忍の快楽

 激しく腰を使い、まず、忍を陥落させた三枝はその緊縛された裸体を裏返しにし尻の合わせ目に指を這わせ始める。

 快楽の余韻に浸っていた忍は三枝の新たな狙いに気が付いてはっと顔を上げた。

 「さあ、奥さん。ここは何て言うんだい?言ってご覧」

 三枝の指が排泄器官の上で止まると忍は激しく首を振った。

 「嫌、そこを悪戯するのは止めて下さい」

 「君は奴隷なんだよ。僕の言うことが利けないとなるとまた教育し直さなくてはならない」

 意地悪い言葉を掛けられた忍は悔しげに唇を噛んだ。しかし、口に出さない限り三枝は許してくれる筈もない。忍は心を落ち着かせながら口を開いた。

 「そ、そこは忍のお尻の穴でございます・・・」

 指でその陥没している部分を撫で回す三枝の刺激に忍は苦悶している。ここに連れ込まれてから排泄してない彼女の便意はそろそろ我慢の時を迎えている。

 「次を続けないかい」

 「どうぞ、お、お嘗め下さい」

 必死の思いでその言葉を発した忍は三枝が唇を寄せる気配に大袈裟な悲鳴を放つとその裸体を激しく悶えさせた。

 「嫌、そこだけは嫌!」

 「お嘗め下さいと自分で言っといてそれはないだろう」

 三枝は万力のような力で忍の汗に塗れた両太腿を広げさせると遂に姿を現した攻撃目標を見つめた。それは幾重にも皺を刻み込んだ薄茶色に変色したすり鉢状の姿をしている。三枝にとってそれはとても愛しいものだった。

 「お願い。そこだけは勘弁して!」

 身動きを封じられ、防ぐ手立てを失った忍は三枝に圧し掛かられている上半身を揺すって訴えている。彼女はそこに触れられる恥ずかしさよりもその刺激によって便意が昂まることを恐れていた。

 「あ、ひ、酷いわ」

 遂にその部分に舌が差し伸べられ不快な刺激を与え始めると忍は嗚咽の声を洩らし始める。機嫌を良くした三枝は前門に指を這わせ、後門にに舌を使い、自由自在に忍を操り始める。

 忍の啜り泣きはいつしか、女の啜り泣きへと変化し、またぞろ情感を揺さぶる刺激に身を焦がされてくる。

 「尻を高く掲げろ」

 尻を叩かれて促された忍が言われた通りに尻を掲げると三枝は再び興奮を取り戻した一物を前門に挿入した。

 「これは気持いいぜ」

 忍の排泄器官を指で刺激するたびに一物が締め付けられれるような感覚を覚えた三枝はゆっくりと腰を動かしながら喜悦の声を発していた。

 忍は荒々しい動きに便意が刺激され、その昂りが本物にならないように自分を失わないよう努力している。

 「もっと締めろ」

 三枝に尻を叩かれた忍はポロポロと涙を流しながらより一層の緊張を高めるために唇を強く噛み締めるのであった。

忍の波乱

 三枝にいいように身体を弄ばれた忍は真っ暗なベッドの上で目を開いていた。隣では三枝が爆音のような鼾を掻いているが便意の昂まりが刻一刻と近づいている忍には眠気は訪れなかった。

 (トイレに行かなくては)

 常に大便の排泄は三枝の前でする事を宣誓していた忍はその恐怖に苛まれ、屋敷が眠りに沈んでいる今だけがトイレに行く唯一つの機会だと思っていた。この部屋に連れ込まれる近くにそれらしいドアがあった事を思い出した忍は後手に縛られていてもなんとかトイレは使えると考えながら矢も盾も溜まらずベッドを抜け出した。

 立ち上がっても幸い三枝の高鼾は続いているドアノブに手を掛けようと部屋の内側に身体を向けたとき片隅に鮮やかな光を発しているものが目に付いた。

 (電話機だわ)

 忍の脳裏にはそこに自由への道が開けているような思いが湧いたとしてもそれは無理からぬ話であった。忍は足音を忍ばせながらその光の元に近づいた。

 それはこの屋敷に存在する唯一つのファックス兼用電話だった。奴隷たちが電話を使えぬようにこの部屋には常時鍵が掛けられ、電話も留守設定にされている。

 番号ボタンも大きく、後手で押すことも可能だと思った忍は自由への賭けに出ることにした。

 まず、受話器をずらした。そして番号を押す。手探りではあったが1、1、0は確実に押せた実感が忍にはあった。

 受話器に顔を近づけようと体勢を変えた瞬間、忍は不用意にも椅子を倒して大きな音を立ててしまった。

 「何をしてるんだ」

 暗闇の中で三枝が起き上がってくるのを感じた忍はこうなったら電話が繋がってることを祈って大声を出すしかないと咄嗟に機転を利かし、声を張り上げた。

 「助けて!助けて!」

 「何を血迷ってるんだ」

 不意に大きな声を張り上げている忍を三枝は怒鳴りつけながら近づいてくる。

 受話器に聞かせるために忍は更に大きな声を張り上げた。

 「やめて、酷いことしないで」

 「馬鹿、助けを呼んだって誰も来るものか」

 毒づきながら突進してきた三枝の股間を闇雲に振り回した忍の膝が直撃する。悶絶するように三枝が倒れこむと忍はトイレに駆け込むために部屋を飛び出した。

 忍が大声を張り上げたために松井と塩野が階段を駆け下りてきたのと忍が部屋を出た瞬間がほぼ同時だった。

 「何をしてるんだ奥さん」

 トイレのドアノブに手を掛けたところで忍の逃走劇はあっさりと幕を下ろした。しかし、警察に通報した忍はある意味安堵していた。警察が逆探知をしてここに駆けつけてくるまでさほど時間は掛からない筈だ。それまで時間を稼げば良いと忍は思っていた。

 塩野に肩を支えられた三枝が姿を現した。三枝は顔を真っ赤にして怒りの表情を全身に表している。悪魔たちの仕返しに全身総毛立つ思いの忍だったが警察に通報したという心の余裕があった。

 いきなり三枝は強張っている忍の頬を叩いた。

 「奴隷になると誓いながら土壇場で裏切りやがった。とんでもない奥さんだぜ。どういうつもりなんだ」

 三枝は叩いただけでは腹の虫が収まらないのか髪の毛を掴み上げて忍の顔を覗きこんだ。

 「あなたたちの言いなりなんかならないわ。この悪魔!」

 もう、恐れるものは何も無いという開き直りから忍は本音を言い放った。

 「糞!」

 三枝は髪の毛を離すと忍の身体に唾を吐きかけた。

 「折檻部屋に運べ。骨身に堪えるほどお仕置きしてやるぞ」

 松井と塩野に囲まれて忍が連れ去られると由里と恵子も眠そうな顔して現れる。

 「何があったんですか?」

 由里がのんびりとした声音で尋ねてきたので三枝はそれにも腹を立てた。

 「馬鹿!忍の奴が俺の金玉を蹴飛ばしたんだ。弘美を折檻部屋に連れて来い」

 いつもは感情を露わにしない三枝が怒り狂っているのを目にして二人も顔色を変え、物置に向かって走り出した。

 「あの、あま」

 余程、悔しかったのか三枝は壁を思い切り蹴飛ばすと足を引き摺りながら折檻部屋に歩を進めてゆくのだった。

絶望の涙

 監禁部屋の天井から延びる鎖に優美な裸身を繋がれ、忍は処刑開始を待たされていた。忍に後悔はなかった。むしろ、もうすぐこの地獄から解放され、悪党どもも一網打尽に逮捕される期待に胸が弾んでいたのだ。

 「まあ、やっちまった事は仕方が無い。とことんお仕置きを受けるんだぜ。素直にしてないと弘美にもとばっちりが行くぜ」

 松井が片頬を歪めて無防備に突き出している乳首を弄っても忍は一言も発しなかった。警察が到着するまで時間を稼ぐことを忍は考えている。

 重い扉が開いて三枝が姿を現した。忍はおぞましい生き物でも見るようにさっと目を逸らした。

 「こっちを向け、忍!」

 三枝は声を荒げて、忍を見つめた。しかし、その目が挑戦的に輝いていることを知って三枝の怒りは更に増長する。

 「お前は奴隷になったんじゃなかったのか?それともまだ俺たちに楯突く気か?」

 「あんたたちは悪魔だわ」

 三枝の言葉を受けるように忍は今まで鬱積していた思いを迸らせる。

 「人間の皮を被ったけだものよ。地獄に落ちるのよ。天罰が下るわ」

 涙を流しながら思いのたけを必死にぶつけた忍を苦りきった表情で見た三枝はどっかと腰を落した。

 「酒を持ってきてくれ。何か飲まないとやりきれないぜ」

 塩野が部屋を出て行くのと入れ替わりに由里と恵子が弘美を引き立ててきた。地下室で休息を取らされていた弘美はTバックも取り上げられた全裸のままだった。

 何で深夜にこんな場所に引き出されたのか判らずおろおろしている弘美を抱き取った三枝はその愛らしい乳房を力一杯握り締める。

 「お母さんはとんでもない事をしやがったんだ。これからお仕置きされるんだ。お前もしっかり見るんだ」

 「お、お母様!」

 大罪を犯した母を処刑すると三枝に告げられ、弘美は心配そうな視線を目の前に晒されている忍に投げた。忍は何故かにっこりと娘に微笑んで見せている。

 酒がもたらせ一口それを含んで息を付いた三枝は居並ぶ連中を見回して口を開いた。

 「さて、俺の金玉を蹴飛ばした女にどんなお仕置きをしてやろうか?」

 「それは何と言っても浣腸よ」

 由里が楽しそうに笑って悔しそうに目を伏せる忍の横顔を覗き込んで口を開いた。

 「恥ずかしがり屋の奥さんには取って置きのお仕置きよ」

 「そうか、忍。由里が浣腸したいと言ってるぞ」

 三枝が吼えるように言っても忍は表情を変えなかった。忍が浣腸の恐怖に怯えないことに腹を立てた三枝は弘美の顔を叩いた。

 「怖がらねえのか。それなら、弘美に浣腸してややるぞ?」

 いまいましそうに言い放った三枝は弘美の小さな裸体を松井に預けた。

 いきなり、自分に火の粉が降りかかってきたことに弘美は慄然とする。

 「嫌、お母様助けて」

 跳ね上げ式の机に由里と松井によって運ばれて行く弘美は母に向かった必死な思いで呼び掛ける。

 「弘美ちゃん。我慢して、もうすぐ助け出されるんだから」

 弘美を勇気付けるために忍はつい余計な事を口走ってしまった。それを悪魔が見逃す筈も無かった。

 「なんだと、助け出される?何を寝惚けてるんだ。どういう意味だ」

 立ち上がった三枝に顎を掴まれ問い質された忍は血走った目付きになると遂に真相を明らかにした。

 「警察に連絡したのよ。今頃、パトカーがここに向かっているわ」

 警察に連絡したと聞かされて松井と塩野に動揺が走り、由里と恵子は困惑し表情を浮かべた。彼女たちはある意味被害者、ある意味、加害者なのだ。

 しかし、三枝は落ち着き払ったままだった。

 「やっぱり、浣腸は忍に受けて貰おう。奥さんはここに来て一回も出してないから臭いのが出るぞ」

 忍は三枝が一向に動じないことに不安を覚えてきた。

 「奥さん。教えてやろう。俺の部屋の電話は万一を考えて電話線が抜いてあったんだ。それとも奥さんは電話線を嵌めなおして通報したのか?」

 一瞬で忍の表情が凍りついた。自分の自由への挑戦は徒労に終わっただけでなく悪魔たちの怒りをも買ってしまったのである。

 自分の儚い願いが打ち砕かれた忍は呆然とした表情を浮かべ、口も利けなかった。そのうち悪魔たちから受けるであろう手酷い私刑の恐怖にガタガタと全身を揺さぶり始めるであった。

 「怖いのか?」

 忍が私刑の恐怖に頬を引きつらせ、震えているのに悦びを覚えた三枝は一辺に機嫌が良くなった。この女を完全に自分のものにするためには二度とこんな気が起きないように徹底的に辱めるんだと妙な闘志さえ燃やしているのだ。

 「ああ、酷い事はしないで」

 鎖から引き離され、机の上に載せ上げられた忍は涙をハラハラ流しながら思わず哀願の声を放った。

 「駄目だ」

 それを打ち砕くように三枝は震える顎を掴む。

 「お前には警察に通報をするという重罪が加わったのだ。浣腸だけで済むと思ったら大間違いだぞ」

 怯える忍に更に恐怖を植え付けた三枝はその縄に締め上げられた上体を倒してゆく。すぐさま、松井と塩野が引き締まった忍の両足首に革バンドを嵌め、それに鎖のフックを引っ掛ける。

 頃は良しと見た三枝が壁際のスイッチを押すと忍の足首は垂直に上昇して行く。

 「あっ、酷い」

 そのままの姿勢で浣腸されると思った忍は首をなよなよと揺さぶった。しかし、吊り上げられた両足が左右に開き始めたことに気が付くと忍は心が震えた。

 「あ、何するの。嫌よ。嫌」

 泣きながら開かされて行く両足を揺さぶって何とか閉じ合わせようとする無駄な足掻きを悪魔たちの笑われても忍の動揺は収まらない。顔を真っ赤にして悲痛な叫びを上げ続ける。

 「許して、許してよ・・・」

 哀願はやがて小さくなりそしてか細い啜り泣きに変った。遂に忍は極端なまでに両足を広げられ吊り上げられと言う神をも恐れぬ姿勢を組まされたのである。

 「奥さん。いい格好にしてもらったじゃない。さっき、あたしたちのことは悪魔だ何て毒づいたね。もう、一回言ってご覧よ」

 由里は宙に浮き上がった忍の双臀を叩いては笑い転げている。

 女としてこれ以上恥ずかしい姿態はない姿勢を組まされた忍の脳裏に死という文字が浮かんだ。死ねばこのような羞恥も辱めも受けずに済む。しかし、残された弘美は途方も無く悲しむだろう。それを考えると忍はその二文字を頭から消し去り、悪魔たちの残忍な所業を耐え切ろうと心に決めた。しかし、彼らがどれ程の恐ろしい手を用意しているか知る術も無い忍は胸を振るわせるだけだった。そして、彼女の便意はこの極限状態の中で刻一刻と限界に近づきつつあった。

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