忍の剃毛
「そうか、それで栗山さんはどうするおつもりですか?」
モニタールームで栗山から絵里の事を聞いた三枝は笑顔を浮かべて尋ねた。
「それが・・・・」
さすがの栗山も悩んでいる。
「いいではないですか?二号を持っても」
「しかし、絵里はあくまで妻という言葉にこだわっているようです」
大野が羨ましそうに言っても栗山は真剣だった。
「また、栗山さんの事だ何か面白い競技でも考えているんでしょう?」
三枝が茶化して言うと栗山も頷いた。
「一応、明日の朝、二人に浣腸して栓をしようと思います。次に訪れる時まで我慢できないもの脱落という線で考えているんですが・・・」
「二人とも耐えてしまった時が問題だな」
「ええ」
「絵里にすれば良いでしょう。祐子は二号に格下げ。惚れてくれる女に越したことはありません」
大野の言葉にも栗山は曖昧にしか頷けなかった。祐子は栗山が妻として迎えるために誘拐してきた女なのだ。それを二号に格下げするという非情な決断を栗山も取れなかった。そして、ゴムまりのような絵里の身体の反応とあの純真な気持ももちろん捨てきれない。
「そろそろ、時間です。参りましょう」
三枝は腰を上げた。忍の夜の部の調教に入るのである。松井に口を汚された忍は縄を解かれ監禁部屋の中に一人、残されている。たっぷりと休養を取らされた忍をこれから深夜まで弄ぼうと悪魔たちは考えていたのである。
栗山小屋のモニタールームで由里と恵子はスナック菓子を頬張りながらだらんと過ごしていた。二人は一人で休まされてる忍の監視を行なっていたのである。
由里は何かにつけて自分を小ばかにする態度を取る忍が憎くて堪らない。今夜、再びいたぶれるチャンスが来たことに胸が躍っている。
「どんな調子だ」
三枝たちが姿を現し、モニターに目を向ける。画面の中の忍は毛布に包まり、身動き一つしない。
「もう、昼間から死んだように眠っていますよ。大小便共に無しです」
由里が画面を見て楽しそうに答えた。
「今日も奥さんのおしっこが見られそうだな」
三枝が一堂を見回して笑いを浮かべると悪魔たちの笑い声が響いた。
「奥さん。おきなよ」
由里に頬を突付かれ覚醒した忍はぼんやりとした瞳を開いてあたりを見回した。そこに三枝を始めとする悪魔の面々が顔を揃えている事に忍は驚愕し、言い知れぬ恐怖にガタガタ全身を揺さぶるのだった。
「何を怖がってるのさ。立ちなよ」
由里に縄目が残る手首を掴まれ引き起こされた忍は三枝の前にその若々しい裸体を引き立てられると哀願の眼差しを向けるのだった。
「まだ、身体中が痛くて頭も重いのです。今日は休ませて下さい」
「昼間から寝ていて何を言うか。それだけ休めば十分だ」
三枝が厳しい言葉を吐くと忍は喉元まで込み上がってきた怒りの言葉を飲み込んだ。激しく毒づけば弘美を引き合いに出し、さらなる難題を吹きかける悪魔たちの手口を忍は悟ったのである。
「さあ、両腕を背中に廻して」
先程まで痺れが消えなかった腕をまた縛るという由里の言葉に忍は涙が出そうになった。それでも両腕を素直に背後に廻し、忍はキリキリと縄を掛けられてゆく。
天井から垂れ下がる鎖に繋ぎとめられた忍はその優美な裸体を居並ぶ悪魔たちに誇示するようにすっくとその場に立たせている。
男たちはその前面に腰を下ろすと持参してきた酒を酌み交わしては口々に目前の白い酒肴に卑猥な言葉を浴びせかけるのであった。
「今日はまずお前の繁みを剃り上げてやる。お前は気位が高い。由里たちの命令に素直に従えないのはその気位が邪魔している。そのじゃまっけな毛を剃り上げることでお前の気位を抑え込んでやる」
剃毛されると聞かされた忍は頬を赤らめさせた。悪魔たちは自分をどこまで追い込めば気が済むのだろう。そんな考えが脳裏を掠めた忍ではあったがすぐに冷淡さを取り戻した。何をされても死んだ気になって耐えること。これが悪魔たちの繰り出す淫逆な攻撃に対抗しうる唯一つの手段だと忍は悟っていた。
それでも由里と恵子が足元にシェービングクリームと剃刀を用意すると無感動を装っていた忍の膝頭が震えだす。
「怖いのか?ぐんと若返らせて貰えるんだ有り難く思えよ」
三枝に無遠慮な言葉を叩きつけられた忍は悔しさを噛み殺し、顔を横に捻った。しかし、その横顔には無念さが滲み出ているのを確認した三枝は薄笑いを浮かべていた。
「どうしたの?感じるの?」
吹きかけたシェービングクリームを掌で丹念に塗りつけている恵子が唇を噛み締め不快な感触と戦っているのを目にしてくすっと笑うと忍は心の動揺を落ち着けるように深く息を吸い込んだ。
実際、忍は半狂乱になって泣き喚きたい心境だった。身に着けているものは一切奪われ、両腕の自由を束縛され、そして、今、女の盾まで奪おうとしている憐憫の情を持たない悪魔たち。その余りに陰惨な所業に忍は正常な神経がいつまで保たれるか怯えているのが真相であった。
「さて、どなたがお剃りになるの?」
恵子がクリームを塗り終えると嬉しそうに笑った由里が剃刀を男たちの前にかざした。
そんな事をする気になれない栗山が遠慮すると大野が名乗りを上げた。
卑猥そうな笑みを浮かべた大野は忍の白く塗りたくられたデルタ地帯に目を凝らした。クリームを塗られ幾分盛り上がった感のあるその場所からは男に訴えるムンムンとする色気が感じられ大野は思わずニンマリとした。
「それじゃ、剃らして貰うよ」
目を閉ざしたままの忍が頷くと大野は剃刀を肌に当てた。由里と恵子が不気味な感触に忍の腰が動かないように手で押さえているのを確認すると大野は剃刀を動かし始める。
剃刀が動くたびに忍の口からは溜息が洩れ、頬を涙が伝わり始める。余りにも惨めな境遇を酒の力を借りてでも忘れ去りたいそんな心境に陥っている忍だった。
「奥さん。泣かなくてもいいじゃない。弘美を連れてきて上げようか?」
由里が涙を流し続ける頬を突付いてそんな事を言っても忍は弱々しく首を振るだけであった。とてもそんな姿になった自分を弘美の前に晒す勇気は忍には無かった。
「ほら、出来上がりだ」
大野が満面の笑みを湛えて剃刀を置き、シャボンをタオルで拭うと男たちの視線はその箇所に集中した。
女の縦筋をくっきりと晒した忍は息苦しいほどに太腿を密着させ、その羞恥に全身を小刻みに震わせている。その姿は男たちの神経を異様に昂らせるほど刺激的だった。
忍の試練
「目を開けてご覧よ」
由里に促され瞳を開いた忍は目前の手鏡に映る自分の下半身を目にし、その余りの惨めさに思わず顔を背けてしまう。
「あら、何で嫌がるの?可愛らしいじゃない。奥様」
由里は熱くなった耳朶を引っ張り、無理強してでも忍にその姿を目撃させようとする。遂に効しきれず忍は鏡の中に写る自分の姿を見て涙をポロポロ流すのだった。
「さて、奥さん。今日はちよっときつい目に遭って貰いますよ」
薄笑いを浮かべた三枝が無防備な乳首を弄っても忍はぐっと悔しさを噛み殺し、身悶えを堪えていた。そのようなことでは動揺を示さなくなった忍であった。
「これ、何だか判ります?」
大野が細い鎖を取り出して目の前に突き出しても忍の表情は何の変化も起きなかった。ただ、悪魔たちが何か恐ろしい事を自分の身体に仕掛ける予感に忍は怯えている。
「判らないでしょう?今に判るようにして差し上げますよ」
大野は身を屈めると手早く忍の腰に鎖を巻き付ると水平に垂らした鎖を手で持った。
「奥さん。足を開いて下さい」
「ひ、酷い事はしないで!」
悪魔たちの狙いがやはり自分の恐れている箇所だと確信した忍は哀願の声を放った。
「奥さん。怖いのかい?震えてるよ」
恐怖に顔を引きつらせ始めた顔を由里が覗き込むと忍ははっきりと頷いた。忍が怯えていることに気を良くした由里は更に残酷そうな笑みを浮かべる。
「でも、奥さんが一流の奴隷になるためにはこの修行が必要なのさ。言うこと利かないと弘美がえらい目に遭うよ」
弘美の名前を出せば忍の頑なな態度がいとも簡単に崩れることは由里は百も承知だった。
忍は震えながら両足を開いた。
大野が鎖を忍の股の間を通すと背後で待ち受けていた由里がそれを腰に巻き付いている鎖の間に通した。
「むっ」
忍の口からむせ返るような溜息が迸り出た。大野が忍の中心点にある微妙な突起を探り当てたからだ。
「これだ。これが。奥さんの陰核や」
大野が嬉しそうな声を上げて裸体を見上げると忍は悔しさと恥ずかしさに歯を噛み鳴らし、頭を揺らしている。
「よし、嵌った。引いてくれ」
大野が忍の陰核を小さな穴に通すと由里が更に鎖を引き上げてゆく。金属製のプレートに開けられた小さな穴から忍の陰核の先端が顔を覗かせるように鎖を調整した大野はその出来映えに満足げな笑みを洩らすのだった。
忍はその部分を締め付けられる恥ずかしさに太腿をぴったりと合わせ、頬を赤くして腰を揺らしていた。悶えれば悶えるほど陰核が更に抉り出されるような感覚に忍は肩を震わせてシクシク啜り上げ始める。
「ひ、酷いわ。酷い」
悪魔たちへの恨み言を吐きつつ、啜り上げながら腰を揺らし続ける忍を肴に悪魔たちは酒を酌み交わしていた。最後の仕上げはもう一人の招待客が現れてから始める手筈になっている彼らはゆったりと美女の舞を楽しんでいた。
「奥さん。踊りの師範なんだろう。もっと色気出して腰を振ってご覧よ」
先程まで悩んでいた栗山も吹っ切れたのか、忍の身悶えを見て笑っている。
一辺の翳りも失った股間に鎖を埋め込まれ恥ずかしい踊りを披露しなければならない忍の心は凍り付いていた。悪魔たちの嘲笑を受けてもそのじれったい感覚に腰を揺らせねばいられない哀れな忍だった。
不意に扉が開き、暫く姿を消していた恵子が弘美を引き立てて戻ってきた。
弘美は無残な晒し者にされている母の姿を見つけると矢も盾も溜まらずその足元に走り寄った。
「お母様!」
「弘美!」
娘の姿を見て忍は思わず絶句した。剃毛され、鎖を通された姿など娘に見せられるものではない。忍は絶叫のような声を放った。
「見ないで!弘美、お母さんを見ないで!」
忍に言われて弘美はその余りにも無残な母の姿に慄然とする。繁みを刈られ、鎖を通され、真赤になった顔を右に左に振って腰を悶えさせる母の姿など弘美にとっても正視できるものでもない。
「駄目よ。ちゃんと見なさい」
弘美を立ち上がらせた恵子はその涙に濡れた顎を掴んで忍の姿に向けさせる。
「お願い。弘美をここから連れ出して」
哀願の言葉を吐いた忍の顔を今度は由里が捉えた。
「娘を良く見てご覧よ。あのパンツ、見覚えあるだろう」
手錠を掛けられ、佇む弘美の唯一つの衣類のパンティに涙に濡れた目を向けた忍は思わず悲鳴を上げた。弘美は昨夜まで忍が身に付けていたTバックを穿かされているのだ。
「あ、あなた達、酷い事をするのね」
忍が蔑むような視線で自分を見た事に腹を立てた由里は弘美に近寄ると一気にTバックを引き剥がすと投げ捨てた。
「あんた、また、私を怒らせたね。素っ裸で母親と対面するのが恥ずかしいと思って情けを掛けたのにさ」
「ああ、ごめんなさい」
由里の怒りに火を付けてしまった忍は慌てて泣き出しそうな顔をすると詫びを入れた。
「ふん、今更、詫びを入れても遅いわよ。こっちは別に構わないけどね」
由里は捨て台詞のような言葉を吐くと次に全裸にされ呆然と佇む弘美の耳に口を寄せる。
「もうすぐ、もっと激しいお母さんの踊りが見られるわよ」
由里の言葉を聞いた弘美は泣き出しそうな視線で母の姿を見た。自分さえここにいなければ母がこんな辱めを受けないで済むなのだと罪の意識に刈られていたのだ。
「さあ、そろそろ、いいだろう」
含み笑いを浮かべた大野は立ち上がると相変わらず腰を震わせている忍の傍らに立った。
「な、何をするの?」
言い知れぬ恐怖に怯えの表情を見せる忍の顔に快感を刺激された大野はゆっくりと指先をその震える股間に這わせる。
「こうするのさ」
大野が探り当てたプレートの突起を押したとたん忍は怪鳥のような叫びを上げると首を仰向かせ全身の筋肉をピーンと緊張させる。
その部分を引きちぎれんばかりに締め上げられ、頭まで突き抜ける痛烈な痛みに忍は苦しんでいるのだ。
「止めて、やめてよ」
泣き叫ぶように叫んだ忍は苦しい息を吐きながら腰を前後左右に揺さぶり、何とかこの痛みから逃れようと必死の足掻きを繰り返す。しかし、それはますます身体に食い込み、忍は進退窮まったように号泣の声を発するのだった。
「止めて、お母さんをこれ以上、苦しめないで」
見かねた弘美が必死の叫びを上げると大野がその頬を叩きつけるとズボンを下ろした。
「うるさいんだ。お前は俺のものでもしゃぶれ」
首根っこを掴んだ弘美を自らの股間導くといきり立った一物を咥えさせ、泣き喚き、狂気したように全身を揺さぶる忍の壮絶な姿を目にしながら涎を垂らしている。悪魔たちの生贄された母と子の饗宴はいつ果てることなく続いていた。