留美と恵子

 留美は恵子をさっそく自分のねぐらとして与えられている納戸部屋に招待した。

 「こんなに狭いとこに暮らしてるんだ。先輩は」

 恵子は褌一枚の裸体で大きく伸びをするとその狭い室内を見回した。中には乱雑に毛布や衣類、生理用品が山積みされている。今日、買ってきた褌がその中に有るのを見つけた恵子はにんまりと笑うとその一枚を抓んでヒラヒラ振って見せた。

 「たくさん、買って来たのね」

 「そう、明日から奴隷たちにパンティの代わりに締めさせるんですって。私たちのはそのテストケースっていう訳ね」

 「なるほどね。より、セクシーだもんね」

 恵子は尻に手を置いてポーズを作って見せた。

 「恵子。少しは感謝してね。あなたに混ぜた薬ね。恭子の半分だったのよ」

 タバコに火を付けた留美に薄笑いを浮かべてそんな事を言われた恵子は驚いた顔をして見せた。

 「知らなかったわ。先輩。有難う」

 恵子がおどけて乳首を口に含むと留美は喜々とした笑い声を上げて身を捩った。

 「止めてよ。くすぐったいわ」

 留美から顔を離した恵子は隣に座り込むと真顔になった。

 「ねえ、教えて欲しいんだけど。ここの先生はどうやってお金を稼いでるの?」

 「ああ、そのことね。何でも絵が売れるらしいのよ」

 「あの悪趣味な絵がね。物好きもいるもんだわ」

 恵子は信じられないといった顔付きで留美を見た。

 「明後日ね。画商が絵を見に来るんですって。私たちにその画商の接待をさせるつもりらしいのよ。それでもう一人、準奴隷が欲しかったていう分けよ」

 「へぇー、スケベ親父の相手か。まあ、仕方ないか」

 恵子は独り言のように言うとベッドの上に寝転んだ。

 「まだ、寝るのは早いわよ。仕事があるの」

 「こんなに遅くからあるの?」

 「お風呂掃除をするの。三枝が一番最後に入った後、掃除するのよ」

 「ねえ、今日は夜のお努めはないの?」

 恵子は声の調子を落として留美に尋ねる。

 「無いみたいね。今日入った、由里を二人係りで犯すんでしょう。私たちは暇っていう訳ね」

 留美はくすっと笑うと片目を瞑って見せた。

 「三枝って、誰かを抱いたことあるの?」

 「無いでしょうね。口でさせるのが好きみたいだけど。だけど彼はエネルギッシュよ。夜は二時頃まで起きてるし、朝は七時には目覚めてるわ。それから地下室のビデオテープを早回しで見るの。絵も描いてるし、大変なのよ」

 「そうなんだ。ねえ、競争しない?」

 「何の?」

 「三枝の貞操を戴くの」

 「それは無理よ。するつもりがあればとっくにしてるわ」

 留美は恵子の提案を笑い飛ばした。

 「私はアタックして見るね」

 「やってもいいよ。だけど、自分から寝室に押し掛ける真似なんかしては駄目よ。おそらく、怒られて地下室行きよ」

 「判ったわ」

 恵子が留美の忠告に頷いた時、大時計が鳴った。十二時になったようだ。

 「さあ、お風呂掃除よ。三枝は大時計が鳴ると風呂を出るの」

 留美が立ち上がると恵子も元気よく立ち上がった。

新奴隷紹介

 翌朝は入替戦の日であった。女奴隷たちは地下の出入口のある倉庫の床の上に正座して三枝を待ち構えていた。昨日のうちに入替を済ませていた由希と恵子は今回の入替戦に参加しないため、隅で立って成り行きを見守っていた。

 三枝が太った身体を揺すって姿を現すと女たちは深く一礼をした。三枝の権威を強調するため留美が強制した行為だった。

 「諸君。お早う。今日は二つお知らせがある。一つ目はこちらに居る香田恵子が昨日の昇格試験に合格し、準奴隷となったことだ。これからは留美と同様にお前たちを管理、指導する立場になる。皆、言う事を聞くように」

 恵子は黒い褌を締めて、上にTシャツを身に着けた姿で皆の前に進み出た。黒の褌は準奴隷だけに許されるコスチュームとして三枝が与えたものだった。

 「皆を指導する立場になりました。私の言う事を良く聞いて、ご主人様に尽くしなさい」

 恵子は少し照れながら自己紹介をした。続いて連絡事項を伝達した。

 「地上組は今日から白い褌を付けて貰うわ。お色気たっぷりの姿でご主人様もお喜びだわ。それから生理になった人は地下組でも赤い褌を締めさせて上げますから申し出て下さい」

 恵子は白い布をヒラヒラさせてそれを示した。

 「それから新しい奴隷を紹介するわ」

 松井に背中を押されて素っ裸を後手に括られた留美が姿を現した。

 朝まで松井と塩野に嬲り尽くされた由里はがっくりと首を垂れ、その裸体のあちこちには男たちの付けた手の跡が残る無残な姿でそこに佇んでいた。

 「徹の恋人で東条学園OBの小室由里よ。由里は今日は入替戦は不参加で地下組になるわ」

 由里は留美に背中を押されて恭子の隣に立たされた。

 「それでは今日の入替戦の内容を発表します。勝ち抜きレズ合戦です。1対1で対戦します。先に声を出した方が負けです。2人連続で負かせたら勝ち抜きになります。全員、立って下さい」

 対象の5人の女奴隷がすくっとその場に裸身を立たせると留美がパンティを回収し、松井が手際よく全員を後手錠に拘束する。

 美加子を先頭に麻美、美希、絵里、弘美の順に奴隷たちが整列すると三枝が美加子と麻美に向き合うよう指示する。

 「いいか、乳首に噛み付いて悲鳴を上げさせても勝にはならないぞ。感じさせて溜息を付かせるのだ。負けた者は列の最後に並ぶこと、では先生と麻美から始めるぞ」

 美加子は麻美は天井から伸びるロープに結ばれると向かい合って相手を見た。麻美は必死の形相で美加子を睨みつけている。皆、地下には下りたくないのだ。

 「よし、始め」

 三枝の号令で人間としての扱いを賭けた甘美な女同士の戦いは幕を切って落とされた。

 いきなり麻美は美加子の乳首に吸い付いたのだ。美加子は慌ててそれを振りほどこうと激しく身体を揺さぶったが麻美はすっぽんのように吸い付いたら離れなかった。

 守勢、一方の美加子に対し、麻美は片足立ちになると膝頭を美加子の股間に押し付けぐいぐいと揺さぶった。

 「あっああ」

 遂に頬を上気させた美加子の唇から官能の呻き声が洩れた。

 「麻美の勝利」

 上機嫌な三枝は片腕を高々と上げ、麻美の勝利を宣言した。

 少女たちの必死の戦いは三枝の暗い喜びを加速させている。そうとも知らずに少女たちは無常な戦いに知らず知らずのうちに埋没して行く。

 結局、朝の対決は一時間以上掛かって勝者と敗者が決定した。美加子と絵里が地下に落ちることになった。

 地下室に下りた由里は恋人の無残な姿を見て、目を背けた。頼もしい男だと思ったが徹が無気力な表情を浮かべ横たわっている様を直視する勇気が無かったのだ。

 「由里は恋人の隣ね。由希と挟むようにしてあげる」

 留美はそんな事を言って徹の隣の足枷を由里に嵌めるのだった。

 全員が足枷を拘束され、新しい便器が渡され、食料と水を配置すると悪魔たちは階上へと消え、奴隷たちだけの淀んだ空間になった。

 絵里は久々に美加子の隣に位置することになり、少し、話をしてみたくなった。私語は禁止されているが囁くような声でしゃべれば悪魔に気が付かれることなく会話できることを絵里は心得ていた。

 絵里は美加子に出来るだけ寄って上を向いたまま口を開いた。

 「先生。大丈夫ですか?」

 「えっ、どういう意味?」

 「心です。皆、相当、参ってるみたいです。恭子なんか人が変わってしまいました」

 「そうね。私もおかしくなりそう」

 美加子は昨夜の恭子の変身振りを見ていただけに実感が篭っていた。

 「いつまで続くんでしょうね?」

 絵里は溜息を付いて美加子は見た。

 美加子は力無く首を振るだけであった。

 その時、地下室に由里の声が響き渡った。

 「人が食事してるのにおしっこなんかさせないでよ」

 尿意を訴えた徹のために由希が自分の便器に排尿させようとした事から由里が声を荒げたのだ。

 「でも、兄はずっと我慢していたんです」

 由希は恋人の由里に詰られたことに意外な顔をして抗弁した。しかし、由里はそんな事にはお構い無しに食事として出された握り飯をぱくついてる。

 「少しぐらい待ってよ。徹だってその位の配慮をしてよ」

 由里に叩きつけられるように言われた徹は何も言わずに横を向いた。悔し涙を恋人に見られるのが辛かったのだろう。

 由里は由里で昨夜、悪魔たちに肉体を蹂躙された後ろめたさが徹へのそっけない態度となって現れている。ガラスの動物園の動物たちの中には軋轢が充満していた。

性感教育

 奴隷たちのトイレと入浴、洗濯と目の廻るほど忙しかった午前中の仕事を終えた留美と恵子はモニタールームで悪魔たちと一緒に昼食を取っていた。

 恵子はよく笑い、悪魔たちの中にすっかりと溶け込んでいる。その日の話題はもっぱら翌日に迫った、画商の接待だった。

 「明日はお前たちの魅力で画商をメロメロにさせて高値で引き取るように仕向けてくれ」

 「ねえ、おじさま?画商というのはどんな人なの?」

 恵子は興味津々と言った風情で三枝に尋ねた。

 「年の頃はおれよりちよっと上かな、しかし、痩せ型で筋肉はあるぞ」

 「まぁ、頼もしい」

 「まあ、俺の絵を欲しがるような奴だから変態趣味なんだ。奴はクリトリスに執着があるみたいなんだ。一度、そこを抉り出されている女の絵を描いてくれって頼まれて断ったことがある」

 「描いて差し上げれば?高値で引き取ってくれるでしょう。モデルはいくらでねいるんだし」

 「うん。そうだな」

 三枝は頷くと引き出しを開け、何かごそごそ探し出していた。

 「あった。これだ」

 三枝は細い鎖状のものを取り出すと留美と恵子の前に突きつけた。

 「何なの?これ」

 留美は不思議そうな顔をしてそれを見詰める。

 「クリトリスの鈍感な女を敏感にさせる器具だと言っていた。明日、お前たちのどちらかにそれを付けさせてレズショーをして貰いたい」

 「嫌だ。怖いわ」

 留美は早くも及び腰になってしまった。しかし、恵子は興味津々と言った風情でそれを手に取ると広げて見るのだった。左右に伸びる鎖を広げると中間に一本鎖が下に伸びその中間点に小さな輪が有った。さらにそこからもう一本鎖が下方に伸びているのだ。

 「判った。こうするんでしょう」

 恵子は立ち上がると褌の上からそれを宛がい、実践して見せた。

 「ちよっと嵌めてみようぜ」

 松井が悪ふざけをして恵子を羽交い絞めにすると留美が褌を素早く取り去った。

 「やだ、恥ずかしいじゃない」

 「昨日まで素っ裸でいたくせに恥ずかしがるなよ」

 松井は羞恥に頬を染める恵子を笑って取り合わない。

 「こうするのね」

 鎖を恵子の腰に廻し、背中でフックで止めた留美は笑って恵子を見上げる。

 「やだ。先輩まで」

 恵子が頬を膨らませて見せたが留美は漆黒の陰毛を掻き分け始めていた。

 「ちよっとおとなしくしていてね」

 探り当てた恵子の陰核を指で抓みあげると鎖に繋がれている小さな輪にそれを嵌めこんだ。

 「うっ」

 頬を染めた恵子はその部分が空気に晒される不快感に思わず首を仰け反らせる。

 「仕上げはこうよね」

 輪から下方に垂れ下がる鎖を恵子の股間に通すとそれを腰の中ほどに固定されている鎖に通し一気に締め上げた。

 「嫌、嫌よ」

 その部分が締め上げられる辛さ恥ずかしさに恵子は腰を左右に揺さぶった。

 「恐ろしく淫らな姿だわ」

 柔らかな繊毛の中から首を覗かせる恵子の陰核の先端を目にした留美は感心したように溜息を付いた。

 「ねえ、おじさま。奴隷たちにこれを付けさせて特訓させましょうよ」

 留美が鼻に掛かった声で訴えるとその淫らな光景に見入っていた三枝は大きく頷いた。

 「恵子。気分はどうなんだ?」

 目尻に涙さえ浮かべ、やるせない感覚に腰を震わしている恵子に三枝は声を掛ける。

 「恥ずかしいやら、情けないやらで泣いちゃいそう。早く、外してよ」

 恵子が大袈裟に腰を揺さぶったので留美と三枝は大きな口を開けて笑い合った。

 「これは面白いものを発見した。明日の接待であいつに見せてやろう」

 「そうね。茂みを剃り上げてやればもっと淫らに見えるわよ」

 留美は含み笑いを浮かべ相変わらず輪を取り付けられたままシクシクと啜り上げる恵子のその部分に目を凝らして薄笑いを浮かべるのであった。

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