良美の失敗
夜になっても良美の特訓は続いていた。いまだに生殺しだけで一度発射していない徹は苛ついて良美の身体を蹴飛ばすと喚き散らす。
「いい加減にしろよ。俺を馬鹿にするな」
暴れ始めた徹を諌めたのは久美子だった。
「黙りなさい。あなたはただの練習台よ」
久美子に頬を打ち叩かれ、罵倒された徹は怒りの篭った目を向ける。
「俺を人間として見てないんだな?」
「そうよ。奴隷じゃない。これ以上暴れると地下室に戻すわよ」
欲望を処理できる機会を奪われると知った徹は急におとなしくなった。それを目にした久美子はしゃがみ込むと徹の一物をむんずと掴み激しく揺り動かし始める。
それまで強張っていた徹の表情が急に緩み始める。正にそれは快感中心に生存を許されている男の悲しい姿を露呈していた。
「良美に掛けてやるんだよ。うんと濃いのを出すんだよ」
唇を歪めて徹に言い聞かした久美子は調子を強めて一気に徹を追い落としに掛かった。
徹の迸りは勢い良く飛び出し、項垂れたままの良美の太腿辺りに降りかかる。それは男の排出物に慣れさせるための久美子の配慮だった。だが、良美にとってはそれは新たな汚物に他ならなかった。
「失礼しますよ」
夕食を終えた三枝と栗山が様子を見に姿を現すと久美子はうんざりした表情を浮かべて良美を見た。
「この子には呆れるわ。もう四時間もにらめっこの状態を続けてるのよ。少し口を付けては離すの繰り返しなの」
久美子の口調は今まで何をやっていたんだという語気が含まれている。そこを突かれると三枝も栗山も弱いのだ。三枝は奴隷がたくさん居たことと当初、祐子と共に監禁していたことで良美に対する初期の調教がおろそかだったという記憶があった。
「この子は叩いたり脅したりすればやると思うわよ。でもそれでは駄目なのよ。根本的に何も解決しない性質のなのね。喜んでやらなくてもいいから嫌悪感だけでも取り去って欲しいのよ」
「久美子さん。そう、熱くならないで」
栗山は熱弁を奮い始めた久美子をなだめると夕食を取って少し休養するよう促すのだった。
「判ったわ。三時間ばかりここをお願いするわ」
二人に言い終えて久美子がプレイルームを出て行くと三枝と栗山は顔を見合わせた。二人とも久美子の凄まじさに驚きの表情を隠せないのだ。
栗山は俯いたまま緊縛された裸体を震わせている良美の傍らに座り込むとぴったりと身体を寄せてその小ぶりの乳房を優しく愛撫しながら口を開いた。
「大変なことになっちゃったね。早く、済ませて許して貰った方が得策だよ」
栗山に囁かれた良美は涙に潤んだ目を開くと訴えるような視線を送った。
「おっぱいを強く、揉んで下さい」
恥じらいを浮かべながら訴えた良美に官能の疼きを覚えた栗山は背後に廻ると双の乳房を急調子に揉み上げる。
唇を噛み締めるように栗山の刺激を受けていた良美は熱い吐息を一つ吐くと情感に蕩けたような瞳を開いて徹の一物を見つめ、腰を上げるとそっとそれに口を寄せるのだった。
突然、積極的になった良美を目にして栗山も三枝もただ驚くばかりだ。良美はしっかりと咥え込んだそれを顔を上下に動かし、愛撫しているのだ。
栗山に胸を愛撫されているうちに良美の情感が煽られ、目前にある徹の一物に対する嫌悪感が綺麗さっぱり消失していたのだ。
「徹、どうだ?気持ち良いか?」
良美の愛撫にだらしなく表情を変化させている徹に三枝が尋ねると徹は薄笑いを浮かべて頷いて見せた。
良美の愛撫はますます大胆になり、舌を激しく動かしたり、歯を当てたりする。徹は溜まらず自失してしまう。
眉を寄せて徹の迸りを舌に受けた良美は忘れていた嫌悪感が甦り、口を離してしまう。
「あっ、駄目だ」
栗山が慌てて頭を抑えて戻そうとしても良美は激しく抵抗して顔面に迸りを受け続ける。
徹の噴出が終わり、身を二つ折りにして号泣する良美を暫くそのままにしておいた栗山は良美が泣き止むのを待って、その身体を引き起こした。
「駄目だよ。ちゃんと飲み下さないと処理したことにならないよ」
「あ、駄目なんです。吐き気が込みあがってきてとても苦しくて・・・」
良美は涙を流しながら栗山に言うとすまなそうに顔を伏せる。しなければこの調教が永遠に続くことを知りながらも良美は最後の最後で耐え切れなくなってしまった自分に嫌気が差していた。
栗山は良美の汚れを拭ってやり、水を飲ませて気分を落ち着かせた。
「有難う・・・・」
良美は小さく頭を下げると頬を赤らめて小さく口を開いた。
「おしっこがしたいんです」
良美が尿意を訴えたことで三枝も栗山も新たな楽しみが生まれ、二人で顔を見合すのであった。
「お前には便器を使わせる事は久美子から止められている。そのまましなさい」
三枝の言葉に良美の表情は悲しく曇った。人前での排泄を強制されるだけでなく、便器の使用も許されないほどの扱いに胸から熱いものが込み上げてくるのだった。
「したら、水で流してやるから安心して垂れ流して」
栗山に肩を抱かれて言われた良美は溢れ出る悲しみを堪えながら中腰になると緊張を解き解いた。
水しぶきが立ち上り、自分の足を濡らし、飛沫が身体に当る感覚に良美は慟哭を抑えることが出来なかった。悪魔のような男たちに見守れながらタイルの上に放尿する良美。その人間としての尊厳を全て剥奪されたような姿に栗山と三枝は新鮮な欲情を感じ、笑いを浮かべるのであった。
良美の試練
結局、久美子が戻ってくるまでに徹を再び追い落とすことが出来なかった。
報告を聞いた久美子は舌打ち、しゃがみ込むと俯いたままの良美の顎に手を掛ける。
「あなたが男に愛撫されていないとしゃぷることも出来ないのは判ったわ。お客様のお相手は無理だと思うのよ。どう?暫く、この男と一緒に暮らしてみない」
徹と暮らせといわれて良美の表情が凍り付いた。始終、興奮しては手淫を繰り返している姿をガラスの檻から目にしている良美にとって、徹は恐怖の存在だった。その男と身体を寄せ合って暮らすと言う事は良美にとって耐えられぬ事だった。
「嫌、嫌です」
良美は拒否したが久美子の発想に興味を覚えた三枝は身体を乗り出してきた。
「客人の相手はしなくて良い。徹との実演を客に見せればいいだけだ。考えようによっては楽だぞ」
腹を抱えて笑い始めた三枝を見て良美は激しく首を振って拒否の姿勢を示したが悪魔の決定は翻らなかった。
「嬉しいだろう?徹。お前も花嫁が貰えるんだぞ」
立ち上がった三枝に言われると徹は表情を崩して頷いた。
「嘗めるように可愛がってやりますよ」
徹は泣きじゃくる良美を見ながら淫猥な笑みを浮かべている。ここから出ることが絶望的な状況の中で徹の気を紛らすのはそれしか無いのである。
「いいか、おまえがやりたいと思うときの二回に一回は我慢しろ、そうしないと良美が発狂してしまうかもしれないからな」
三枝が笑うので徹もつられて笑った。
栗山によって縄を解かれた徹はいきなり良美に襲い掛かり、悲鳴を上げさせ、三枝を苦笑させる。
「今晩は特別に一部屋貸してやる。朝まで思い切り、抱いてやれ」
三枝は徹を押し留めると久美子に先に良美を連れ出すように指示するのであった。
部屋に入っても泣き止まない良美をベッドの上に腰を落とさせた久美子は背中を撫で擦りながら優しく口を開いた。
「もう、泣いても仕方が無いのよ決まってしまったもんだから。それより、あの男を早く往かせる方法を教えるわ。あの男はこの事しか頭に無いのよ。とにかく自分から動く事、相手のペースでやっていたら長引いてしまう。あなたのスタミナが失われてしまうの。それから口で一回は暴発させたら相手にとってはそれも一回なのよ。判った?」
肩を揺すられた良美が覚悟を決めたように頷くと久美子は用意してあったサンドイッチを目の前に差し出した。
「体力が勝負よ。さあ、食べて」
良美は突き付けられた食物を食べると自棄になったように飲み下すと挑むような視線を久美子に向けるのであった。
「どんな具合?」
地下の様子を見てきた久美子がモニタールームに顔を出すとモニタを見ながら酒を飲んでいた栗山と三枝はニンマリとした笑みを浮かべた。
「健闘しています。これであの娘の根性も座るでしょう」
「まあ、一杯やって下さい」
栗山に注がれた酒を一気に飲み干した久美子はモニタに映る徹と良美の戦いに目を凝らした。画面では寝そべった徹の上に載せ上げられた緊縛された良美は裸身を激しく上下させている。音声は聞こえていないが良美はかなり声を出しているようだ。
「徹は何回、吐き出しました?」
「確か三回は出したかな」
三枝が答えると久美子は口を押さえて驚きの表情を浮かべた。二人を一室に閉じ込めてまだ一時間も経っていないからだ。
「あの子がガタガタにされそうか心配だわ」
「何、構いません。あの娘の全てを作り変えてやります。明日は二人揃って暗闇部屋に入れましょう。セックス好きの身体にしてしまいましょう」
三枝のプランを聞かされた久美子は納得した表情を浮かべて酒をもう一杯、飲み干すと立ち上がった。
「私はもう休みます。何かあったら知らせて下さい」
「真琴の身体が待ち遠しいって言う顔をしてますよ」
三枝にからかわれた久美子は舌を出して笑うとプレイルームを出て行った。言うことの無い教育係を得られたことに三枝は満足の笑みを浮かべていた。栗山御殿に来てから、一枚も描いていない創作活動も近々再開させようと三枝は思っていたのだ。
真希の悲しみ
翌朝も男しゃぶりの特訓は行なわれた。客人が帰ったため、三枝、栗山、木曽の三人が揃って下半身を露出したままという珍妙な恰好で奴隷たちを迎えたので久美子は思わず吹き出してしまう。
今日のメンバーは唯と真希の二人だけである。まだ、処女である真希がその行為をどんな顔をして受け止めるか男たちは興味津々であった。
「じゃあ、唯からお相手してご覧なさい。中学生の見本になるようにしっかりとするのよ」
全裸の二人を跪かせた久美子は唯の肩を叩き、木曽の前に進ませた。
既にその際の礼儀作法を教え込まれている唯は深々と頭を下げると木曽の顔を見上げる。
「お慰め申し上げます。ご馳走して下さい」
訴えるような瞳で現役アイドルに言われた木曽が鼻の下を長くして腰を心持、前に突き出すと唯は細い指を絡ませて来た。
甘い溜息を吐きかけ、いとおしそうに唯の掌で愛撫されるうちに三枝の一物は力を漲らせてくる。自分を地獄に突付き落した憎い男を愛撫しているという意識は今の唯には無かった。言われた通りに演じ切って、この地獄の館の中で楽に生き抜く術を身に着けたいと願い、この陰惨な作業を続けているだけであった。
「その辺で感想を尋ねてご覧」
口中に一物を含み、熱気を帯びた作業を続けている唯の肩を久美子が叩くと唯は一旦、口を離し、潤んだ瞳で木曽を見上げるのであった。
「木曽様。お気に召しましたか?」
「う、うん」
口を離しても絡ませた指を動かしながら愛撫を続ける唯に木曽は堪らない快感を覚え、上ずった口調で答えた。おそらく他人が居なければ唯を抱き上げ、熱い口吻を注いだことだろう。それほど唯の色っぽさが心に染みたのだった。
再び、口を寄せた唯の手管に木曽が敗れたのは間もなくだった。その瞬間、唯の頭を押さえつけ、目を閉じ、しっかりと快感を噛み締める木曽はうっとりとした表情を浮かべるのであった。
「ご満足いただけましたか?」
自らの迸りをしっかりと飲み込み、残滓の後始末まで終えた唯が再び頭を下げると木曽は大きく頷き、汗ばんだ額にキスまでして感謝の思いを示すのであった。
「よく、出来たわ。満点よ。そこで休んでなさい」
立ち上がった唯の肩を抱くようにして褒め称えた久美子は手近の椅子を指し示すのであった。
「さあ、真希、先輩がやったようにすればいいのよ。あなたは初めてだから少々のミスは許してあげるわ」
促された真希は三枝の前に進み出ると深々と頭を下げた。しかし、これみよがしに突き出している三枝の一物に目を向けることは出来ない。頭を下げたまま真希は手を伸ばして三枝の一物に手を触れさせようとする。
「ちよっと、何をしてるの?」
いきなり久美子の癇癪が炸裂するや、痛烈な平手打ちが強張ったままの真希の頬を直撃した。横倒しになって泣き声を上げ始めた真希の髪の毛を掴んだ久美子は鬼のような形相になってまくし立てる。
「ちゃんと見なさい。あなたがしっかりと愛撫しなきゃならないのよ。見ないで手を伸ばすなんて最大の礼儀知らずよ」
「こ、怖いんです。許してください」
子供のように首を打ち振って泣き止まない真希に呆れたように立ち上がった久美子は苦虫を噛み潰したような顔で三枝の方を向いた。
「これじゃ処置無しよ。この子にも特訓が必要ね」
まあまあと久美子を手で制した三枝はしゃがみ込むと泣き濡れた顔を覗きこんだ。
「随分としおらしいじゃないか?威勢の良さはどこへ行ったんだ?」
「姉に、姉に会わせて下さい」
「駄目よ。あなたが唯みたいに男をうまく捌けるまでは会わせられないわよ」
久美子にあっさりと跳ね付けられた真希は再び、泣き声を上げ始める。自分を守るために女としての誇りを無茶苦茶にされた姉に真希は会いたかった。この地獄のような生活も姉に会って勇気付けられればと真希は願っていたのだ。