7.2.8F(PlanarF2.8)  vs 2.8F(PlanarF2.8)

 この前の回で湧き起こった「疑問」に立ち向かうため(笑)、今回はなんと贅沢にもプラナー2.8Fを2台並べての撮影を行ってみました。道行く人々の視線にちょっと優越感を感じながらの撮影でありました(自意識過剰?(笑))
 ところが撮影自体は中々難しいものがあり、結局何パターンか撮影した中の1つだけをご紹介することにしました。

 今回の撮影には比較的近い時期(たまたまですが)のローライフレックス2.8Fプラナー付き(タイプ2)を2台、それとリファレンス用にキヤノンEOS10QDを使用して1/2ステップで撮影し、同露出値での撮影でどの位差が出るかも見てみました。まあ、いつもの通り、HP上ではきちんと表現しきれないようですが…。

f16, 1/60
f16, 1/90
f16, 1/125 f16, 1/125
f16, 1/180
f16, 1/250 f16, 1/250 f16, 1/250
f16, 1/350
f16, 1/500 f16, 1/500

 今回の撮影は、ご覧の通り雲一つない晴天下の撮影だったのですが、このカットを撮った時にはちょっと日も傾いてきて、夕景へと移り変わる時間帯になってしまいました。しかし、比較するには概ね影響のないうちに一通り撮り終えることが出来たと思います。

 まず、プラナー同士の描写の比較についてですが、これはやはり前回心配したような、個体ごとの「ズレ」というようなものは感じられませんでした。ここにご紹介した以外のカットについても同様です。つまり、「クセノター、クセナーとはちょっと離れ気味の色再現がプラナーの持ち味なのでは?」という感を強くする結果となりました。空の色も「プラナーの空色」であります。ちょいと洒落て、他のカメラで偏光フィルターを使ったのとは一味違うこの青を、「プラナー・ブルー」とでも呼ぶことにしましょうか。このサイトから1つくらい流行語が生まれても面白いかも知れませんし…。(笑)
 強いてこの2台のプラナーの違いを挙げるなら、「A機の方がB機よりも1/3〜1/2段暗めの露出である」ということです。生産時期がほぼ同時期であることから、部品としてのシャッターも同時期製と推測するのですが、もしプロがこの2台を使って仕事をするというような場合には、やや神経を使うのでは?というレベルの差があります。ピントリングの操作感も微妙な違いがあります(そのうち「ろーらい雑感」のコーナーでも紹介しようかと思いますが)。これが生産時からの「ばらつき」なのか、その後のユーザーの使用頻度等々の条件によるものなのかは確かめようもありませんが、少なくともこれまでの比較からも、とりあえず個体ごとにユーザーが慣れてあげなければならない程度の「個体差」があることは確かなようです。「そのアバウトさが昔のカメラの良いところ」というプロもいらっしゃいますが…。
 そんな一方、「全体的な精度」という意味では、30年以上も前の製品にしては、比較的最近の電子制御のカメラと比べても、かなり正確なシャッタースピードが出ているとも言えます。EOSと比べても、ほぼ全域においてやはり1/2段前後までの差です(どうしても低速域では差が広がり気味になるようですが)。もちろん、国際規格に沿っているわけですから、当たり前と言えば当たり前なわけですが、数十年前のメカニカルシャッターであるということを考えれば、さすがと言わざるを得ません。

 このサイトをご覧下さっていらっしゃる方にはあまりご興味はないかも知れませんが、簡単にEOS(今回はEF28-70mmf2.8L)との違いについても少々触れておきます。
 このカットについて言うと、EFの方がより傾きかけた陽光の影響を受けてしまいました。プラナーが「プラナー色の空に白い船」という描写であるのに対し、「オレンジ色に染まり行く船とベイブリッジ」という感じの表現です。空の色の「ヌケ」ももう一つです。「まだ夕方には早い」という時間帯の表現としては、プラナーに軍配が上げられるでしょう。