奴隷宣言
全身、水を被ったように汗みどろになって忍は苦悶していた。その部分から生じる痛みは痺れに変わり、やがて異様な快感さえ感じ始めた忍はじれったい思いにも苛まれ、頬をブルブル震わせている。
「奥様。少しは楽になった」
由里が背後から乳房を揉みあげて笑うと忍は首を捻じ曲げて必死の瞳を向けた。
「も、もう、止めて。何でもあなたたちの言う事を聞くから、お願い。二度とあなたたちを見下したりしない。奴隷になるから許して!!」
最後は絶叫したように叫ぶと忍は地団駄を踏むように足を動かした。
「その言葉、忘れちゃ駄目よ」
由里が念を押すと忍は大きく頷いた。一刻も早く、この苦境から逃れないと頭がおかしくなりそうなほど忍は苦悩している。
由里はそんな忍の目の前に用意してあった紙を広げた。
「さあ、これを大きな声で読み上げるのよ。奴隷となる事を誓うのよ」
それは三枝が用意した奴隷宣誓文だった。おぞましいい言葉の羅列もこの苦しみから逃れたい忍は何の苦もなく口にする。
「わ、私、西村忍は以下の事を誓約いたします。一つ、ご主人様、及び、準奴隷の方からの命令には絶対服従いたします」
「声が小さいわよ」
由里に尻を叩かれた忍は叫ぶように宣誓文を朗読し始める。
「一つ、大便をする時はご主人様方の許可を取った上、その目前で排泄いたします。一つ、ご主人様方から結婚の申し出があった場合にはこれを拒みません。以上、固く、固く、誓約致します」
言い終えた忍が激しく声を上げて泣き出すと男たちの間から拍手が湧いた。
「おめでとうございます」
栗山が握手を求めると三枝は照れながらそれに応じた。
「結婚式は何時ですか?是非、参加させて下さい」
「いやー、お互い再婚同志だから、派手なことはしたくない。明日にでもささやかに食事でもして式の変わりにします」
三枝は身体の底から湧き上がって来る喜びを噛み締めながら答えた。遂にこの女を屈服させ、自分のものにすることが出来たと三枝は確信していたのだ。
忍が強烈な締め上げから解放され、肩を震わせすすり泣いているとようやっと大野の欲求を処理した弘美がその胸に飛び込んで来た。
「お母様。ご免なさい。私のせいでこんなことになっちゃって・・・」
涙を浮かべた訴えた弘美の口の端に男の白濁を見つけた忍は新たな涙が湧き上がって来た。
「お母さんの方こそ許して欲しいわ。私が現れたことで弘美ちゃんを余計、辛い目に遭っているのでしょう」
その言葉を聞いた弘美は激しく首を振った。
「お母様にもう会えないと思ったのに会えたんだからちっとも辛いなんて思わない」
健気な弘美の言葉に忍は顔をくしゃくしゃにして言葉が出てこない。
「今日はお母様が奴隷になる事を誓ったから一晩、一緒にしてあげるわ。でも、ちよっと離れててね」
由里は優しい言葉を掛けて弘美を遠ざけると忍に意地悪そうな視線を送った。
「今晩も縄付きのまま過ごして戴くわね。それに鎖も外して上げられないのよ」
鎖をはずさないと聞かされ忍の顔が悲しく曇り始める。その部分が剥き上げられているため、忍はじれったいような、恥ずかしさに今でも苛まれてるいるのだ。
「でも、そんなに嫌いじゃないみたいね。こんなにお汁を垂らしているんだから」
更に残酷さを発揮し始めた由里は忍の太腿にへばりつく愛液を指で掬い取るとワナワナ唇を震わせる忍の眼前に突きつけて笑い声を上げるのだった。忍は由里を思わず罵倒したくなる感情を必死に抑えていた。ここで彼らの感情を害し、再び苦境に追い込まれていることを恐れているのだ。
「随分、聞き訳が良くなったみたいね。じゃあ、座りなさい」
天井から垂れる鎖か解放した由里は忍を床に座らせる。ぴったりと正座した忍の太腿が時折、痙攣を示している。忍にやるせない感覚を与え続けてる鎖の効果に大野はほくそえんだ。
「胡坐縛りにしてやろう。その方が奥さんも楽だろう」
「ま、待って下さい」
忍は再び立ち上がらせようと肩に手を掛けた由里の顔を見上げた。
「そんな事をされたら出来ないじゃありませんか?」
「あら、何が出来ないの?」
由里は忍が尿意を訴えているのに気が付いてもわざと素知らぬふりを続けて語りかけている。
忍は頬をほんのりと桜色に染め消え入りそうな声を出した。
「お、おしっこが出来ません」
「あら、それは気が付かないで失礼しました。でも、ここには便器はないのよね」
由里は困った振りをして辺りを見回し、ビールの空き缶を持ってくる。
「これにして頂戴。よっぽど狙いをよくしないとこぼれちゃうわよ」
クスクス笑いながら由里は忍の背後に廻り、股間を締め上げていた鎖を取り去った。
「これは見物ですよ。丸坊主になった奥さんが発射するんですから」
栗山に促され、男たちが間近に寄ってくるとビール缶の上に中腰になっている忍は羞恥に耳まで赤く染め始める。
「さあ、早くやって頂戴。こちらも色々と忙しいのよ」
愛らしい乳首を由里に弾かれた忍は慎重に的を狙った。しかし、先程までの責めで腰の動きをままならない。
「しょうがないわね。弘美。缶を支えてやって」
悪魔たちの虐待を受け続けている母の姿に涙していた弘美は栗山に促され、その惨めな裸体の前に進み出た。
「お母様。もう、少しよ。もう少し我慢してね」
諭すように言い聞かせる娘の言葉に頷いた忍は目を閉ざすと下半身の力を抜いた。
ビール缶の底を叩く音を響かせながら忍の放尿は始った。悪魔たちの射るような視線を受け、ともすれば挫けそうになる自分を叱咤しながら忍はその行為を続けていた。
ビール缶に流れ込む水流の音は徐々に高くなり、頂点寸前でそれは終わった。
「お見事ね。500CC丁度だわ」
由里が瞑目したままの忍の肩を叩いて囃し立てると三枝はそのビール缶を手に取るとその体温を感じながら中身を見る。
「泡が多いが旨そうだよ。奥さん」
悪魔たちの哄笑を耳にしてもそれはずたずたにされた忍の神経を素通りするに過ぎなかった。早く、彼らの渦の中から解放され、静かな時を過ごしたい忍であった。
祐子の心
檻に収監された祐子は隣の徹に思い悩まされていた。誰もいなくなると徹はいきり立った一物を鉄格子の間から突き出し、愛撫しろと催促するのだ。挙句の果てには自分の手でオナニーをし、その液体を祐子の檻の中に排泄して薄笑いを浮かべている。
完全に正気な沙汰では思えない徹の行動は祐子を震え上がらせるのに十分だったのである。
だから、栗山が現れた時、祐子は救われた思いになったのである。
「ちよっと、話があるんだ」
栗山はいつになく真面目な顔で祐子を檻から連れ出した。
部屋に着き、前手錠を掛けた素っ裸の祐子を椅子に座らせた栗山は下を向いたままポツリと喋り始めた。
「君に謝らなくてはならない。ここの奴隷の子の一人からプロポーズを受けた。僕はその子を妻にするつもりだ」
誘拐してまで強引に結婚した自分を捨てると栗山は言っているのだ。祐子は栗山の身勝手さに腹が立ってきた。
「私はどうなるのよ」
強い調子で祐子が聞き返したので栗山は思わず顔を上げた。
「君は地下の奴隷になってもらう」
「嫌よ。嫌。私を自由にしてくれればいいのよ」
「それは出来ない。僕が警察に捕まり、ここの連中もおしまいだ。君は地下奴隷になってもらう」
「嫌、嫌」
祐子は泣きながら必死に栗山に訴えている。今まで悪魔にしか見えなかった栗山に捨てられるといわれた瞬間、とても大切な存在に祐子は思えてきたのだ。
「お願い。二号でも妾でもいいの。私を地下に入れるのだけは止めてよ」
例え、野人のような徹が傍らに居ようと臭気が立ち込める地下室での生活を祐子は恐れていた。
「判ってくれ。君には謝るしかない」
栗山の言葉に祐子は激しく首を振り続ける。
「私にチャンスを頂戴。若い子にだって負けない自信があるのよ」
中々納得しない祐子に栗山はある提案をすることにした。
「僕は明日、東京に帰る。戻ってくるのは五日後だ。君もその娘にも栓をして帰る。その娘がその五日間を耐え切れなかった場合、君が耐えていればその娘には諦めて貰う」
「二人とも耐えてしまったらどうなるの?」
「その時はその娘と結婚する。君は地下奴隷だ」
つまり、祐子は絵里が試練に耐えられなかった場合のみ妻の座に居座られることが出来るという極めて不利な状態で戦わなければならないのだ。
「良いわよ。やるわよ」
祐子は挑戦的な目付きで栗山を見つめた。
「明日の朝、君たちに浣腸してやる。精々頑張ることだ」
「いかさまは駄目よ」
「ああ、そんな事はしない。君たちには同じ物を食べさせる」
栗山は大きく頷いた。
「さあ、檻に戻るか?」
話を終えた栗山が立ち上がらせようと肩に手を置くと祐子は首を振った。
「嫌、抱いて下さい。私の素晴らしさを見せなくちゃ」
祐子はライバルの出現に自分の立場を有利にするためにも栗山をキリキリ舞いさせてやるとばかりにファイトを燃やしている。栗山は祐子を抱いて見ることにした。その結果がどう出ようと自分には影響ないと腹を括っていた。
「キスして」
猫撫で声を出して栗山を誘った祐子は妖艶な瞳を開いて誘いを掛けた。
栗山がその唇に口を合わせると祐子は舌を誘い込み激しくそれを吸い上げた。いつもは見られない積極的な祐子に煽られるように栗山は肉欲が激しく疼きだす。獣のように絡み合う二人はやがてその世界に沈んでゆく。明日なき祐子の心は栗山の心変わりと幸運を祈るしかなかった。
忍たちの朝
監禁部屋の中では忍が再び眠れぬまま朝を迎えていた。生まれたまま素っ裸を後手に括られ、股鎖を咬まされ、胡坐縛りにされている忍は苦しそうな息を吐き、時折、縛られた膝頭を震わせている。
昨夜から、付き添っている弘美は忍を励まし続けている内に眠ってしまい。忍のTバック一枚を身に付けた裸体で可愛い寝息を立てている。毛布を掛けてやりたかったが拘束されている身ではそれも叶わず、その姿に幾らかの安らぎを覚えている忍であった。
とても、娘には見せられぬ姿を次々に露呈し、それだけでも忍は死ぬほど辛かった。それでもその可愛い寝顔を見てこの子のためにもと生きる希望をなんとか見出そうと忍はしていた。
「あっ、ああ」
何分かおきにやってくる堪らない情感に忍は呻き声を上げ、太腿を痙攣させた。
「あら、寝てしまったのね」
その声に弘美は目覚めてしまい。愛くるしい瞳で忍を見つめるのであった。
「ごめんね。起こしてしまって」
頬に髪の毛をへばりつかせるほど汗に塗れた顔で無理に笑顔を作って自分に笑い掛ける忍を見て、弘美は跳ね起きると母の腰を擦り上げた。
「大丈夫?こうすると少しは楽?」
「ええ、有難う」
長時間、胡坐縛りにされている腰は鉛を打ち込まれたように重かった。その小さい手で擦られることで少しは気分が落ち着く忍である。
「お水を飲まして頂戴。喉がカラカラなの」
昨夜から水分を一滴も与えられていない忍は途方もないほどの喉の渇きを覚えていた。
弘美は蛇口に寄ると掌に水を掬って、忍に飲ませようとした。しかし、殆ど水は忍の口に入らず流れ落ちてしまう。
仕方ないので弘美は口に水を含み、口移しで忍に水を飲ませようとする。
忍が弘美からの水を旨そうに飲み干した時、扉が不気味に開き、悪魔たちが姿を現した。
三枝と由里が間近に来ると忍は身体を硬くし、弘美はその背後に隠れるように身を縮める。
「奥様。昨日の宣誓は忘れていないでしょうね?」
由里に乳房を突付かれた由里はこっくりと頷いた。
「今夜、奥さんは三枝さんと結婚するのよ」
忍は弾かれたようにニヤケタ笑みを浮かべている三枝を見上げた。こんな爬虫類を連想させる男に抱かれるくらいなら死んだ方がましだと忍は思った。しかし、そんな事は出来る筈も無かった。
「いいわね。弘美のお父さんと別れるのよ」
由里が余りにもしつっこく自分を惨めに追い込むので忍は思い余ったように掠れた声を出した。
「判っています。忍は奴隷です。あなた方の命令に逆らえるはずも有りません」
「良く言ったわ。三枝さんは毎日、奴隷の誰かに生き血を飲ませるのが習慣なの。今日からは奥さん。あなたの仕事よ」
由里が背中を叩いて言うと忍は顔を伏せた。そんな行為を演じることは忍は致し方ないと思っていた。しかし、娘の前で自分を奴隷に貶めた三枝を慰めなければならないと思うと心がシクシクと痛んだのである。
「何を躊躇ってるの。あなたのご主人様よ。これが済んだら夕方まで休ませて上げるわ。さあ、やりなさい」
娘のような年令の由里に肩を叩かれた忍はぐいと顔を上げて三枝に引きつった笑顔を見せた。
「ご馳走して下さい。ご主人様」
「よし、飲ませてやろう」
忍が従順な態度を見せたので三枝は上機嫌になり、垂れきった一物を取り出すと忍の眼前に突き付ける。
「ほら、朝飯代わりだ」
三枝に侮蔑の言葉を吐かれても忍は動じることなく、吸い寄せられるようにそれに舌を這わせる。下半身に受け続けている刺激と相俟って、忍は大胆に舌を動かし、三枝を喜ばしてゆく。そんな母の姿を目にして弘美は悲しい思いに駆られていた。