忍と美加子

 折檻部屋の中で忍は眠れぬ一夜を過ごしていた。

 身に纏う一辺の布も許されない忍は後手に縛り上げられたままこの部屋に放置されていたのだ。

 娘の眼前にとてつもない醜態を晒し、悪魔たちの手管によって何度も頂点を極め、狂乱する姿を目撃された忍の胸の中は後悔の念が渦巻いていた。自分が現れたことで却って弘美を辛い目に遭わしている。今度、悪魔たちが屈辱を仕掛けたときに自分は果たして耐えられるだろうか?そんな懸念もあった。自分が舌を噛み切って死んだら弘美も生きる希望をなくしてしまう。そう、思うと忍の胸は張り裂けそうに痛むのだった。

 昨夜から縛られたままの両腕は感覚を失っている。朦朧とする意識の中で忍は悪魔たちが姿を現さないことを祈っていた。

 そんな願いも打ち砕かれ、由里と恵子が姿を現した。そして、もう、一人、前手錠をされた女が首を項垂れて付き添ってきた。

 「ご機嫌如何、奥様。お食事をお持ちしたわよ」

 粗末な食事の載った盆を恵子が正座している忍の前に置くと由里が前手錠の女を紹介した。

 「美加子先生よ。天体観測部の顧問で一緒に捕われたの。話し相手がいないと寂しいと思って連れて来て上げたのよ」

 美加子はTシャツ一枚の裸体で静かに忍の傍らに膝を折った。朝の入替戦で見事に勝利した美加子はさっそく雑用を言いつけられたのだ。

 「先生。弘美のお母さんに食事を食べさせてやってね。私たちは他の用事を済ませてから戻ってくるからね」

 二人は美加子に言い含めると折檻部屋から出て行った。

 残された美加子は弘美の母親と聞かされ引率していた教師としての責任を感じ、忍に申し訳ない気持で一杯で何と声を掛けようか迷っている。

 「先生。弘美は弘美はどんな様子でしたか?」

 中々口を開かない美加子に業を煮やして忍は一番、気になる事を尋ねた。

 「私が付いていながらこんな結果を招いてしまって申し訳有りません」

 美加子が涙ながらに詫びを入れると忍は首を左右に振った。

 「そんな事はどうでもいいんです。私もこんな辱めに遭ってしまってるんですから。弘美は、弘美は何かされたのでしょうか?」

 「弘美さんは・・・あの栗山という人に処女を奪われたようです」

 「ああ、やはり・・・」

 忍は恐れていた言葉を美加子から聞き、絶句した。昨夜は悪魔たちの目の前でただ泣きあうだけでろくな話も出来なかった忍は弘美の辛い心情を思って涙を浮かべていた。

 美加子は涙を浮かべて物思いに耽っている忍を見て気が気ではなくなった。早く食事を済ませないと彼女たちに何をされるか判らないからだ。

 「奥様。食事をなさってください。由里さんたちに咎められてしまいますから」

 美加子に言われて我に返った忍は言われた通りに差し出された食物を口に入れた。しかし、食欲は余り湧かないようだ。それでも忍は二個のおにぎりと平らげ、お茶を飲み干した。

 「お世話を掛けました」

 忍が礼儀正しく頭を下げるので美加子は恐縮した。

 「昨夜から縛られたままなのですか?」

 「ええ、お陰で一睡も出来ませんでした」

 忍が苦しそうに言うと美加子はすまなさそうに睫毛を伏せた。

 「解いて差し上げたいのでがそんな勝手なことをすれば私が叱られてしまいます。お許し下さい」

 「判ってますわ」

 忍も悔しそうに視線を伏せる。

 二人が各々の情報を交換しようとした時に再び、扉が開いた。

 姿を現したのは三枝、栗山、大野、松井の男ばかり四人であった。

 「奥さん。ご機嫌は如何かね?」

 ニヤケタ顔をして尋ねる松井に忍は恨みの篭った視線を投げ掛けかける。

 「お陰さまで一睡も出来ませんでした」

 忍の皮肉たっぷりの言葉に苦笑した松井は意味ありげな笑いを浮かべて三枝を見た。

 「そんな態度を見せているうちは娘と一緒の生活は出来ないぞ」

 松井に弘美のことを持ち出された忍は悔しげに下を向いてしまう。娘の事を持ち出されると急におとなしくなってしまう忍の態度に満足を覚えた三枝はおもむろに口を開いた。

 「ここに来て座りなさい」

 言われた通りに忍が緊縛された裸体をよろけさせて部屋の中央に正座すると松井がその前に立った。

 「奥さんには毎朝、男のものをしゃぶり抜いて腹の足しにして貰う事にしたんだ。今日は俺がご馳走してやる」

 松井がズボンを脱いでだらりと垂れ下がった一物を目の前に露出させると忍は正視に耐え切れず思わず視線を逸らしてしまう。

 「さあ、早く、飲み込みな」

 松井がそれを大きく揺らして優美な頬に触れさせると忍は大きな悲鳴を放ち、三枝に必死な視線を向けた。

 「どうして、私がこれほどの辱めを受けなければならないのです。教えて下さい」

 「それは奥さんが奴隷だからだよ。奴隷はご主人様の命令に逆らってはならないんだ」

 松井が三枝に代わって答えても忍は納得しなかった。激しく首を振ってその行為を拒否すると涙を浮かべるのだった。

 「こんな事、人間がする事じゃないわ」

 悔し涙を浮かべてそんな事を言う、忍に溜息を付いた松井は傍らに控えている美加子に声を掛ける。

 「おい、先生。奥さんがこんな事を言ってるぞ、お前の査定は落ちるんだぞ。徹と一緒の檻に一晩、入れてやろうか」

 松井の言葉を聞いた美加子の表情は蒼ざめた。今日から地上奴隷は雑用を命じられうまく出来ない時はそれ相応の懲罰を受けることになっていた。野獣のような男と一晩を過ごさせられると耳にした美加子は震える上がり、忍の耳元に口を寄せた。

 「奥様。お願いです。松井さんの言うとおりになさってください。さもないと私が恐ろしい目に遭わされます」

 「出来ません。こんなこと、出来ません」

 忍は更に激しく首を振ってそれを拒否し続けている。そのような愛情表現は遠い昔、夫相手にした記憶はあったが生来、潔癖症の忍が嫌うので近年、そのような行為を夫も求めなくなっていたのだ。

 「奥様。そんな頑な態度を続けると弘美さんが代わりにやらされてしまいますよ」

 とうとう、美加子は弘美を引き合いに出して忍を脅す事になってしまう。娘の名前が出たことで忍の表情は悲しく曇り出した。更に追い討ちを掛けるように松井がさらけ出した一物を揺らすのだった。

 「先生の言うとおりだぜ。弘美のが上手じゃねえか」

 忍は松井の顔を燃えるような目で睨み付けると意を決したように汚辱の塊を口に含んだ。

 「最初からそうやって素直にやればいいんだ」

 忍のぎこちない舌捌きを受けながら松井は薄ら笑いを浮かべている。

 忍は口一杯に広がる臭気にむせながら必死に舌を動かしている。両手が痺れるほど縛り上げられ、素っ裸のまま男を舌で愛撫する。忍はかつて味わったことのない屈辱感に身体を小刻みに揺らしながら汚辱の奉仕を続けていた。

 三枝は後れ毛をもつれさせた忍の男を含んだ横顔を見ながら嬉しそうな笑みを浮かべていた。薄皮を剥ぐように少しずつ奴隷の烙印を押してゆくのが理想的だと三枝は思っていたのだ。

 不意に忍が身体を引こうとするのを松井が頭部を抱え込んだ。忍の舌の刺激に松井が敗れたのだ。どくどくと流れ込んでくる不快な液体を舌に受けた忍は激しく身悶え、何とかこの責め苦から逃れようとしている。

 ようやっと排出を終えた松井が手を離すと忍は激しく咳き込み、舌に溜めていた物体をタイルの上に吐き出してしまう。

 「奥様大丈夫ですか?」

 苦しく喘ぐ忍の背中を美加子が擦ろうとすると松井の容赦ない蹴りが美加子の腰を直撃した。

 「この屋敷のしきたりを教える方が先だろう」

 慌てた美加子はタイルの上に吐き出された白濁を指で掬うとそれを苦しげな呼吸を繰り返している忍の鼻先に突き付ける。

 「奥様。ここでは男のものを吐き出すのは厳禁になっています。どうぞ、飲み込んで下さいませ」

 忍は美加子の指先でブルブル震える塊を悲しげな表情を浮かべて見つめるのであった。

絵里の変身

 忍の調教を見学した栗山は昼食のテーブルに絵里を同席させた。大野は常に由希を同席させていたが栗山の昼食の相手はいつも異なっていた。

 当初は固い表情を浮かべていた絵里だったが旺盛な食欲を発揮して、出された皿を次々に片付けて行った。

 「栗山さん。私の何が見たいの?何でもするわよ」

 部屋で二人きりになると絵里は積極的に切り出した。以前の絵里とは違っていた。何か吹っ切れた感じで応対し栗山が面食らうほどだった。

 「そうだな、制服でも着て貰って散歩でもするか」

 下着を身に着け、用意されていた東条学園の制服に袖を通した絵里は思わず顔を綻ばせる。

 「懐かしいわ。毎日、こんなのを着て学校に行ってたなんだ」

 この異常な状況下で飼育されている内に学園生活など遠い過去に忘れ去られてしまったのだろうか絵里は妙にはしゃいでいた。

 「似合うでしょう」

 鏡を見ながらネクタイを直していた絵里は振り返ると栗山の前でポーズを取った。

 弘美にはやや大きかった制服も絵里にはぴったりな感じだった。

 二人は腕を組んで庭に繰り出した。秋の終わりに吹く高原の風はさすがに冷たかった。それでも絵里は楽しそうに庭を歩き回り、栗山と二人でベンチに並んで腰掛けた。

 少女の垂らした前髪を風が巻き上げている。絵里は前を向いたまま口を開いた。

 「ねえ、栗山さん。私の事、好き?」

 いきなりの告白に栗山はびっくりせざる負えなかった。

 「好きだよ。ここの奴隷は誰でも全員」

 「そういう意味じゃなくて、祐子さんと比べてよ」

 目前で結婚式を挙げた祐子のことを絵里は知っていた。

 「祐子は僕の妻だよ。妻より好きだなんて言えるわけがないよ」

 「私、栗山さんのことが好き。たまらなく好きなんだ」

 栗山の答えを無視するかのように絵里は自分勝手に喋り始める。

 「最初に会った時、私に酷いことしたけど優しくもしてくれたじゃない。その時からなんだ。私を指名してくれたら告白しようと思ってた。栗山さんが結婚式を挙げたときは悲しかったわ。でも、今日、祐子さんと初めて会って、この人なら私は勝てると思ったわ。年だって若いし、身体だって負けないもん」

 情勢から告白された経験を持たない栗山は絵里をどう扱って良いか苦慮していた。祐子も徐々に栗山に心を開き、理想の妻に近づいていることは確かだった。しかし、絵里の言葉は栗山の心を迷わせるのに十分な程のインパクトを持っていた。

 「祐子さんと別れて私と結婚して」

 絵里は栗山の目を見て言った。栗山は思わず顔を背けて頬を赤くした。

 「あら、栗山さんって結構、純情なのね」

 絵里に笑われて栗山は立ち上がった。

 「祐子はね。僕の目の前以外で大便をすることを禁止されているんだ。栓をされてね。君に出来るかな?」

 「栗山さんが望むことですものできるわ。栗山さんだけに見られるんだったら恥ずかしくない」

 絵里は挑戦的な目付きで栗山を見つめている。これは本物だと栗山は思うしかなくなった。

 「この件は一晩、考えさせてくれ。僕なりの結論出す」

 「判ったわ。ねえ、キスしていい?」

 絵里の方から唇を合わされ、舌を差し込まれ、栗山はたじたじだった。

 唇を離すと絵里は恥ずかしそうに頬を染めて横を向いた。

 「私、自分の方からキスをするなんて事なかったのよ」

 絵里の言葉は真実だろうと栗山は思った。同時にこの若い身体を思い切り抱きしめたい衝動にも駆られていた。

 「ねえ、おしっこすること見せてくれる。ここで」

 「いいよ」

 いとも簡単に頷いて舌を出して笑顔を見せた絵里はその場にしゃがみこむとパンティを下ろした。悪戯な風が一陣、吹き荒れ、絵里のスカートを巻き上げ、冷気を直接剥きだしの下半身に浴びせると絵里は悲鳴を上げた。

 「キャー、寒い」

 「よし、じゃあ、こうしてやろう」

 栗山が風からの盾になるようにその前面に腰を落とすと絵里は恥ずかしそうに口を開いた。

 「はっきり、見たいんでしょう。もっとスカートを上げるね」

 絵里はスカートを思い切りたくし上げると腰に巻きつけるようにする。栗山の視線に元通り生え揃った絵里の恥毛が丸見えになった。

 「じゃあ、始めるね」

 絵里の股間から水柱が噴き上げると栗山は思わず唾を飲み込んだ。

 絵里の股間に出来た小さな水溜りから新たな流れが出来、栗山の方に流れた始める。しかし、栗山はサンダルが汚れるのも厭わずそのまま絵里の股間に視線を送っていた。

 「これを使って」

 放尿を終えた絵里は栗山に渡されたティッシュを使って後始末をするとそのまま立ち上がり、抱きついてきた。

 「こんなに、こんなに愛してるんだよ」

 絵里は泣きながら栗山と頬を擦り合わせ訴えてた。

 パンティを足に落としまま、泣きじゃくる絵里をしっかりと抱きしめた栗山は胸が詰まる思いだった。捕らえられ、辱められ、貶めてきた少女からの愛の告白、これ以上純粋な愛情が果たしてあるであろうか?

 長いキスを交わした絵里はうっとりするような目付きで栗山を見る。

 「このまま、お部屋に運んで、抱いて・・・」

 こっくりと頷いた栗山はパンティを足に絡めたままの絵里を横抱きにすると母屋への道を歩き始めた。尽きることのない思いを秘めた絵里は栗山の胸にピッタリと頬を付け目を閉ざしたまま幸せそうな顔を見せていた。

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