絵里の慟哭
「じゃあ、取り付けるわよ」
留美が鎖を自分の腰に廻し始めると絵里はその狙いが隠微な雰囲気なのを感じ取り膝頭が震えだす。
「ふふふ、絵里が鈍感な場所を私たちが感じるようにしてあげるよ」
絵里の腰に鎖を巻き付けた留美は膝を折るとその震えが止まらない太股を叩いた。
「丸坊主にされて恥ずかしいだろうけど足を開いてよ」
絵里が心持、両足を開くと背後から松井は足を差し入れ、絵里の両足が閉じられないようにしてしまった。
急に絵里が塞がれた口の中でむずかり出した。留美が剃毛された秘裂を割り開き、その指先で内部を探り始めたからだ。
「おとなしくしねえか」
松井に腰を抑え付けられた絵里はもうどうすることも出来なかった。
「あった。あった。これが絵里のクリトリスね。これを鍛えないといけないのよ」
抓みあげたそれに輪が掛けられた瞬間、絵里は塞がれた口の中で悲鳴を上げ、頭を左右に打ち振った。
絵里が哀願するような瞳で留美に訴えている。それを目にした留美はニッコリと笑うと構わず輪の下に垂れ下がる鎖を絵里の股間に通してしまう。待ち受けていた松井がその鎖を引き絞り、腰の鎖に繋ぎとめると絵里の陰核は抉り出されたように顔を覗かせた。
松井が足を引き、身悶える自由を得た絵里は状態を折り曲げたり、腰を揺らしたりして何とか意地悪い輪を外そうと懸命になるが却って強くその部分を締め上げられるような感覚に絵里は進退窮まってしまう。
「まあ、凄く淫らな感じね」
恵子は抉り出されたその部分に顔を寄せると留美と視線を合わせ笑うのであった。
見事なまでに剃毛された股間を真一文字に割る鎖によって女の中心点を締め上げられる辛さ、恥ずかしさに絵里はシクシクと啜り上げている。哀れっぽいその姿は大野にとって却って情欲を刺激することになるのだった。
「こっちへ連れて来い」
三枝の命令でロープから切り離された絵里は背中を押され、つんのめるようにして大野の前に引き立てられた。
涙を流し、落ち着かないように太股を震わす絵里の抉り出された陰核を間近に目にした大野は思わず唾を飲み込み、その先端を指で突付くのであった。
反射的に腰を引いて、首を左右に打ち振った絵里を見てニンマリとした大野であったがふと物足りなさを覚え、三枝に声を掛けた。
「口を塞いでいないといけないのか?できれば声を聞いてみたい」
「よし。外してやろう」
絵里の口から、監禁の事実を告げられのを恐れた三枝は絵里の口を封じていたがここまで追い詰められばそんな気も起きないと確信した三枝は封印を解くことにした。
三枝がガムテープを剥がすと絵里の口からそれまで溜まっていた思いが迸り出た。
「ああ、お願い。こ、これ、外してください!私、何も悪いことしてないでしょう?な、何故、こんな目に遭わなければならないの?」
自分を監禁して、羞恥と屈辱に彷徨わせるだけでなく、家畜のように扱われる根源を作った憎い男。その男に対して哀願を繰り返さねばならない悔しさは絵里にもあった。しかし、このやるせないともじれったいとも表現できない切羽詰った感覚を一刻も早く逃れたい気持ちが先行している絵里であった。
「ふふふ、辛いか?お前はそこが鈍感だからな。鍛えてやる事にしたんだ」
三枝は額にうっすらと汗を掻いて、哀れっぽい視線を自分に向ける絵里に嗜虐心を刺激されて上ずった声で話した。
「よし、おっぱいを揉んでやろう」
背後から松井の両手が双の乳房を揉み上げると絵里は激しく身悶え、それを振り払おうと虚しい足掻きを繰り返す。しかし、そんな行動が自分を更に締め付ける結果を招くことに気が付いた絵里は啜り上げつつ松井の愛撫を甘受してしまう。
大野はおとなしくなった絵里を見て、舌なめずりをすると抉り出されて小さく震えている突起を口に含んだ。
「あっ、止めて」
三枝が歯でそれを軽く噛み締め、先端を舌先で転がすと絵里は縛り上げられた裸体を仰け反らせ、むせ返るような声で訴えた。
「うっ、うっ」
大野の舌先の愛撫は執拗に続けられ、絵里は上半身をうねらせ、歯の隙間から苦しげな喘ぎ声を洩らす。
頃はよしと大野は鎖をずらすと指先を絵里の熱く湿り始めた胎内に侵入させ、激しく優しく動かし始めた。
悪魔たちの手管に呼応して、妖しく色づき始めた絵里の裸体を三枝は魂が射抜かれたような表情で見つめていた。あのような簡単な器具で女をここまで発情させることが出来るとは三枝は信じられない気持ちであったのである。
激しい息遣いと共に大野の指が深く侵入するたびに絵里の下半身が浮き上がり下降する。完全に彼ら術中に嵌った絵里は情念の極致に追い詰められつつあった。
「そんな、情けない顔するもんじゃないですよ。気持ち良いでしょう。先輩」
恵子に頬を突付かれてからかわれた絵里ははっと自分を取り戻して目を開いた。しかし、執拗な悪魔たちの愛撫の渦に再び巻き込まれた絵里は睫毛を伏せると情念にその身を任せる。
「仲良くしましょうよ。先輩」
恵子はそんな絵里の姿にいとおしさを覚えたのか苦しい息遣いを見せる絵里の唇にぴったりと口を合わせた。
侵入してきた恵子の舌に口中を愛撫された絵里はその刺激に煽られるように小刻みに太股を痙攣させた。
「よし、仕上げたぜ」
松井が急調子で乳房を揉み上げると留美もその嵐に遭った小船のように揺れる愛らしい乳首を抓み上げる。
塞がれた口の中で声にならない呻き声を上げると絵里の肉体は崩壊した。
「えへへへ、往っちまいやがった」
松井に揶揄されても顔を仰向かせ、全身の血が沸騰するような感覚の余韻に浸っている絵里の耳には届かない。貪欲に快楽を噛み締めるように大野の指をきつく挟みこんだ密着させた太股を痙攣させているだけであった。
やがて、余韻が収まり、大野の指が引き抜かれると絵里は大きく息を付き恥ずかしげに顔を伏せた。
「先輩。可愛かったわよ」
恵子にからかわれ、突付かれた頬を朱に染めて絵里は感動の啜り泣きを洩らし始める。
「どうだ?感激したか?」
三枝に肩を叩かれた大野は大きく頷き、ソファにどっかと腰を落した。自分の思い描いていた事を実現した満足感で大野の胸は一杯だった。
鎖を取り外された絵里は留美に背を押され、大野の膝の上に抱きとめられる。恥ずかしそうに大野の胸に顔を埋めた絵里は何もかも忘れて泣きじゃくった。
そんな絵里を大野はいとおしそうに見つめてはその身体の優しく抱きとめるのであった。
三枝はそんな大野の様子を見て薄笑いを浮かべていた。今日の接待で大野は骨抜きにされ、言い値で自分の絵を引き取ると三枝は思っていたのだ。
控え室
留美と恵子は松井の部屋で早めの夕食を摂っていた。
傍らには麻美もおり、がっくりと疲れ切った絵里も後手に縛られたまま座っていた。
「絵里は次の出番までここで休むのよ。地下室なんかよりましでしょう?」
留美に言われた絵里ははっと顔を上げた。まだ、この身を悪魔たちに弄ばれると知り、絵里は新たな衝撃に打ちのめされた。
「お願い。ひ、酷い事はしないで」
絵里は必死な眼差しを留美に向けた。
「私が決めることじゃないから何とも言えないわ」
留美は冷たく突き放すと食事を続けるのだった。
「ねえ、これから何をするんだっけ?」
恵子が三枝との打ち合わせを既に済ませている留美に興味津々と言った風情で尋ねた。
「絵を描くみたいよ。絵里だけはまだ描いてなかったから」
「はーん。そうなんだ」
恵子も納得すると食事を再開した。
「先生の具合はどうだ」
いきなり、松井が手にアイスクリームを乗せて姿を見せた。
「良く、眠ってるみたい。起こさないでおいたら」
留美の忠告を無視し、松井は美加子の肩に手を置いて揺すり始めた。
美加子は朦朧とした目を開いて覚醒した。
「どうだ。先生。熱はまだあるみたいだが?」
「有難う、だいぶ楽になったわ。でも、この手錠外していただけないかしら?肩が痛くて」
「こいつは悪い事をしたな」
松井は自分の失態に気が付いてベッドのポールに取り付けられている手錠を外して前で拘束した。
「アイスクリームを持って来た。食べないか?」
「戴くわ」
熱っぽい身体にはアイスクリームは心地よかった。松井に勧められるままに美加子はたちまちそれを平らげた。
「優しいのね」
留美にそんな態度を茶化された松井は照れたように頭を掻いた。
「俺は病人には優しいんだ」
そんな事を言って二人を笑わせた松井は留美に付いてくる様に命じるのだった。
「地下に夕飯を出してやる時間だ。その後、夜の部が開幕だ」
「そうだったわ。恵子、頼んだわよ」
松井と仲良く留美が出て行くと部屋の中は静けさを取り戻した。
絵里の構図
三枝は大野と並んで座り、次のショーの開幕を待っていた。三枝の思い通り、大野は絵を倍の値段で引き取る言い出した。更に陰核を吊り出されている女の絵まで発注した。三枝はこれからその絵を描くところを大野に見せるつもりであった。
既に先程まで料理が載っていたテーブルが二人の前にでんと置かれ、生贄の登場を待っている。
「さ、歩いて」
留美の声が響くと、絵里が後手に括られた裸身の姿を現した。その後から恵子と留美が褌にハッピ姿で縄尻を持ち入場してきた。
二人の前に引き立てられた絵里は涙を浮かべた顔を上げると三枝に哀れっぽい視線を向ける。
「もう、酷い事はしないで下さい」
「何だ、恥ずかしいのか?」
弱みを見せてきた奴隷に対して三枝はわざと素っ気無く答えた。
「こんな姿にされて虐められるなんて、死ぬほど恥ずかしい・・・」
絵里は消え入るように下を向いて訴えた。
絵里がこんな弱気な一面を見せるのは滅多に無いことだった。留美は絵里が先程の所業が余程、堪えたのだと内心ほくそえんだ。
しかし、弱みを見せれば見せるほど悪魔たちの暗い悦びは加速される。
「お前はまだ我がコレクションに加えてはおらぬ。ここで、お前の恥ずかしい姿を絵に収めてやるのだ。我儘は許さん」
三枝に拒否された絵里はそれ以上哀願の声は洩らさず、留美と松井によってテーブルの上に仰向けに寝かされた。
「足を開きな」
絵里の上半身をテーブルに別の縄を使って縛り付けた松井は絵里の太股を突付いて笑った。
「嫌ー、嫌」
絵里が頭を打ち振って拒否の姿勢を見せると留美はその涙に濡れたを頬を突付いた。
「駄目よ。部長さんがそんな駄々こねちゃ。さあ、丸坊主だから恥ずかしいだろうけど言う事を聞いて堂々と開きなさい」
頑なに閉じ合わせている絵里の両足首を掴んだ松井は馬鹿力を発揮して左右に割り始める。
いかに絵里が懸命に踏ん張ってもそれは無駄な足掻きに過ぎなかった。絵里の両足は扇のように開き、その足首にビニール管を結びつける。これで絵里は開股縛りされ、両足をばたつかせる自由も奪われてしまう。
「それにしても良く綺麗に剃り上げたものだわ。まるで小学生みたい」
恵子は無毛の地にされた絵里の恥ずかしい丘を撫で上げるとキヤッキヤッと笑い声を上げる。そして、その丘の頂点辺りに顔を覗かせる絵里の陰核を見つけると意地悪そうな顔をしてそれを指で弾いた。
「先輩のこれって可愛いわ。悪戯したくなっちゃう」
恵子にそれを抓まれ、弄ばれると絵里の目尻から新たな涙が零れ落ちる。後輩に女として恥ずかしい姿を露呈し、悪戯される悔しさ。絵里の鼓動は早鐘のように脈打つのであった。
「いいか。それを思い切り引っ張ってみな」
「こう?」
恵子は絵里の陰核を思い切り引き上げた。絵里は辛そうに眉を寄せ、唇を固く噛み締めている。
十分に表皮が剥けたそれの根本を松井はタコ糸を使って幾重にも巻き付けた。
そのタコ糸を上から垂れ下がるロープに結び付けると絵里を苦境に落す準備は全て整った。
「よし、吊り上げろ」
三枝の号令と共に松井が壁際のハンドルを廻すと糸は緊張を示し、そして、絵里の無残に括られた陰核を抉り出すのであった。
「あっ、止めて」
その部分が千切り取られる様な痛みを感じた絵里は思わず悲鳴を放った。
更にロープは引き絞られ、絵里の下腹部が浮き上がったところでそれは静止した。
「うっ、うっ」
絵里は熱に浮かされたような呻きを洩らし、そこから生じる痛みに耐えている。
大野はその余りにも卑猥な姿態を声も無く見つめ。三枝は不敵な笑いを浮かべるとキャンバスの前に腰を落した。絵里の余りにも無残な構図は完成したのであった。