5.2.8F(XenotarF2.8)  vs 3.5F(XenotarF3.5)

 さて、やっとクセノターの3.5Fを試す機会がやってまいりました。まずはやはり、多くの関心を寄せていただいたプラナー対決同様、クセノターの「2.8F対3.5F」で見てみたいと思います。


Rolleiflex2.8F(Xenotar)
f8, 1/250
Rolleiflex3.5F(Xenotar)
f8, 1/250


 まず、歪曲収差ですが、今回の私の試した範囲で言うと、この2台は非常に似た傾向の歪み方を示しました。強いて言えば、2.8Fでは横方向の歪みがより目立つのに対し、3.5Fは縦横両方とも歪みが見られるというか、四隅方向に引っ張られている感じです。でもこのページ上では、スキャナの関係でちょっとその傾向が強調されすぎているようです。3.5Fの方が目立つといってももう少しマシです。(恐らくスキャン時の平滑性の問題でしょう)


Rolleiflex2.8F(Xenotar)
f11, 1/250
Rolleiflex3.5F(Xenotar)
f11, 1/250


 この鉄塔の写真では、空の色と紅白の鉄塔の色を比べてみました。この点についても、非常に似た傾向を示しました。空の色の色目、深み、画面上部から下部へのグラデーションもかなり近い感じがします。鉄塔の白い部分もどちらも実物に近い白で、空の色被りなども見られません。いい感じです。
 ただ、クッキリ感については、いい勝負ではありますが、より細かい部分(例えば上部のガイシとか)までよりしっかりと再現されているのは、この撮影では2.8Fの方のように見えました。


Rolleiflex2.8F(Xenotar)
f5.6, 1/15
Rolleiflex3.5F(Xenotar)
f5.6, 1/30


 プラナー2.8Fとの比較の時に、クセノター2.8Fの方がイエロー寄りの発色であると書きましたが、その傾向はこの神社の写真では、手前の熊笹の部分に特に出ています。HPでは分かり難いと思いますが、笹の葉の周辺部の黄色味が、3.5Fより濃い目です。生成りのちょうちんの色もややイエロー寄りに出ています。しかし、全体的にやはり発色の傾向は似ているようです。 


Rolleiflex2.8F(Xenotar)
f16, 1/60
Rolleiflex3.5F(Xenotar)
f16, 1/125


 このカットで見ても、やはり発色傾向は似ていると判断できますね。プラナーの2.8Fと3.5Fの乖離が結構大きい印象を受けたのと対照的に、クセノターはイメージが統一出来ているという印象です。解像度も共に申し分なく、マストから無数に張られたロープの1本1本まで見事に描写しています。
 こうして並べてみれば、やはりそれぞれ「近距離向きの画角かなぁ」とか、「風景ならこっちかなぁ」などと思う部分もありますが、「どっちが上か?」というような聞き方をされたら、答えようがないだろうという位、どちらもいい感じです。


Rolleiflex2.8F(Xenotar)
f16, 1/60
Rolleiflex3.5F(Xenotar)
f16, 1/125


 これまたHPでは再現しきれないのが残念なのですけれども、どちらも煉瓦の1つ1つ、更にはその間の目止めの線まで見事に描写しています。空の「青」も申し分ありません。


Rolleiflex2.8F(Xenotar)
f5.6, 1/1
Rolleiflex3.5F(Xenotar)
f5.6, 1/2


 この時計台の写真はちょっと腑に落ちない結果になりました。2.8Fの方が段階露出したカット全てがブレているのです。そのため、3.5Fの方がはるかに良い結果となりました。考えられる原因としてはもしかしたら下を走っている地下鉄がたまたま通ってしまった時にシャッターを切ってしまったというようなことかと思いますが、セルフタイマーを使うなどして気を使っていたつもりだったのに残念です(あるいはやはり、シャッターが大きい分、微妙にショックも大きいのでしょうか?)。
 で、比較としては色目だけになってしまいますが、このような人工光の撮影でも、やはり似たバランスの発色が得られました。画面下部の白色灯、上部の陽光等のいずれもクセノターの色になっていると言えるのでしょう。

 実は、今回の3.5Fを試せる機会に恵まれてから、実際このページを作るまでにはかれこれ1ヶ月半もかかってしまいました。というのも、プラナーの2.8F、3.5F比較の際の「違い」の大きさが印象にありすぎて、逆に「クセノターは2.8、3.5がこんなに近い描写でいいのか?」という疑問が湧いてしまったからです。1度撮影し、結果を見てから、再度の撮影に臨み…、などということをしていたら時間を食ってしまいました。(笑)
 その甲斐あって、「クセノターは、2.8でも3.5でもかなりイメージの近い描写をする」という結論に至ることが出来ました。まあ元々、ユーザーとしてはそう思っている方が多いと思うのでありますが…。