真希の羞恥
翌日の午後、昨夜、唯とのセックスを心行くまで堪能した栗山は絵里の部屋で遅い朝食を食べていた。絵里は寝坊した栗山が誰かと浮気したと完全に疑っていた。
「昨日の夜、お風呂場を掃除したらおしっこの匂いがしたわ。祐子さんもおかしいって言う顔してたよ」
「あっ、そう、知らない」
二人の妻を抱える栗山には開き直れるだけの勇気は無かった。二人との結婚を承諾した時に浮気はしないと栗山は誓っていたからだ。何とかのらりくらりと追及の矛先をかわさなければならなかった。
「浮気したからこんなに寝坊したんでしょう?」
「ち、違うよ。最近、疲れていたから」
「じゃあ、証拠を見せて貰うよ」
あくまでシラを切ろうとする栗山を許さず絵里は食事中なのも構わずその股間に手を伸ばしてきた。
(頼む。立ってくれ)
栗山は明け方まで大活躍をした息子の復活を願わないわけには行かなかった。しかし、願いも虚しく、絵里の掌の刺激を受けても一物は沈黙を守ったままだった。
「ほら、駄目じゃない」
絵里がきつい表情で栗山を睨み付けたときドアがノックされた。絵里が出てみると由里が顔を覗かせた。
「栗山さん。由里先輩よ」
ツンツンしながら由里が訪れた事を栗山に告げた絵里は後片付けに取り掛かった。
「なんだい?」
格好の助け舟にほっとした表情を栗山は見せて由里と向かい合った。
「真希をこの部屋で預かって欲しいの。お客さんが多いから部屋が足りないのよ」
「ああ、いいとも」
一も二も無く栗山は承諾した。まだ、三枝の許しが無いので犯すことは出来ないだろうが新鮮な生贄を観察するだけでも楽しみなのである。
「じゃあ、連れてくるね」
由里が立ち去ると栗山は歓声を上げて絵里の背後から乳房を触った。
「きゃ、何するのよ」
「中学生の奴隷候補がやってくるんだ。この部屋に暫く置いてやってくれ」
「えっ、中学生なの?」
絵里はさすがに良心が咎めるのか眉をひそめた。もう、この場所から解き放たれることを絵里は望んでいなかった。しかし、栗山が更に悪事を重ねることには懐疑的な絵里であった。
「連れてきたわ。お願いします」
由里に背中を突かれた真希は両手を後手錠に拘束されているためにバランスを崩して床に膝を付いてします。
「これが、紙おむつ。適当に代えて上げてね」
由里が紙おむつの包みを置いて立ち去ると栗山の目が妖しく光った。間違いなく処女のオムツ換えが出来る期待に栗山の胸は大いに膨らむのであった。
「あら、可哀想。昨日から泣き通しだったのね。今、お絞りを作ってあげる」
真希が真っ赤な目をして涙を流しているのに気が付いた絵里が台所に向かうと栗山は真希の身体を抱き上げてベッドに座らせた。
「俺、栗山。あの女は女房の絵里。宜しく」
砕けた調子で栗山は挨拶したつもりだったが悪魔に誘拐され一昼夜を眠れぬまま過ごした真希にとってこの屋敷で初めて出会う男は恐怖の存在だった。
「お願いです。帰して下さい。姉が悪い事をしたならお金も両親に頼んで出させます」
泣き顔になって自分に必死に訴える真希に眩しい視線を送っていた栗山は悲しげに目を伏せた。真希に現実を話すのは早いような気がしたからだ。
「お姉さんは我々の言うことを聞かないで空手を使って暴れるもんだから君が誘拐されたんだよ。だからお姉さんのお仕置きが済むまでは君はここにいなくちゃならないんだ」
「姉のお仕置きはいつ終わるんですか?」
「判らない」
栗山が首を横に振ると真希の頬を新たな涙が伝わり始めた。
「駄目じゃない。泣かせちゃって」
お絞りを手にした絵里は栗山を叱責するとお絞りを使って真希の顔を拭い始める。幼い生贄を前に絵里は姉のように優しい口調であれこれ話し掛けている。ちよっと栗山が話に割り込めない雰囲気のようだ。
絵里に頼んで牛乳を飲ませて貰った真希は幾分、気分が落ち着いたようだ。ベッドの上にごろりと横になると目を閉ざしている。
栗山はそんな寝姿を見ていると堪らない興奮を覚えてきて、思わずスカートの裾に手を伸ばした。しかし、その手は絵里によって遮られてしまう。
「何を考えてるの?このすけべ」
小声で囁いた絵里は栗山の手を取って部屋の片隅に連行した。
「この部屋であの子に手を出しちゃ駄目よ。大事な人質なんでしょう」
「ああ、でも、オシメを換えなきゃならないんだ」
「私がするからいいわよ」
「そ、そんな」
栗山は母親に叱られた子供のように情けない顔をして絵里を見た。その表情が余りにおかしいので絵里はクスッと笑いを洩らした。
「どうしても見たいの?」
「うん」
栗山は素直に頷いた。
「見た後、私とするなら見せて上げるわよ」
「ここでするのか?」
「バカね。お風呂に行くのよ」
「判った。する。する」
栗山が飼い慣らされた犬のように何度も頷くと絵里はベッドに横たわる真希の頭をそっと撫ぜつけた。
「ねえ、オシメを換えて上げるわね。もう、汚しちゃったでしょう?」
目を開いた真希は恥ずかしそうに頷いた。しかし、栗山が好奇の視線を自分に向けているのに気が付くと弱々しく首を振った。
「この人ね。こういうのを見るのが好きなのよ。見せて上げてね。指一本、触れさせたりはしないから」
絵里に諭された真希は頷くしかなかった。もう、数回にわたる排尿のためオシメはどっぷりと重くなり不快感を真希に与え続けていたからだ。
絵里はテキパキと動き回り、蒸しタオルを何本も用意するとスカートを捲り上げた。
「嫌、」
やはり栗山の視線が気になるのだろうか真希は短い悲鳴を放ち、身体を捩らせると栗山の視線を何とか遮ろうと努力する。
「恥ずかしいのよね。でも、我慢してね」
優しく言い聞かせた絵里はずっしりと重くなった紙オムツを剥ぎ取り、蒸しタオルを使って汚れを拭き取り始める。絵里の手つきは看護婦のように淀みなく進行し、栗山はその淡い叢を垣間見ただけで真希のオムツ換えは終了してしまった。
「さあ、お風呂に行きましょう」
真希を寝かしつけた絵里は淫靡な笑みを浮かべて手を取ると栗山を促した。栗山は何か騙された気分で絵里に連行されるように風呂場に向かうのであった。
三人の悪魔
その日の夕刻から客人が三々五々栗山御殿を訪れた。最初に現れたのは詩人の岡野弘だった。三十半ばの新進気鋭の詩人は木曽に誘われるまま大麻パーティーに参加、今回の災難に遭ったのである。
続いて顔を出したのはロックギタリストと白川穣だった。二十代半ばの長髪の白川は木曽のバックでギター奏者として腕を磨き、最近ではソロでアルバムを出すほどになっていたのだが今回の一件で暫くは苦渋の期間を過ごすことになった。
ヘアーメイクアップアチーストの木崎久美子がその次に現れた。三十歳の久美子はその才能を認められ、数々の芸能人のメイクを任されるまでになったがその名声は逮捕されたことで水泡に帰した。彼女の場合、ヘアメイク協会から追放されており元の地位を取り戻すことは殆ど不可能になり、一介の美容師として働くしか術がなくなった。よって真琴に対する恨みは人一倍強いといえた。
唯のマネージャーの羽田が残りの一人だが彼は到着が遅れているため来客用プログラムはスタートすることとなった。
三人は各々の個室に通された後、風呂に案内された。男二人は露天風呂、久美子は二階の風呂場だった。風呂場では湯女に扮した美加子、留美、良美が三人に濃厚なサービスを行なうことになっていた。
二階の風呂場で何か悶着が起きたことを監視役の恵子が告げてきたので栗山は急いで階段を駆け上がった。
「どうかしました?」
風呂場に駆け込むと久美子が痩せぎすの裸体を晒したまま、洗い場で号泣している良美を見下ろしている。
「どうもこうもないじゃない。何でも言う事を聞くからって聞かされていたからキスしようとしたらこの子、『汚らわしい』とか言って避けるのよ。私は大恥掻いちゃったじゃない」
久美子がレズの愛好者だと聞かされていなかった栗山は思わずほぞを咬んだ。そうと知っていれば潔癖症の良美を宛がうこともしなかったのである。とにかく、ここは久美子の怒りを沈めなければどうしょうもない。
「こいつには後でとっくりとヤキを入れます。代わりの者を手配します」
「結構よ。一人で静かにお湯に浸かりたいから」
久美子は栗山の申し出を断ると風呂の中に身体を沈めた。栗山は泣き止まない良美を引き摺るようにして脱衣所に戻るとガラス戸をぴしゃりと閉めた。今回の来客イベントは木曽から一人当たり五十万の金額がこの屋敷の運営費に加算される事になっているので応対は慎重にしなければならないのだ。
「駄目じゃないか。客人を怒らしては」
「だって、あの人、殴ったり蹴ったり酷いんです」
良美が抗弁し始めたので栗山は恵子に頼んで地下室に戻すように頼むと自分は露天風呂へと向かった。
露天風呂では留美と美加子の接待を受け、二人の男がだらしない表情で湯に浸かっていた。こちらはいたって順調のようである。
栗山はそんな二人を眺めながら満足げな表情を浮かべている木曽に事の顛末を報告した。
「久美子がレズなのは薄々知ってました。それにSのけも強いのもね」
「今後は注意します」
栗山が木曽の耳元に囁いた時、白川が早くも興奮を抑えきれず留美の腰を掴んで上下に動かし始めた。夕暮れ迫る山間の風景とは不釣合いの女の喘ぎ声が辺りに響き渡った。洗い場では岡野が美加子を組み敷いて腰を使っている。木曽と栗山はにんまりと顔を見合わせた。接待の第一幕はまずは成功裡にスタートを切ったと言える。
欲望を排泄した男二人と不機嫌な久美子は浴衣に身を包み、パーティールームに参集し、三枝の接待で酒を飲み始めた。男二人はさっそくの歓待に極めて上機嫌だったが久美子は木曽を相手に愚痴をこぼしていた。
珍妙な音楽が流れると例によって薄い衣装を纏っただけの忍が歓迎の踊りを舞い始める。一同はその桃源郷的な雰囲気が漂うその舞に心を奪われたような表情を浮かべている。
三分近くの舞を終えた忍は客人たちの前に膝を揃えて座り、深々と一礼した。
「ようこそいらっしゃいました。私はこの屋敷の主人、三枝の妻の忍と申します。拙い芸をお見せしたお詫びとご挨拶代わりに男様をお慰め申し上げたいと思います」
男たちは三枝の妻と名乗る女からこのような接待を受けていいものか顔を見合わせていた。しかし、三枝に促されると二人は照れもせずに下半身を剥き出しにした。
「今日は殿方が多いので私、一人では間に合いません。椎名唯ちゃんにも手伝って戴きます」
由里によって全裸の唯が引き立てられてくると男たちの間から歓声が湧き上がった。
二人の男はじゃんけんで岡野を忍が白川を唯が慰めることとなった。
「私でごめんなさいね」
忍は妖艶な眼差しで岡野を見上げるとその一物を咥え込みゆっくりと愛撫し始めた。
岡野は忍の甘美な舌触を受けて放出したばかりの一物が忽ちにして元気を取り戻した。
「こんな、若々しくて情熱的な奥さんがいる三枝さんが羨ましい」
岡野が溜息混じりにそう言うと三枝も笑みを浮かべた。
「忍は奴隷上がりの妻です。あなたより年上の筈ですよ」
「え、私よりも上」
驚きの表情を浮かべた岡野は自分をくなくなと慰める忍の横顔を今一度見るのであった。
「そんなにジロジロご覧になっちゃ嫌。恥ずかしいでしょう」
一旦、口を離した忍は鼻に掛かった声で訴えるといなすように手を使ってそれを軽くしごき始めた。岡野はその眼差しにハッとするほどの色気を感じ、達してしまいそうに自分を抑えるのに必死であった。
一方、白川を慰めている唯も必死であった。もし、ここでとちったりすれば暗闇部屋に監禁されると脅されている唯は精魂込めて男を愛撫している。昨日教え込まれたテクニック必死に発揮している唯の姿はとても健気に見物している栗山に映るのであった。
しかし、男たちばかりが歓待を受けているのに自分はほったらかしにされている久美子は面白くなかった。木曽に注がれる酒を次々に煽り続けている。
「木曽さん。早く、真琴を連れ出してよ。私がお仕置きしてあげるんだからさ」
早くも悪酔いの兆しを見せている久美子は木曽に次の余興を催促している。しかし、羽田が到着しない限り、真琴を連れ出すことが出来ない予定が組まれている事を知っている木曽はそれを押し留めている。
新たな悪魔たちを加え、死を選ぶ自由も取り上げられている真琴を屈辱に塗れさせる舞台は既に整ったといえる。
二階のプレイルームで出番を待っている真琴は両手を後手に縛られた上、胡坐縛りにされた裸身を揺すって苦悶していた。朝、排泄を許されただけの尿意が高まっているのだ。こんな状態で洩らせば悪魔たちは真希に手を出すと言うに決まっている。尿意を訴えたくても口まで塞がれている真琴にとってそれは無理な相談だった。
(ああ、誰か来て、早く来て)
誰も呼べなかったなどという抗弁が通じる相手でも無い事は真琴は百も承知だった。一刻も早く、誰かが現れることを願いながら真琴は無残な戦いに挑んでいた。