二人の投降者
息をするのも辛いほど地下室には臭気が蔓延していた。四人の少女たちは身体を伏せたまま時間の経過を待っていた。
弘美が啜り泣きを洩らしている。悪魔たちに捕われ、家畜並みの扱いをうけている自分とその自分の安否を気にして奔走しているたろう両親に思いを馳せているのだ。
「助けに来てよ。お父さん。そうしないと弘美は悪魔に食べられちゃう」
弘美は幼い心でそれだけを願っていた。しかし、鼻を付く臭気、からからに渇いた喉、はちきれそうな膀胱、もう、我慢の限界は超えていた。次の機会には投降してとにかくここから出ることを考えている弘美であった。
新たな水が差し入れられてはいたが誰もそれを口にしようとはしなかった。また、下剤が混入されているのを恐れているのだ。
「弘美、大丈夫」
恭子が泣き続ける弘美を心配して肩に手を置いた。
「もう、駄目。次は降参します」
首を振って答えた弘美を恭子は抱きしめると耳元に口を寄せた。
「私は何が有ってもおめおめと降参なんかしないよ。最後まで奴らに手には落ちない。だから、弘美も一緒に」
「嫌、嫌よ」
弘美が更に激しく首を振った時、男の声が地下室中に響き渡った。
「橋本恭子。無理強いは良くないぞ。お前、一人が意地を張り通せばよい」
「お前なんかに指図されるか、この悪魔」
カッと来た恭子は立ち上がると真赤な顔をして大きな声で叫んだ。先程の排便を三枝に嘲られたのが余程、腹に据えかねているらしい。
「うふふふ、止しなさい。みっともないわよ」
今度は留美の声が響いてきた。一同は唖然としてスピーカーを注視した。
「あなたたち、いつまでも意地を張り通すことなんかないわよ。上がってくればトイレにも行かせてもらえるし、パンティは穿かせて貰えるのよ。早く、投降することね」
「先輩、悪魔に魂を売ったのね」
恭子は留美の変身振りをいち早く察知して大声を張り上げた。
「恭子は相変わらずの分からず屋だわ。次の二人の投降者までで特別待遇は終わるのよ。さあ、手を上げなさい」
「はい」
留美の呼び掛けに応じて弘美と由希が手を上げた。絵里は逡巡している間にその機会を失ったのだ。
「では二人は裸になってゴンドラに乗りたまえ」
三枝の声が響き渡ると弘美は裸になった。何かと世話を焼いてくれる恭子には悪かったがここに一瞬たりとも居なくなかったのが本音だった。
「もう、先輩と二人きりになっちやった」
二人が引き上げられると恭子は不貞腐れたように呟いた。
俯いた全裸の弘美が塩野に押し立てられてモニタールームに入ってくると三枝はその姿に目を奪われた。端正な顔立ち、まろやかに盛り上がる乳房、申し訳程度に張り付いた股間の繊毛、何を取っても男心を捉えて離さない身体つきをしていた。
「西村弘美だね。顔を上げない」
声を掛けられた弘美はおずおずと顔を上に向けた。全裸を男の前に晒したことなどない弘美は膝頭を震わせている。
「おじさま、綺麗でしょう。この子が入学した時に上級生たちがその顔を見ようとこの子にクラスに押し掛けたほどの美少女なのよ」
パンティの上にワイシャツを身に着けた留美が得意顔になって説明する。しかし、三枝はそんな言葉など聞こえぬほど目の前の美少女に心を奪われている。
「ト、トイレへ行かせて下さい」
顔を真赤にさせ、口ごもりながら生理の欲求を伝えた弘美に留美が三枝に代わって口を開いた。
「トイレは朝の一回だけ行けるのよ。もう、夜よ。今日は駄目ね」
「そ、そんな」
弘美はたかまってくる尿意に耐え切れぬように腰を揺すっている。
続いて由希が松井に縄尻を取られて入ってきた。こちらは顔はそこそこだが身体つきは留美をも上回るセクシーさを兼ね備えている。三枝は再び、溜息を付くのだった。
「先輩。あれはどういうことですか?この人たちの仲間になったのですか?」
顔を合わすなり由希は留美に食って掛かった。
「・・・・」
留美はこの問いにははっきりと答えられなかった。留美自身にも判断が付かぬことだった。しかし、様々な特権を受けていることは事実だった。
「答えて下さい」
さらに食い下がろうとする由希の乳房を松井が掴まえたことで由希はそれどころではなくなり、この質問は打ち切られた。
由希の構図
弘美と由希はそれからアトリエに連れ込まれた。弘美は浴衣を身に付けさせられ、由希は赤の褌を締めさせられていた。
二人はおぞましい絵画の群れが居並ぶ空間にさすがに戦慄を覚え、小刻みに肩を震わしている。
「どうだ、驚いたろう。あのおっさんはこんな絵を描く画家なんだ。あそこにあるのが留美、こっちのが先生だ」
松井は得意顔になって二人に説明する。聞いている二人は自分たちを描いた作品もそこにいずれは飾られる事を予感して震えがとまらなかった。
「おしっこしたいのか?」
松井が腰をもじつかせている弘美の額を突付いて笑うと弘美は恥ずかしそうに頬を染めてこっくりと頷いた。
「もうすぐ、おっさんがやってくる。お前にポーズを付けておしっこをさせてくれるよ」
松井に嘲られた悔しさに弘美は唇を噛むのだった。
三枝が大きな花瓶を手にアトリエに入ってきた。二人の少女の衣装に満足の表情を浮かべた三枝は花瓶を床に敷かれたビニールシートの上に乗せた。
「弘美はその花瓶の中に立小便をしなさい」
立小便と言われて弘美の表情が曇った。
「出来ません。そんなこと」
蚊の鳴くような声で訴えた弘美を男たちは許すはずもない。松井に背中を押されて花瓶の前に立った弘美は涙を浮かべた目を開いて悪魔の口のように映ずる花瓶を見つめるのであった。
「こうやって、裾を押さえてシャーとすればいいんだよ」
松井が浴衣の裾を割って弘美の手に握らせても力なく首をふるだけの弘美であった。
三枝は弘美に構わずデッサンを描き始めた。弘美は嗚咽しながら花瓶の口を見つめている。何分かの時間が経過した。
「いつまでもじもじしてるんだ。とっととやらかしてすっきりしろ」
留美とセックスが待ち遠しい松井が怒り始め、弘美の頭を小突いた。
「乱暴はしないで、私が代わりにします」
優しい心の持ち主の由希が後手に括られ、褌一枚の裸身を割り込ませて弘美を庇おうとした。
「梶間由希はそこへ吊るしてくれ」
邪魔をされてては叶わないとばかり三枝は由希を天井から伸びるロープに吊るすように命じた。
「由希。弘美の事を心配するなら。お前が先に見せて先輩らしく振舞え」
「どうすればいいの?」
由希は挑戦するような目つきになって三枝に尋ねた。
「簡単だ。お前はそのままお漏らししろ」
爪先立ちになる程度に吊り上げられ由希は褌を締めたまま失禁しろと命じられたのだ。
由希が唇を噛み締めると三枝は早くもデッサンを取り始めている。どうやら二人を同時に三枝は描くようだ。
「何、すんの。やめてよ」
松井に背後から乳房を揉まれて由希は悲鳴を上げた。しかし、後手に縛られている上に爪先立ちでは抵抗も逃れることも出来ない。
「早く、やらかすんだ。しないともっと酷いことをするぞ」
抵抗できないことをいいことに松井は褌の布切れの脇から指を食い込ませ、由希の中心点をしきりに刺激し始める。
「何て事するの?あっ、やめて!」
松井が完全に女責めの体制に入り、由希を大胆に刺激し始めるに及び、由希は激しい悲鳴を放ち、身悶えるのであった。
三枝は忙しく筆を走らせ始めた。男に悪戯されながら褌の中に排尿する女、それが由希に与えられたテーマだったのである。
「早く始めないと指を入れちゃうぞ」
激しく指を擦りつけながら由希を脅した松井はこの残酷なゲームにのめりこんでゆく。
両腿をぴったりと合わせ、松井の攻撃を防いでいた由希であったが遂に抗しきれず、松井の指の侵入を許してしまうと悲痛な声をあげ、力なく首を左右に振るのであった。
「す、するわ。するから。指を抜いて」
「えへへへ、どこから抜くんだ。はっきり言って貰わないと判らないぜ」
由希の羞恥に悶える姿に欲情を覚えた松井は更に奥深く侵入させ、激しく刺激を与え続ける。
「い、意地悪。ゆ、由希の○○○○から指を抜いて!」
羞恥に全身をバラ色に染めて喘ぐように由希が訴えると松井はようやっと指を引き抜いた。
ようやっと松井の指先の責めから解放された由希は肩の力ががくっと抜けると松井の陥穽に嵌ってはしたない言葉を口にした恥辱から啜り上げ始めるのであった。
「ちよっと待ってろ」
松井は褌の乱れを直し、元通り由希の股間を息苦しい程に締め上げると逞しい臀部を掌で叩いた。
「さあ、始めな。先輩らしく弘美に見せてやるんだ」
再び、無防備な乳房を揉み始めた松井に言われた由希は涙に濡れた瞳を開いて裾を広げたまま塑像のように立ち尽くす弘美を見た。
「西村さん。良く、見てて」
震える声で弘美に告げた由希は堪えに堪えていた緊張を解いた。
「えへへへ、とうとう始めやがった」
松井に赤く火照った耳たぶに囁かれると由希は裸体を震わせながら排尿を続けていた。褌の中に排出された尿はやがて由希の太股を伝わり、床に落下する。その不気味な感触を打ち払おうと由希はブルッと腰部を痙攣させるのであった。
やがて、排尿を終えた由希はがっくりと首を垂れ、目を閉じ、眠るように静止した。
松井は由希から離れると先輩にすさまじいシーンを目の当たりにし、驚きの表情隠せない弘美に近づいた。
「さあ、今度はお前の番だ。先輩だってやったんだ。お前にだって出来るだろう?」
「で、できません」
松井の襲来を受けて弘美は一二歩後退した。この屋敷たちに巣食う悪魔たちの残忍さを目にして弘美は今にも号泣しそうになるまで気持ちが昂っている。
「あっこら」
弘美が身を翻して出口に向かって駆け出したために松井は慌て、ビニールシートに足を取られ転倒してしまう。
「女が逃げた。捕まえろ」
松井の叫びを聞いて留美とセックスしていた塩野が慌ててドアを開くと弘美が階段を駆け下りてゆくところだった。
逃亡の顛末
弘美の逃亡は玄関までたどり着いたところで終わりを告げた。玄関には鍵が掛かっており外には出られず追い付いた塩野にいとも簡単に取り押さえられたのだ。
留美との行為の真っ最中だったらしく、全裸の上、緊張を保ったままの肉棒を揺らした、塩野に弘美が連行されアトリエに戻ってくると松井の平手打ちが待っていた。
「逃げようなんてしやがってとんでもない小娘だ」
ビニールシートに倒れこんだ弘美の頭に足を載せた松井は顔を由希の尿が広がる床に押し付けた。
「思い知ったか」
わき腹を蹴り上げ、仰向けに倒した弘美の顔に足を載せた松井は再びぐいぐい押し付ける。弘美は恐怖に駆られ悲鳴さえ上げられない。
「まあ、この子、おしっこしちやったわ」
ワイシャツを羽織っただけの留美が様子を見に訪れ、いつの間にか弘美が失禁し、浴衣をぐちょぐちょに濡らしているのを発見して笑い声を上げる。
「手前、先生の作品を台無しにしやがったな」
松井はその事実に気が付くとさらに怒りを増長させ、髪の毛を掴んで引き起こした弘美の頬を更に激しく打ち据えた。
「そんな、打ちのめすなんて野蛮なことは止しなさいよ」
腕組みした留美は松井の腕を掴んで押し留めた。
「逃げようとしたんだ。簡単に許せるか」
「もう、逃げる気が起きないくらいにお仕置きして上げればいいじゃない」
「何をするんだ?」
ようやっと落ち着きを取り戻した松井に留美は意味有り気な微笑を送るのであった。
「それは内緒。素っ裸にして縛り上げてからね」
松井に命じると留美は次に相変わらず水滴を滴らせている由希の髪の毛を掴むとその無念そうな顔を覗きこんだ。
「お漏らししちゃったのね。いい気味だわ。さっきの問いに答えてあげる。私はこの人たちの味方よ」
留美の言葉を聞いても屈辱の衝撃から未だに回復しない由希は押し黙ったままだった。それを良いことに留美はますます調子に乗り始める。
「私は楽をしたいのよ。汚い目に遭いたくないの。この人たちの味方でいる方がいいのよ」
由希が無抵抗なのを確認した留美は素っ裸に剥がれ、後手に縛り上げられ床に転がされている弘美に近づいた。
「まあ、おしっこ塗れね。お湯とタオルを持ってきて頂戴それと・・・」
耳打ちして塩野に命じた留美は三枝にも何か要請した。
二人が相次いでアトリエを出てゆくと松井の方を向いた。
「この子両足を開かせて縛って頂戴」
竹竿を使って開股縛りにされた弘美は恐怖に頬を引きつらせている。弘美の胸は後悔の念で一杯だった。そんな、弘美の心を見透かしたように留美はその顔を覗きこんだ。
「逃げようなんてすると、とてもきついお仕置きを受けるのよ。大した事じゃないから許してあげても良いけど。皆に警告を与えるためにお仕置きするわ」
口調は優しかったが留美の顔は厳しかった。弘美は挫けそうな気持ちを奮い立たせ、頷いてみせた。
塩野が持ってきたお湯とタオルを使って汚れを綺麗に拭い去ると留美は育ちきっていない乳房を弾いた。
「皆に謝って。お仕置きをお願いするのよ」
「二度と逃げたり致しません。存分にお仕置きして下さい」
謝罪を強要された弘美は口篭りながらもそれを言わねばならなかった。
「よく、言ったわ。じゃあ、まず、ここの毛を剃らして貰うね」
留美がいきなり申し訳程度に生えている繊毛に石鹸をなすり始めたことに弘美は衝撃を受けた。しかし、へたに抵抗して彼らの怒りを増長することを恐れ、身悶え封じ、彼らのなすがままに身を委ねている。だが、留美がその上に剃刀を宛がい、丁寧に動かし始めるとその感触に耐え切れず火照った顔を左右に振ってしまう。
「辛いか?辛抱するんだぜ」
松井は羞恥に身悶える弘美を背後から抱きとめながら薄笑いを浮かべてその表情を楽しんでいる。。悪魔に取り囲まれ、おぞましい仕置きを受ける弘美は生きた心地もしなかった。
「まあ、綺麗に無くなったわ。うん、上出来ね」
タオルで恥丘を拭った留美が翳りが剥ぎ取られ、幼女のような輝きを見せるその部分を目にして満足げな笑みを洩らすと代わって三枝がその前に座り込んだ。
「な、何をするんです」
ビニールの手袋をした三枝がその部分を消毒し始めると新たな恐怖を覚えた弘美は引きつった声を上げる。
「尿道チューブを差し込むのよ。あなたは自由におしっこが出来るのよ」
「嫌、嫌です」
急に激しく身悶え始めた弘美の乳首を留美は掴むと思い切り捩じ上げた。
「これが本当のお仕置きよ。明後日の朝までそれをしていれば許してあげるのよ」
留美の楽しそうな顔を見ながら、弘美は悪魔の館に迷い込んだ自分を実感した。女から汗と涙、そして、尿まで搾り取る悪魔たちの所業に弘美の心の震えは一層、激しくなり、絶望の二文字が脳裏をよぎるのであった。