嬲り者

 「うっ」

 不連続に襲う痛みに真琴の口からは小さな悲鳴が迸り出た。

 「痛いでしょう?でも、我慢するのよ。私たちはあなたのお陰でとてつも無い痛みを味わっているんだから」

 久美子は憎々しげに言うと再び毛先を挟み込んだ。

 「おい、ガタガタ震えるじゃない。毛が挟めないだろう」

 岡野が肉感的な真琴の尻を叩いて言うと松井が背後から双臀をかっちりと押さえ込み身動きを封じる。再び、悪魔たちは真琴の毛を一斉に引き抜きに掛かるのだった。

 真琴は痛みに耐えかねて涙をポロポロ流している。地獄の使者でも考え付かぬような淫靡で残酷な仕置きを悪魔たちは真琴に与えているのだ。

 そんな哀れな真琴の姿を目にしながら三枝は毟り取った陰毛を丁寧に額縁の台紙に貼り付けている。自分たちに盾を付いた真琴の誇りを剥ぎ取り、その記念としてどこかに飾るつもりなのである。

 「ああ、もう、許して下さい。我慢できません」

 涙を流しながら真琴が哀訴の声を上げると久美子はニンマリとして笑みを浮かべ、その大きな乳房を強く握り締める。

 「まだ、音を上げるのは早いわよ。もっともっと苦しんで貰わなくちゃ」

 久美子は真琴の要求を跳ね付けると再び毛先を挟み込み、号令を掛けるのであった。

 三枝の手元に集められた一塊の陰毛は再び、台紙に貼り付けられてゆく。その紙の黒さが増して行くのを真琴は悲しげな視線で見守るしか無かった。

 「どう?私たちの事、警察にちくった事、少しは反省した」

 「反省してます。馬鹿でした。私の考えが愚かでした」

 真琴は考え付く反省の言葉を口にして、何とか許しを請おうと必死になっている。この真綿で首を締めるような責め苦から一刻も逃れたい真琴であった。

 「じゃあ、今度は三枝さんに詫びを入れなさい。脱毛クリームを使ってあげるから」

 久美子に言われた真琴は反発の心など示す余裕など無く、言われるままに詫びを入れなければならなかった。

 「先日は逃亡を謀り、皆様方に手傷を負わしましたこと真琴、この通りお詫び申し上げます。これからは奴隷となり、皆様に可愛がられるような可愛い女になることを誓います」

 真琴が台本にも無い詫びの言葉を自分に向かって吐いた事で三枝は満足げな表情を浮かべていた。そして、この場をコントロールとしている久美子の堂に入った悪役振りにも舌を巻く思いだった。

 「よく、言ったわね。じゃあ、クリームを塗って上げるわ」

 久美子は脱毛クリームを取り出すと満遍なく指先に擦り付け、真琴の陰毛の中にそれを擦り込むのだった。こういう動作を続ける内に久美子の本質にあるレズの血が騒ぎ出すのだろう。いつしかそれは愛撫に変り、真琴は肉芯が疼き出すのを知覚すると激しく首を打ち振った。

 「あら、感じたのね。ついつい、癖が出ちゃうのよ」

 久美子は鼻に掛かった声を上げると息苦しいほど勃起した真琴の乳首を見つめてクスクスと笑い声を上げるのであった。

 「むず痒くなったら言うのよ。今度は思い切り引っ張られても痛くないはずだから」

 真琴へのクリームを塗り終えた久美子は自分の席に戻って旨そうに料理を口に運んでは嬉しそうな笑みを浮かべてその羞恥に悶える全裸像を眺めるのである。

 男たちも小休止だとばかりに酒宴を再開する。そこへ浴衣に着替えた羽田が戻ってきた。羽田は無残な折檻に遭っている真琴を目にすることに忍びず、片隅ですすり泣いている唯を見つけるとその腕を取った。

 「こっちへ来るんだ」

 唯を軽々と抱き上げた羽田はソファに身を委ね、自らの膝の上に唯を抱きとめ、その裸体を弄り悦に入るのであった。

 「そろそろ、痒くなったみたいね」

 盛んに膝を擦り合わせ始めた真琴を目にして久美子が尋ねると真琴は恥ずかしそうに頷いた。

 「じゃあ、抜かせてもらうわ」

 久美子は遠慮なく手を伸ばすと数本の陰毛を一気に引き抜いた。真琴には僅かな痛みしか感じなかったがいよいよその部分が丸坊主にされる恐れにその胸は震えるのである。

 「さあ、一人ずつ引き抜いて上げましょう」

 久美子の言葉に呼応して三枝が真琴の前に立つと指先を伸ばした。

 「さあ、三枝さんに暴れたことを詫びて引き抜いて貰いなさい」

 蛇のような執念を持つ久美子は更なる一撃を真琴に与えようとする。最早、真琴にはそれを拒否したり、抵抗する意思は失われている。真琴はワナワナ唇を震わした。

 「三枝様。暴れたお詫びに真琴の恥ずかしい毛を毟って下さい」

 さすがに自分の惨めさが身に染みたのだろう、言い終えた真琴はさっと顔を背けると声を殺すように泣き始める。

 「ふん。今更、泣いたって無駄さ」

 三枝はそんな真琴の姿をせせら笑いながら陰毛を指に絡ませると力を込めた。それはあっけないほどあっさりと三枝の指先に絡みつくのであった。

 次々に男たちの手が絡みつき、真琴のその部分は徐々に翳りを失ってゆく。それは一種、凄惨な雰囲気さえ漂うほどの残酷な印象を見るものに与えている。真琴は固く唇を噛み締め、果てしない責め苦の中で涙を流し続けるしか無かったのだ。

必死の放尿

 緊縛された裸身を鎖に吊られ、陰毛を抜かれるというおぞましい折檻を受けた真琴は久美子にその部分に荒れ止めのクリームを塗られ、頬を赤らめていた。

 悪戯心を起こした久美子はただ塗るだけでなく、それとなく真琴の官能の芯を刺激してゆく。真琴は頬を赤らめ、女体の悲しさを呪うのであった。

 「さあ、これでいいわ。毛根から引き抜かれてるから暫くは生えてこないわよ」

 久美子が楽しそうに乳首を突付いて笑うと真琴は軽く頭を下げた。

 「有難うございました」

 自分の肉体を崩壊させてゆく悪魔に何故、礼を言わなければならないのか?真琴はそんな不条理な現実を感じつつも三枝の言うとおりに従順な生贄を演じ続けていた。

 「こんな綺麗な額が出来上がりました」

 真琴の陰毛を貼り付けた額を手にした三枝が嬉しそうに両手でそれをかざすと一同から歓声が上がった。

 「サインを付ければ高値で売れますよ」

 白川がそんな事を言い出すので三枝は大きな口を開けて笑うと明日にでも本人にサインをさせると言ってその場に爆笑を引き起こすのだった。

 「さあ、次の余興を始めなさい」

 三枝に声を掛けられた真琴は唇を噛み締めた。昨日のリハーサルではこの後、真琴は立ったまま放尿してお客に喝采を受ける事になっていた。しかし、先ほど、我慢に我慢を重ねて排出してしまったため、真琴のタンクは空になっており、その気配さえもないのだ。

 「何、黙っている。さあ、続けなさい」

 三枝に厳しい声で促された真琴は気弱な視線を見せるのだった。

 「おしっこが出ないのです。お許し下さい」

 「何?出ない」

 予定を変えることは三枝が一番嫌う事だった。ギョロリと目を剥いた三枝は真琴の顎を掴むとその歪んだ顔を覗きこんだ。

 「やるんだ。それとも、真希に代わりを演じさせるか?」

 真希の名前を出されては真琴は抵抗できない。悲しげに頷く真琴を見て、三枝は松井に水を持ってくるように命じた。

 「これを飲ましてやる。飲み終わって十分以内に出さないと真希を引き摺りだすぞ」

 ペットボトルを手にした三枝に脅された真琴は弱々しく頷いて見せた。何としても時間内に放尿しなければならない。真琴は悲壮な決意を固めると与えられたペットボトルの水を喉に流し込むのであった。

 「よし、今から十分だ」

 一リットルの水を真琴が飲み干すと三枝はストップウォッチを押した。真琴の生理との戦いは幕を切って落とされたのだ。

 「皆様のお陰で真琴は生まれ変われることが出来ました。生まれ変わった証に立ったままおしっこをしたいと思います。宜しく、ご笑覧下さい」

 真琴が口上を終えると男たちの間から拍手と歓声が湧いた。

 真琴の足元に洗面器が配置され、準備は整ったが真琴が待ち望む尿意は湧き上がってこなかった。

 真琴は両足を擦り合わせ、腰を揺すり、何と尿意を高めようと努力を重ねていたが兆しは一向に訪れなかった。

 「後、五分だぞ」

 三枝の冷徹な声が響くと真琴は慌て始める。顔を真っ赤にさせ、両足を大きく開き腰を揺さぶる姿は見る者には滑稽にさえ映ずるのだが真琴にとっては真剣そのものだった。時間内に放尿しなければいくら哀願しようとも三枝は真希を連れ出すに決まっている。情け容赦ない悪魔の所業に真琴は泣きたい気持ちを押さえこみ虚しい努力を続けていた。

 「後、三分だ。もう、諦めるか?」

 「ああ、悔しい、おしっこが出ないのが悔しい!」

 真琴が涙を流しながら身悶えると見かねた栗山が立ち上がった。

 「手伝ってやる。うまく出したら、俺をしゃぶってくれよ」

 「します。しますから。お願いです」

 真琴にとって藁にも縋る思いであった。妹の身は何としてでも守ると決意して臨んだ屈辱の舞台。ここまで悪魔たちの折檻に死んだ気になって耐えて来たことが水泡に帰すことは何としても避けなければならなかったのだ。

 栗山は背後から身体を密着させると両腕を真琴の下腹に廻すと激しく揉み上げ始める。

 「後、二分だぞ」

 「もっと、強くして!」

 三枝の警告が聞こえると真琴は悲鳴じみた声を上げて栗山に訴えた。

 「よし、こうして上げよう」

 栗山は片手を真琴の股間に通すと尿道口を探り当てると指を激しく痙攣させた。

 「うわっ」

 真琴は栗山の刺激に淫らな情感が込みあがってきたの知覚し、それどころではないと激しく頭を振り払った。

 「どう、出そうなのか?」

 「も、もっと強くして、出そうなの」

 真琴は頬を赤らめ、栗山に強い刺激を訴えると顔を背けて啜り上げた。多くの目の前に堂々と裸体を晒し、はしたない刺激を自ら要求したことに恥ずかしさを覚えたのだ。

 「後、一分だぞ。いいのか?妹を巻き込んで」

 冷徹な三枝のカウントダウンを聞くと真琴はもう半狂乱のようになって身体を揺り動かし、排泄を促そうと必死になる。

 栗山は熱い息を吐きながら汗まみれになって悶える真琴に肉の疼きを感じ、その揺れ動く唇にぴったりと口を合わせると激しく舌を吸い上げる。

 (駄目よ。栗山さん。そんなことしてる場合じゃないのよ)

 栗山の行為を呪いながらも真琴は情感を刺激される心地よさに瞼を閉じてしまう。

 「30、29、28・・・」

 三枝がファイナルカウントダウンを開始した。栗山に唇を塞がれ、舌の口に指先の刺激を受ける真琴は頂点への階段を上り始めてしまう。

 「20、19、18・・・・」

 唇を離した栗山がもう一方の手で乳房に刺激を与え始めると真琴はもう、限界だった。

 「い、往くっ」

 むせ返るような声音で訴えた真琴は首をがっくりと垂れると股間に挟み込んだ栗山の腕を強く締め上げ、頂点に達してしました。

 「10、9、.8・・・」

 カウントダウンが進行する中、栗山は刺激を与え続けている。ピーンと張り詰めていた真琴の筋肉が弛緩し、がっくりとその身を栗山に預けてきて時にそれは起こった。栗山の掌に生暖かい液体が降りかかってきたのだ。

 「おしっこだね」

 栗山に尋ねられた真琴は目を閉じたまま頷いた。頂点を極めた後、緊張が途切れた真琴の筋肉は排尿を促進したのだった。

 栗山が手をどけると真琴の股間から水流が洗面器に落下し、居並ぶ悪魔たちの間から拍手と歓声が湧き上がった。真琴は目的を達した安堵感から意識が遠のいてゆくのを感じていた。

奴隷降格

 二階のプレイルームでは謹慎を命じられた由里と恵子が息を潜めていた。

 「ねえ、私たちどうなるんだろう?」

 恵子は何度目かの質問を由里にぶつけていた。恵子は由里の言葉に合わせて真琴を苛めていただけに自分には罪がないと言いたいらしい。由里は黙ったままタバコを吸っていた。三枝が現れたらとにかく謝るしかない。それが準奴隷に留まる唯一の方法だと由里は思っている。

 不意に扉が開かれ、三枝と栗山が姿を現したので二人は緊張し、膝を正して座り直すのであった。

 「栗山さんから報告があった。お前たち、真琴を苛めて楽しんでいたのだな?何か言いたい事があるか?」

 普段とは打って変わって三枝の言葉は凄みを増していた。由里は両手を着くと深々と頭を下げた。

 「間違い有りません。真琴に垂れ流させ、妹を巻き込もうとしていました」

 「私は由里先輩に従っていただけです。どうか、降格だけはお許し下さい」

 由里は素直に白状したが恵子は違っていた。涙を溜めて哀願する恵子をジロッと睨み付けた三枝は溜息を付いた。

 「由里はお前の先輩だからと言って、遠慮することはないんだぞ。間違ったことをしたら俺に報告すれば良い。判ったな」

 「判りました」

 恵子は自分だけは罪を逃れそうな雰囲気に安堵感を覚えている。とにかかく奴隷たちと一緒に過ごすことは嫌なのである。

 「お前たちに刑罰を言い渡す」

 三枝は威厳を正すと大きな声を放った。

 「由里は準奴隷の権限を逸脱した行為を行なった件で奴隷降格。恵子はそれを見過ごした罪で全裸の刑、三日だ。二人とも裸になれ」

 三枝の刑罰は予想以上に厳しいものだった。二人はのろのろと立ち上がると衣服を脱ぎ始めた。由里は栗山に見咎られたことだけを後悔していた。栗山さえ現れなければ真琴はあの場で失禁し、三枝たちも喜ぶことが出来た筈だと思い、反省の欠片も無かったのだ。

 二人が全裸になると由里は栗山によって後手に縛り上げられ腰を据えさせられた。

 「由里、お前には追加の刑罰がある。お前には真琴と同じ苦しみを味わって貰う。この部屋に三日間監禁して、その間の排泄は全て人前で行なうこと。もし、違反した場合には暗闇部屋に三日間監禁だ。判ったな」

 三枝に顎を掴まれ、言い聞かされた由里は自分の地位が真琴並に降格したことを悟った。しかし、反抗的態度を取れば刑罰が重くなるのを知り抜いている由里は黙っているしかなかった。準奴隷として君臨した由里の時代は終焉を告げたのであった。

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