M-71

PROFESSIONAL CHORUS
NISSHO
SINCE 1963

 

現代日本の作曲家・自作自演


<日本合唱協会定期演奏会>

 


酒井 清  (日本合唱協会)
 

 2006年4月11日)


 

 4月7日、東京文化会館小ホールにおいて日本合唱協会149回定期演奏会が開かれた。今回の定演は、日本の現代合唱作品で人気の高い、鈴木憲夫木下牧子新実徳英の三人の作曲家を招いて、自作を指揮したり、自作について語ってもらったりしながら、その人気の秘密や、今後の合唱曲の行方を探るという企画だった。
 日本合唱協会(日唱)団員として演奏した立場から印象を述べたい。

 鈴木憲夫さんは混声合唱組曲「地球ばんざい」と「般若心経」を取り上げた。「地球ばんざい」は、まど・みちお作詞。まど・みちおさんの純朴な詩に曲が付けられた生きもの賛歌だ。終曲「いきもののくに」は、歌っていて感動が込み上げてきた。「般若心経」に対して、作曲者鈴木憲夫さんは特別な思い入れがあるようだ。一句一句や強弱・速度の変化について懇切丁寧に解説して下さった。

 新実徳英さんは無伴奏混声合唱のための「北極星の子守唄」を指揮した。新実徳英さんの練習は、緊張感がある中にもユーモアやサービス精神があり、合唱練習に慣れている感があった。「北極星の子守唄」は美しいハーモニーと優しい旋律で、思わずうっとりとしてしまった。

 木下牧子さんは体の故障で今回指揮はせず、インタビューに答えるだけにとどまった。池澤夏樹の詩による「祝福」は、歌いごたえがある名品だと思った。


 日本合唱協会(日唱)は、1963年に創立された日本で最初のプロの混声室内合唱団。団員は全て音大出身者で構成されている。「透明なハーモニー、緻密なアンサンブル、美しい音色、豊な音楽性」を身上とし、レパートリーは、中世からルネッサンス、バロック、古典を中心に、ロマン派、近代、現代、ポピュラーまで幅広く取り上げている。
 また邦人合唱作品については、委嘱を含め多くの初演や再演を行っている。年間5回の定演、日唱コーラスサロン、特別演奏会、地方公演の他TVラジオ出演、CM、CD録音、全国の小中高校などでの音楽鑑賞教室など、年間百余の公演を行っている。