里の股間に通した。一哉も手伝って女陰に革紐を通したミチルはその出来映えに満足な笑みを浮かべて立ち上がる。

 「毛がはみ出してるけど世界最小の水着だわ」

 股間を締め上げられる不快感に身を揉む由香里を見てそんな事を言ったミチルがその場を去ると一哉が女たちをスタートラインに立たせた。

 「向うに着いたらターンして戻って来い。歩いても構わない」

 一哉はタオルを振り上げて洋輔の方を見た。洋輔がカメラを構えてサインを出すと一哉はタオルを振り下ろした。

 遂に全裸の水泳大会の幕が切って落とされた。最初に飛び出したのはノーハンディの裕美だった。遅いけど平泳ぎでしっかりと水を掻いている。

 和美はスタートこそ出遅れたが後手に手錠嵌められた裸身をくねらせながらしっかりと水を掻いて進んでいた。革紐を食い込ませた由香里は悲惨だった。足を動かすたびにその部分が刺激され泳ぐどころではない。腕だけを使って必死に泳ぎ始めた由香里であった。

 レースは裕美が最初にターンし、それを和美が追う展開となった。後半、疲れてスローペースになった裕美を和美は一気に抜き去り、トップでゴールした。

 やはり、最下位は由香里だった。革紐は由香里にとってあまりにきついハンディだった。

 「おい、あがってこい」

 他の二人がタオルで身体を拭っているのにプールの中に身を沈めたままの由香里に腹を立てた一哉が怒鳴ると由香里はのろのろとした動作でプールから上がった。

 「俺は由香里を地下室に繋いで来る。準備を頼むぜ」

 一哉は言い捨てると由香里の背を押して室内に消えた。

新しい悪魔

 和美は彼らのドライブに付き合わされていた。海岸線を走る車内では小悪魔たちははしゃいでいたが和美の気分は重く塞がれたままだった。

 こんな状態がいつまで続くんだろう?少年たちに心と身体を弄ばれ、大抵の事には驚かなくなっていた和美ではあるが、先のことを考えると言い知れぬ不安が胸をよぎる。こんなことはいつまでも続く筈は無い。学校が始まったらどうなるんだろう?

 「よう、先生」

 黙りこくったまま俯いている和美に気が付いて一哉が声を掛けた。

 「先生は俺たちとこんなことになるなんて一ヶ月前までは思いもしなかったろう。でも、毎日、やれてある意味幸せだろう」

 和美は一哉のからかいの言葉に胸が詰まって思わず涙ぐみそうになる。最近では一哉の手管によって肉の悦びを覚えるようになった和美には返す言葉も無かった。

 「昨日だってよ。何度も逝ったもんな」

 「へえ、そうなんだ」

 ミチルも話に割り込んできて和美の悔しそうに歪む横顔を覗き込んだ。

 「女なんて嫌な奴にやられたらそんなに昂ぶるもんじゃないよ」

 「俺がうまいんだんよ」

 ミチルは一哉に額を突付かれるとキャッキャッと笑い声を上げた。和美の心は閉ざすように瞼を閉ざした。こうするより惨めな自分を救う方法がないと思っている和美であった。

 車は岬に着いた。一哉たちは車を降りたが和美と繋がったままの洋輔は車を降りなかった。

 「内村君。私たちをどうするつもりなの?こんな事いつまでも続けられないわ」

 和美は真剣な顔をして洋輔を見た。

 「先生次第だな。先生が僕たちの奴隷でいることを受け入れてくれれば学校にも行ける」

 「もう、私はあなたたちに全てを奪われたのよ。これ以上何が望みなの?」

 和美の必死の訴えを鼻で笑った洋輔はタバコに火をつけると煙を吹きかけた。

 「いずれテストはするよ。先生はそれを拒否すると思うけどね」

 「どんなテストなの?」

 和美が尋ねたときに笑顔を浮かべた一哉が車内に戻ってきた。

 「偶然、叔父に会ったんだ。女連れで伊豆に遊びに来たんだけど逃げられたんだってよ」

 「それで」

 「洋輔さえ良かったら奴隷たちと遊ばせてやろうと思うんだけどね」

 一哉の申し出に洋輔は驚いた。自分たちのやっていることは犯罪に変わりない。それを叔父とはいえ他人も参加させるというのだ。

 「心配ないぜ。叔父は若い頃からやくざみたいな暮らしを続けている。俺たちの一家の中では鼻つまみ者で、父親が土地を与えて縁を切ったんだ。そこにマンションを建てて今では悠々自適な生活を送ってるよ」

 「口は堅いのか?」

 「もちろんだよ。連れてきていいか?」

 「いいぜ。会って見よう」

 一哉が出て行くと洋輔は含み笑いを浮かべて和美を見た。和美は新たな悪魔の登場に身を硬くして下を向いていた。

 「やあ、始めまして」

 背の高い野球帽を被った中年の男が姿を現した。一哉に似てがっしりとした身体つきの精悍な感じのする男だった。

 「一哉がお世話になってます。何か面白い話があるということなんでお邪魔しますね」

 「宜しくお願いします。これから経験することは他言無用でお願いします」

 洋輔に言われた工藤は意味ありげに笑って頷いた。

 「もちろんですよ。さて、その隣の方が奴隷ですか?」

 「はい。我々の音楽教師の橘和美です」

 洋輔は和美のサングラスを外すとその美貌を工藤に見せた。

 「ほうー。これは素晴らしい」

 自分の姿態に卑猥な視線を放つ中年男の登場に和美は狼狽して俯いた。

 「他にも二人います。好きなようにして下さい」

 「これは夢の世界にいるような感じですな。面白い。お金を払いますよ。一泊十万円でどうですか?」

 「申し分ありません」

 生活資金が限られている彼らにとって十万円は嬉しかった。洋輔は即座に承諾した。傍らで二人の話を聞いていた和美は背筋に寒気が走った。和美にとっては新たな悪魔が登場したに過ぎなかったのだ。

 彼らはドライブスルーレストランで食事をした後、買い物をして別荘に戻った。工藤は泊まっていたホテルをキャンセルした後、自分の車で別荘にやってきた。

 「いらっしゃいませ」

 ミチルの歓迎を受けてリビングに入った工藤は驚いた表情を浮かべた。三人の全裸の女が自分を迎えたからだ。

 「これはこれは壮観ですな」

 工藤はまだ高校生の彼らが女たちをこのように扱い、手なずけていることに舌を巻いた。

 「どうです。叔父さん。皆、素晴らしい身体をしているでしょう。左から裕美十五歳、由香里十七歳、和美二十五歳です。叔父さんの好きにしていいですよ」

 一哉の言葉に照れたような表情を浮かべた工藤は女たちの間近に寄るとその裸体を一人一人嘗め回すように見つめるのであった。

 「まずはこの若い子に相手をして貰おうか?」

 「あれ、先生じゃないの? 」

 工藤が裕美を選んだことにミチルは意外な顔をした。男が一番抱きたがるのはナイスボディの和美だと思っていたからだ。

 「まずは小手調べさ。先生はメインディッシュだから時間掛けてたっぶり楽しむ。その前に若い身体を味わいたいんだ」

 「判ったわ。ちよっと待っててね」

 ミチルは裕美の手を引いて二階に上がっていった。客である工藤に対しての扱い方でも教え込むのであろう。

 工藤は残った二人の裸体を眺めながらタバコを吸っていると一哉が和美を呼び寄せた。

 「先生も叔父さんに気に入られるようにしっかり相手するんだぜ。まずは毒見をしてみせな」

 一哉に言われた和美は工藤の前に膝を折って顔を見上げた。

 「叔父さん。遠慮しないでしゃぶらせてやってくれ。先生のテクもかなりのもんだぜ」

 「それは後の楽しみにしておこう」

 和美が近づいてくるのを工藤は手で制した。

 「どうしたの?一回、口に出しちゃえばいいのに」

 一哉は叔父の慌てぶりがおかしかったのか苦笑いを浮かべている。

 「一哉。俺ぐらいの年になるとそう何度も出来ないんだ。だから大事にしないといけない。これからあの娘とやってその後、先生にも出すんだぜ。無駄には出来ないぜ」

 工藤は笑いながらそんな事を言うと立ち上がった。和美はなんだか物足りないような目で工藤を見ていたがやがて視線を床に落した。

 「工藤さん。どうぞ」

 ミチルの声で工藤は階段を上がって行った。和美は裕美が中年男の毒牙に掛かるのを黙って見過ごすしかない。日に日に奴隷としての暮らしに慣れてきた和美の悲しい諦めだった。

 「先生。俺のをしゃぶって貰おうか?親戚だから味が似てるかもな」

 一哉は笑いながら和美の裸の肩を掴んで引き寄せた。

和美の試練

 夕食が終わると一同はリビングで思い思いの姿勢で寛いでいる。昨日、洋輔が撮影した和美の浣腸ビデオをテレビに映しながらはしゃぎ合っているのだ。

 後手に縛られ、全裸の姿を床に落としている和美にとってはそれは辛い時間だったに違いない。できれば耳を塞いでしまいたかった。自分の悲鳴や啜り泣きが嫌でも飛び込んで来るからだ。

 「ほう、よく我慢が続くもんだな」

 ウィスキーを片手に工藤は画面の中で苦悶する和美の姿に釘付けになっている。

 「もう、一回、ご馳走されちゃうのよ」

 ミチルはキャッキャッと笑いながら工藤の隣にへばりついて解説を続けていた。

 「おい、見ろよ。どれだけ恥を晒したか自分の目でしっかり見ろ」

 一哉が耳を引っ張って必死に目を背ける和美の顔をモニターに向けさせようとすると和美は悲鳴に似た声を上げた。

 「嫌よ。こんなもの見せないで」

 和美が涙を流しながら激しく抵抗すると一哉は残酷な顔つきになってその端正な顎を掴んだ。

 「見ないなら、もう一回、この場で浣腸責めをしてやるぜ」

 はっとして和美は恐れを含んだ表情で一哉を見た。正視に耐えない自分の姿を無理矢理目撃させようとする一哉に和美の心は凍り付いたのだ。

 「お願い。し、しないで」

 今にも泣き出しそうな顔で訴えた和美を見てほくそえんだ一哉はその顔をテレビに向けさせた。画面の中では由香里に浣腸を施され、虚しい足掻きを続けている自分の姿が映し出されている。

 「もうすぐよ」

 ミチルは得意顔になって工藤に話しかけても画面の中の和美の虜になっている工藤は返事もしない。

 「ほら、始まった」

 ミチルの言葉で和美は目を伏せようとしたが一哉に乳房を抓られると涙を流した目を開いて自分の惨めな姿を直視するのだった。

 工藤は女教師を捕らえ、このような残酷な仕打ちまで与えている一哉達に驚き、声も出ない。しかし、この悪魔のゲームに自分も参加したい欲望も感じ始めていた。

 和美の号泣の声が終ったところでビデオは終った。和美にとって辛い精神的拷問も終わりを告げた。

 「どう?面白かったでしょう?」

 「ああ、面白かった」

 ミチルの問い掛けに工藤は照れたような笑いを浮かべて答えた。それまで裏ビデオ等でこんなシーンは見たことは合っても掛け値なしの本当の浣腸責めを出演した本人を目の前にして見るのは異常な興奮を工藤に与えていた。

 「ねえ、明日のお仕置きは浣腸責めにしない?叔父様が見たそうよ」

 「そうだな。それがいいや」

 ミチルの言葉に一哉も賛同した。和美にとってはまた恐怖に慄く決定がなされたのだ。

 「それじゃ、先生。寝室に行きましょう。叔父様に可愛がられるように身支度してあげるわ」

 ミチルに促され、和美は立ち上がると二階への階段に向かってヨロヨロと歩き始めた。

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