英国旅行記 参考文献


山森 芳郎 (2007) 『イギリスの田園風景』 柊風舎
AA Publishing (2008) Peak District (AA Mini Guides):Automobile Association
木谷 朋子 (2003) 『英国で一番美しい風景・湖水地方』小学館
小野 まり (2010) 『図説 英国湖水地方 ナショナル・トラストの聖地を訪ねる』河出書房新社
丸茂 和博 (1997) 『ロンドンから行く田舎町』 双葉社
門井 昭夫 (1999) 『英国カントリーサイド紀行』 里文出版
クリストファー・サマビル (1999) 『イギリス』 日経ナショナルジオグラフィック社
地球の歩き方編集室 (2011) 『地球の歩き方 イギリス 2010〜2011』 ダイヤモンド社
クエンティン・ベル(1989) 『ラスキン』 晶文社
谷村志穂 (2004) 『イギリス、湖水地方を歩く』岩波書店
イギリス大使館 (1999) 『日本人の知らないイギリス』 丸善
『madame FIGARO japon 2011年 08月号』 阪急コミュニケーションズ
『るるぶイギリス 2011』JTBパブリッシング

英国交通法規
direct.gov
http://www.direct.gov.uk/en/











あとがき的なもの。



 『英国旅行記』は『日本の台湾旅行記』を書いている最中から、構想していた話でした。
 魔法で記憶を封じてもらった日本が、イギリスと二人でのんびり英国旅を楽しみ、フランスが乱入して冷やかしたりするという大筋は当初からあったのですが、いかんせん英国へ最後に行ったのが五年くらい前。現在の英国事情とは勝手が違うだろうことと、ただ英日がきゃっかうふふと観光をするだけの間延びした話になるだろうということから、今は書けない話のフォルダに放り込んでいたものです。
 その後、震災が起き、それまで現実時間ベースの話を書き続けていた為に自分の書く話の方向性に迷ったりもしたのですが、久しぶりに英国へ行く機会に恵まれ、これを逃したら書けないだろうと色んな意味で踏ん切りをつけて書いてみました。
 今は書けない、逆に今のタイミングでしか書けない、と本能的に分る話がたまにあるのですがこれはそんな種類の話です。内容はともかくとして、話を完結させるという意味で、ちゃんと書けて良かった、と胸を撫で下ろしています。(以前7年くらい放置する羽目になった話もあったので……)
 時事に即した話で、しかも現在進行形の事象を扱っているため、当事者やその周辺の方も多々おられると思います。この書き方はいかがなものか、とか、せめて同人の中だけでも現実を忘れさせて欲しかったのに、と思われる方には平身低頭すみませんでしたと謝罪いたします。その上で、多分うちはこれからも(公平性を保つよう努めつつも)主観に立脚した現実時事を取り入れた話を書いていくと思うので、危険と思われれば静かにフェードアウトをして頂ければと願っております。

 震災後に訪れた英国はいつになく温かい雰囲気でした。勿論今までも親切な方ばかりだったのですが、今回は空港の職員さんから宿の方、偶然話をした人まで皆が日本のどこから来たのかや、大丈夫だったのかと親身に心配してくれ、ちょっと面くらいました。基本的に英国は日本と同じような対外国人スタンスで、礼儀正しくもあまり立ち入らないイメージだったのが、どこのメリ? という勢いで、そういう意味では珍しい英国だったのかなと思います。
 帰国後に英国暴動が起り、原稿を書きながら在英邦人のツィートなんかを眺めていて、「英国紳士は存在しない」という書き込みも眼にしたのですが、言葉を交わした田舎のお年寄りはまだ古き良き英国イメージでしたよと思ってみたり。菊として日本が体験したことは、フィクションもあれば実体験もあり。人のイメージはお会いしてお世話になった方々から。ピークディストリクト辺りの歴史地理エピソードは70年以上当地に在住のJ夫妻から聞いたものです。違うよ! という部分があればきっとヒアリング能力不足のせいです……。
 なお話の進行上、サイト掲載話はかなり観光要素や大筋に関係ない会話のやりとりを削っています。後半部分のアーサーと菊のすったもんだは弄りようがなく大筋はそのまま。21話は削るだけではどうしようもなかったので、修正を入れて端折っています。本媒体に収録している短編は、日本視点の旅の前夜話、イギリス視点の本編終了後の話、フランス視点のさらに数日後の話です。本を読むと、またちょっと違った話に見えるように書いてみたので、興味を持たれた方はお手に取っていただけると嬉しいです。(とCMしてみる)
 最後になりますが、別ジャンル物なのに装丁の依頼を快く受けて下さった上に校正もして下さった野茨工藝舎の Kaya さま。無茶振りの日程で口絵をくれたゆずさん。一番美しい英国を見せてくれたJ夫妻にこっそり感謝を。
 この話を読んで、少しでも英国に身近に感じて下さればと願っています。



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