唯の驚愕

 不意にプレイルームの扉が開き、由里と恵子が顔を覗かせた。二人は出番が迫った真琴の化粧に現れたのだ。

 二人が現れた事で真琴は裸体を揺すり、必死な眼差しを向けるのであった。差し迫った尿意はぐいぐいと彼女の下半身を痛め付けている。

 「何を言いたいの?」

 由里が口を塞いでいるガムテープを引き剥がすと真琴の堪えに堪えていた欲求を訴える言葉が堰を切ったように流れ出す。

 「お願いします。便器を使わして下さい。おしっこが我慢できないのです」

 涙を浮かべて尿意を訴える真琴を目にした由里はニヤリと笑ってわざとゆっくりと口を開いた。

 「面白いね。そのまま垂れ流せばいいじゃない。真希も巻き込んで楽しく宴会が盛り上がるわ」

 おかしそうに笑う由里を見て真琴は心が凍りつく思いだった。しかし、哀願するしか今の真琴には残されていない。胡坐縛りにされている裸身を必死に揺すって二人の悪魔に哀訴を繰り返すのだった。

 「そんな意地悪言わないで下さい。お願いします・・・。便器を便器を使わして下さい」

 訴え続ける真琴の姿は哀れさを通り越して、悲壮感さえ漂っている。しかし、そんな姿を目にしても奴隷苛めに快感を覚えている彼女たちには通じない。タバコを吸いながら、真琴の悶える姿を薄笑いを浮かべて眺めている。

 「お願い・・・します・・・」

 遂に真琴は号泣の声を放ちながら途切れ途切れに哀訴を繰り返すまでに追い詰められていた。胡坐縛りにされた両膝が時折不自然な痙攣を見せ、限界が近いことを訴えている。

 「おい、何をやってるんだ」

 二階に真希の様子を見に来た栗山は開け放たれたプレイルームから洩れてくる泣き声を聞きつけ、顔を覗かせ、その異様な光景に声を掛けたのだった。

 男の声に顔を上げた真琴はそこに栗山の姿を見つけて必死の声を上げる。

 「お、おしっこが洩れそうなの、べ、便器を使わして下さい」

 栗山は真琴の哀訴を聞いて全てを理解した。由里と恵子が面白半分に真琴を追い詰めている事に舌打ちした栗山は大声を張り上げた。

 「お前たち、何を考えてるんだ。真琴を苛めてそんなに楽しいのか、お前たちの行動は準奴隷の権限を逸脱してるぞ」

 栗山に雷を落とされた由里と恵子は大慌てで真琴の足の縄を解き、便器に跨らせた。

 すぐさま中腰になった真琴の股間から水流が迸り、便器の底を叩き始める。

 「辛かったろう」

 排尿を続ける真琴の姿に軽い欲情を覚えた栗山は揺れ動く頭部をそっと抱きしめ、囁くと真琴は大粒の涙を流して大きく頷いて見せた。

 「あ、有難う。栗山さん」

 この屋敷に捕われて以来初めて人の優しさに触れた真琴は涙が止まらなかったのである。自分の逃亡を阻止した憎い男であることも忘れ、真琴はその腕に抱かれながら心地よい解放感に浸っていた。

 放尿を終えた真琴ががっくりとその場に尻餅を付くと栗山は頬を蒼ざめさせて自分の表情を窺っている由里と恵子に声を掛けた。

 「お前たち、早く、化粧をしろ。今の一件については三枝さんに報告する」

 由里と恵子は我に返ったように真琴の化粧に取り掛かるのであった。

 その頃、一階では唯が皆に見守られながら白井の一物を咥え込み、最後のスパートを掛けている最中だった。

 「もう少しだよ。ほら、舌を使って」

 忍の叱咤を聞きながら唯は遮二無二舌を動かした。そして、男の呻き声を耳にした唯は気が遠くなる徒労感を味わいながら目を閉ざし、男の滴りを受け止めていた。

 「良くやったよ。これであんたも一人前だね」

 唯の汗ばんだ肩を叩いて忍が褒め称えると白井を咥え込んだまま微動だにしない唯はこっくりと頷いて見せた。はっきりと自分の身体に奴隷としての刻印が打ち込まれた気分の唯は口を離すと瞑目したまま肩で大きく息を付いている。

 「久し振りだね。唯ちゃん」

 聞いたような声が頭上から響き、ふと顔を上げた唯の視線先には唯の想像しない人物が笑みを浮かべて立ち尽くしていた。

 「は、羽田さん」

 マネージャーの羽田が何故そこにいるのか唯は判断が付かなかった。何らかの取引が成立し、彼が自分を迎えに来たのかと唯は一瞬、喜びさえ感じていたのだ。

 「奴隷らしくなったじゃないか、ここでの暮らしもそんなに悪いもんじゃ無いだろう」

 ソファに身を委ね、差し出された酒を煽った羽田はふんぞり返って唯に離し掛けていた。いつもはゴマをすり、卑屈な態度で唯にも接していた彼の態度とは打って変わった姿に唯は自分の誘拐がこの男によって仕組まれたという事を確信した。

 「な、何故なの?羽田さん。私が憎かったの?」

 「ああ、お前みたいな小娘に顎で使われる事に飽き飽きしていたのさ。いつか、こいつを犯してやりたいと思っていたのさ」

 激しい声で問い詰める唯に羽田は落ち着き払った口調で答えている。

 「ひ、酷いわよ。私をこんな目に遭わすなんて。あなたは悪魔よ!」

 甦ったように羽田を罵倒し続ける唯の頬を三枝が叩いた。

 「お前には何の恨みがあるか知らないがここでは大事なお客様の一人なんだ。失礼な態度を詫びて、歓迎のおしゃぶりをするんだ」

 「嫌よ。だれがこんな奴」

 燃えるような目で睨み付ける唯を更に打ち叩こうとする三枝を忍が遮った。

 「唯ちゃん。今までのあなたの努力は何だったの?また、暗闇部屋に行きたいの?これ以上、駄々こねると私も庇いきれないわ」

 涙さえ浮かべて自分を説得する忍を見て、唯は胸が熱くなった。忍が奴隷だったことは昨日、聞いて知っていた。三枝の妻となる経緯も知っている。唯は自分の心を落ち着けると忍に向かって頭を下げた。

 「ごめんなさい。奴隷であることを忘れていました。羽田さんをお慰めします」

 唯は次に羽田の前に手を付いて頭を下げた。

 「先程の失礼な態度、忘れて下さい。この屋敷にいらっしった歓迎の意味を込めて羽田さんをお慰め申し上げます」

 「ほほう、頼もしいな。さっそくやって貰おうか」

 唯の観念しきった態度に喜んだ羽田はすぐさま下半身を露出させて唯に迫った。

 唯は心を空にした。憎しみも怒りも全て封印した。そうして羽田に立ち向かうことが自分を楽にすることだと悟ったのだ。

 片手で垂れ袋を弄りながら、片手でだらりと垂れた羽田の一物を軽くしごき始めた唯は目を閉じたまま酸鼻な作業を続けている。

 「うふふ、唯がこんなことまで出来るなん俺は驚いたよ。心行くまでしゃぶってくれよ」

 喜悦の声を上げた羽田は唯に人前で罵倒された事を思い出していた。事務所のミスでダブルブッキングすれすれのスケジュールを組まれ、綱渡り的にテレビ局移動を余儀なくされた唯はその怒りを当日までチェック怠った羽田のせいにして多くの人間のいるスタジオの中で罵倒したのだ。

 その時から羽田は怒りを心に秘め、この日が来ることを待ち望んでいた。

 すっぽり自分を口に含んだ唯が舌を使った愛撫を開始すると羽田はその感触に笑みを洩らした。いや、笑いを必死に噛み殺していると言ったほうが正解だろう。

 「随分、嬉しそうだな」

 「ははは、こんな嬉しい事は無かったよ。感激だよ」

 木曽の問い掛けに羽田は声を上げて笑った。唯はそんな騒ぎにはあくまで無関心を装うように膨らませた頬をゆったりと動かし、男の妖気に酔ったようなうっとりとした表情を浮かべていた。

晒し者

 「いつまで、待たせるのよ。いい加減、罪人をこの場に引き出しなさいよ」

 羽田が果て、唯が丁重に後始末を終えると久美子がヒステリックな声を放った。男たちのような接待を受けられない久美子はイライラが募ってきたのだ。

 「お待たせしました。只今、連れて参ります」

 三枝の目配せを受けた松井が階段を駆け上がって程なくして、優美な裸体を後手に縛り上げられた真琴が一歩一歩踏みしめるようにして階段を下りてきた。

 綺麗に化粧された頬を凍りつかせた真琴は頭を項垂れ、松井に縄尻を取られステージに追い立てられると天井から伸びる一本の鎖にその身を支えられ、その場に晒されるのであった。

 後から降りてきた栗山に二階での出来事の報告を受けた三枝は大きく頷くと屈辱に身を震わせている真琴の隣に立ち、表情を崩して一同を見廻した。

 「お客様方。この女が皆様を告発した巨乳タレントの真琴でございます。今宵は皆様方に詫びを入れてとことんお仕置きを受ける覚悟でこの場におります。どうぞ心行くまでお楽しみ下さいませ」

 「それにしても見事な身体だな」

 岡野が溜息を付いてその縛り上げられた裸体に粘い視線を送ると久美子も頷いた。

 「ほんとう、男たちが夢中になるのも無理も無いわ。憎らしいったらありゃしない」

 吐き出すように言った久美子はまたもや酒を煽り、憎しみが篭った視線を真琴に向けるのであった。

 「さあ、ご挨拶しろ。辛くなったら妹のことを考えるんだぞ」

 赤く火照った耳元に囁いた三枝は真琴の官能的に盛り上がった尻を叩いて挨拶を促した。昨夜、何度も暗誦させられた屈辱の口上を真琴は悪魔たちの眼前で宣誓しなければならない。嫌でも心は震え、涙が込み上げて来そうになる。しかし、真希と言う絶対的なカードを三枝が握っている以上、真琴は踏ん切りを付けなければならなかった。

 真琴は深々と一礼すると唇をワナワナ震わした。

 「皆様。遠路はるばるお越し戴き、有難うございました。昨年、十月、自らの未熟さも省みず、ただ、不確かな正義感に突き動かされ、皆様の憩いの場所を警察に告発しました事、深く反省しております。現在の私は悪運が尽き、木曽様の手引きにより捕らえられ奴隷としての日々を送る毎日、その中で皆様方に詫びを入れなければととこの場を設けた次第です。どうぞ心行くまで私のお仕置きされる姿をお楽しみ下さい」

 震える声で屈辱の口上を言い終えた真琴は自分の惨めさに涙に咽んだ。しかし、彼女の口上は終わりではなかった。

 再び、尻を叩かれた真琴は涙を堪えると口を開いた。

 「まずは生まれ変わった積りでお仕置きを受けます。真琴の繁みをさっぱりと綺麗に皆様の手で剃り上げて下さい」

 松井の手で真琴の足元に剃刀等の道具が配置されると久美子が立ち上がりおぼつかない足取りで真琴の肩に手を掛けた。

 「ねえ、あんた。こんな手ぬるい方法で丸坊主にされて私たちの恨みが晴れると思ってるの?」

 酒臭い息を吐きながら自分に絡んできた久美子に言い知れぬ恐怖を覚えた真琴は口を噤んだまま目を反らせている。その態度に腹を立てたのか久美子はいきなり蒼ざめた真琴の頬を激しく打ち叩いた。

 「黙ってちゃ、判らないよ」

 「な、何と言えば良いのです」

 涙を浮かべて自分に尋ねてきた真琴の悲壮感溢れる表情を鼻で笑った久美子はその大きな乳房を揺すったまま口を開いた。

 「こう言うんだよ。私の毛を引き抜いて下さいってね」

 男たちの間から哄笑が沸き起こった。

 余りの事に真琴は俯いてしまった。その毛を毟られる痛さ、惨めさを想像して真琴の心は新たな怯えに苛まれていた。

 「久美子さん。それじゃ時間が掛かりすぎるよ」

 三枝が渋い顔を見せて訴えてもと久美子は平然としていた。

 「脱毛クリームを使えば簡単に抜けるわ。それに毛根からして引き抜くから三ヶ月は生えてこないのよ。この娘にはぴったりのお仕置きよ」

 久美子の言葉に納得した三枝は松井に命じて額を持ってこさせると今にも泣き出しそうな顔をしている真琴の尻を叩いた。

 「もう一度、言い直せ。お前の毛はこれに入れて大切に保存しといてやる。お前が奴隷の心を忘れないためにな」

 三枝が額を分解して自分の足元に広げているのを目にした真琴は悲しげに目を伏せた。新たな悪魔たちが提案した残酷な仕置きを真琴は自らの口で懇願しなければならないのである。

 「私の毛を・・・引き抜いて・・下さい」

 詰まりながらようやっと言い終えた真琴は顔を背けてすすり泣いた。妹を守るためとは言え余りにも無残な仕置きに真琴の心は怯えに彩られていた。

 「よく、言ったわね。それじゃ始めるわよ」

 久美子は自分の席に戻るといつも持ち歩いてるメイクの道具箱を開けて中身を探っていた。

 「これで皆で一斉に引っこ抜いてあげましょう」

 久美子は毛抜きと刺抜きを二本ずつ取り出すと真琴に被害を被った三人に一本ずつ手渡し、自分に一本残した。

 「最初はクリーム無しでやりましょう。その方が痛いから効果的よ」

 真琴の陰毛は短く生え揃った鋼毛である。その形の良い陰毛を毟り取るのだと思うと男たちの胸は異様に高鳴るのである。

 「痛いだろうけど我慢するのよ。私たちが恨みを返すんだからね」

 真琴に言い聞かした久美子は身を屈めると上端に生えている一本を毛抜きを使って挟み込んだ。

 「待て。同時に引き抜いてやろうぜ。その方が面白い」

 岡野の提案により、真琴はより苦痛を与えられることとなった。ジワジワと恐怖を味合わされ、真琴の心は今にも爆発しそうに高鳴っている。早く、この悪夢のような一夜が過ぎ去ってくれることを真琴は祈らずにはいられなかった。

 「いい?皆、挟んだ?」

 久美子は三人の男たちに確認した。

 「いいぜ」

 白川の返事を聞いた久美子はゆっくりとカウントダウンを開始した。三枝と栗山もその瞬間の真琴の表情を息を詰めて見守っている。真琴に対する久美子たちの意趣返しはようやっとその幕が今、切られようとしていた。

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