<被疑者国選弁護制度の立法化を求めるアピール>
1990年に大分、福岡で当番弁護士制度が発足し7年が経過しました。全国で実施されてから5年になります。
日本弁護士連合会(日弁連)が生み出した戦後最大のヒット商品といわれた当番弁護士制度を存続させるために、日弁連は、国費の補助が全くない刑事被疑者弁護に、特別会費という異例の方法をとり財政的な問題に取り組みました。当番弁護士制度が実施されて以来、どこでも誰にでも弁護士が駆けつけ、必要なアドバイスをしてくれ、依頼すれば弁護を引き受けてくれます。少年事件や外国人事件にも出動しています。
逮捕され孤立無援の状況の中で多くの冤罪事件が発生したことを思えば、当番弁護士制度は市民生活に欠くことができない制度として発展してきたことは大いにうなずけます。
利用者は年々増え続けています。しかし、このまま弁護士だけに負担を強いていていいものでしょうか。
当番弁護士制度の最大の受益者である市民が、当番弁護士制度を自分たちの権利を守ってくれる重要な制度として支援していくために、1993年市民の会・全国を皮切りとして、福岡、東京、大阪、札幌、大分、広島、埼玉、京都、岡山と9つの市民の会が誕生しました。
私たちは「被疑者にも国費で弁護」を合言葉として、「被疑者国選弁護制度」の2000年実施の実現を求めて、各地でさまざまな活動を進めています。
被疑者が不当に身体を拘束されないようにすることや、外部との連絡をとること、そして、取調べが公正に進められることをチェックすることなどは、刑事裁判の公正を実現するために絶対に必要なことです。その任にあたる当番弁護士制度を、弁護士会のボランティア的な活動に任せておくのではなく、人権を守るための国の制度として確立することは、いま緊急の課題であると考えます。
私たちは公的な資金によって、誰もが公平に安心して弁護士を依頼することができる被疑者国選弁護制度の立法化について、国民のみなさんに広く支持を訴えるとともに、国会、最高裁、法務省など関係機関に強く要請します。
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