留美の嫉妬

 栗山たちが帰ってから屋敷の中は気が抜けたようになった。 

 留美と恵子は男たちとのセックスにうつつを抜かすようになったが夜は殆ど由里が二人を同時に相手をするので留美と恵子は昼間しか松井たちを相手にすることが出来なくなった。

 「ねえ、由里ってそんなに凄いの?」

 情欲の余韻を楽しんでいた留美は隣でタバコを吹かしている松井に尋ねた。

 「ああ、いくら気をやってもこれでもかって言うくらい絡み付いてくるぜ。陰核鎖を取り付けられてから変わってしまったみたいだ」

 松井の話を聞いて留美は由里を哀れむより嫉妬心を覚えている。何か仕掛けて由里の心に打撃を与えなければ気が済まないのである。

 三枝が一人でいる頃を見計らって由里はアトリエを訪れた。

 三枝は絵の仕上げに取り掛かっていた。上に着ていたシャツを勢い良く脱いで褌一枚になった留美が近づいてきたので三枝は鼻の下を伸ばして留美を見た。

 「ねえ、おじさま。たまには留美にもご馳走して下さい。最近は由希か先生ばかりがお相手するんですもの」

 留美は三枝の足元に座り込むと早くもズボンのファスナーを下ろし、手を差し伸べるのであった。

 「何か欲しい物でもあるのか?」

 早くも一物を咥え込んだ留美を見て三枝は尋ねた。何か魂胆があるとしか三枝には思えなかったのだ。

 留美はそれに答えず。一途に舌を動かし、三枝を追い落とすことに懸命になっている。

 忽ちのうちに三枝は追い詰められ甘い陶酔の頂点で事切れた。

 丹念に後始末を終えた留美は三枝の膝の上にちよこんと座ると頬と頬をすり合わせ、囁くような声を出した。

 「お願いがあるの。徹に淫乱になった由里の姿を見せてやって欲しいの」

 「なんだ、徹を苛めたいのか?」

 「いえ、由里をギャフンと言わしたいの、松井さんや塩野さんに抱かれて有頂天になってるみたいだから」

 三枝は苦笑いを浮かべた。陰核鎖の影響で由里の性欲が激しいことは松井から聞いていた。それを留美に妬まれる由里というのも因果なもんだと三枝は思った。

 「よし、お前の願いを聞いてやろう」

 「嬉しい。おじさま」

 留美は三枝の頬にキスするとにこやかな笑みを浮かべた。徹を組み込んだ絵を描こうと思っていた三枝にはそれは別に不都合なことではなかった。無残な構図を考えて三枝の視線は虚空を彷徨うのであった。

兄妹受難

 翌日、朝食を終えた地下室に松井と恵子が下ってきた。奴隷たちは何事かと恐れの目を持って彼らを追っている。

 「立ちな」

 松井は身を横たえたままの徹を引き起こした。

 「待って、お兄ちゃんをどこに連れてゆくの?」

 兄が殺される事を懸念した由希が追いすがると留美がその身体を抑え込む。

 「あんたも一緒だよ」

 恵子に諭され手錠を掛けられた由希はおとなしくそれに従った。

 アトリエでは全裸の由里が後手に括られ天井から垂れるロープに吊り下げられていた。

 「今日は先輩が思い上がっているようだから懲らしめてやろうと思って、三枝さんにお願いしたのよ」

 ねちっこい留美の言い方に由里は全身総毛立つ思いを味わった。逃走の処罰を受けた時の恐怖が甦ったのだ。

 「わ、私は何も悪いことしてない。変な言いがかりは止して」

 「言いがかりじゃないよ。あんたがしたいしたいって言うもんだから松井さんと塩野さんに毎日して貰ってるじゃない。お陰で私と恵子なんかには声が掛からなくなったのさ」

 「そ、そんな」

 由里は留美の勝手な言いがかりを悔しく思った。悪魔たちの折檻のお陰で身体が男を欲するようになるとそれを咎められる。由里は悔し涙を流すのだった。

 「まあ、いいさ。徹と由希も呼ぶから楽しくやりましょう」

 松井と恵子が徹と由希を連れてくると由里は顔を背けた。最近は徹に対して邪険な態度は取らなくなったもののやはり由里の心にはわだかまりが残っていた。

 徹が後手縛りに仕上げられると留美は椅子に座らせるよう松井に命じた。

 「髭が伸びてしまって男前が台無しよ。剃って上げるわ」

 留美は拘束されて以来、風呂にも入れてもらえず髭も伸び放題の徹を見て、留美は髭を剃ってやるつもりだった。

 髭剃りクリームを泡立て、塗りつけると留美は器用に徹の髭をそり落としてゆく。

 その時、後手縛りにされた由希が恵子の制止を振り切り、仁王のように椅子に座り込んでこの光景を凝視している三枝の前に跪いた。

 「お願いが有ります。兄にせめてパンツを穿かせてやって下さい」

 由希は栗山に頼んだことを三枝に直訴したのだ。

 涙混じりに必死に訴える由希を目を剥いて睨み付ける。

 「由希、そんなに兄が可哀想か?」

 「はい。女の人たちの中に兄を素っ裸にして放り込むなんて酷すぎます」

 由希は精一杯の哀願をしたつもりだった。しかし、三枝の次の言葉に由希は耳を疑った。

 「ならば殺してしまおう。本人も死にたいといっているようだしな」

 三枝が腹を抱えて笑うのを由希は噛み付きそうな目で見ている。しかし、三枝は身を乗り出すと由希の顎を掴んで揺さぶった。

 「どうだ、助けて欲しいか?素っ裸でもいいから生きていた方が良いだろ」

 「た、助けて下さい」

 由希の哀願は却って逆効果となり、助命を嘆願する羽目になった。

 「留美、徹の髭をそり落としたら、この娘の髭もそり落としてやれ、余計なことを言った罰だ」

 それを聞いた由希は唇を噛むしかなかった。

 「ふふ、余計なこと言って損しちゃったね」

 由希に剃毛を施しながら留美は意地悪そうな笑みを浮かべて表情を覗き見た。由希は目を閉じたまま顔を背けている。しかし、その横顔には悔しさが溢れていた。

 「ほら、できた」

 留美は立ち上がってその出来映えに目を注いだ。元々薄かった由希の恥毛は完全に取り払われ、女の縦筋をくっきりと露呈していた。

 一方、徹は由里の間近に天井から垂れ下がるロープに繋がれている。二人は互いに顔を背けあって視線を合わせようとしない。

 「しっかり、由里を見ないか」

 松井に頭を小突かれた徹は恐れを抱いた視線を由里の全裸像に向けた。

 「先輩も恋人の身体を見てあげなきゃ」

 恵子にわき腹を抓られた由里は恐る恐る手を伸ばせば触れそうな距離にまで接近した全裸の徹に目を向けた。由里は恐れていた。徹の無防備な姿を目にすると自分が欲情してしまう事を懸念していたのだ。

 留美はここに監禁されて以来、徹の喉を締め付けていた布を取り去るとその肩に手を置いた。

 「ねえ、徹さん。由里を見てあげて。由里は松井さんなんかと腰を振り合うのがとても好きみたいよ」

 その言葉を聞いて反応を示したのは由里の方だった。恋人に自分が淫乱な女になったことを知られた事に身を揺すって悔しがっている。しかし、徹は首を振った。

 「馬鹿な事を言うな。彼女はそんな女じゃない」

 徹には信じられないのだ。恋人が好きでもない男に抱かれてセックスに狂態を示すことなど考えられないのだ。

 「あら、随分、由里の事を信じてるのね。ちよっと、試して見ましょうね」

 由里は垂れ下がったままの徹の一物に手を添えると緩やかにしごき始める。

 「止めろ。そんな事は止めろ」

 徹が激しく身悶えたので留美はそれを固く握り締めるときつい表情になった。

 「ギャア、ギャア騒ぐとまた喋らなくさせるよ。黙って、こっちに任せておいてよ。悪いようにはしないからね」

 徹はその一言で押し黙った。再び、喉を締め付けられるのは耐えられなかった。

 留美は口まで使って徹の一物をいとも簡単に隆々させた。

 「ちゃんと見ろよ」

 由里はそんな状態になった徹の姿を見るのが怖くて視線を逸らしたが松井に強引に向けさせられてしまう。

 「さあ、これをじっと見てね。先輩」

 留美は悪魔のような笑みを見せるとゆっくりとそして完全にそれをしごき始める。それは徹に恥辱を与えるためではなく、由里の気持ちに劣情を感じさせる目的で行なわれているのである。

 案の定、由里は視線を逸らせぬ悔しさに歯を噛み鳴らしながらも、閉じ合わせた太股を盛んに擦り合わせている。

 由里が感じ始めたのに気が付いた留美は徹を自由にするとその耳元に囁いた。

 「あなたの恋人はね。指一本、触れられてないのに見ただけで感じてしまったわ」

 「う、嘘だ。由里、違うと言ってくれ」

 徹の言葉は却って由里を苦しい立場に追い込んでしまう。そんな状態になった自分を恥じるように由里は首を垂れてしまったのである。

 「ちよっとした証拠を見せてあげるわね」

 留美はそういうと電気剃刀を持ってきて由里の前に腰を落した。

 「先輩。また、生え揃い始めたからこれできれいにして上げるね」

 由里は留美が手にしている電気剃刀を見て、恐れの表情を浮かべる。そんな箇所に微妙な震動を与えられたら今の由里はどんな状態に陥ってしまうか。由里は自分でも予想できなかった。

 「や、止めて」

 「でも、このぐらいの長さなら丁度良いわよ」

 留美は有無を言わせず、電気剃刀をその部分に押し当てた。

 「嫌、」

 悲鳴を放った由里が思わず腰を引こうとするのを松井ががっちりと受け止め、それを許さない。遂に由里は微妙な震動をその部分に感じ、身体を悶えさせてしまう。

 顔を真赤にさせ、腰をくねらせ、熱い息を吐き始めた由里は留美の言うとおり、甘い陶酔に支配され始めている。

 見たものかと留美が得意げな顔をして徹を見ると徹は唖然として白い生き物と化した由里の裸体に目を瞠るのであった。

 留美が剃毛を終え、スイッチを切ると既に全身が色づいてる由里は肩を震わせ涙を流し始める。留美はその縦割れの先端に顔を覗かせる由里の陰核を見つけると指を差し伸べ、大きく揺さぶった。突然、由里はむせ返るような息を吐き、大きく首を仰け反らせる。

 「どう、由里って淫乱でしょう。徹さん」

 尚もそれを揺さぶり、由里に悲鳴を上げさせる留美を見て徹は胸に込み上がってきた憤りを抑えることができなかった。

 「吉橋君。君は恥ずかしくないのか。女である君が女の悲しさを判らないのか?」

 徹に遠慮なく叩きつけられた留美は怒りにこめかみを震わせて徹を睨み付ける。

 「そんなもんを丸出しにしたあんたに意見はされたくないよ」

 「吉橋君、目を覚ませ。悪魔たちに手を貸して、これ以上、由里を辱めるのは止めろ」

 徹に蘇えった男らしい態度を見て、留美は一種の満足感を覚えていた。しかし、これ以上の罵りを許すほど留美は寛容ではなかった。

 「由里をこの場で男たちに犯させてやるよ。どんなに悦ぶか見てみるといいよ」

 「馬鹿な真似は止せ」

 徹の制止も聞かずにマットレスの上に押し倒された由里に松井が圧し掛かってゆく。

 「徹さん。助けて」

 由里は思わず徹に助けを求めた。男らしい態度を見た彼女の心に恋人としての徹の存在が蘇えったのだ。しかし、松井の乱暴な愛撫を受けると由里は込み上げてくる情感を抑えきれず甘美な啜り泣きを洩らし始める。

 毒づく徹は猿轡を咬まされ、目の前で繰り広げられるシーンを目撃しても、激しく身悶えるだけであった。

 松井に挿入されると由里は徹に見られてるという思いは消し飛び、激しい反応を見せ始める。松井の上に跨り、激しい腰使いを見せる由里は何度も上り詰め、留美を呆れる懊悩振りを見せ付ける。

 松井の情欲を搾り取った由里が縛り上げられた裸体をマットレスの上に押し当て、啜り泣きを洩らし始める。興奮が過ぎ去り、徹の目前で情欲に敗れる姿を露呈した悲しみに由里は打ちひしがれているのだ。

 「何、これ?興奮しちゃったの?」

 恵子がいきり立っている一物を叩いて笑うと徹は悔しげに目を閉ざした。

 徹は由里の情交する姿を見ているうちに憤慨するより、興奮をの証を示していたのだ。

 「恵子。しやぶって上げればいいじゃない?そのままじゃ身体に毒だから」

 由里の後始末に取り掛かってる留美が片目を瞑って言うと恵子は極度の緊張を示している徹を口に含んで揺り動かし始めた。

 もう、徹は抗らいはしなかった。しっかりと目を閉じて悔しそうな表情を浮かべている。留美に猿轡を外された徹は大きく息を付いた。押し寄せてくる快感をなんとか堪えようとする徹は虚しい努力を続けていた。

 「ふふふ、何を我慢してるの?とっとと吐き出しちゃいなさいよ」

 留美が懸命な表情を浮かべている徹の頬突付いて笑うと三枝が声を掛けた。 

 「最後は由希にさせろ」

 留美は驚いたような表情を見せたが三枝の言葉に従うしかなかった。妹に兄の悩みを解かせる。悪魔の所業にも似たその言葉に由希は恐怖に全身を凍り付かせた。

 「嫌よ。嫌」

 松井に裸体を起こされ、徹の足元に転がされた由希は泣き叫ぶように訴えた。

 「嫌なら兄貴を殺されちまうぞ」

 松井に背中を踏み付けられ、脅された由希ははっとした表情になった。悪魔たちは兄を殺すと脅して、何でも自分にさせようとしている。脅しかもしれない。しかし、それに屈しない度胸を由希は持ち合わせていなかった。

 「兄ちゃん」

 いきり立つ、兄の男根を目の前にした由希は上目遣いに徹を見た。

 「殺されたっていい。お前にそんな事をされたくない」

 徹は振り絞るような声で由希に言った。しかし、由希はその行為をしなければならなかった。兄を危険に晒すことは出来ない。悪魔が次々に難題を押し付けてきても由希はそれをすることを覚悟した。

 「うっ」

 妹にその部分を咥え込まれた徹は思わず呻いた。しかし、しっかり目を閉じ、妹のなすがままに任せた。自分たちの運命はこの悪魔たちに握られている事実は動かしようがなかったのだ。

 由希は咥え込んだものは兄だと思わないようにして一途に舌を動かしている。翻弄される兄と妹、由希は泣きながら無常の奉仕を続けていた。

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