留美の構図
「おい、こっちだ」
生まれたままの素っ裸を後手に括られた十七歳の留美は廊下に出るとそのまま玄関前を通過して階段を上らされた。留美の胸には後悔の念で一杯だった。地下室でいたずらに自らが孤立する状況を招き、居たたまれなくなった勢いで奴隷を志願した行動を悔いていたのだ。再び、地下室に戻ることを願うのはそのプライドが許さない。留美は今にも震えだしそうになる自分を抑えながら一歩ずつ階段を踏みしめていた。
「ここだ、入りな」
二回の突き当りの部屋のドアを開けられ中に足を踏み入れた留美は思わず息を飲んだ。明るすぎる照明に照らされたその部屋は男のアトリエだった。壁には男の描いたであろう掲げられた絵が無数に展示されていた。留美を驚かせたのはその絵の内容だった。全てが女性の放尿する姿を描いた絵だったのである。幼女が道端でしゃがんで放尿する姿、和式便器で用を足す女性を背後から描いたもの、中には縛られた全裸の女性が立ったまま放尿している作品まであった。留美はその一つ一つを目で追っては込み上がって来る恐怖に全身をガタガタ震わすのであった。
「どうした?驚いたのか?」
留美の戦慄する表情を楽しみながら三枝はニンマリと微笑みを浮かべている。
「く、狂ってるわ。こんな絵を描くなんて」
振り絞るようにそれだけ言った留美はそのおぞましい作品から目を逸らした。
「狂ってるか?そいつはいいな。俺はこの手の趣向の雑誌に挿絵を書いてる画家なんだ。大して金にはならないが趣味と実益が一致してそれは楽しいぜ。最初は想像で描いていたのだが物足りなくなってな、モデルを雇って描いたのだがそれも限界がある。今日からは俺の思うがままの姿で描けると思うと興奮して堪らないのさ」
男は膝頭を震えさせている留美を見ながら楽しそうに話している。留美は男からも目線を外し、唇を噛み締め、絵の具で汚れた床に視線を落としていた。
「さあ、今日のモデルは現役女子高生だ。鼻っ柱の強いお嬢さんにはお似合いのポーズを考えて見たよ」
男はスケッチブックをペラペラめくるとその一枚を留美の眼前に突きつけた。
それを目にした留美の表情が驚愕に歪んだ。そこには恐ろしく卑猥な姿勢をした女性の放尿する姿がデッサンで描かれていた。
「お、お願い。こんな姿は嫌!」
涙を浮かべて哀願する留美を見て三枝のどす黒い欲望はますます加速される。
「駄目だ。お前にはお似合いの姿勢だ。その椅子に座れ」
身悶えて、男たちの手を逃れようとしても両手を拘束されている留美にとって、所詮、それは虚しい足掻きに過ぎなかった。三人の男たち手で無理矢理椅子に座らされた留美は別の縄を使って椅子にがっしりと固定されてしまう。
激しく身悶える留美の身体を松井が椅子ごとがっしりと押さえ込むと三枝と塩野は部屋の左右の壁に垂れ下がるロープの先端をその細く締まった足首に結び付けた。
二人が壁際によりハンドルを廻すとだらりと垂れ下がったロープは緊張し、留美の両肢は左右に開きながら上方に吊り上げられていった。
「いやーん」
留美の心からの羞恥の叫びが長く大きく尾を引いた。
「何を慌ててるんだ。お前の全てを絵に描いて貰えるんじゃねえか」
留美を押さえている松井が双の乳房を揉みながらゲラゲラ笑っても留美の動揺は収まらない。激しく頭を振りながら切れ切れの悲鳴を吐き続けてる。
「こんなもんでいいだろう」
三枝は留美の両肢がほぼ垂直に吊り上げられるとハンドルを廻すのを止め、留美の正面に戻りその卑猥な姿態を見て満足の笑みを洩らした。
極限まで広げられ、吊り上げられた両肢、恋人にも見せたことの無い極限の羞恥の姿勢を野卑な男たちの眼前に晒している現実に留美の震えは止まらない。ピーンと緊張を示しているしなやかな二肢は屈辱の震えを見せていた。
「怖いのか?」
三枝に強張った頬を突付かれた留美は涙を滲ませた瞳を開くと凄みのある視線を向けた。
「鬼、悪魔。あなたたちは地獄に落ちるわ」
「そうか、鬼か。こいつは良かったな」
留美の精一杯の恨み言も三枝の失笑を買うだけであった。
「そのまま、小便をするんだ。いいな?」
「誰がするもんか。誰が」
留美の悲痛な言葉を聞いても三枝はこっくりと頷くと自分はキャンバスの前にどっかと腰を下ろした。
「精々、我慢しろ。時間はたっぷり有るんだからな」
三枝は留美の悔しさと恐怖の入り混じった表情を観察するとキャンバスに向かい、悪魔の創作活動に没頭し始めた。
留美は泣き出しそうになる気持ちを抑え付け、意識をその一点に集中した。既に限界に達している身、我慢し通せる道理も無かった。しかし、留美は意地になってその屈辱の時間を少しでも先に延ばそうと必死の努力を続けていた。
薄笑いを浮かべた塩野が近寄り、あけすけに広げられた留美の股間に手を伸ばすと留美はけたたましい悲鳴をまたしても放った。
「嫌。さ、触らないで」
性的な翻弄を嫌ったと言うよりもそこを刺激されることにより尿意の高まる事を恐れてたと言うのが真相だろう。留美は鋭い視線を塩野に注いでいる。
「そんな怒った顔をしたって始らないぜ。大きく股を開いていつでもどうぞっていうざまじゃないか?」
指先による悪戯を跳ね付けられた塩野は言葉による痛ぶりを開始して、留美を弄び始めた。
「お前、男とやってるだろう?結構、襞が黒ずんでるじゃねえか」
「ほっといてよ。あんたみたいな男に言われたくないわ」
間髪をいれず留美は男に言い返した。
「そんな惨めな姿にされても大きな口を利くんだな。呆れた女だぜ。どうせ、今にそこから噴水みたいにおしっこをして泣きべそを描くんだろうけどな」
塩野が侮蔑の言葉を吐いて退くと今度は松井が乳房を揉み上げた。
「早く、すっきりして、俺たちと腰を使って楽しみ合おうじゃねえか。いいだろう?」
「嫌、嫌よ」
留美は激しく頭を振ってその行為を拒否した。
「塩野君、地下室の連中に水を差し入れてやってくれ、喉が渇いて堪らなくなってる筈だ」
命令された塩野が名残惜しそうに留美の裸体に視線を飛ばしてから部屋を出てゆくと 三枝は再び冷酷な視線に戻り、羞恥に悶え、尿意に苦しむ留美をキャンバスの上に再現し始めた。留美の途方も無い苦しみの一夜はまだ始ったばかりであった。
塩野がペットポトルを穴に放り込んで戻ってくると既に留美の目前には大きなたらいが設置され、いつでも留美の奔流を受け止める準備が整っていた。
不自然な姿勢を取らされてるため、留美の抑えも効かないようだ真赤にさせた顔を弱々しく左右に振り、吊り上げられた二肢は小刻みな痙攣を示していた。
「もう、そろそろだと思う。ビデオカメラを廻しておいてくれ」
既に筆とパレットを手にしてキャンバスに向かっている三枝に言われた塩野がビデオカメラを構えると留美の崩壊を余すとこ無く記録する手筈は整った。
「さあ、やっちまいなよ。我慢できないんだろう」
松井が乳首を抓んで揺さぶると留美は光を失った瞳を開いてこっくりと頷いた。
「やるみたいだぜ。先生。しかり見てくれよ」
松井に声を掛けられた三枝はキャンバスに走らす手を止めて決壊をギリギリに堪えている留美の全身に粘い視線を投げ掛けた。自由を奪われ、野卑な男たちに取り囲まれて放尿図を晒さねばならぬ留美の悲痛な覚悟を思うと三枝の心は異様に昂るのである。
「あー」
覚悟を決めたものの留美の女の本能がそれを抑制している。しかし、留美の下半身は痺れ切り、堪えるべき限界をとっくに超えていた。
「何、もたもたしてんだよ。この後はお前の身体を俺たちが楽しむことになってるんだ。早くしちまえよ」
業を煮やした松井が留美の緊張を漲らせている下半身を強く押した。
「あっ、駄目」
外部の力が加えられ、留美の緊張の糸が途切れ、水しぶきが湧き上がった。
「とうとう、始めたぞ」
溜まりに溜まっていた奔流は一度上昇し、弧を描くようにたらいに落下してゆく。その様は留美の股間から噴水が吹き出てるような印象を見るものに与えていた。
留美は呼吸が出来ぬほど荒い息を吐き続けて放尿を続けていた。悔しさ、恥ずかしさを感じながらも悪魔たちの望む、醜悪な姿を露呈した自分の情けなさに魂も押し潰されるほどの衝撃を味わっているのだった。
やがて、水流は弱まり、完全に止まった。同時に留美は激しい声で泣き始めた。それはプライドの高い、留美にとって物心付いて始めての経験だった。悪魔たちの軍門に下った悔しさから号泣が続いていた。
「泣いたって手遅れだぜ。俺たちの前で堂々と股をおっぴろげて小便を洩らしたんだからな」
松井に嘲られ、留美の号泣はの声は低くなった。それは全てを諦めた留美の心に止めを刺した格好となった。
男たちがハンドルを操作して、両足の自由を取り戻しても留美はそれをすぼめる力も無いほどがっくりと項垂れている。それでも男たちは椅子に固定していた留美を無理矢理立たせるとおのが欲望を満たすために自分たちの部屋に連行しようとするのだった。
「しっかり、歩けよ。まだ、気を失っては駄目だぞ」
松井に引き締まった尻を叩かれた留美はよろよろと足を踏み出した。しかし、長時間に渡る開股縛りの影響で大きくよろめいてしまう。
「ほらほら、しっかり歩け」
松井に縄尻を引き絞られ、立ち上がった留美は歯を食いしばり、気力を奮い立たせて歩き始めた。
「それじゃ、先生。後は宜しく」
松井と塩野が留美を引き立てて部屋を出て行くと三枝は一心不乱にキャンバスに筆を走らせ始めた。彼にとってはこれからが本番なのである。
悪魔の朝食
三枝はさわやかな朝を迎えていた。昨晩は作品作りで睡眠時間は僅かなはずなのにすっきりとしていた。それも少女たちを捕らえ、その一人を思うが侭な姿態で絵に描き込んだ充実感によるものだった。彼の心は後八人の女たちをどのような構図で作品にするか、それを考えるだけで胸が弾むのであった。
彼の寝室はアトリエと離れた一階にある。部屋を出て玄関を抜けて階段の前を通り過ぎた。二階では松井と塩野が留美の肉体を貪り尽くしている筈だが、さすがにもう寝たのか物音一つ聞こえなかった。
モニタールームに入ると4台のモニターに写る地下室の様子にさっそく目を凝らした。
全員、支柱を中心に横になって、休んでいる。既に昨夜、差し入れたペットボトルの中身は空になっていた。三枝は更にカメラを移動させて床の上を丹念に観察した。どうやら、一斉放水以来、少女たちは用を足していないよなのを確信して三枝はニンマリとした笑みを浮かべた。
その時、松井と塩野ががっくりと首を項垂れたままの留美を押し立ててモニタールームに入ってきた。
「よう、首尾はどうだった」
「良かったですよ。結構、こいつ、好きみたいです」
三枝の問い掛けに松井は満足の笑みを浮かべて答えた。
松井は全裸で後手に縛り上げた留美を三枝の前に跪かせるとその縄尻を手渡した。
「俺たちは朝飯の支度をしますんでお願いします」
相変わらず全裸で後手に縛られたままの留美は軽く瞑目していた。昨夜は、明け方近くまで二人の男に陵辱され尽くされた少女は意気消沈としていた。それは昨日までの小生意気な態度を取り続けていた留美を知る三枝にとってはこの上の無い喜びとなり、満足感を感じている。
「お前は俺たちの奴隷となったことがよく判ったろう。これからは俺たちの言うことを良く聞いて可愛い女になるんだぞ」
三枝に言われた留美は顔を一瞬、上げるとこっくりと頷いた。極限の放尿図を目撃され、二人の男に肉体を蹂躙された留美は一種の洗脳をされたようにこの男たちの奴隷となる事を受け入れる気持ちになっていたのだ。
「よしよし、じゃあ、奴隷としての初仕事を与えよう。お前の朝食だ」
三枝はズボンと下着を脱ぎ捨てると醜悪な下半身をさらけ出し、留美の前に仁王立ちになった。
「さあ、しゃぶりつくんだ」
既に適度の固さを持ち始めたそれを留美の硬化させた頬に擦り付けるようにして触れさせた三枝は嗜虐の昂りを覚えたのだろうか、舌なめずりをして留美を見下ろしている。
心の中から湧き上がって来る嫌悪寒を抑えつける様にして唾を飲み込んだ留美は小さく口をを開いてそれに舌を這わし始めた。
「そうだ。上手だぞ。次はすっぽり飲み込んで、激しく動かしてくれ」
三枝の上ずった声を聞くと留美は言われるままに肉塊を口に含み、激しく前後に揺さぶりだした。
昨日までの自分には考えも出来ない行為だった。留美はぼんやりとした意識の中でその作業を何かに取り憑かれた様に一心不乱に続けていた。
「こいつはお邪魔でしたか?」
地下室の少女たちに食事と水を差し入れの準備を終えた松井と塩野が顔を出しておどけたような表情を浮かべた。
「構わないから近くで見ててくれ」
二人の男が傍らに来て見物を始めても留美は動揺を示さなかった。それよりも三枝を一刻も早く陥落させてやるとばかりに舌の動きに拍車を掛けた。
「おお、激しいじゃないか、往きそうだぜ」
留美の遮二無な舌遣いに苦笑した三枝は苦笑しながら、その汗ばむ肩に両手を置いた。
「うまいぞ、留美。もう少しで落ちるぜ」
松井も手を叩いて留美を囃し立てる。
三枝が留美の激しさに敗北したのは間もなくだった。舌の上にその迸りを感じた留美は動きを止めると眉を寄せ、その液体を受け止めるのであった。
「上手だったぜ。吐き出したりしないでしっかり飲み込みな」
松井に膨らませたままの頬を突付かれた留美は三枝を咥えたまま軽く頷いた。
欲望を吐き出した三枝が満足げな表情を浮かべて身体を引くと留美は言われたとおりに舌の上に溜めていた汚辱の液体を飲み込んだ。
「満足したぞ。段々、奴隷らしくなってきた」
三枝は松井と顔を見合わせると大きく笑い声を上げるのであった。