新たなる獲物

 少女たちが悪魔の館に幽閉されて一週間が過ぎた。少女たちへの恥辱の儀式は毎日のように繰り返されている。

 その日、松井と塩野はいつものようにショッピングセンターに着ぐるみを着た留美を伴って買い物に来ていた。12人分の食料の纏め買いとなるとかなりの量になる。抱えきれない食料品が載ったショッピングカートを押して駐車場に戻った留美はオートバイで訪れているカップルの姿を見て呆然とした。

 天体観測部の一年先輩で今年、大学に進んだ小室由里が若い男と真剣そうな表情で話をしていたからだ。由里は面倒見が良くて人気があったが留美はそこが気に入らなくてこの先輩とよく衝突していた。留美は売り場に戻る振りをして大胆にも二人の傍らを通り過ぎた。

 「部員たちが消えたのはこの辺なの?」

 「最後にバスを降りたのはもう少し先なんだ。それから足取りが不明なんだ」

 二人は自分たちを捜索に来ていると知った留美は胸が熱くなった。今、ここで着ぐるみを脱ぎ、二人に真実を話せば救われるかも知れない。しかし、悪魔に魂を売った自分の立場はどうなる?留美は悩んだが悪魔の流れに従っている方が自分にとって有利だと言う結論を出してしまった。

 「わ〜い。熊さんだ」

 子供たちに見つかり、留美は手を引かれるように売り場に戻った。

 再び、駐車場に戻った留美はそこに二人の姿がいなくなっているのを確認して帰りの車に乗り込んだ。

 車は屋敷に戻る一本道に差し掛かっていた。

 「あれ、オートバイの連中が手を振ってる」

 運転している松井の声に留美が前方を見ると道端にバイクを止めた先程の二人組みが手を振っていた。

 「ガス欠か故障だな」

 塩野が呟くと着ぐるみの頭部を外した留美が緊迫した声を放った。

 「私たちを探しにきたのよ」

 「えっ、知ってるのか?」

 「女の方は先輩なの」

 松井の目が好色そうに微笑み、困惑しような表情の女を見つめた。毎日、とっかえひっかえ色んな女を抱いていても新しい獲物には感心を示す松井だった。

 「どうしました?」

 窓を開けて松井が尋ねると男は恐縮したような表情を浮かべた。

 「バイクが故障したみたいなんです。町まで乗せて行って貰えませんか?」

 「それは大変ですね。家が近いんです。いらっしゃいませんか?工具もあるし。直して差し上げましょう」

 「それは有り難いです。お願いします」

 「じゃあ、牽引しましょう」

 松井が牽引ロープを取り出し、オートバイと車を結びつけた。

 「女の方は乗って下さい」

 松井に促され、車に乗り込んだ由里はそこに先程、ションピングセーターにいた熊を見付けて微笑んだ。

 「熱くないんですか?」

 留美は身振りで答えている。まだ、正体を明かすわけには行かないのだ。

 「こちらへは観光でいらしたのですか?」

 車を操りながら松井が尋ねると由里は声を落した。

 「彼の妹がこの辺りで消息不明になっているのです」

 「ああ、あの生徒と先生が行方不明になった事件ね」

 「もう、山狩りなんかも終了してしまったんですけど彼のご家族は諦め切れなくて近くのホテルに滞在して独自の捜索を続けているんです。私も彼女たちの先輩で、何人か知っている者がいるので一緒に探しています」

 「大変ですね」

 松井は言葉を掛けながら塩野と顔を見合わせて意味深な笑みを浮かべた。

 東条学園、天体観測部の失踪はセンセーショナルな話題を呼び、大掛かりな捜索が繰り広げられた。しかし、杳として行方は知れず、消防団を動員しての山狩りは昨日で終了していた。

 塩野が車を降り、門の錠を外すと車とそれに引かれたオートバイは屋敷の敷地に入った。二度と出ることのできない悪魔の屋敷に二人は取り込まれたのだ。

 塩野が物置から工具箱を持ってきてオートバイの様子を見る振りをしている隙に松井は屋敷の中に入り三枝に事の次第を報告した。報告を聞いた三枝の顔は綻び、すぐさま二人の拉致を容認した。

 「喉が渇いたでしょう。冷たい物でも如何ですか?」

 睡眠薬を入れたジュースを差し出すと額に汗を浮かべている二人は何の疑いもせずそれを飲み干した。

 「エンジンプラグが駄目ですね」

 塩野は真っ黒に汚れたプラグを男に見せた。

 「磨けば掛かるかも知れないちよっとお待ち下さい」

 「お手数お掛けします」

 塩野が再び物置に戻るのを見送った男は由里の様子がおかしいのに気が付いた。目を閉じて身体をよろめかせている。

 「おい、どうしたんだ。由里」

 倒れそうになる由里を慌てて抱きとめた男は自分にも睡魔が襲い掛かっているのに気が付いた。へなへなと座り込むようにして由里を抱きとめたまま男は意識を失った。

由里への脅迫

 二人はアトリエに運ばれ、手錠を掛けて天井から吊るされた。三枝は男だけを素っ裸にし、女は服着たまま吊るすように指示すると自分は二人の持ち物を調べ始めた。

 大した金は所持していなかったがそれを巻き上げ、学生証を見つけてニヤリと微笑んだ。

 「おい、こいつは由希の兄貴だぜ。梶間徹という名だ」

 「20歳の大学二年か、妹の学園祭に行って出会ったんでしょうな」

 二人を爪先立ちにまで引き上げ、立居縛りに仕上げると松井が近寄って座り込んだ。

 「女は小室由里、大学1年生です」

 女の持ち物を調べていた塩野が唇を歪めてその衣服に包まれた肉体を凝視する。

 「あら、男だけ素っ裸にしたの?」

 そこへ、シャワーを浴びていた留美がパンティ一枚の裸身にバスタオルを引っ掛けて現れ、意外な顔をした。

 「こいつ、由希の兄貴だぜ」

 松井が笑いながら言うと留美はしみじみと徹の顔を覗きこんだ。

 「そういえば聞いた事があったわ。由希の兄貴がOBと付き合ってるって」

 由希は男たちの群れの中に腰を下ろすと三枝のタバコに手を伸ばして火を付けた。

 「おじさま。この男、どうするつもりなの?」

 留美は男奴隷を受け入れた三枝の決断を不思議がっていたのだ。女より力はあるし、危険はこの上なく増すはずである。

 「色々楽しみはある。恋人の目の前でお前に玩具にさせるとかな」

 三枝が暗い笑いを浮かべたので留美も釣られて笑い声を上げた。

 「しかし、俺たちどえらい事、やってるな9人の女を監禁して好きなように弄んでいるんだからな」

 「ああ、山狩りも終わったようだ。この二人が行方不明になってもさほど騒がないだろう」

 松井の言葉に三枝は低い声で笑うといまだ意識の回復しない二人を見て笑みを洩らすのだった。

 「さて、二人を起こしてやるか。男は猿轡を噛ましとこう」

 3人の男たちが立ち上がると留美もスラリとした裸身を立たせ、含み笑いを浮かべて徹に近づいた。

 「なんだ、そこばっかり気になるのか?」

 縮み上がっている徹の男根を食い入るように見つめている留美を猿轡を噛ましている松井が笑うと留美は照れもしないで更に顔を近づけた。

 「男のここって何であんなに猛々しくなるの?普段はこんなにおとなしいのに」

 留美の言い方がいかにも幼いので松井はケラケラと笑い声を上げた。

 「お前もまだまだ子供だな。そこを擦り上げて目を覚まさせてやれよ」

 松井に言われた留美は悪戯っぽい目になると鎌首を持ち上げてゆさゆさと擦り上げ始める。

 「うっ」

 乳房を揉まれる不快感と腕が吊り上げられている痛みを感じ、由里は目を覚ました。

 「な、何なのこれは、あっ、止めてよ」

 首を捻じ曲げ、身体を揺すって由里は激しい声を放った。

 「お目覚めかな?お嬢さん」

 椅子に座ったままの三枝の方に目を向けた由里はその背後に飾られた絵画のおぞましさに悪寒を感じぶるっと身体を震わせた。

 「先輩。お久し振り」

 パンティ一枚の留美が顔を見せたので由里はますます、混乱した。

 「吉橋さん。あなた、行方不明の筈でしょう?どうしたの?」

 「俺から説明してやろう」

 松井が留美を押しのけて由里の前に立った。

 「あんたたちが探している東条学園の生徒と教師は俺たちが奴隷として預かってる。毎日、楽しく暮らしているぜ」

 「奴隷?なんなのそれ」

 由里は奴隷の意味が判りかねて再度、尋ねた。

 「つまり、俺たちはその女たちを好きな時に抱けるのさ。お前もその仲間に加わったのさ」

 「嫌よ。そんなの」

 由里が不貞腐れたたように横を向くと留美がその顎を掴んだ。

 「先輩も今日からその奴隷の一人になったわけよ」

 留美が得意顔でそんな事を言うと由里は辻褄の合わない事実に気が付いた。

 「あなたも奴隷なんでしょう。なら、この人たちに混じって私を脅すのは何故なの」

 「私は奴隷でも特別なの。皆を管理する権限を与えられてるの」

 「そんなの可笑しいわ。吉橋さん。あなたも悪魔の手先なのね」

 由里に痛いところを突かれた留美は頭に血を上らせてその強張った頬を叩いた。

 「あんたにとやかく言われる筋合いは無いわ。ここでは私が女王なのよ。私の命令が利けない物はお仕置きされるのよ」

 留美にまくし立てられた由里は悔しげに唇を噛み、横を向いた。その視線に全裸に剥かれ吊るされている徹を見付けて由里ははっとした表情を見せた。

 「あなたたち、酷い人たちね。徹さんを辱めてそんなに楽しいの?」

 由里が噛み付きそうな視線を松井たちに投げ掛けて憤怒を現すと松井は薄笑いを浮かべて由里の乳房を思い切り絞り上げた。

 「ここでは奴隷は素っ裸で暮らすのが原則なんだ。お前にもすぐ裸になってもらうぜ」

 松井はせせら笑うと由里の乳房から手を離した。

 「そろそろ、徹にも起きてもらおうぜ」

 松井に言われた留美は残酷そうな笑みを浮かべるとだらしなく股間に垂れ下がる徹の垂れ袋を掴むと押し潰さんばかりに力を込めた。

 痛さに徹は覚醒し、自分が素っ裸に剥かれて吊るされていることに気が付いて身悶え始めた。しかし、爪先立ちに吊られている身では足を跳ね上げて留美を蹴り飛ばすことも出来ない。結局、徹は留美にその一物をがっしりと握られたまま、おとなしくなった。

 「吉橋さん。恥を知りなさい。あなたそんな事をして恥ずかしくないの?」

 恋人のそんな部分を留美が自由にしているのに腹を立てた由里は眉を吊り上げて喚き立てた。しかし、松井の次の言葉に由里は言葉を失ってしまう。

 「留美は俺たちの命令であんな事をやってるんだ。お前が自分で服を脱いで裸にならないと手こきで吐き出させてしまうぞ」

 悪魔たちが自分が寝ている間に裸にしなかったのは心理的な隷属を狙っている事は由里にも判っていた。しかし、このような野卑な連中の前で肌身を晒すことなど由里には出来なかった。

 「自分で服を脱がないのか?」

 反応を示さない由里に業を煮やした松井はその形の良い顎を掴むと無理矢理、徹の方に向けさせた。

 「留美。構わないからやっちまえ」

 「あいよ」

 松井の指令を受けた留美はにっこり微笑むとむんずと掴んだそれを激しく揺り動かし始めた。

 次第にそれは大きくなり始め、留美の掌の中で脈打つ鼓動を打ち始める。

 「もうすぐ、爆発しそうだよ」

 留美は喜々とした声を上げ、この無残な遊びを楽しんでいる。

 「ま、待ってよ。脱ぐからそんな事は止めて」

 徹にこれ以上の恥を掻かす事は出来ないと思った由里は遂に肌身を晒す決断したのだった。

 「ちぇっ、もう少しだったのに」

 留美が残念そうに暴発寸前のそれから手を離すと、徹の男根は力を漲らせたまま股間にそそり立ったままとなった。

 松井がハンドルを操作して由里を吊り上げていたロープを緩め、手錠を外すと由里は吊られていた手首を擦った。

 「さあ、下着まで全部、脱ぐんだぜ」

 松井と塩野がどっかりと腰を落とし、留美まで取り囲むように由里の間近に腰を据えた。

 さすがに悪魔たちの目前に肌身を晒す事になると思うと由里も逡巡してしまう。しかし、挫けそうになる気持ちを奮い立たせ、由里はジャケットのボタンを外し、それを床に落した。

 続いて、綺麗なブラウスも脱ぎ捨てると留美はそれをすかさず拾い、さっそく身に着けた。

 「これ中々、良い物だよ。貰っておくね」

 「良い脱ぎっぷりだ。どんどん脱げよ」

 松井が手を叩いて囃し立ててる。

 ジーンズを足元に落すと、由里の身に着けている物はブラジャーとパンティとパンストだけになった。パンストに手を掛けようとする由里を三枝は制止した。

 「ブラジャーを取るんだ。下はそのままで良い」

 頬を赤らめた由里はチラリと徹の方を見た。猿轡で覆われていたが徹は無念そうな顔をして由里の方を見ている。

 ブラジャーを外し、二つの半円球の丘が現れると由里は腕を交差して縮こまってしまった。

 「よし、縛り上げて吊るせ」

 三枝の命令で二人の男が無遠慮に近づいてくると由里は金切り声を放った。

 「ち、近寄らないで」

 「えへへ、そうは行かないぜ。おとなしくしてろよ」

 胸の前でしっかりと組み合わさった腕を力ずくで振り解き、強引に背後に捻じ曲げた松井と塩野は厳しく後ろ手縛りに仕上げると乳房の上下にも縄を巻きつかせしっかりと縄止めした。

 垂れ下がるロープを由里を締め上げている縄に繋ぐと再び、ハンドルを廻す。

 ロープに吊り上げられ、遂に由里はその優美な裸体を居並ぶ悪魔たちの視線にくっきりと晒す事になったのである。

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