17.Rolleicord1(TriotarF3.8)  vs  Rolleicord2(TriotarF3.5)

 さてさて、今度はF3.8トリオターとF3.5トリオターで見てみましょう。。

 ただ、このF3.5の方は、ややレンズがベストとは言えない感じでしたので、その辺少々大目に見てあげなければいけないかも知れません。


Rolleicord1(TriotarF3.8)
f8, 1/100
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f8, 1/100


 歪曲具合はどうでしょう。
 この2台の比較で言うと、微妙ながらそれと分かる樽型のF3.8に対し、F3.5はほとんど分からない程度です。むしろ、微妙に糸巻き型かという感じです。同じトリオターでも、F4.5、F3.8、F3.5と、それぞれこんな違いがあるとは、興味深いですね。


Rolleicord1(TriotarF3.8)
f4.5, 1/100
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f3.8, 1/100


 う〜ん…、これはやはりF3.5の方は順光にも関わらず、フレアっぽくなってしまいましたね。レンズ表面の状態の影響でしょうか。
 開放で撮影していますので、ボケ具合についてはやはりF3.5がそのアドバンテージを見せており、ピントを合わせた真ん中の支柱の、すぐ下の歩道の敷石からいい具合にボケ始めています。しかし、せっかくピントが合っている真ん中の支柱も芯のない感じになってしまったのは残念でした。


Rolleicord1(TriotarF3.8)
f4.5, 1/25
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f3.8, 1/25


 文字ばかりの看板では、また面白い結果となりました。
 F4.5とF3.8の比較では、「F4.5は中心から周辺まで描写力の差が少なく、F3.8では周辺部で画像が乱れる」というようなことを書きましたが、F3.5では更に周辺がボケます。今回試写した3台のトリオターで比べると、「明るくなるほど、画面中心部と周辺部で画像が乱れる」と言えそうです。


Rolleicord1(TriotarF3.8)
f5.6, 1/100
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f5.6, 1/100


 こちらのカットでは、やや青みが強いのと、少々同じ値にセットしたのにアンダー目になっていることで、結果的にF3.5も中々いい感じの描写になっていると思います。色目的に、こちらを好まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?この1枚に関する限り、細かいところまで解像感も高く、これだけを見れば、「なるほど、これがトリオターの描写か」と納得する方もいらっしゃるでしょう。
 しかし、どこか線の太さがあるというか、ポテッとした感じです(ある意味「絵画的」?)。F3.8の方がスッキリとしています。また、惜しいことにやはり少々順光であるにも関わらず、やや薄いベールを1枚通したような感じになってしまっているように思います。 


Rolleicord1(TriotarF3.8)
f8, 1/50
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f8, 1/50


  う〜ん…、F3.5はこのカットもフレアっぽくなっちゃいましたね。まあ、比べられる範囲で見てみたいと思います。
 まず気が付くのは、色調の違いです。F3.8があまり偏りのない素直な色目であるのに対し、F3.5はシアンよりです。このカットでは、F4.5もややシアンよりでしたが、F3.5の方がより青っぽくなっています。
 解像度については、この状態ではちょっと公平に比べることは出来ませんが、それでも敢えて堅めな描写か柔らかめかということで言うと、F3.5の方が芯がないように思います。今回の試写の範囲では、クッキリ感のある方から、F3.8→F4.5→F3.5という感想です。



Rolleicord1(TriotarF3.8)
f8, 1/25
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f8, 1/25


 これはまたハッキリ出てしまいましたね。(笑) F4.5も横からの反射に影響されたらしく、かなりフレアっぽくなっていましたが、このF3.5はそれよりも大きく影響されてしまいました。ただ、さすがにここまで違うのは、もしかするとF3.5の方は少しシャッタースピードが遅めだったのかも知れません。
 一応、これより1段早いシャッタースピードのものも撮影していますので、そちらも見ながら感想を述べさせていただきます。
 やはり、F3.5の方が1段アンダーにしても柔らかいです。描写としては締まってはきますが、「キリリ」という感じではないと思います。それに比べると、F3.8の方がこのカットをご覧いただいてもお分かりのように、「スッキリクッキリ」しています。黒の締まりもきちっとしています。
 というと、F3.8の方が1枚上手のように感じられるかも知れませんが、「敢えてトリオターを使う」という意味ではどうでしょう?



Rolleicord1(TriotarF3.8)
f8, 1/25
Rolleicord2(TriotarF3.5)
f8, 1/25


 曇天の順光の向きからでも、F3.5は少々モヤッとしてしまいましたね。残念です。しかし、よく見ると、結構細かいところまでちゃんと描写はされており、感心します。ベストなコンディションに調整してあげられれば、驚くような実力を発揮してくれるのかも知れません。
 対してF3.8は、ここでも安定していて、意地悪な言い方をするとつまらないくらいしっかりした描写をしてくれています。こういう描写が欲しいなら、黙ってクセナー辺りを使ってもいいかも(?)知れないと思うほどです。


 今回の比較では、正直、「ちょっとF3.5の分が悪かったかな?」というところでした。もっとも、それは一般的な撮影の基準からすれば多分…、ということで、「せっかくレンズを選ぶのだから、トリオターを使う時には、よりそれらしいイメージの方が…」という方もいらっしゃるかも知れません。また、機会があったら、F3.5も再試写して見たいと思います。