翻弄される少女たち

 大野と由希が退場すると悪魔たちは後片付けに掛かりだした。

 上気した色を浮かべ、奴隷たちに陶然とした視線を送ったままの栗山の元に留美が笑顔を浮かべて近づいてきた。

 「お客様。どの娘をお部屋にお連れしましょう?私たちでも構いませんよ」

 「あの、絵里と恭子の二人をお願いします」

 栗山は即座に答えた。ビデオを見て既に決めて合ったのだ。

 「それではお部屋でお待ち下さい。後ほど、お連れ致します」

 栗山は満足げな表情を浮かべるとアトリエを後にした。彼の楽しみはこれからが本番であった。

 栗山自室に戻り、あれこれセッティングをしてると大野が上気した顔を覗かせた。

 「栗山さん。由希にこれから小便をさせます。見に来ますか?」

 「伺います」

 即座に答えた栗山は大野の後に従った。彼が千歳一隅のチャンスを逃すはずも無かった。

 大野と栗山に与えられた部屋は向かい合わせである。狭いがトイレは完備している。

 由希はその洋式便座の上に乗って、震えていた。覚悟したこととはいえ、十七歳の由希にとって大野の与えた試練は苛酷だった。さっそく訪れた尿意を大野は利用したのだ。

 「待たせたね。栗山さんも見たいというから連れて来た」

 由希は放尿する姿を栗山にも見せるという大山の発想に唖然とした。

 「さあ、見せて貰おうか」

 二人は身を屈めて、由希の噴き出す部分に目を凝らした。さすがに由希は二人の視線がそこに集中していることを感じ、足を閉じてしまう。

 「駄目だよ。足を広げないと見えないじゃないか」

 「だって、だって」

 大野の抗議に由希は頬を赤らめて羞恥を訴えた。そんな風情が二人の男たちにとってはこの上の無い情欲を刺激する所作となることを由希は知らなかった。

 「さあ、足を広げて。上に上げなさい」

 大野が片足を掴み持ち上げるとと栗山もそれに習った、由希は極端な姿勢を取らされ、首まで朱に染めて頭を振った。

 「嫌、こんな格好じゃ、出来ない」

 「まあ、何をしてるの?」

 恭子と絵里を栗山の部屋に連れて来た留美が大野の部屋が騒々しいので何事かと様子を見に来たのだ。

 「さっそく、誓いを実践してるのね。でも、そんな格好じゃおしっこが便器から洩れちゃうわよ」

 留美は男たちが取らせている姿勢がおかしくてクスクスと笑っている。

 「そうか、仕方ないな」

 大野は不満そうに由希の足を水平に戻した。しかし、栗山はそのままだった。

 「片足なら大丈夫でしょう。さあ、して見せて」

 栗山は笑顔を見せて由希に微笑みかけている。

 「ふふふ、良いわよ。さあ、始めなさい」

 留美に命令された由希はもう、甘えは許されなかった。ほんの一瞬のことだ。笑い者になればいいと由希は決意を固めると下半身の力を抜いた。

 「おお、始めたぞ」

 僅かな弧を描きながら便器の中に落下する水流を見つめ、栗山は満面の笑みを見せた。

 由希はか細い啜り泣きを織り交ぜながら恥ずかしい水音を立て続けていた。

 由希の放尿を見物した栗山は慌てて自室に戻った。

 絵里と恭子が褌一枚の裸体を後手に縛られ、ベッドの上に座って項垂れていた。

 「ごめんね。待たせちゃったね」

 栗山は軽く詫びると二人の前に椅子を持ってきて座った。

 「島原絵里さんだね。そちらは橋本恭子さん」

 二人は頷いた。

 「君たちに見せたいものがあるんだ」

 栗山はテレビのスイッチを入れ、ビデオの再生ボタンを押した。

 画面が明るくなり、やがてその内容が明らかになった。地下室の光景だった。

 「止めてよ」

 恭子が不意に横を向くと振り絞るように言った。これから起こる光景を正視すること出来ないのだ。しかし、栗山はそんな恭子を無視するかのようにビデオの解説を始めるのである。

 「恭子ちゃんのお尻から茶色のバナナが首を出しました。割合、柔らかいみたいです。ずるずると出てきます。恭子ちゃんは恥ずかしいのでしょうか?泣いてるみたいです」

 「お願い。もう、もう、止めてよ」

 恭子は栗山の言葉を聞くのも嫌なのだろう。喚きながら栗山の言葉を遮ろうとしていた。

 号泣し始めた恭子を見て、さすがに栗山も気が咎めたのだろう。解説をするのを止めてその細い肩を抱いた。

 「恭子ちゃんが僕の目の前であの光景を再現してくれたらもう、これ以上見ないことにするよ。いいかい?」

 「な、なんであんな物を見たがるの?」

 恭子は泣きながら栗山に問いかけた。しかし、それは栗山にとって答えづらい質問だった。正直に答えれば変態と罵られるに決まっている。

 栗山が黙り込んでしまったために恭子はじっと栗山の目を覗き込んだ。

 「変態なのね」

 その言葉に栗山が過剰に反応した。恭子の上に馬乗りになると頬を一発、二発と打ち据えた。

 「変態で何が悪い。お前は奴隷だろう。奴隷ならおとなしく俺の言う事を聞け」

 さらに打ちかかる栗山を絵里が必死に止めた。

 「止めて、栗山さん。私が何でも見せて上げるから」

 絵里の言葉を聞いて栗山の動きが止まった。栗山の表情が和んでくるのを見て絵里はほっとした気持ちになった。

 「よし、こいつはキャンセルするよ。待っててくれ」

 機嫌を戻した栗山が恭子を帰すために部屋を出て行くと絵里は何気なくテレビを見た。

 「嫌、」

 絵里は思わず下を向いた。自分の脱糞シーンが大写しになっているのだ。絵里は苛酷な自分たちの運命を呪うかのように溜息を付いた。

絵里の悲しみ

 「君にもみせたいものがあるんだ」

 部屋に戻ってきた栗山は唐突に絵里に言った。絵里はてっきり自分の脱糞シーンを見せられるものだと思い、引きつった表情を見せる。

 「いや、違うよ。本物を見せて貰えるのにそんなもの見せる分けないじゃないか。これだよ」

 栗山は荷物の中からクリアファイルを取り出した。それは新聞の切抜きだった。

 「君たちが行方不明になってからの新聞記事は全部取っておいた。見たことないだろう?」

 「ええ、新聞もテレビも見てません」

 絵里は必死で新聞の文字を追った。

 『女子高生、集団で失踪』、『事故か事件か、未だ手掛かりなし』、『捜索打ち切りに近親者涙』どれもセンセーショナルな見出しが踊っていた。

 絵里は写真の中に母の姿を見つけた。良く見えないが母はやつれた様子に見えた。絵里は溢れそうになる思いを堪えて自分の記事を追った。第一報の中に顔写真と共に自分のプロフィールが紹介されていた。更に家族のコメントが掲載されていた。

 『とても、優しいし芯の強い娘です。きっと元気な姿で戻ってきてくれると思います』

 いつもは口やかましい父が自分を褒めているのを見て絵里は涙を抑えることができなかった。それでも栗山に頼んで次の頁を開いてもらった。

 『捜索者も不明、魔の高原』、『兄、先輩のカップル消息を絶つ』

 記事は徹と由里の行方不明に焦点が移っていた。由希のお母さんが気丈にもインタビューに答えている。

 『由希といい徹といい、この辺りに異次元空間でも存在するんでは無いかと思います』

 二人の生還を信じている人の言葉としては現実とかけ離れた答えをしている。

 「もう、いいかい?」

 次のプログラムに進みたい栗山はクリアファイルを取り上げると絵里と向かい合った。

 「それじゃ、ウンチをする所を見せてくれるかい?」

 「ごめんなさい。今、出そうも無いの。おしっこなら見せて上げられると思う」

 「じやあ、お風呂に行こう。そこで見せてもらうね」

 栗山と絵里はさっそく風呂場に向かった。脱衣所に入ると誰か先客がいるらしい、話し声が聞こえて来た。

 構わず栗山が扉を開けると留美と恵子の二人が風呂に浸かっていた。

 「お邪魔ですか?」

 「いえ、構いませんよ。私たちの裸もどうぞ」

 恵子はにこやかに笑うと立ち上がって見事な全裸像を栗山に披露した。

 栗山は苦笑すると絵里を伴って風呂場に入り込んだ。4人も入ると大きな風呂場もちよっと狭く感じる。

 「あら、絵里も一緒なのね。手錠にしてあげないといけないわね」

 留美は脱衣所に戻ると手錠を持ってきて絵里を後手錠に手早く変えた。

 「私たちはこれで出ますね。ごゆっくり」

 留美と恵子が脱衣所に消えようとするのを栗山は呼び止めた。

 「何か飲み物が欲しいね。ビールと彼女にも何か上げて欲しい」

 「判りました。お部屋にお持ちします。絵里はレモンスカッシュが好きなのでそれを用意しておきます」

 二人が出て行くと栗山は絵里と一緒に湯に浸かった。

 「お風呂には毎日入れてもらえるの?」

 絵里は悲しげに首を振った。

 「男の人に抱かれる時は別だけどそれ以外は二日かおきくらい・・・」

 地下組にいた場合、入浴のチャンスは殆ど無い、そんな事を外部から来た人間に言い辛いのは当然の事だった。

 栗山は絵里の身体を丹念に石鹸を付けて洗ってやった。絵里はここに捕われて一番の心の安らぎを覚えていた。

 「さあ、見せてくれるね」

 洗い場に上がった絵里を綺麗に洗った栗山の問い掛けにこっくりと頷いた絵里は見やすいように足を大きく開いてしゃがみ込んだ。

 「そんなに顔を近づけたら顔に掛かってしまいますよ」

 寝そべりながら顔を近づける栗山に絵里は顔を赤らめて言った。

 「構わないよ。始めてくれる?」

 絵里は横を向くと放出を開始した。栗山はしぶきが顔に掛かるのも厭わずにその光景を食い入るように見つめている。絵里は栗山の一物が勃起してきたのを目にし、この男の性癖の恐ろしさを改めて感じるのであった。

罠に掛かる絵里

 風呂場から上がると二人は部屋に戻り、各々の飲み物を口にした。絵里は気が付かなかったが栗山はレモンスカッシュの中に下剤を混入していたのだ。

 「それじゃしようか」

 招きに応じて絵里は背中から栗山の胸に抱かれた。

 「どこが感じるの?」

 胸をも揉まれながら尋ねられた絵里は小さく首を振った。

 「まだ、余り、良く判りません。クリトリスが鈍感だといわれて鍛えられました」

 「あの、由希ちゃんが付けさせられた鎖だね」

 「ええ、とても辛かったです」

 絵里は頬を赤らめると甘えるよな仕草で栗山の胸に顔を埋めた。

 栗山は体制を入れ替えると絵里をベッドの上に横たえ、唇をぴったりと合わせた。

 口中を愛撫されているうちに絵里にも興奮の兆しが見えてきた。栗山はそっと手を伸ばし、絵里の花園に触れてみた。そこは十分に潤みを持ち、男を受け入れる状態になっていることを確認した栗山は男を深々と挿入し、荒々しい腰の動きを繰り返した。

 栗山には判っていた。絵里が便意を催して、許しを乞いながらトイレの使用を懇願することを。これこそが栗山の思い描いていた光景の一つだった。

 栗山が粘りの有る腰の動きで立ち向かえば絵里も激しい息遣いを見せて打ち込まれた楔に応戦していた。

 快楽の炎に火が付き、荒波に揺さぶられるようにその身を揺り動かしていた絵里は急速に込み上がってきた便意に慌て始めた。このままの姿で噴き出してしまえば栗山に迷惑が掛かるだけでなく、留美たちにお仕置きされる可能性もある。

 絵里は上目遣いに栗山を見て、祈るような視線を向ける。

 「お願い。少しの間だけ、止めて」

 「なんだい?気分が乗っている時なのに」

 栗山は動きを止めずに尋ねた。栗山は絵里が便意に苦しみ始めたことに気が付き心の中でニンマリと笑った。

 「我慢できないの。お願いトイレに行かせて」

 「さっきしたばかりじゃないか?」

 栗山はわざと素っ気無く言った。

 「違うの、大きい方なの」

 頬を赤らめて訴えた絵里はもう快楽に酔っている場合ではなかった。差し迫った便意が気になってとても甘いムードに浸れる場合ではなかった。

 「何、そうか。しかし、せっかくだから、もう、少し、我慢できないのか」

 「我慢できないの。お願い!少しの間だけでいいの」

 もう、猶予は無かった。絵里は涙を浮かべて懇願した。

 「仕方ないな」

 栗山は楔を引き抜くと、絵里を背後から抱え上げた。

 「あっ、何をするの」

 女児に用を足させるような姿で軽々と絵里を抱え上げ、トイレに向かって歩き始めた栗山に絵里は悲鳴を放った。

 「約束どおりに見せてもらうよ。いいだろう?」

 もう、良いも悪いもなかった。絵里の便意は極限に達していたのだ。

 「さあ、始めていいよ」

 トイレに辿り着いた栗山に言われた絵里はそのまま緊張を解放した。

 激しい音を立てて便器に落下する物体を意識して絵里は声を上げて泣き始める。

 「凄い勢いだよ」

 「止めて、見ないで、見ないでよ」

 泣きじゃくりながら訴える絵里を抱えながら栗山は妖しい悦びに酔っていた。少女のそんな姿を意のままに見ることが出来る瞬間、栗山はそんな光景を常に想像していたのだ。

 しかし、栗山の野望はこんなものでは留まらない。明日からの計画を頭の中で今一度練り直すうちに絵里の羞恥の時間は過ぎようとしていた。

前頁へ 次頁へ